ガブラス新聞を読み終えた我らが『護石王』ウラガンキンは今日も今日とて護石や鉱石掘りに勤しんでいた。
『今回、護石が沢山手に入ったな〜。何か見たことの無い護石も大量に手に入ってウハウハだぜ〜』
大海原の上を水飛沫を巻き上げ転がりながら爆走する。護石掘りからの帰り、海上の上を得意のローリングで爆走しているのだ。
——今日もナルガフェに行こうか。そろそろ鱗とか欲しいし、何せ一級鑑定士お墨付きの【攻撃珠】も見つけたからなッ‼︎
『護石王』は護石の傍らで装飾品の原石、原珠も採掘して溜め込む様になった。中にはハンターが求めて止まない代物も含まれている。
「せ、船長ッ⁉︎ ま、また『護石王』が交易船に向かって突っ込んで来ますッ‼︎」
「ゼヨォォォォ‼︎⁉︎ 折角の卸し立ての交易船を沈められる訳には行かんゼヨ‼︎ 面舵全開ゼヨッ‼︎」
「ダメですッ‼︎ 間に合いません‼︎」
その時、大海原を征くゼヨ船長の交易船に護石王が側面から激突し貫通。根本から大破させられ、又しても交易船は縦に割られた。
「ゼヨォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ‼︎⁉︎」
前回と同じくゼヨ船長は絶叫を上げながら海中に没して行く交易船と共に大海原に散った。まぁ、世界の果てで1乙おじさんと同じ種族なのだから平気だろう、多分。
——ん? 何か当たったか? まぁ、その辺に居るラギア
『え⁉︎ ちょ、またかゴボゥオア⁉︎』
——あ。
その時、運が悪いのかそれとも運命の流れなのか呼吸の為に海面に上がって来たラギアクルスの顔面に正面衝突。前回も似た様な経緯と同じく鳴っちゃいけない音が響いた。その際の衝撃で大きく跳躍して其の儘、孤島の岩壁に激突し浜辺に着陸した。踏み台にされたラギアクルスは又しても仰向けの状態で海中に沈んで行くのであった。
『何かよく分からんが着地成功ッ‼︎』
そして其の儘、何時ものノリで孤島の中へとのしのしと歩いて行き、行きつけの『ナルガフェ』へとやって来た。
——おー、居る居る。
『よーす、ナルガさん。何時もの頼むよ〜』
『おや、ウラさん。ちょっと面倒な客が居るんですよ』
『え?』
店主のナルガクルガはそう言いある視点の方へと向ける。釣られて其方へ視線を向ければ、鈍い緑色の鱗、強靱な脚力を持つ後ろ足、ブッ太い尻尾。そして顎から突き出た大牙。
『ヤダヤダッ‼︎ ポポノタン食べたいィィィィ‼︎‼︎』
『』
それは【貪食の狂王】、【世界を喰らう者】、【健啖の悪魔】と呼ばれし恐暴竜イビルジョー。そのジョーが仰向けに転がって思いっきりダダを捏ねている光景が広がっていた。
その様子をリオレウスとゲリョスは半ば呆れた様な様子で見ていた。
『おお、ウラガンキンか。此奴をどうにかしてくれぬか?』
『あ、ウラさん。コイツ如何にかして下さいっスよ』
『お前らで如何にかしろよ。と言うかなんで此処にイビルジョーが居んだよ』
因みにナルガフェではイビルジョーはお断り……理由は大食漢故に在庫の備蓄を食い荒らされるからである。さもありなん。
『うわぁぁぁぁん‼︎ ポポノタン食べたいィィィィィィィィ‼︎‼︎』
駄々捏ねではあるが、相手はあのイビルジョー。全身筋肉の塊みたいな奴が仰向けで暴れられてはこの周辺が持たない。
『ええい、落ち着けや‼︎ ナルガさん‼︎ ポポノタンの少し出してやってよ⁉︎ お代は持つから‼︎』
『はぁ、このまま空腹で暴れ散らされても困りますから背に腹は変えられませんね……』
流石にこの場で暴れ出されては困るのでナルガクルガも此処は折れてポポノタンを出してやった。
『で? 何で暴れてんだよ、この馬鹿。暴れん坊はアンジャナフとか
『あうふでふぃらないやほ』
『食い切ってから喋れよ⁉︎』
取り敢えず出されたポポノタンを食べ終えたイビルジョーは訳を話した。
『えーとえーとね、とうどでへんなやつがいすわっててポポノタンたべれない』
『『『変な奴?』』』
——凍土ってアレか? 雪山や渡りの凍地とかに負けず劣らずの。
『凍土』。雪山と同じく極めて寒い極寒地帯。孤島とは比較的距離が近いと言われており独自の生態系が構築されている土地である。
『変な奴……と申されば頭と尻が同じの彼奴か?』
『変な奴と言えば、背中に卵乗っけるアレっスかね?』
『お前ら同じ奴しか思い浮かばねぇのかよ。俺も同じだけど』
——って、ギギネブラじゃん。つーか昔からソイツ其処に居るだろ。
『ちがうのちがうの。なんかね、あたまがさんこくらいあるんだよ』
『『『はぁ?』』』
『えぇ?』
そんな話に思わずそんな声が出た。少し離れた位置にいるナルガクルガも思わずそんな声が漏れた。
——頭が三つって、何処のバケモンだよ。サザンドラか? アイツもイビルジョーと同じく暴食野郎だけど、世界観間違ってねぇか⁉︎ いやポケモンもモンハンも段々近寄っては来ているけどよ。
『……頭が三つ、とな。我は聞いた事が無いな……よもやその様な輩までもが現れようとは』
『想像出来ねぇスよ……そんな奴、ねーウラさん。ウラさん?』
『む。どうした、ウラガンキンよ。……よもや心当たりがあるのか?』
『あー、無い……とは言えねぇしそんなバカな、って話でもあんだがなぁ』
『煮え切らぬ、か。しかし、凍土とこの地は比較的距離が近い。その様な奴を野さぼらせるは王の道理に在らず』
——俺の予想……いやいやあり得ない、とはなぁ。転生してウラガンキンになっちまった以上、全く違う展開が起こっても可笑しくねぇだろうしなぁ……。
『そんな奴、ハンターとか如何してんスか?』
『うむ。奴らならば勇んで応じる筈だが……?』
『はんたー? なんかがいしゅういっしよく? みたいなかんじでずばばーってしんだ』
——あ、コレあかん奴だ。つか、なんでそんな単語知ってんだよ。バカなのアホなの?一周回って天才なの?
『……近頃のハンターは異様に強くなっているのに一撃、ですか……。何者なんでしょうね?』
『ならば己が目で確かめるが良かろう』
リオレウスとしても王者としての行持がある。
『あー、そりゃそうだな〜……気になるっちゃ気になるし、つーか、
——メタルとかクリスタルとか、採掘するのに邪魔されちゃ困るからなッ‼︎
『え、いくの⁉︎ みんなでやればこわくない‼︎』
『ええ、分かりました。そんな話を聞いては凍土からのポポノタン仕入れが滞ってしまいかねませんし、もし出来たら今度私の奢りで何かしましょう』
——よぉし、そうと決まれば行くとするかッ‼︎
『え? もしかして俺も含まれているっスか?』
訝しげにゲリョスがそう尋ねる。勿論、返答は。
『『『当然/とうぜん』』』
問答無用で参加であった。
『いやいやいやいや、リオレウスの旦那にウラさんに、ジョーと来て何で俺なんスか⁉︎ 明らかにバランスが可笑しいでしょ⁉︎ 色んな意味で』
『はいはい、文句は後で聞いてやるから、行くぞォォォォォォォォ‼︎』
『うむ、ではいざ行かん‼︎』
『わー‼︎」
『え、ちょ⁉︎ 首根っこ掴ま、ってその状態でローリンうわぁァァァァァァァァァァァ‼︎⁉︎』
哀れ、ゲリョスは我らが『護石王』に首根っこ掴まれた。その状態で『護石王』はお得意の猛加速ローリングで転がり始めて周囲の物を薙ぎ倒しながら爆走を開始した。
『ギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ‼︎⁉︎』
遠くでゲリョスの絶叫が木霊する。後、海面を爆走中に又々、ラギアクルスが『護石王』に頭を轢かれたのは全くもってまた別の話。