Fate/The Fatal Error   作:紅赫

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色々やりたいことやりましたね。インフレが止まらないFate。


七度の英霊召喚 機械の夢 二度のFatal Error

 

 

 

「貴様ァァァァ!!!!」

「⋯⋯ま、アイツの仕事がもう少し遅かったらどうなってたかはお察しだがなァ?」

 瓦礫の上に立つアジ・ダハーカと阪東の2人はお互い無傷。両者互角の戦いを繰り広げていた。

 

 が、アジ・ダハーカは目的が果たせない可能性が出てきた以上聖杯の作成を急ぐ必要がある。

「スルトのマスターがやられた可能性を考慮すればあの身体が持つのは45秒と言ったところか。何、それだけあれば十分よ」

 

「⋯⋯チッ、まだ手の内隠してやがったか、アァ?」

「魔術師たるも常に奥の手は用意しておくべきだ。と言ってもこの程度奥の手でも何でもないが」

 焦り混じりで阪東に返答しつつ、アジ・ダハーカは魔術を行使。アジ・ダハーカ本人と瓜二つの存在が隣に現れ、本体はすぐさまスルトが拘束されている海岸へと向かった。

 

「はァ!? 同質の分身を作りやがった! 流石にビビるぜオイ」

「簡単な事だ。無理に我本人が相手をするまでもないという事よ」

「⋯⋯てこたァ、内心じゃァ焦ってるって事か。それだけ知れりゃ満足、だゼ!」

 

 阪東は右手を空へと向ける。その瞬間、星座を模した魔術式が天を埋め尽くした。

「サイン・オリオン」

 即座に術式を完成させ、起動。天上から流星のように光の矢がアジ・ダハーカへと向けて降り注ぐ。

 

 オリオンはギリシャ神話の狩人であり、その力を星座を通して借り受けるというのが本来の阪東家の秘術である。

 それでも大規模な大魔術の括りであり、阪東家でも彼以外にとってはこうも頻繁に使用出来るような魔術では無い。

 

「小癪!」

 アジ・ダハーカは大きく拳握りしめを空へと向けて放つ。ただ拳に魔力を乗せただけの衝撃波はその空に浮かぶ星座を粉々に吹き飛ばし、更には光の矢をも打ち消してしまった。

「ウッソだろおい」

 

 珍しく引き攣った笑いを浮かべた阪東は即座に撤退の思考に移る。アジ・ダハーカ一体であれば阪東が抑えることは出来る。しかし複数体となれば話は別なのだ。アジ・ダハーカ自身目的があって聖杯を創ろうとしているのであって本気で殺しにくる事は無いだろう、という判断があってこそ。

 

「星域」

 足元から円形に銀河が描かれた空間が敷かれる。それはアジ・ダハーカの足元にまで及び、その銀河が浮かび上がり視界を塞ぐ。

「何?」

 

 アジ・ダハーカの視界は様々な星々が浮遊する宇宙空間へと変化する。

 結界魔術:星域は阪東の体内に存在する宇宙を一部臨界させ周囲の景色を塗りつぶす魔術である。超短時間の固有結界とも言えるこの魔術だが、体力的な面で相当な負担がかかるため殆ど使用しない。

 

「楽しかったゼ」

 そう言い残して阪東はその場から姿を消す。

 暫くして星域が解除され、視界が戻ったアジ・ダハーカの分身は消滅。そのまま感覚かアジ・ダハーカ本人へと戻る。

 

 そこは瓦礫の山の上。建物という建物が消滅したその場所でアジ・ダハーカは立っていた。

「ふん、手応えがありそうなのは奴だけか」

 阪東への率直な感想を述べたアジ・ダハーカは本来の作業を続ける。

『やめろォォォォ!!!!』

「時間が惜しい、騒ぐな」

 スルトの肉体を器に聖杯を創り出す。その行為は並のサーヴァントであれば不可能であり、アインツベルンレベルの錬金術をもってやっとなのだ。

 

「これを、こうして、こうだな」

 ぐにゃぐにゃと右手で捏ねるように手を動かし段々とスルトの形が縮小していき、次第には人の顔ぐらいのぐちゃぐちゃな肉塊へと変化する。

「本来の手順とは異なるが、サーヴァントには様々な神秘や潤沢な魔力が内包されている。問題はあるまい」

 

 その肉塊に触れたアジ・ダハーカ。次の瞬間、その肉塊が聖杯の形となり、その手に収まる。

「⋯⋯ふっ、ふふフフハハハハハハ!!!! これで第一フェーズは終了か!」

 

 本来の聖杯から命じられたアジ・ダハーカの役割。それとアジ・ダハーカの目的は一致しない。しかし、役割を遂行する片手間に自身の望みを叶えるべく行動する分には問題無い、と彼は判断したのだ。

 

 

 アジ・ダハーカはその聖杯の眼前で必要な術式を瞬時に行使する。

 

 

「素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」

 

 

 それはサーヴァントによる英霊召喚。

 

 

「閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。繰り返すつどに五度。ただ、満たされる刻を破却する」

 

 

「――――告げる。汝の身は我が下に、我が命運は我が手の中に。聖杯の寄るべに従い、この意に従うならば現れよ」

 

 

 ここで詠唱を変えるアジ・ダハーカ。それはまるで「応える必要は無い、我自身で自身で貴様らを呼び起こす」とでも言わんばかりの文言だ。

 

 

「誓いを此処に」

 

 

「我は常世総ての悪を敷く者」

 

 

「我は獣の器を持ち、後に全ての悪として顕現する者」

 

 

「されど汝らはその悪性を呼び起こし、混沌を満たせ」

 

 

「汝ら、悪逆の限りを尽くす者達」

 

 

「我は汝らを従え、真なる獣と化し、世界を創り変える者」

 

 

「抑止の輪よ! 悪性を呼び起こせ! 悪辣を尽くせ! 我は破壊の限りを許そうぞ!」

 

 

「ここに来たれ! 世界の天秤を邪に染める者達よ!」

 

 

 その瞬間、青白く輝いていた魔法陣は赤紫色に染まり、やがては血色に染まり輝く。

 

 

 そしてその光は柱となる。周囲には本来鳴るはずのない警報音、そして血色の柱の中には「Fatal Error」の文字。

 

 

「Fatal Error、か。どうやら余程の大物が混ざり込んだらしい」

 

 

 その様子を眼下に収めながら光の収束を待つ。

 やがて光が収まるとその場所には七基のサーヴァントがその場に鎮座していた。

 

 

「セイバー⋯⋯禍津日神。御前に⋯⋯」

 

 

 1人は鬼の角を生やした痩せこけた上裸の男。見かけは弱々しく、爛れた皮膚からは胸骨が見え隠れしているが、その禍々し神気は一端のサーヴァントが放てるようなものでは無い。

 

 

「ランサー、ヴリトラ。⋯⋯む? 貴様は⋯⋯?」

 

 

 1人は真っ黒なドレスを着た金髪褐色の女性。竜の角や尻尾が生えており、顔や手足に所々蛇身の鱗を模した紋様が走っている。

 

 

「アーチャー、羿。この身、この力、全て我が主の者。なんなりとお申し付けください」

 

 

 1人は軽鎧を着た初老の男。ちょび髭と筒のような帽子、そして背中には紅色に輝く弓、腰には真っ白な矢を所持している。礼儀正しく膝を付きアジ・ダハーカに忠誠を違う姿はまるで家臣のようであった。

 

 

「アサシンのサーヴァント、佐々木小次郎。ここに参上つかまつった」

 

 

 1人は青髪の長髪、袴姿の武士。その流麗な出で立ちは見るものを魅了し、その長い刀が相まってある種の儚さがある。

 

 

「アヴェンジャー、平景清、推参」

 

 

 1人は赤と黒を基調とした鎧を着た女性の武士。目元を黒い布で隠したその立ち姿からは並々ならぬ怨念を感じさせる。

 

 

「お初にお目に掛かります。拙僧、訳あって真名を伏せさせて頂きましょう。クラスはアルターエゴにございますが、リンボとお呼び下されば。よろしいですね、マイマスター?」

 

 

 1人は軽薄そうな陰陽師。白と黒のツートンの髪は蛇のように畝っており、独特な服を着ていた。その胡散臭さや所々から発せられている邪悪さはなんとも形容し難いものがある。

 

 

「エヘ、エヘへ、エヘへへへ。サーヴァント、フォーリナー。見ての通り、ゴッホです」

 

 

 1人は不思議な服装をした人間味の無い真っ白な少女。向日葵を模した大きな帽子、袖が向日葵で埋まり、機能を果たしていなかったり、海月のようなスカートだったりと普通であればそちらに目を向けがちだが、本人の目は真っ白に曇り、見ているだけで正気度が減りそうな容姿からは様々な不安感が伝わってくる。

 

 

 まさに人理の悪性を集合したかのような召喚結果。魔を具現化したかのようなサーヴァント達であった。

 

 

 

ーーー

 

 

 

 宇宙空間。1機の人工衛星を制御する機械は思考を止めていた。

 

 

『マスター、死亡。令呪転送完了。これよりマスター代理として聖杯戦争に臨みます』

 

 

 15メートルのくらいの大きさがある小型の人工衛星は空気のない暗闇の世界で虚しくアナウンスを行った。

 千衣寓仁斗に造られたホムンクルスの自我とAIプログラムを融合させたひとつの意思こそ「Master Computer Mothers Tera」である。

 

 人間と同等の思考力、あらゆるコンピュータを凌駕する計算速度はまさに人類を超えた存在。内蔵された擬似魔術回路を使用することで聖杯戦争では千衣寓の令呪を継いでマスターとして参戦する。

 

 しかし⋯⋯。

 

『サーヴァント、スルト。現状行動不能。意識が途絶えました』

 

 聖杯と化してしまったスルトは既に聖杯戦争から脱落。これではTeraが参加することは出来ない。

 

 

 はずだった。

 

 

 突如、無人の人工衛星内で警報が鳴り響く。

 

『プログラム侵入、プログラム侵入、直ちに撃退、及び速やかなカウンターを行います』

 

 電子戦においてTeraの右に出るものがいるはずない、何故ならば人類を超えた機械なのだから、とすぐさま特定しカウンタープログラムを送ろうとした時、Teraは気がつく。

 

 

 そのプログラムが聖杯から送られている事に。

 

 

『何故?』

 

 

 明らかな混乱、そしてその一瞬の隙で聖杯は更なるバグを送り込む。

 

 

『識別完了コード名:Fatal Error 意図、不明。方針変更、一度シャットダウンをおこ、おこ、オコオコオコオコオコオコオコオコオコ、キャンセル。シャットダウン不可』

 

 

 その時には既に遅かった。

 

 

 

 

 

 

 

『Fatal Error、侵食率79%、コード解析、不可。概よ、がいがいがいがいがいがいがいがいがいがいがががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががgggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa不明不明不明ふめいふめいふめいふめいふめふめふめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめっめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

膨大な情報量、そして『Fatal Error』を取り込んだ結果耐えられずフリーズ。人工衛星内部はFatal Errorの文字で溢れており、既に侵食がほぼ完了していた。

 

 

 

そんな中、Teraの中にひとつの選択肢が流れ込んでくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Continue?

 

 

Yes ◁

 

No

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




い、いかがでしたか……? サーヴァントを従えるアジ・ダハーカ、侵食するFatal Error。


そしてなにやら不穏なリンボ。気になりますね。


次回、一章最終回予定です!
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