「昨日のあれって夢だよね?」
昨日ミクと会う妙にリアルな夢を見た。全部覚えてるから、夢じゃないんだろうけどバーチャルシンガーと会うなんて現実的にありえないから夢として私は扱うことにした。でも、
「でもuntitled、音楽ファイルにまだあるんだよね」
そう、サウンドのファイルにuntitledがまだ存在してるのだ。それになんとスマホの音楽アプリにも入っていた。もうどうなってるのか私にはさっぱりわからない。
でも、うじうじ悩んだって普通に朝は来たし学校に行く時間になって、電車も来た。だから学校までの電車に乗ってuntitledについての考察を今ここで繰り広げているのだ。考えすぎなところは私の悪いところだ。
昨日に囚われすぎている私を振り飛ばすように顔を左右に振る。うん、ちょっとスッキリした。
……ん? 今なんかすごいものが見えた。気がする。
ふと左を見る。ただのサラリーマン。ごく普通の人。なんかの小説読んでる。
じゃあこっちかと右を見る。同じ神山高校の生徒。濃い緑色の髪の毛に薄い若草色の目。
この神山高校の生徒、普通に見えた。でも違った。
タブレットをリュックにうまい具合に立てて、自分はタブレットに接続したペンタブで絵を描いていたのだ。
まぁ、それだけならびっくりはしない。その中身だ。
パッキリとした色使いの中にもどこかある儚さというかなんというか……絵をゲームのために描いているからこそ分かる。この人は私の絵よりも、うまい。
私だって普通に絵は描ける。審査員の人やゲーム業界の方にも「絵が上手いね」と褒められたこともある。お世辞だったかもしれないけど。でもそれは何百時間も絵に費やしてきた結果だ。
でもこのレベルには辿り着けない。じゃあ、この人はどういうことだ?
おそらく私の十倍、二十倍と絵に時間を費やしてきたんだろう。それだけじゃない。大人さえを凌駕する才能があるのだろう。どっちにしろ、仲間になってほしい人材だ。
即戦力で、どこまでも続く根気が有る。ぜひグラフィックやエフェクトを私のプログラムに付けて欲しい。絶対にあの日みたいなゲームができる!
全然勇気は出ないけど、少年に声をかけてみることにした。
「あの、」
「君、何? 視線がうるさいんだけど」
え!? 視線がうるさいって何? どういうこと!? いや、別にいいだろう。心の声が聞こえているわけでもあるまいし。でも恥ずかしい……!
「あの、絵、上手いですね。神山高校ですよね、何年ですか?」
「一年。何か用なの?」
何、コイツ。視線冷たいんだけど! その美少年のような見た目と爽やかな声とは裏腹にすっごい性格悪そう! まぁ、でもそうか。初対面の人に話しかけられたら。私でもそんな反応する気がする。
「お願いが、あるんです。聞いてもらえますか?」
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勇者となり魔王と戦ってきたので更新が遅れました。で、でも世界を救ってきたので……(逸し目)