Fate/The Fatal Error   作:紅赫

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急いで書いたので誤字脱字があるかもしれません。


プロローグ 聖杯戦争って、何?

 

 

 

「お前、ちょっ、⋯⋯はぁ!? 本気で言ってんのか!?」

「まあ⋯⋯成り行きでアンタを召喚したって感じだし。1から説明してよね!」

 

 アサシンは不満そうだったが、呆れたように息を吐くと⋯⋯。

「とりあえず貴様の身体を借りる」

そう言ってアサシンが輝愛に纏わると輝愛の意識は暗転した。

 

 が、輝愛にとっては瞬きしただけのように感じている。輝愛が目を覚ますとそこは誰もいない森の中。静寂と暗闇が支配するその場所は密談にはうってつけの場所。

「あれ?」

「あの場所は人が集まる可能性があったからな。退散した方がいいだろ?」

「確かに」

 

 輝愛がどこかに腰掛けるため何かいい場所を探そうとするとアサシンが自身の尻尾を向ける。

「使ってもいいの?」

「いいぜ、マスター」

「挨拶してから明らかに優しくなったじゃん。⋯⋯あとなんて呼べばいいの?」

 

「アレはなんつーか、振るいにかけただけだ。俺は王だからな。威厳とかあんだよ色々。呼び方に関しては別に好きなように呼べ。先に言っておくと聖杯戦争じゃ、名前ってのは大きな弱点になる。だから基本はクラス、俺の場合はアサシンって呼ぶのが普通だそうだ」

なるほど、と小さく唸って答えを出した結果⋯⋯。

 

 

「じゃあ⋯⋯大福!」

 

 

「⋯⋯ん? 大福? えっ? 大福? ホントに?」

 表情は動かないが明らかに困惑しているであろう声色で問いかける一匹のケモノ。

「そう、大福」

「⋯⋯マジ?」

「マジ。⋯⋯嫌だった?」

「嫌というか⋯⋯何故大福?」

 

 ケモノの問いかけに待ってましたと万遍の笑みを作る輝愛。

「いやー、ペット飼ったら絶対大福にするって決めてたから! アタシの家ペット禁止だったから欲しくても飼えなかったんだよねー。アンタは真っ黒だけど、それはそれこれはこれ。可愛く育ててやるぞ大福ぅ〜!」

「俺はペット扱いかよ。なあマスター、それよりも聖杯戦争の事早く話してぇんだけど」

 

「そうだそうだ。忘れてたわ。で、聖杯戦争って結局なんなの?」

ったく、ようやく本題だよ。と呆れながら呟くケモノこと大福。

 

「聖杯戦争っつーのはどんな願いも叶えてくれる聖杯ってのを取り合う戦争の事だ。7人のマスターが俺みてぇなサーヴァントを一体連れて最後の一人になるまで殺し合う、っつー感じ」

「へー、なにそれオモロそう」

「オモロじゃねぇよ。で、普段なら強い魔術師が集まるんだが、毎回お前みたいなよくわかんねぇマスターが混じってるとか」

 大福が少し怪訝な雰囲気を漂わせる。

 

「魔術師⋯⋯? あー、グレムリンか。その代わりがアタシと。なるほどねー。他のマスター6人見つけて殺すと。そしてそのマスターには大福みたいなサーヴァントがいると」

考え込む仕草をした輝愛だったがその姿勢は3秒と持たない。

 

「で、大福はアサシンとやらのクラスと。クラスって何?」

「クラスってのは俺達サーヴァントの特徴だな。基本クラスは三騎士って言われてるセイバー、アーチャー、ランサー。そして残りのライダー、キャスター、バーサーカーとアサシン」

「あー、なんかニュアンスでわかるわ。剣士と弓の人と槍の人、乗り物乗る人狂戦士、暗殺者⋯⋯キャスターは⋯⋯魔法使い!」

「魔術師な」

 そうそうそれそれ、と苦笑い。

 

「それぞれ特性に違いはあるがとりあえずアサシンに関して言えるのは直接戦闘が全然クラスの中で最弱で、その代わり暗殺に特化してる」

「えっ、マジ? アタシ達気が合うじゃん!」

「まあ系統が一緒ってのがここでどう有利に働くかってのはわかんねぇけどさ」

 

そう少し満更でも無いような口調で冷静に分析する。

「でも基本アサシンはステータスが低いってのが定石だ。正面突撃は控え⋯⋯」

 

「いやぁ、中々面白い事になっているわね」

 無遠慮な第三者の声が深夜の森に響く。

「誰?」

 輝愛が鋭い目付きで声の方向を睨み、袖からナイフを取り構える。

「作戦会議中に申し訳ないわ。少しお話させて貰おうと思って」

 

 凛とした美しい声の先に居たのは黒い髪に腰まで届くほどのロングヘアの美少女だった。少しツンとした目付きと左目元の泣きぼくろが特徴で人類でも歴史上類を見ない程に美しいと言われても納得がいく程の美貌である。

「私は今回の聖杯戦争で監督役を務める荒島絡果。よろしく、神崎輝愛さん」

「⋯⋯どうして監督役さんはアタシの名前を知ってんの?」

 

 輝愛は暗殺者であり、世界でも正体不明の存在として恐れられている。そのため名前や経歴に関しては殆どの人間が知らないはずなのだ。

「少し調べたの。それだけよ」

「調べたにしては早すぎるし。でも⋯⋯ふーん。何も言わないでおく」

 輝愛の勘が告げていた。『コイツはヤバい』と。大福に続いて2人目の強者である。

 

「それで? 監督役さんがなんの用?」

「そうね。とりあえずは神崎さん、マスター選抜おめでとう。聖杯戦争の概要に関して私から教えるつもりだったのだけれど⋯⋯サーヴァントが教えてくれそうならいいわ」

 

「あ? 喧嘩売ってんのか?」

「いえ。私は別にそんなつもりは無いのだけれど。それに私自身の戦闘力は貴方に劣るもの。例え正面戦闘でも」

 輝愛は頭の上に「!?」という吹き出しが出ているような驚き方をしている。

「えっ? 大福強いじゃん! 正面戦闘弱いってウソつきめこのこのー!」

 

「そりゃ人間とサーヴァントには大きな戦力差がある、まともにサーヴァントと戦うヤツなんて狂人の類だ」

 それを聞いた絡果はクスクスと小さく笑う。

「あらあら。流石にそれは言い訳よ。私は監督役の権限で召喚されたサーヴァントのステータスを覗き見出来るのだけれど⋯⋯」

 

「ステータス? なんかゲームみたいじゃん」

「それぞれ筋力・耐久・敏捷・魔力・幸運・宝具の6つがあんだよ」

「へー。その宝具ってのは知らないから後で聞くね」

と、コソッと話す輝愛と大福。

 

 

「貴方のステータス、幸運以外全てA+以上じゃない」

 

 

「?」

「⋯⋯だからなんだよ」

サーヴァントにおけるA+は十分高性能であり、正面戦闘が苦手というのは大福がついたウソになる。

「それに幸運だってB+よ? 敏捷、魔力、宝具に関してはEX。耐久はそもそも不明だなんて。反則級のサーヴァントだわ」

「つまり?」

「貴女の大福ちゃんは強い」

 

それを聞いた輝愛は「おー!」と拍手する。

「大福ちゃん言うな!? あとマスター、俺を召喚したばっかの時と全然態度が違ぇなぁ!?」

「プライベートと仕事はバッチリ分ける派なんでアタシ。あと大福は怖いけど意外と可愛いとこあるからヨシ!」

 

 ニヒヒ、と笑う輝愛の表情は普通の日常にいる女子高生そのものだった。

「今回の聖杯戦争はこの横浜を中心に行われることになっているの。今回は既に聖杯が存在している。まあ、それは今魔術協会が厳重に保管しているから聖杯は安心して。というよりも監視しか出来ないというのが正解かしら」

 

「?」

「こっちの話よ」

 ステステと木陰を踏みながらスマホを覗く絡果。

「私がここに来た理由は聖杯戦争の説明ともうひとつ。改めて聞いておきたいのだけれど。貴女は聖杯戦争に参加するということでいいのね?」

「もちもち!」

 

「⋯⋯そう。聞きたいことは以上よ。既に大福ちゃんを含めて4人のマスターがサーヴァントを召喚して聖杯戦争の始まりを待っているの。私が開始の合図をするその日までに準備をしておく事ね」

 そう言って絡果は暗闇に消えていった。

 

「⋯⋯なんだったんだろあの人。まあいっか!明日学校だしとっとと帰ろ!」

「切り替えはええな。拠点に戻んならそのまま尻尾に乗ってろ」

 そしてその瞬間、輝愛の目の前が暗転し気が付くと自宅の玄関にいた。

「えっ? 大福こんな芸できんの!?」

 

「芸じゃねぇ。俺の能力だ。基本的に角がありゃどこにでも行ける」

「流石サーヴァント。アタシの想像以上じゃんか。あと便利だから登校の時もよろしく」

「⋯⋯マジかよ」

「マジマジ」

 

 

ーーーー

 

 

 翌日の12月18日。ベッドでゴロゴロとしていた輝愛が起きたのは6時丁度。眠い目を擦りながらキッチンへと移動し朝食の準備を行う。

 輝愛はみなとみらいの大型マンションに住んでおり23階の1LDKに一人暮らしだ。ちなみに家賃は月23万である。

 

「大福はお腹すいてるー?」

 その声に反応した大福は霊体化を解くと眠そうに大きく欠伸をした。

「サーヴァントに食事は必要ねぇよ」

「あ、そう。その身体じゃあ相当食費嵩むかなって思ったけどコスパいいじゃんか」

 

「⋯⋯あー、それなんだがマスター」

 大福が何か言おうとした時、ふとテレビから流れてきたニュースに耳が行ってしまった。

『次のニュースです。昨夜の深夜零時頃、横浜市で大規模なガス爆発がありました』

 

 そしてガス爆発に関するニュースが流れるが、そこに映されていたのはグレムリンの屋敷跡だった。つまり英霊召喚の余波で吹き飛んだものがガス爆発として報道されているということである。

「マジ? つまりこれってさ」

「あの女が隠蔽したって事だろ? ま、こっちからしちゃ嬉しい限りだぜ」

 

 そしてもうひとつ気になるニュースが報道されていた。

『そしてもう1件、横浜港でも似たような爆発があり、こちらは貨物船4隻が半壊し現在修理中との事です。こちらもガス爆発ではありますが警察側はこの2つの事件に何かしら関係性があると見て調べているそうです』

「⋯⋯俺達とほぼ同時に召喚したヤツが居たってことか」

 

「横浜港ってすぐ近くじゃんヤバ」

 朝食の支度を終えて皿に盛り付けた朝ごはんを食べながら他のなんでもないニュースを見ていると、大福が気まずそうに声を上げた。

「なあ、マスター。ちょっと緊急事態なんだが⋯⋯」

「何? トイレ?」

 

 

「このままだと俺、現界出来なくなりそう。あと2時間くらいしたら自然消滅するわ」

 

 

「はぁ!?」

 

 




私雪見だいふく好きなんですよね。皆さんはどんなアイスがお好きですか?
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