「……ダメだった。」
家のベッドに飛び込んでつぶやく。
私の言葉じゃ、風音を動かせなかった。風音が傷ついていたのに。
ううん、ダメ。もっと作らなきゃ。
パソコンを起動する。次はこのボツになったゲームのブラッシュアップをして提出しようかな。
でも、足りないかも。
大人たちはもちろん、あの時のゲームにも。
「ううん、弱気じゃダメ! そうだな……サウンドに迫力がないなって思ってボツにしたやつあったよね。ちょっと聞いてみよう……って何、これ?」
そうやってフォルダを覗くと、見覚えのない音楽がひとつ。
「untitled? 怖いんだけど……まぁ、いいや。開いてみよう!」
その途端。
「眩しっ……!」
目の前が真っ白になった。
比喩じゃなくって、本当に。なんか目の前には三角のオブジェ飛んでるし! 何これ何これ!?
思わず眩しくって目を閉じる。
次に私が目を開けた時、とんでもない光景が広がっていた。
「ここ……どこ!?」
周りは一面、見たことのない景色だった。
「パソコンがいっぱいある……ペンタブも、原稿も、イヤホンも……。」
そこにはランダムに机に乗ったパソコンがたくさんあった。それだけじゃない、それに関連する道具もいっぱいあった。この場所だけでゲームが作れちゃいそう。
それに、すごくカラフル。パソコンも、全部。近未来って言うんだろうか、白や黒を基調にビビッドカラーのアクセントが入っている。
「パソコン……ちょっとだけ触ってもいいかなぁ?」
朱莉は宙に向かって問いかける。
本当は、自問自答のはずだったのに。
「いいよ。気になる?」
背後から、突然声をかけられた。
「うわ! びっくりするじゃん……。って、初音ミク!?」
電子の歌姫、世界で一番人気なボーカロイド、初音ミクがそこには立っていた。
ちょっとだけ髪の色も違うし、衣装もいつものじゃないけど、確かに初音ミクだと私は感じた。
「せいかーい。朱莉、いらっしゃい」
「ほ、本物!? ホログラム!? VRとか!? てゆーか、なんで名前知ってんの!?」
目に手を当ててみるけど、機械っぽい感触はない。
続いてミクの肩に手を乗せる。触れる。
「まさか……本物なの? ってか、ここどこなのよ〜?」
「うん、本物。そしてここはセカイ」
まさか、本物とは。
ドッキリかなにかかとも思ったが、違うみたい。
そして、聞き覚えのないセカイという言葉。
「セカイって……何? ごめん、私知らないや」
「セカイはね、朱莉。本当の想いを見つけるために場所。本当の想いを見つけたとき、その想いは歌になるの!」
「だからミクは私の名前を。そっか。うーん、本当の、想い……。想いが、歌に……? 私の想いは、ゲームで人の背中を押すこと! これはもう揺らがない!」
すると、ミクはにっこりと笑う。
そして、私の言葉を否定もしなければ肯定もしなかった。
「そうだね。その朱莉の想いは本物だよ」
「じゃあ」「でも」 ミクは私の言葉を遮った。
「でも、未完成な想い。本物だけど、本当の想いじゃないんだ」
うーん……なんというか、腑に落ちない。
本物と本当って何が違うの?
「う〜、まぁ、いいや。で、ここからは出ることはできるの?」
「もちろん。さっき朱莉が再生したuntitledって曲を止めれば戻れるよ。朱莉も学校があるでしょ?」
たしかに、もっともだ。
「じゃあ、帰るね? ばいばい、ミク」と言って、私はuntitledを止めた。案外セカイって居心地は悪くないのかも。
「うん! じゃあ。朱莉で、みんなを救ってあげてね!」と言う声が聞こえた気がした。でも、眩しさに気を取られてもう忘れてしまっていた。
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朱莉、パソコン生み出せるんだな。
楽曲解説
・リモコン→これはもう設定を考えた時から入れたかったやつです。曲調重視ですね。あとサムネがファミコンなのもよし。ゲームって感じでマジで好きです!歌詞も一個一個がゲームっぽくて好き。
・ねぇねぇねぇ。→これも曲調ですね。お互いのお互いを救いたい気持ちが一方通行って意味でも選びました。何言ってるんだろ。SNS用語いっぱい使ってるのがSNSとか機械で青春を謳歌している二人っぽいです。
・グッバイ宣言→これは悩んだ。でも引きこもりが4人が引きこもってゲーム作ってる様子を思い浮かべさせてくれました。なので入れます。妄想の中でですが眼福眼福。