METRO BATTLE for LIFE   作:五式荒鷲 

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初投稿です。
アンケート結果からAR小隊視点の会話も入れてみました。


8日前……

2033年〇月〇日

・今日は前より長い時間、警備の仕事に就いた。1ヶ月前から新種のミュータント『ダークワン』の襲撃が相次ぎ、駅に居る兵士の半分近くが死ぬか精神異常で再起不能になっている。昨日は2人が精神異常で入院して、入院していた1人が自殺した。また、数日前から駅の住人の一部が他の駅へ移住し始めている。駅を守る兵士達が次々に精神異常で入院し、再起不能になっているのだ。あんな風になるくらいなら、別の駅へ移住したほうがいいと思うのも無理はない。メトロでは自分達の住んでいた駅を何らかの理由で放棄せざるを得ない場合、移住か残って死ぬかの選択を迫られると言う話はたまに聞く。僕の駅もそうなりつつある。明日はハンターが久し振りにこのエキジビション駅に来る。僕は彼に、この現状を打破する方法を聞いてみたいと思う。

 

 

 そこまで書いて僕は日記を閉じ、机のライトを消してベットに横になる。僕は少し不安に駆られながらも目を閉じて眠りについた。

 

 翌朝、顔を洗い少し遅い朝食を食べて趣味で集めている絵ハガキを整理していると養父のアレクセイが僕の部屋に来た。

 

「アルチョム、ようやく起きたか。そろそろハンターが来る。他の駅のことを聞けるはずだ、さぁ」

 

 僕は絵ハガキを棚に置くと、ベットから立ち上がって部屋を出た。

 

「行くぞ、アルチョム」

 

 僕は先を進むアレクセイの後について行った。

 

 

「やあ、アルチョム」

 

 仲間の挨拶に手を振って返す。僕は昔から無口で必要なとき以外はあまり話さない。そのせいか仲間からは“お前は聞き上手だな”と言われた事がある。

 

「どうにかして手を打たないと駅が持たないぞ」

 

 前を歩くアレクセイに医師が話しかけていた。

 

「これ以上、何ができる?」

 

 そう言ってアレクセイは階段を上っていった。僕もあとを追って階段を上ろうと医師とすれ違った時、医師は言った。

 

「このままじゃ、ダークワン達に皆殺しにされる!」

 

 

「よう、アルチョム。聞いてくれ、昨夜またパトロールがダークワンにやられた、病院は満杯だ」

 

 階段を上ったところで声をかけてきた仲間の話を聞いて、僕は息を呑んだ。彼が言う病院は、駅の広い部屋を負傷者を治療できるようにした診療所だ。しかし、そこは僕が子供の頃から負傷者で満杯になることはなかった。病院の入口の前でアレクセイが誰かとドア越しに話していると、ドアが開いた。アレクセイに続いて病院に入るが、そこにはダークワンによって精神異常を起こした兵士達が呻き声や世迷い言を叫んだりしていた。ベットには死んでいるのか分からない患者も居た。

 

「彼らの調子はどうだ?」

 

「見ての通り最悪だ、ダークワンのせいでな。今朝は2人死んだ」

 

「そうか……」

 

 医師と話したアレクセイは病院の奥へと歩き進む。

 

「ダークワンは俺達を簡単には殺さない。犠牲者の心を壊し、そして………早かれ遅かれ、死ぬんだ」

 

 僕に語り掛けるようにアレクセイは言った。

 

「ああ、神よ!悪夢はいつ終わるのですか?………私はもう耐えられません!」

 

 アレクセイと話していた医師は目から涙を流しながら神に祈っていた。僕は彼のような人を見ると、もうこの世界に神は存在しないのではないかと思わざる得ない。そして病院の奥にある外に通じているゲートの前にたどり着いた。

 

ドンドンッ

 

その時、ゲートの向こう側から誰かが叩いた。

 

「な、なんだ!ミュータントか!」

 

 警備をしている仲間の1人がエアロックに回転式散弾銃(シャンブラー)を向ける。

 

「ハンターだ」

 

 アレクセイはすぐに叩いた相手がハンターだと言って警戒した仲間をなだめる。

 

「ミュータントがノックするものか・・・ゲートを開けるぞ」

 

 エアロックを警備するもう1人の仲間がエアロックの施錠を解除してゲートを開ける。ゲートの向こうにはガスマスクと防護服を付けたハンターとその後ろに4人、ガスマスクを被った厚着を着た人が居た。手には見慣れない銃器を握っている。ハンターが足下の荷物を中に入れると後ろにいる4人と共に駅に入った。

 

「エキジビションへようこそ、ハンター!」

 

 仲間の1人がハンターを歓迎する。

 

「ありがとう、閉めてくれ」

 

 ハンターの指示に従って仲間がゲートを閉めた。

 

「会えてうれしいよ、ハンター」

 

「久し振りだなアレクセイ。よう、アルチョム」

 

 ガスマスクを外したハンターが挨拶してきたので手を上げて答える。後ろにいる4人もガスマスクを外す。驚くことに後ろにいた4人とも女性だった。

 

「ハンター、彼女たちは?」

 

「新米レンジャーで今は実戦経験を積ませてる」

 

「実戦訓練か?確か普通ならポリスで行われるんじゃないのか?」

 

「上の連中が早く実戦で使えるようにするために鍛えてほしいと送ってきたんだ、俺も上の連中が書いた手紙を見るまで信じられなかったよ」

 

 どうやらレンジャー訓練を積んだ人達のようだ。ハンターからレンジャーの訓練がどれ程厳しいものなのかは聞いたことがある。それを合格した彼女達に僕はその場で敬意を表したかったが初対面では色々と失礼だろう。

 

「分かった。それで外の様子はどうだ、ハンター?何か変わったことは?」

 

「相変わらずだな、たいした情報は無い」

 

「そうか」

 

 アレクセイとハンターは焚き火の近くに座って世間話をし始めた。僕はその様子を眺めていると女性レンジャーの1人に声を掛けられた。

 

「貴方がアルチョム?」

 

 僕は頷いて答えると彼女は微笑みながら答えた。

 

「初めまして、私は」

 

「そうだアルチョム、お前に土産があるんだ」

 

 彼女がおそらく名前を名乗ろうとした時、ハンターから声を掛けられた。僕はどちらを先にするか迷ったが彼女がハンターのほうに手を向けていたので軽く頭を下げてハンターの元に行った。

 

「ニューヨークの古い絵ハガキを売っている奴を見てお前の部屋を思い出したんだ」

 

 そう言ってハンターは絵ハガキを僕に差し出した。僕は受け取って絵を見ると女性が冠を被って右手に何かを掲げ左手に本を持った像が写っていた。

 

「気に入ったみたいで何よりだ」

 

 どうやら顔に出ていたようだ。僕は頭を下げて礼をすると少し眺めてからポケットにしまった。そしてさっき名前を言い掛けた彼女の元に行こうとした時、

 

ガンッ

 

「な、なんだ!」

 

 天井内にある通気口から大きな物音が聞こえた。警備をしている仲間の1人が驚いて声を上げる。嫌な予感がした僕は耳を澄ませて注意深く音を聞いていると複数の音が少しずつ大きくなって聞こえてくる。すると突然警報が鳴り始めた。

 

『メイン通気口に侵入警報!上部より侵入者!』

 

 警報と同時に警告が発せられる。

 

「クソ!よりによってこのタイミングで!」

 

「壁の向こうには負傷者がいる、病院なんだぞ!」

 

 仲間達が次々に喋る中、アレクセイは彼らに的確に指示を出していく。

 

「よし、俺達はこのホールを死守するぞ!」

 

 ハンターの掛け声で女性レンジャー達も武器を構える。

 

「アルチョム!武器を取れ!」

 

 僕は義父が開けた非常用武器ボックスからリボルバーと44口径弾を取ってリボルバーに弾が装填されていることを確認し戦闘に備える。アレクセイも武器ボックスから取り出したAKを構える。

 

「クッ、こんな奥まで入り込まれるなんて!」

 

「ここは病院だ、血の臭いを嗅ぎ付けてくるぞ!」

 

 そして再び警報と今度は警鐘も鳴り響く。ハンターは僕とアレクセイに目配りして上を指差した。そこには上まで一直線に伸びている通気口のファンがあった。その僅か数秒後にそこを突き破ってミュータントが現れた。ミュータントはハンターに襲い掛かるもあっという間に返り討ちにされた。そして今度は壁にある4つの通気口からミュータントが押し寄せてきた。僕は壁の通気口や最初にミュータントが現れた通気口から来るミュータントに向けてリボルバーを撃ちまくった。女性レンジャー達も1人ずつ通気口についてミュータントを倒していった。

 

 ミュータントの襲撃は数分で幕を閉じた。破られた通気口は最初の1つだけで、他は通気口が破られる前に始末した。

 

「アルチョム、大丈夫か?」

 

 僕はアレクセイのほうを向いて頷いた。怪我はなかったが1度に複数のミュータントを相手したのは初めてだったのですごく疲れた。

 

「ハンターは?」

 

「もちろんだ、一撃で仕留めたよ………」

 

 それを聞いたアレクセイは安堵していたが少しだけ顔色が曇っていた。

 

「ここにはダークワンはいない…………いるのはトンネルのクズだけだ」

 

 ハンターの言う通りここにはノサリスしかいない。それでもこいつらを1匹でも病院のほうへ逃がしていたら悲惨なことになっていた。僕はそう考えているとアレクセイとハンターが口論を始めた。それを見ている女性レンジャーはただ見ているだけだった。口論をしている2人から目を離して足下を見ると妙なことに気付いた。それは偶然、並ぶように転がっている2つの空薬莢なのだが長さが少し違うのだ。短いほうが普段見慣れている5.45㎜弾の薬莢なのだろうがもう片方の長い薬莢は恐らく女性レンジャーの見慣れない銃器に使われている弾の薬莢だろう。気になった僕はその長い薬莢を1つ拾ってポケットにしまった。

 

「見てみろハンター!10人もの熟練兵士が心も身体もズタズタにされているんだぞ!」

 

 そしてアレクセイがハンターに向けて怒鳴っている時、悪夢のような知らせが飛び込んできた。

 

「ダークワンだ!外の監視所が破壊された!!」

 

 それを聞いた僕達はすぐさま監視所へ全速力で向かった。監視所までの道のりでは警報がけたたましく駅の中に響いていた。監視所に着くとそこは悲惨な状態だった。兵士達の死体が辺り一面に転がり、精神異常を起こした兵士達はうずくまったり妄言や自傷行為を行う者までいた。アレクセイは一目散に倒れた兵士達の元に駆け寄るがどれも既に物言わぬ死体と化していた。死んだ兵士達の中には僕に銃やナイフの使い方、格闘技などを教えてくれた人達もいた。ハンターは目の前で精神異常に侵された兵士を見てからトンネルの向こう側に目を向ける。

 

「奴らは外の状況を想像以上に分かってやがるようだ。俺は偵察に行かなきゃならん」

 

 そう言ってハンター僕の目の前まで来るといつも首に提げているレンジャーの認識票を差し出してきた。

 

「よく聞くんだ、アルチョム。万が一俺が朝までに戻らなかったら、ポリスでミラーと言う男を探せ。俺に何が起こったか、北のトンネルで何が起こっているのか伝えるんだ」

 

 僕は差し出された認識票を受け取った。

 

「そいつを見せれば俺からの使いだと分かるはずだ。後この手紙も渡してくれ」

 

 そう言ってバックパックから手紙を取り出して僕に差し出し、僕はそれを受け取る。

 

「アルチョム、これらと彼女達を頼んだぞ」

 

 そう言ってハンターは銃剣を取り付けたVSSを手に取ると肩に掛けながらトンネルの奥に向かって歩き始めた。

 

「我々が生き残るにはこの脅威を排除しなければならん。どんな代償を払っても…………排除しなければならん。わかったか!」

 

 そう言ってハンターはトンネルへ消えていった。

 

 

 その後、死体と負傷者(ほとんどが精神異常に侵されていた)を移動させてから変わりの人員で簡素なバリケードを築いて再び監視が再開された。アレクセイは後処理のため執務室に行ってしまった。僕も自分の部屋に戻ろうと思ったが残された女性レンジャーの4人は途方に暮れていた。すると僕に話し掛けてきた女性レンジャーが近付いてきた。

 

「すみません、私達はこれからどうすればいいでしょうか?」

 

 僕に聞かれても困るのだが少し考えてから4人についてくるよう促してアレクセイの執務室へ向かった。

 

 執務室に着くと僕は手振りで彼女達に待っているよう伝えると執務室のドアを叩く。

 

「アルチョムだな、入っていいぞ」 

 

 執務室に入るとアレクセイが書類を作っている最中だった。

 

「何かあったのか?」

 

 僕はアレクセイに女性レンジャー達に泊まれる場所を提供できないか聞いた。

 

「確か兵士達の宿舎に使われてない4人部屋があったな。今日のところはそこに泊まってもらおう」

 

 そう言って壁に取り付けられたボードにかかっている鍵の1つを僕に手渡してきた。

 

「場所を分かるな?」

 

 僕は頷いて返すと「なら案内してやれ」と言われ、僕は踵を返して執務室を出た。執務室から出ると女性レンジャー達がいなかった。どこに行ったのか辺りを見渡すと食堂のほうから聞き慣れない女性の声が聞こえてきたのでそちらに向かった。

 

 食堂では女性レンジャーの中で一番背の高い背丈ほどのケースを背負っていた女性がこの駅の人達と飲み比べをしていたようだ。もっとも飲み比べの相手をしていた男は酒に耐えきれず昏倒して倒れていた。

 

「前に飲んだウォッカのほうが美味かったな」

 

 そう言ってグラスに入ったウォッカを一息で飲み干し、テーブルから立つと僕を見つけて近付いてくる。

 

「すまないな、多分あんたは私達に待つよう手振りで示したんだろう?仲間のソッ…………サーシャが探険したいって言って駅の中を歩き回ってるんだ。残りの2人もそれに付き合わされてる」

 

 会話の途中で何か言い掛けていたが僕は頷いて返すと彼女は僕の肩に手を掛けてくる。男勝りだが僕から見れば彼女は魅力的な女性だ。そしてここまで密着されたことがなかった僕はこの時緊張していると同時に少し興奮していた。

 

「それは置いといて私と飲み比べしないか?さっきの奴じゃ張り合いがなかったからな」

 

 あまり酒は得意ではないので僕は手振りで断ったのだが「いいじゃないか」と言って食堂に引っ張られる。僕は何とか断ろうとアレクセイから貰った鍵を見せた。

 

「ん?それは何の鍵だ?」

 

 僕は宿舎を指差して彼女も指を差されたほうを見て宿舎だと気付いたようだ。

 

「私達の泊まる場所を取ってきてくれたのか?」

 

 僕は頷いた。

 

「助かるよ、ありがとう」

 

 彼女から笑顔でお礼を言われると彼女の後ろから他の3人が歩いてきた。彼女は僕が持ってきた鍵のことを話すと最初に話し掛けてきた女性レンジャーからもお礼を言われた。

 

「ありがとうございます。駅を回っている時に寝床も探していたのですが良い場所はなくて困っていましたから」

 

 僕は頷いてから手振りでついてくるように示すと宿舎に彼女達を案内し、最初に話し掛けてきた女性レンジャーに鍵を渡すと手を振って別れ自分の部屋に戻った。

 

 

~AR小隊side~

 

 宿舎に泊まることになった私達4人は夕食を食べた後部屋の中でこれからのことについて話し合った。

 

「これからどうするM4?」

 

 M16姉さんが厚着を脱ぎながら聞いてきた。

 

「兎に角まずは私達AR小隊の置かれている状況を確認しましょう」

 

 私はバックパックからハンターさんに貰ったメトロ路線図を広げた。

 

「私達がいるのはこのメトロ1番線北にあるエキジビション駅で私達がハンターさんに案内してもらう予定のポリスは南のほうにある3つの駅がまとまったこの場所」

 

 私は路線図をみんなに見せな指で指し示しながら話す。

 

「遠いね」

 

「遠いわね」

 

 SOPとAR-15は真顔で言った。私も2人と同感だったがあえて言わなかった。

 

「私達はポリスで無線中継機の使用許可と建設途中の鉄血基地攻撃のための応援を頼みに行きます。ただ応援のほうはハンターさんから言われた通り期待はできない」

 

「前の任務とそう変わらないな」

 

「はい、姉さん。次にこの駅で集めた情報の報告をしましょう」

 

「なら私から」

 

 そう言ってSOPが声を上げた。

 

「この駅は3、400人位の人達が住んでるみたいだけど最近はパトロールに行った兵士達がダークワンっていうミュータントの攻撃でその場でなくても最終的に命を落とす人が増えてるみたい。駅に住む人達の中には別の駅に移住しようと考えてる人もいるみたいだったよ」

 

「食堂でも似たような話が持ち上がってたな。ただこっちではノサリスって言うハンターが“トンネルのクズ”って呼んでいたミュータントの被害も前より酷いらしい」

 

「そうなるとハンター以外からポリスへ行くまでの道案内は期待できないわね。それに私達の使う武器の弾薬も補給できそうにないし」

 

 偵察に行ったハンターさんは未だ戻っていない。AR-15の話を聞いてもし戻らなかったらハンターと親しくしていたアルチョムと言う彼に協力してもらえないか聞いてみたいと思う。偵察に出る直前にハンターさんは彼に何かを渡して頼み事をしていたように見えたからもしかするとポリスに向かうのかもしれない。弾薬の補給は無理なので戦闘を控えて進むか、メトロにある武器を代用するしかない。

 

「今日の所はこの辺にして休みましょう。今はハンターさんが無事に戻ってくるのを祈ることしかできないから」

 

「そうだな」

 

「分かったぁ!」

 

「了解」

 

 そう言ってみんながベットに入ってから私は電気を消してベットに入った。




AR小隊の会話、大丈夫……だよな?
誤字脱字、指摘等あればできるだけ修正したいと思います。


2021/9/25 追記
一部、キャラの名称を変更。

2022/12/3
脱字修正
T2ヘリウム さん、誤字脱字報告ありがとうございます。

次回の投稿予定日は10月1日21:00です。
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