転生したら果実だった件。 ☆そうだ! ボクが魔王様だ!☆   作:ワソピース♪

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しゃべった――!??

 

 

時化も超えて、久しぶりの桜前線北上中。

陽気な声が船内に響き渡り、酒が進む進む。

 

 

だけど、ハルトは浮かない顔をしていた。

 

 

「―――はぁ、やっぱ ボク ミルクかぁ……。ねぇねぇ? パパ。パパの息子なら、時には思い切った大冒険って必要じゃない? 今こそ必要じゃない? ほらほら、だから、一杯一杯! かんぱーーーい!」

 

ミルクを飲み干し、お代わりを白ひげに要求。

勿論、ミルクじゃなく―――酒だ。上質なモノがこの船には揃っているから。

 

 

「グラララララ! ………バカタレ。幾ら何でも早過ぎるだろうが」

「でも、オシメはとれてるし。下の世話だって自分で勝手にやってるよ(トキさんから逃げながら)」

「お前の大人基準一体なんなんだよい……」

 

 

大きな大きな白い髭を揺らせながら笑い――――、そして軽く小突き、お代わりのミルクを注いでくれる。何だかんだ言いつつ、他の船員(息子)に比べたら、格段に優しいのは気のせいじゃないだろう。

それなりの成果・悪名が轟いているのにも関わらず、

赤子には相応の衝撃な気もするが、白い膜がきっちり守ってくれてるから問題ない。

 

 

マルコはマルコで、メシ関係を警戒しつつも、何だかんだで傍にいるから、結構仲良しだ。

ケンカする程仲が良い、と言う事を体現しているのかもしれない。

 

 

「マルコはチョロコ?」

「誰がだよい!!」

 

 

隙あらば追いかけっこが始まるのも白ひげ海賊団恒例行事の1つだ。

あっという間に空の彼方。

 

マルコもそれを追いかけて、不死鳥の翼を羽ばたかせる。

 

 

「――――やれやれ」

 

 

呆れながらも、何処か楽しそうに酒を呑む白ひげ。

 

 

「わっはっはっは!! そういや、アイツとの出会いも、こんな桜が舞う空だったよなぁ、白吉っちゃん! ―――桜前線。やっぱ摩訶不思議で候。んでも、アイツとの出会いはもっと不思議! 世界は広ぇぇ!!」

「………ああ、そうだな。この海(・・・)は常に想像を遥か超えていくもんだ。お前の想像を遥かに超える大冒険だ、と言ったは良いが―――ふん。このオレも改めて実感した瞬間だったよ」

 

 

同じく白ひげの隣で大酒をかっ食らうおでん。

時折、息子であるモモの助を上へと掲げる所作を見せているのは、あのハルトの姿を見せているのだろう。

 

我が息子も続け、と。

 

だが、無理なモノは無理なので、何時もトキに止められるが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おでんは、思い返す。

白ひげも同様に思い返す。

 

 

 

桜の舞うこの海路を進みながら―――あの日の異常性を。この海の異常性を遥かに超えたと思える異常性を、酒の肴にしつつ、思い返す。

 

 

―――あの日の事を。

 

 

常夏の島を出港し、幾つも火傷を残し―――瞬時に回復をみせた

 

 

「全てが想像を超えていく!! これだ!! これがオレがしたかった! これこそがオレが求めてた大冒険だ!! 白吉っちゃん!!」

「グラララ! まだまだおめーもちいせえなぁ、おでん」

「なぬっ!?」

 

 

大笑いされて、ムキになって突っかかるおでん。

当然だろう、毎日が大冒険の日々。

見た事の無い世界、感じた事の無い暑さや寒さ、動植物、人類、そして強さ。

 

小さい世界だと認識してはいたが、小せぇ、と呼ばれるのは正直嫌だったから。

窮屈なのは、嫌いだから。

 

 

「お前がウチに来て、2年程度か。―――おでん。この海は。……世界は、まだまだ片鱗さえ見えてねぇぞ。見ちゃいねぇんだよ。まだまだその程度で大冒険(・・・)と呼ぶにゃ早い」

「!! だよなだよな!! オレもそう思ってたトコだぜ、白吉っちゃん!! おおおおおおおおおお!!」

 

 

 

 

この海はまだまだ本気(・・)を出しちゃいない。

おでんは、ワクワクしながら 白ひげの海賊船モビーディック号の船首へと駆け上がった。

両手を突き出し、まだまだ先が見えぬ冒険に心躍らされながら吼えていたその時だ。

 

 

 

「グラララ! ―――――ッ!?」

 

 

 

まず最初に気付いたのは白ひげだった。

 

気付いた理由、それはただ何となく―――と言うしかないだろう。

広範囲まで索敵する事が出来る覇気と呼ばれる力があるが、それを考慮してもただなんとなく、だ。

 

そこまで集中していたワケでもないからだ。この力には集中力を擁する。

 

 

しかし、ほんの数秒後―――確信へと変わった。

 

 

如何に大海賊、世界最強クラスの海賊団の船長である白ひげだとしても、全方位、それも超長距離まで、気配を探らせるなんて真似を常に行うなんて早々出来るモノではない……が、己や家族(クルー)に迫る危険に関しては、超人染みた感覚で気付く事が出来る。

故に、船員たちからは、一部の例外を除き《オヤジ》と呼ばれて絶大な信頼を寄せられているのである。

 

 

 

「おでん、降りてこい!」

「!! ああ」

 

 

 

そして、白ひげに次ぐとも言われる力を有するのが、このおでんと呼ばれるワノ国の侍。

窮屈を嫌い、大冒険がしたくてしたくて、何度何度も海へと飛び出したが、全て失敗。自分の腕では海へと出る事が不可能だった故に、たまたまワノ国へと入国した白ひげ海賊団に目を付けて、半ば強引に乗り込んだのである。

 

 

白ひげとおでんが、並び立ち……そして場が一瞬で緊迫の色へと染まる。

無意識に覇気を剥き出しにしているからこその光景だろう。

 

 

 

「おい、お前ら! 外輪(パドル)を動かせ!」

 

 

 

普段は海風 気まかせ、波まかせ。

潮の向こうを目指して騒ぐ船旅だが、船に装備されている外輪(パドル)を出し、運航する事が出来る。

 

何事か!? と思っていた船員たち。陽気に桜前線を楽しみ、酒を片手に騒いでいた状況ではあったが、すぐさま働いた。

白ひげやおでんのその表情を見たら、酔いも吹っ飛ぶと言うモノだ。

 

 

「ふぎゃあ! ふぎゃあ! ふぎゃあ!!」

「よしよし、大丈夫。大丈夫だから……」

 

 

おでんの息子。

《たまご》でも《こんぶ》でも《ちくわ》でも《つくね》でもなく、ワノ国では天下無敵を表す言葉《モモの助》を抱いていた、おでんの妻 トキは胸騒ぎを覚えていた。

 

丁度、白ひげやおでんが、臨戦態勢かの様な雰囲気、覇気を撒き散らす勢いで周囲を警戒したのと殆ど同時に、モモの助が泣きだしたからだ。

 

それも、いつもの泣きとは全く違う。

最初は、おでんや白ひげの圧に、思わず泣いてしまったのかと思ったが、どうやら違う。

 

殆ど同時だったから。

 

 

 

「何かが、来るぞ。――――空から」

「んな馬鹿な白吉っちゃん! 空から人ぉ?」

「気配。―――完全に上からだろう」

「そりゃ、オレも感じるが……」

 

 

 

おでんは、気配の根源を辿って、更に白ひげの言葉を聞いて首を捻った。

世界は広い―――とは十全に知ったつもりではあったが、空の上に人が住んでるなんて、お釈迦様でも、思わない。

 

確かに、桜前線の中に存在する桃色の分厚い雲は存在する……が、アレに乗れるとは思っていない。

 

 

「……能力者か!?」

「さぁ、わからねぇ」

 

 

だが、例外として、翼を持ち宙に浮く、或いはそれに準じる能力を持つ者なら話は別だろう。

 

白ひげの船に気付いた。

そして、空から奇襲をかける。……頭上と言う死角を取りに来る。理には適っている。

 

 

だが、完全に臨戦態勢に入ってる白ひげやおでん、マルコやジョズ、外輪(パドル)を動かす為に走り回って、船を安定させたクルーたち、全船員が一ヶ所に集まってきた。

 

 

恐れるモノは何もない。

海賊白ひげは、鬼より怖い。

 

大海賊、白ひげ海賊団に死角はなし。

 

 

 

そう思っていたのだが―――、想像を絶するとはこの事だろうか。

 

 

「来るぞ!」

 

 

白ひげがそう叫ぶと同時に―――空に広がる桃色の雲が、散った(・・・)

 

己の能力をその拳に纏い、完全に臨戦態勢。

全船員も同じだ。

 

 

雲を蹴散らし、海を揺らせ、いつの間にか桜前線を吹き飛ばして雷雲さえ呼び込む。

陽気で豊かだった桜前線は、あっと言うまに終焉を迎えて、荒れた海へと変貌を遂げた。

 

それ自体はさして珍しい事ではないが、その海を呼び込んだ、アレ(・・)が異常なのだ。

 

 

目視で解るのは―――白い球体状のモノ。

 

 

海に存在する災害級の海流、突き上げる海流(ノックアップストリーム)。文字通り空に突き上げる海流を一瞬想像した。

突き上げられた何かが、落下しているのか? と想像したが、それは違うと直ぐに判断。

 

何故なら、異常なまでに―――落下速度が遅いのだ。

 

だが、間違いなくゆっくりと、ゆっくりと、この船目掛けて降りてきている。

 

 

「なん、だありゃぁ……!?」

「油断するな。……下がってろ、お前達」

 

 

最大級に警戒する白ひげは、最前線へと立つ。

相手が一体何なのか、敵意があるのかさえ分からないが、異常で異形な圧を感じるのは事実だ。

 

 

荒れ狂った空から雷が落ちてくる。

 

 

ゴロピッシャァァァ!! と耳を劈く轟音を響かせ、その球体に堕ちた―――かと思いきや、まるで意思があるかの様に雷は、ソレ(・・)を回避し、海へと落ちた。

 

 

「オヤジ。オレが行ってこようか?」

「待てマルコ。まだ動くんじゃねぇ」

 

 

翼を持つマルコが先陣を切ろうとしたが、それを止める。

 

あの白い球の中身が、白色で覆われていた球体の中身が半透明となり、顕わになったからだ。

そしてそれを目視で確認できる高度にもなった。

 

 

「アレは――――」

 

 

確認して、我が目を疑う。

あの球体の大きさは、最初は巨大だと思っていたが、随分と小さい。大の大人1人……入らない程度だろうか。大砲の弾よりはデカい程度。

 

何より驚くのが……。

 

 

「赤ちゃん……?」

 

 

そう、そこには赤子が居た。

トキが真っ先に声を上げたのは、その腕に泣く我が子の存在があったからこそだろう。

 

臨戦態勢こそ解除していないが、白ひげも同じく困惑の色を見せた―――が、アレがただの赤子であるワケが無い事はこの状況を見れば一目瞭然だ。

 

 

ふよふよ~~、と降りてきた球体は、軈てマストの先端に接触すると、まるでシャボン玉のように、ぱんっ! と音を立てて割れる。

 

そのままするすると帆を滑りながら降りてきて……、目を見張る船員たちの前にぽてっ! っと倒れた。

 

死んでる……?

 

と一瞬思ったが、ピクリ、と動き出す。

 

 

より一層手に力が籠る。

漆黒の力を、夫々の武器に纏わせる者が大半であり、全神経を集中して見定めていたその時だ。

 

 

 

 

「おなか………、すいた…………」

 

 

 

 

素っ頓狂な声が聞こえてきた。

一体誰がこんな時に? と思った者も多数いるだろう。

 

 

だが、間違いなくその声の発生源は――――。

 

 

 

「たすけて――――――ください………」

 

 

 

目の前の赤子。

確かに驚くべきポイントは多数ある。

 

空から降りてきた事もそうだし、あの纏っていた球? は一体何なのか。雷を躱した……んじゃなく、雷から避けた事もそう。

何もかも、驚きポイントだったが、この時ばかりは全員考え一致。

 

 

 

 

 

「「「しゃ、しゃべったーーーーーー!???」」」

 

 

 

 

 

 

赤子が喋った事に一同驚愕したのである。

 

 

 

 

 

 

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