転生したら果実だった件。 ☆そうだ! ボクが魔王様だ!☆   作:ワソピース♪

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オハラ

 

 

「ロジャーが死ぬ?」

「おう! もう長くねぇな。うぃ~~」

 

 

グランドライン、何処かの桜島にて。

知らされるは驚愕の事実。

 

 

「全然説得力無いって。だって、パパとあんだけ暴れてて、前人未到の世界一周までやっちゃって、世間じゃ海賊王! って賑わってて。……なのに、そんななのに、一体誰が死ぬの? そもそも、バカは死なないんじゃないの???」

「わはっはっはっは!! 言ってくれるじゃねぇかよ、ハルトォ! ん? バカは死なねぇ? バカは死ななきゃ治らねぇ! の間違いじゃねぇか? つーか、誰がバカだコラぁぁ!!」

「うわっっ、酒臭っっ!!」

 

 

白ひげは先に聞かされていたのだろう。ちょっと無言で、何処か寂しそうな顔をして、酒を飲んでいた。ロジャーだけだ。陽気に酔って絡んで笑顔なのは。

 

 

「……でも、たった1人でここに来てるし、ただの冗談でした、って訳じゃないんだよね? わざわざ、オレ呼んだのも何か理由が?」

 

 

説得力無い、と口では言っていても、ロジャーは意味の無いウソをつく男じゃない事くらいは解っているし、白ひげの様子を見てもそれが真実であると言う説得力があったんだ。

 

 

「おうよハルト。お前さんにちっと聞きたい事があってなぁ!」

「? 聞きたい事??」

「小耳にはさんだ。お前さんがやりてぇ事(・・・・・)に関してだ」

 

 

ぐびっぐびっぐびっ……と一気に酒を飲み干すとロジャーは言った。

 

 

「◆◆◆◆―――、××? ●●●●―――――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『――――ガガ、ピ、ガッッ』

 

「―――ん」

 

 

枕元に沢山置かれている電伝虫達が騒々しくなったその時、ハルトは瞼を開けた。

どうやら、自分は夢を見ていたらしい……懐かしい夢を。

 

ゆっくりと身体を起こして、瞼を擦って………そして直ぐに意識を覚醒させる。

 

 

『脱走――ニコ・オリ————、オハラ―――』

 

 

がしゃんっっ!! と音を立てて立ち上がると、その電伝虫を手に取り耳に近付ける。

所々電波状態が思わしくない様で、聞き取りにくいが確かに聞こえたのだ。

 

 

「やばっ、急がないと――――」

「おいおい、おいおいおいおい、ハルちゃんやハルちゃんや。朝御飯の―――」

 

 

そして、部屋から出ようとしたハルトと部屋に入ろうとしたご老人。2人が出会いがしらに正面衝突するのだった。

 

 

 

ここは小さな空島 ウェザリア。

天候を科学する国、と呼ばれる国。

 

 

 

「突然飛び出してきて、驚いたぞい? 何があった」

「ごめんごめん。ハレお爺ちゃん! 黒電伝虫に反応があったから慌ててて」

「ほうっ! それはひょっとして……?」

「うんっ。ドンピシャ! 欲しい情報ゲットできたよ! でも、急がなきゃいけないから、悠長に話してられないんだけどね」

 

 

ハルトは、ぱんぱんっ、と服から埃を掃うと改めてハレ爺と呼ぶ老人を真っ直ぐに見て言った。

 

 

「本当に良いの……? 万が一でも見つかっちゃったら、空の爺ちゃんたちが……」

「ばーっかもん。そんな気にする事ないわい。もう国の皆納得済みじゃ」

 

 

朝の珈琲を片手に笑い飛ばしてくる。

 

この頼み事、ハルトの頼み事は、子供がお爺ちゃんにオネダリする~みたいなノリで受けてくれたようだが、本気で冗談では済まない。

もしも、最悪、今回のこれが外にバレた暁にはこの国が滅んでしまう可能性だってあるのだ。

 

 

でも、もう殆ど残ってない嘗ての記憶。自分が出来る能力を鑑みて……ここが一番だとハルトは思っているから、ここまで快く引き受けて貰えるのは幸運以外の何物でもなかった。

 

 

そんな複雑な心境を体現している様な顔で見られているのに気付いたハレ爺は軽く息を吐くと続ける。

 

「……それにの? 彼ら(・・・)とは仲良く出来そうだとも思っておる。知識・探求心、それらを追及する者達が悪だとは到底思えないのでな。つまり世界の法が間違えておるんじゃ。―――もしも、ワシらが天候ではなく、そちら(・・・)に興味を持ったとするなら、間違いなく突き進むじゃろう。ならば彼らはまさに同族で同じ穴の狢、手を貸す事に躊躇いは無い」

「……そっか」

「でも、ワシらが出来る事は限られとるぞい? と言うか、出来る事なんてほぼ無い。全部ハルちゃん頼りになっちゃうけど、そこの所大丈夫かの??」

 

 

爺ちゃんしょんぼり……と言わんばかりに肩を落とすが、そこはハルトが力強く頷いた。

 

 

「大丈夫大丈夫! ハレ爺ちゃんたちがOK出してくれた時点で色々と準備は進めていたから。後は、向こう(・・・)に直接いって、ぶっつけ本番で説得するだけなんだ。……ウェザリア(ここ)を見つけたり、準備したりでいっぱいいっぱいだったから、説得が最後の関門なんだけどねぇ……」

「ほほっ。そんなもの、関門でも何でもないわい。―――助けさせてくれ(・・・・・・・)、なんて願い。誰が突っぱねるもんかい? 各々が置かれている立場、そしてハルちゃんの名、色々と考慮する点は多くあるが、満場一致で乗る。賭けても良いんじゃぞ?」

「そっか。うん。心強い! ……とうとう、ここまで来れたからね。失敗は出来ないんだ」

 

 

ここに来るまで何年かかったか。

白ひげの船を降りてからも結構長かった。

漸く、その場面にまで来れたのだ。成功する以外道はない。と言うより、成功し無かったら思いっきり泣く。

 

 

「白ひげ。世界最強と名高いかの大海賊と親子の盃を交わしていると言うんなら、そっちの爺ちゃんを頼るのも良いと思うぞぃ……?」

「妬かないでよハレ爺ちゃん。それに、パパはまだ爺ちゃんって歳じゃないよ? そんな事言ったらどやされちゃうって。……でも、パパたちと一緒に来るって言うのも勿論考えた。だけど、駄目なんだ。パパたちと一緒じゃ目立ちすぎるし、世界と(・・・)全面戦争になっちゃうよ。そんな海になったとしたら、救える者もきっと救えない、って思うから」

 

 

白ひげの船を降りるのは大変だった。

物凄く大変だったが、最後は何とか理解してくれて、許可も出してくれた。

白ひげに続いてマルコを説得するのも大変だった。

 

でも、どうしてもやりたい。

生まれる前からやりたかった事だから、と最後は折れてくれた。

自由にやるのが海賊だから。

 

白ひげの艦隊全部が相手をする!! とも言ってくれたが、先ほどハルトが言ってた通り目立ち過ぎるからアウト。

 

助ける為には、守る為には、この方法が一番良い。

 

 

「そうじゃな。……ただ、オハラにはもう近い位置につけとるとは言え、まだ時間は掛かるぞい。随分と物騒な内容のモノを傍受した様じゃが……」

「うん。……それは仕方ないよ。あまり近づき過ぎたら、このウェザリアがバレちゃうかもしれない。その可能性が0じゃないからこそ、近すぎず遠すぎずの位置に来てもらったんだから。……だから、ある程度近づいたら直接乗り込む、爺ちゃんたちは離れた位置でいて」

 

 

黒電伝虫、その内容は途切れ途切れではあるが、解らない訳じゃない。

もう、ニコ・オリビアを追いかけてオハラに到着したと言う内容だった。それに加えて、無数の軍艦の存在も確認済みだ。間違いなく《バスターコール》の前兆。

 

 

「雷落とそうか?」

「絶対止めて。……ぼくを助けようとしてくれてるのは凄く嬉しいけど。絶対ダメ。……軍艦(アレ)に乗ってるのに、ヤバいヤツ(・・・・・)がいるのも確認したから。この空にも下手したら攻撃が届く」

「………それ程とは、の。流石はバスターコール。おっかないわい」

「ありがとう。ハレ爺ちゃん」

「よせよせ。ハルちゃんはカワイイ孫みたいなもんじゃ。当然の事をする。それだけじゃよ」

 

 

 

バスターコール。

海軍本部中将5名を中心として編成された大型軍艦10隻の艦隊。

その武力は国家戦争クラスと称され、一度海に放たれれば島1つ、国1つを容易に滅ぼせる最悪の力。

そこに仁義などはない。

 

ただ、命令され、その任務を遂行する為ならば敵味方関係ない。女子供も当然関係ない。

無慈悲に無感情に、破壊の限りを尽くす。

 

 

だからこそ助ける。

 

 

ハルトの目的は、オハラを……ニコ・ロビンを必ず助ける事。

それが生前、この世界に転生したら果実になってしまったその時、この世界を知った時にいの一番に想った事だった。

だから、出来る事を出来る範囲で準備してきたつもりだ。

 

そして、この世界を知ってから、世界政府と言うモノを肌で体感してきたからこそわかる。

 

アレの粘着質は異常。厄介なストーカーよりも厄介なレベル。

ヒトヒトの実 モデル魔王に関してもそうだ。白ひげと言う大きな力の中に居るのにも関わらず、追いかけてくる頻度が増した様に思う。

だからこそ、この方法が一番。

 

《死》《完全破壊》を隠蓑にして、助ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして―――時はまた少し流れ。

場面はオハラ。

 

だが、そこはいつものオハラではなかった。

 

 

 

 

「もう、ダメだ」

 

 

 

 

それは全員が思っている事だろう。

 

何故なら、オハラを象徴する全知の樹が砲撃され続け、今尚も業火に包まれているのだから。加えて、その業火に耐えきれなくなった大樹が、今崩れ落ちようとしている。

 

業火に包まれて尚、この場に居た者は誰一人として逃げる事なくとどまり続けた。

この地獄の中でも学者たちは逃げずに抗い続けたのだ。

 

歴史を恐れ、過去を拒み続ける世界政府に対して、最後に抗う様に。命を炎が尽きる前に、先人たちが残してくれた文献を、その本の一説でも、この地獄の業火から逃がす為に抗い続けた。

 

燃えて消失することを拒み、窓を破り、外に広がる湖へと本を落とし続けた。

己が身を湖へと投げ入れれば、助かる道があったかもしれないのに、誰もが人ではなく本を投げ入れ続けた。

 

 

結果――――。

 

 

 

「倒れるぞ………、全知の樹が……」

 

 

 

逃げ場は最早無くなった。

 

 

――これも、人の選んだ歴史。

 

 

オハラの権威、考古学者の第一人者クローバー博士は業火の中天を見上げた。

留まる事なく流れ出る涙。

何とも浅はかで、憐れな人を思い、涙を流し続ける。

 

 

 

「……ごめんね。ロビン。私は、母としての言葉さえ………あなたに残せなかった」

 

 

 

そして、最愛の娘を1人にしてしまう母親もまた、涙を流し……目を閉じた。

ガラガラ、と天井が崩れ落ちる。

命の灯も、消え失せる瞬間だ……と、誰もが疑っていなかったが、その瞬間は何時まで経っても訪れない。

 

走馬灯にしては余りにも長く、あまりにも共有し過ぎていた。

 

暴れ猛っていた炎が、まるでアーチを描くかの様に、頭上に広がり、この崩れ落ちる大樹の成れの果てを消失させる。

今の今まで、地獄の業火で皆が焼かれかけていた筈なのに、学者たちには決して近づかず、その周囲で留まっている。

 

 

「―――――!!??」

 

 

これは、一体どういう事だ? と目を閉じていた1人がその瞼を開いたその時、確かにハッキリと見えた。

地獄の中に光るナニカを、ハッキリと――――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地獄の業火に焼かれるオハラ。

そんな中でもまだ生にしがみ付き、諦めず抗おうとしている者達は他にも居た。

 

その内の1人が、元海軍本部中将ハグワール・D・サウロ。

 

 

 

「逃げるんだで!! 思いきり、逃げるんだで!! ロビンっっ!! 島内におったら命はねぇ! ……とにかく、ワシのいかだで海へ出ろ!!」

 

 

 

己の正義に従い、海軍の正義を見限り、目の前の小さな命を生かす為に強大な力を前にしても怯まず、怖れず、立ちはだかった。

だが、それも此処までの様だ。

 

 

 

「サウロは!!?」

 

 

 

目の前の少女は目に涙を溜めながら、業火の世界で、その巨体が凍り付いていく、と言う矛盾を見つめて叫ぶ。

 

 

「ワシは捕まった。ここまでだ。……行けッッ!!」

「やだ!! 1人は、やだっっ! お母さんも、みんなも、……サウロまで、……やだっっ!!」

 

 

1人にしないで、と懇願する少女。

でも、サウロは首を横に振る。

 

一緒にはいけない。

 

もう、1人でいくしかない、と。

 

まだ8つの少女にはあまりにも残酷な現実かもしれない。

たった今、母親を失ったばかりの少女には、あまりにも残酷すぎる運命だと思う。

 

だけど、それでもその命を此処で散らす理由にはならない。

 

 

 

「よく聞け、ロビン。今は、今は1人だけどもよ……。いつか、必ず仲間に会えるでよ!!」

「ッ……!?」

「海は広いんだで、どこまでも、どこまでも広がってるんだでロビン! そんな世界で、1人ぼっちなんて事は絶対にねぇ! この世に生まれて、1人ぼっちなんてことは、絶対にないんだで!!!」

 

 

 

そのサウロの想いに背を押される。

聡明な彼女は、サウロの言葉が自分を生かす為に、自分を逃がす為にだと言う事も解っていた。だけど、それでも1人になりたくなかった。

 

1人になるくらいなら………、と思っていた矢先のサウロの心からの叫びを身に受けた。

 

 

「走れロビン!! 振り返らずに、苦しい時は教えたでよ!! こうやって、笑えば良い! デレシシシシシシシシシシシシシ!!」

 

 

渾身の笑い声は猛り狂う業火にも負けず、島全体に響き渡らんばかりに広がった。

 

 

「アイスタイム」

 

 

ただ、無情にも《正義》の鉄槌は、そのサウロの身体を、その時までも止めて行く。楽しそうに笑うその笑顔のまま、氷固まって行く。

 

 

 

 

「うわああああああああん!!!!!」

 

 

 

 

 

駆け出した。駆けて、駆けて、駆けて……あのバケモノの様な男から逃げれるなんて思ってもない。でも、それでも最後のサウロの言葉に従って、ロビンは走るのだった。

 

 

 

 

 

「…………」

 

 

 

 

その少女、ロビンの背をじっと見つめる男は、完全に凍結させたサウロを一瞥し、何か思う事でもあったのか、表情を曇らせ、顔を俯かせた。

 

 

「―――心底、クズで、狂気的で、最悪だって思うよ。お前ら」

「!!」

 

 

最早誰も残らないであろうこのオハラの中、自分とあのロビン以外はもう生きられないであろうこの中で彼は確かに聞いた。

正直、油断していたのかもしれない。

 

この氷を操る男。

自然系(ロギア) ヒエヒエの実を口にした男のクザンは即座に背後を振り返った。

 

そこでは肩で息をし、表情を歪ませ、眉間に皺を寄せている男がいた。

そして、驚きを隠せられない。

 

この場所にまだ留まっている者がいる事と、何より自分の背後に、ここまで接近されていた事に今の今まで気づかなかったのだから。

 

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