真剣で居合ってカッコいい!    作:優柔不断

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途中から返信できていませんが、全て読ませていただいております。
励みになっていますので、これからも書いてもらえると嬉しいです。

久々に書いたので、文章が前とは違っていたり、違和感があるかもしれませんが、許してもらえると助かります。






七話 川神学園での初日

 

 

 

 川神学園には、各学年ごとに7つのクラスが存在する。A、B、C、D、E、F、そしてS。

 このクラス分けは、AからEまでは特に関連性はなくランダムに振り分けられる。だが、残りの二つは少々異なる。

 Fクラスに関しては、学校側は明言こそしていないが少々問題のある生徒が組み分けされることが多々あり、2ーFに関しては問題児の溜まり場とまで揶揄されるほどに癖の多い生徒が多く在籍している。

 次にSクラスだが、これはいわゆる特進クラスと言われるもので、学年ごとの成績上位者50名までが在籍を許されるエリートなクラスだ。

 それ故かSクラスの生徒達はプライドが高く、他者を見下す傾向がある。その対象は大体が問題児集団のFクラスだったりするわけで、この二つのクラスは事あるごとに対立している。全員がそうと言うわけでは無いが、特に今年のニ年生は過去に類を見ないほどに険悪な仲なのだ。

 

 そしてそんな川神学園に短期留学する事になった刃はと言うと、なんとエリートな特進クラス、Sクラスに籍を置くことになっていた。

 彼をただの武術オタクのように思っている天神館の生徒は数多くいるが、実の所刃の成績は学年トップ10に毎回入っているほどに頭が良い。

 その事を不思議に思った同級生は、刃に勉強のコツなどを聞いた際に、彼はこう答えた。

 

 覚えようと思って授業を聞いて、二、三回復習すれば大抵の事は覚えられるだろ?と。

 

 それを聞いた同級生の顔は、心底ガッカリしていたそうな。

 

 だが、別に勉強ができると言うだけで刃がSクラスに入る理由にはならない。成績上位50名でなければ除籍されると言うだけで、別にその50名全員がSクラスと言うわけでは無いのだから。

 では何故刃がわざわざ闘争心溢れる面倒なSクラスなぞに入ったかと言うと、それは彼がこの川神学園に編入してきた目的である、過去の偉人のクローンが在籍しているからに他ならなかった。

 

 その三年Sクラスの教室に、刃はいた。教室の1番後ろに用意された留学者用の席に座り、心底面倒そうに目の前の相手と話をしている。

 その相手は三年Fクラスの問題児、川神百代だった。

 

「なぁ、本当にダメか?」

 

「本当にダメだよ川神さん。ボクに戦う気はない」

 

 百代は前の席の椅子に勝手に座り、後ろの席の刃に再戦の申し込みをしていたが、その返事は全く色良い物では無い。

 

「いやでもさぁお前、痛いのが嫌だからって理由……恥ずかしくない?」

 

「うーん……いや全然」

 

「あっそう……」

 

 この話も、初日にして既に四度目。朝の全校集会の時に加え、授業の合間にある休み時間の度にこうしてSクラスに百代は顔を出していた。

 3時間目の休み時間である今も、何とかして刃を戦わせようと四苦八苦している。

 だがそれも既にネタが尽きかけており、刃の戦わない理由、痛いのが嫌などと言う子供じみた言い訳を引っ張り出してみたものの、やはりと言うべきか、刃にそれを恥ずかしがる様子は見られない。

 

 痛いから戦わないと言う理由は、別に昨日今日言い出したことでは無い。幼少の頃から鍋島に対して、事あるごとに言ってきたのだから、今更それを恥ずかしいとか、カッコ悪いなどとは思わないのだ。

 

「誰だって怪我するのは嫌でしょ。ボクが言ってることって、そんなに変かな?」

 

「いや……そう言う訳じゃあ……」

 

 何処となくズレた刃の返答に、困り顔で首を傾げる百代は、まるでテストの難問を説いている最中かのようである。

 

 百代は困っていた。一体どうすればこのモブ顔ともう一度戦うことができるのか、授業中もそればかり考えていた。しかし、いかな切り口でもってもこの男に、はい、と言わせる未来が見えてこない。

 刃はあまりにも頑なに、戦いという行為に対して否定的だった。

 

 ならば、こうなっては仕方ないと、百代は最後の切り札を使うことにする。

 

「よし!じゃあこうしよう。お前には特別に、この川神が誇る美少女を呼び捨てにする権利をやろう。だから、その代わり──」

 

「結構です」

 

「食い気味で断るなよ」

 

 無念。百代の切り札は、毛ほども刃の興味を引けずに儚く散っていった。

 百代は、自分の容姿に多大な自信を持っていた故の提案にして切り札だったのだが、ここまであっさりと無下にされるとは想定外である。

 

 刃の見た目は、はっきり言ってイケてない。三枚目がいいところだろう。

 だからこそ、自分のような美少女の誘いには簡単に乗ってくると思っての提案だったのだが、サービスが足りなかったのだろうか?と百代は思案する。

 

 「(まさかとは思うがコイツ……キャップと同じタイプの人間か?)」

 

 百代の属する風間ファミリーのキャプテン。キャップこと風間翔一と呼ばれる男は非常に好奇心旺盛で、まるで小学生のようにはしゃぎ回るイケメンである。その容姿から、異性に告白された経験は数知れず、だが一度も交際経験のない男だ。

 異性と付き合わない理由はただ一つ。彼の精神性が子供すぎて、異性に対して全く興味を持っていないからである。

 世の男ならチラ見すること間違いなしな、自分の胸や太ももに一度も目線がいくことは無い。性に対して希薄な男、それが風間翔一だ。

 

 そんな風間と同じタイプの人種が、目の前の男なのではないか?と考え。そういえばコイツも同様に、一度も私の胸などに目がいっていないなと思いつく。

 百代は目を細めて、刃を怪しんだ。

 

「──」

 

「……ぅ」

 

 そのあまりにも不躾で無遠慮な視線に、刃は気まずそうに息を詰まらせる。

 いい加減諦めて何処かに行ってほしいと、その顔にありありと出ていた。

 

 そんな刃に助け舟を出すように、二人の男女が現れる。

 

「そこまでにしておけ川神。本人が嫌がっていることを、無理強いすることはできないだろう」

 

「そうだよ、モモちゃん」

 

 一人は、東西交流戦にて既に刃とは顔見知りの京極彦一。あいも変わらず制服ではなく着物を着込んだ大人びた男子生徒。

 

 もう一人は、綺麗な黒髪に百人中百人が美少女と呼ぶであろう美しい顔立ちをした、『葉桜(はざくら)清楚(せいそ)』と言う女子生徒だった。

 

「なんだよぉ?京極に清楚ちゃんは、コイツの味方すんのかよ……」

 

 長い付き合いである京極や美少女の清楚が刃の肩を持つような言動に、百代は不貞腐れたように呟く。

 しかし、これだけやっても駄目なら、もはや話し合いどうこうで刃にやる気を出させるのは不可能なのではなかろうかと思い始めていところだ。ならばここは一旦撤退して、次の方法を考えた方が建設的かも知れない。

 それに何より、もうすぐ予鈴がなる。百代は、自分のクラスに帰らなくてはいけなかった。

 

「ちぇー……またくるからな……」

 

「もう来なくていいです」 

 

 名残惜しそうに、そう言い残して教室から出て行く百代に向かって、刃は容赦なく拒絶する。

 

「お前に言ったんじゃありませーん!可愛い清楚ちゃんに言ったんですぅー!」

 

 なんとも幼稚な捨て台詞を残して、百代はFクラスに帰っていった。

 その後に残ったのは、苦笑いをする京極と清楚。そして、忌々しそうに出ていった扉を見つめる刃だった。

 

「うぜぇ……」

 

「そう言ってやるな。川神はただ君にかまってほしいだけなんだ。どうだ?一度遊んでやれば、アイツの気も済むかもしれんぞ?」

 

「遊ぶって……川神さんとそんなことしたら、ボクの体がもたないよ」

 

「ふふっ。モモちゃん、パワフルだもんね」

 

 京極とは事前に顔見知りとはいえ、殆ど初対面の2人と刃は親しげに会話を弾ませる。

 

 京極は、刃に対して悪感情のようなものは一切抱いていない。東西交流戦こそ負けてしまったものの、勝負は時の運。いつまでも常勝無敗でいられるとは思っていなかったからだ。ならば、勝者である刃を讃えはすれど、嫌悪する事など無い。むしろ、かの武神に勝った存在なのだ。興味は尽きなかった。

 

 刃からしても、まさか自分が負かしてしまった川神学園の生徒と、こんな自然に会話が出来るとは思っていなかった。元から気にするつもりは無かったのだが、それでもこうして話し相手が学校にいると言うのは、長い時間学内に拘束される学生の身分からすればありがたい。携帯機をいじる以外に暇を潰せるのだから。

 

 そして最後に清楚については、たとえ嫌われていたとしても、最初は刃から話しかけるつもりだった人物。

 つまり、刃の目的である武士道プラン。その落とし子である英雄のクローンの一人だった。

 

 武士道プランによって作られた英雄は4人。源義経、武蔵坊弁慶、那須与一。いづれも日本では有名な武将である。

 では、葉桜清楚は一体誰のクローンなのか?それは九鬼財閥によって、謎のままであった。本人ですら、自分が誰のクローンかも分からず、時が来るまで勉学に励むように言い伝えられている。

 

 これには武士道プランを楽しみにしていた刃からしても、肩透かしを食らったような気分で、すこしガッカリもした。だが、それも最初のうちだけであった。

 

「まぁ、なんにせよさっきはありがとう。京極君、葉桜さん」

 

「なに、休み時間がそろそろ終わりそうだったのでな。わざわざ礼を言われるほどではない」

 

「お礼なんて別にいいよ、宮本君」

 

 そう言って、各々の席に戻っていく2人。

 目の前から歩いて行く清楚の背を見つめながら、刃は口元を緩める。

 

「(一体何の英雄なのか、考察するってのも結構楽しいかもな)」

 

 とりあえず最初は安直に名前から考察でもしてみるかな、とまた違った楽しみ方を見出していた。

 本当は、ただ義経らの戦いを見学するだけの学校生活を送るつもりだったのだが、思わぬ目的が出てしまう。刃は、何とかこの留学期間である一週間で、清楚のクローン元を探り当てようと考えていた。

 

 そうこうしているうちに予鈴がなり、全ての生徒が席について授業の開始を待つ。

 

 だが、そんな教室の空気を支配していたのは、溢れんばかりの負の感情だった。

 席に着いた生徒たちが、ヒソヒソと後ろの席の刃を盗み見ながら話しだす。

 

「あんなのに俺らは負けたのか?」

 

「なんて言うか、ちょっと納得できないよね」

 

「イケメンの京極ならともかく、何であんな奴と清楚ちゃんが親しげに……!」

 

 聞こえてくるのは、どれこれも刃に対する悪口ばかり。そう、東西交流戦で刃と戦った三年生はもちろん。川神学園の生徒の殆どの刃に対する心象は最悪であった。

 それは、自分達が負けてしまった最大の原因である事もそうだが、今朝の決闘騒ぎがそれに拍車をかける結果になってしまったのだ。

 

 百代から申し込まれた決闘を断った刃は、当然その場で理由も聞かれている。そこで刃は、何の恥ずかしげもなく戦わない理由を言った。

 

 ──だって、痛いの嫌だし──

 

 何とも情けない。こんな奴に負けてしまったのかと、川神学園の誇り高い武人の卵達は憤慨したのである。

 中には、何か汚い手を使ったのではないかと勘繰る者まで現れる始末。

 これを辞めさせたければ、もう一度彼等の前で腕前を披露すれば良いだけなのだが……まぁ、そのような事を刃がわざわざする訳もなく、こうして針の筵状態になっている訳なのだ。

 

 京極は仕方ない奴らだ、と眉を顰め、清楚は心配そうに刃の方を見やる。

 

 2人とも、この様な真似をやめるように言うことはできるし、やろうともしたが、それは刃本人から止められていた。

 気にしていないから平気だと言われ、事実その通りの様子のために彼等は黙っている。

 

 教室中の悪意を一身に向けられる刃は、興味なさげに窓の外を眺めるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 放課後。夕焼けで茜色に校舎が照らされ、授業を終えた生徒達が帰宅の準備を進める時間。

 廊下の窓から、まばらに校舎から出て行く生徒達を刃は眺めていた。

 

「今日の決闘は無しか」

 

 しみじみとそう呟いた刃は、それも仕方ないか、と納得する。

 

 本来なら、この時間から楽しみにしていた英雄のクローン達の戦いが見られる予定であった。しかし、予想以上に義経達に対して決闘の申し込みが多すぎたのである。

 そのあまりの人数に、まともに相手をしていては全員と戦い終わるのに何ヶ月も先の事になりそうなほどで、それ程までに世の中が彼女らを注目しているという証拠であった。

 ともかくそう言うわけで、今現在は九鬼主導のもと対戦相手の選抜を行なっている最中であり、早くても決闘は2日後になる予定である。

 

 楽しみにしていたゲームの発売延期をくらった時のような虚無感に包まれる刃の背中には、哀愁が漂っていた。

 

「……帰ろう」

 

 いつまでもこうして黄昏ていても仕方ない。諦めて、その日を待つことにする。

 なに、期間は一週間もあるのだ。たかが2日程度待つだけなら辛抱もできよう、と心の中で自信を納得させる。

 

 階段を降り、校舎を出て、校門を抜ける。同様に帰宅途中の生徒達から距離を取られながら帰路に着く。

 刃は特別目立つ容姿はしていないが、川神学園とは違う制服と学生鞄を持っていることから、その姿は発見しやすい。

 そのせいもあってか、随分と浮いた存在になってしまっている。

 

 刃も自分が随分と嫌われてしまっていることなど、既に気づいているのだが、所詮は一週間程度の付き合いである。彼等にどれほど嫌われたところで、己の目的を邪魔されるわけでもなし、全て投げ捨てて天神館に帰れるのだから気にする必要などないのだ。

 

 だからこそ意外であった。そんな自分に、クラスメイトの京極と清楚以外に、わざわざ話しかけてくるような生徒がいることに。

 

「あの、すみません!宮本先輩……ですか?」

 

 校舎から離れ、周りに他の生徒がいなくなった頃。後から、活発そうな女の子特有の高い声で呼び止められる。

 

「……キミ達は?」

 

 振り返るとそこにいたのは、長い赤髪をポニーテールにした女の子と、顔立ちの整ったカッコよさげな男の子だった。

 

「あのアタシ、2ーFの川神一子です。よろしくお願いします!」

 

「はじめまして、同じく2ーFの直江大和です」

 

 川神一子と直江大和。そう名乗った二人に……正確には、川神一子の方にまさかと思いつつも、聞き返す

 

「川神って、もしかして?」

 

「あ、アタシ、百代お姉さまの妹です!」

 

 むふぅー、と自慢げに胸を張る一子に対して、刃の表情はげっそりしていた。

 百代は武神という事もあり、知り合う前ならば一度は目にしてみたいと思う存在であった。が、昨日と今日の出来事で、もうあまり関わり合いになりたく無い厄介な存在として、刃の記憶に刻まれてしまっている。

 

 彼のその様子を見て何かを察した大和は、刃に同情するような視線を送った。

 

「そうなんだ。似てないね」

 

「あ、はい。まぁ、血は繋がってないので……」

 

 マジかよ、と言わんばかりに顔を引き攣らせる刃。

 姉に迷惑をかけられた、ちょっとした腹いせのつもりで言った言葉だったのだが、随分とデリケートな部分に触れてしまったことに焦る。

 誤魔化すように、話を進ませた。

 

「へ、へぇ……。で、何の用かな?言っとくけど、決闘とかなら受けないよ」

 

 今日だけで何回言われたのか分からない決闘の申し込みは、言われる前に断っておく。そうすれば案の定、一子は落ち込んだように顔を伏せる。

 

「あうぅ。やっぱり無理だったわ……。でもそれはダメで元々だったし、仕方ないわね」

 

「と言うと、他に何か?」

 

「はい。実は宮本先輩に聞きたいことがあって」

 

 落ち込むの束の間。瞬時に切り替えた一子は、大本命である方の質問を投げかける。

 

「宮本先輩は、いったいどんな修行をしてるんですか!?」

 

 それは、刃の修行法についてだった。

 

 なるほど、それは確かに一子からすればとても気になる重要なポイントなのだろう。

 一子にとって姉の百代は憧れであり、目標であり、最強の存在だったのだ。彼女のようになりたいと日々努力し、研鑽を重ねる。次期川神院総代である百代を支えるため、川神院の師範代を目指す一子からすれば、その百代を打ち負かした刃の修行法は、何としてでも聞き出しておきたい情報なのだろう。

 

 たが、残念なことに刃が持っている答えは、一子の望むようなものではなかった。

 

「ボク、修行なんてしたことないよ」

 

「ええぇぇぇ!?」

 

 頬を掻きながらキョトンとした顔でそう答えた刃に、一子は驚きの声をあげる。

 その意外すぎる返答は、今朝の決闘拒否事件以上の衝撃であり、隣で黙って話を聞いていた大和ですら、驚愕を露わにしている。

 

「でも、お姉さまに勝った人が、一度も鍛えたことが無いなんて……」

 

「本当に何もしてないんですか?もしかして、誰にも言えない秘伝の修行法だったりとかで、言えないとか」

 

 まさかそんなはずはない、と質問する二人に対して刃は、今までの記憶を思い出すように目を閉じ、答える。

 

「んー。そう言われてもなぁ。小学生の頃に3日だけ道場に通ったことはあるけど、それ以外にプライベートで体を鍛えた記憶は無いなぁ……」

 

「そうなんですか……」

 

 修行とかそんなのは仰々しものじゃなくて、趣味で居合ならしてるんだけどなぁ、と彼女等が望む答えを心の中で思い浮かべる。

 その趣味でやっている居合が、他人からすればどれだけ常軌を逸した修行法なのか、刃は気がついてはいなかった。彼にとって修行とは、痛く苦しいものであり、楽しくて好きでやっている居合いは修行にはカウントされなかったのだ。

 

 完全に気落ちしてしまった一子に、刃は申し訳なさそうに話しかける。

 

「えっと、要件ってのはそれだけかい?ならボクはもう行くね」

 

「あ、ちょっと待ってください!」

 

 これ以上長話をしても時間の無駄だと判断した刃は、話を切り上げて帰ろうとする。そこで、今度は大和の方が刃に対して要件をいや、提案をした。

 

「宮本さん川神に来たばかりで、ここら辺のことよく知らないですよね?」

 

「まぁ、そうだね」

 

「じゃあ良ければ、メアド交換しませんか?観光案内とかしますよ」

 

 大和は軍師を自称している。腕っ節に自信のない大和は、常日頃から大勢の人間からメールでやりとりを行い、情報を収集していた。そうすることで、事前に相手の癖や特徴、情報を読み取り策を考えるのだ。

 

 今回行われた東西交流戦の結果は単ひとえに、西に対しての情報が足りなかったせいであると、大和は思っている。

 だからこそこうして、少々強引であるものの西の人間であり、要注意人物である刃との連絡先を交換しておきたかったのだ。

 

「いや、初対面でメアドはちょっと……」

 

「……そうですよね。いきなりすみません。ははっ」

 

 まぁ、断られたらどうしようもないのだが。

 

 気まずい沈黙が二人を包んだ。

 

「えっと……それじゃあね」

 

 こうして、刃の川神学園での初日は終わった。

 

 

 

 

 

 






六話を投稿してから随分と時間が経ってしまいましたが、今日から続きを書いていこうかなぁっと思います。
話の構想も、大体は出来上がっているので。書くのには時間がかかりますが……。

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