いつもより大きめの音が鳴る。いつもより大きな歓声が沸く。
それが高松宮記念、G1初舞台。距離は1200
実況「本日の実況は私、鳥取 高。解説は、出雲 市駅さんでお送りします。本日はよろしくお願い致します。」
解説「よろしくお願いします。」
実況「今回から3月開催に変更となったこのG1高松宮記念、実績豊富なウマ娘が多数いると思うのですが注目のウマ娘…とトレーナー等がいれば教えていただけますでしょうか。」
解説「そうですねえ。本命はホークスブラック。終盤に畳み掛けるタイプですが成長次第では短距離もできるのではないかと思っています。あとは…そうですねえハルウララちゃんはこの前のレースで3着だったのでちょっと期待しちゃってるかなー笑」
実況「はっはっはっ笑笑まずないでしょうがハルウララちゃんが勝ったらとんでもないことですねー!」
解説「(ちょっと不機嫌になる)まぁ後はやっぱりトレーナーですよね。前代未聞すぎて解説のしようがないですが中距離ではウマ娘のスピードについていけていたので短距離ではどうなるか。他だとG1参加11回目の経験豊富なキングヘイロー、G2勝利経験のあるシバタエキサイティング、帰ってきましたノリに乗っているワールドロジック、そしてその妹のラブリーマイネル、そしてあのメジロ家のメジロバイオレンスなんかは大穴としてもいいんじゃないでしょうか。」
実況「やはりG1だけあってタレントが目白押しですね!メジロだけに!(激寒)」
解説「…」
スタッフ「…」
実況「ヒューウ←謎の口笛
実況「さてここで現地に行っているリポーターの声を聞いてみましょう!リポーターのポチャンプタイガーさん!」
リポーター「…………」
実況「聞こえますか!?リポーターさん!?」
リポーター「はい!えーとですね、シバタエキサイティングさんはこの大会に臨むにあたって護摩業をしてきたそうで、勝つ、勝つ、勝つ!と大声で叫び気合いに燃えていました!妹さんもお寺でお守りをもらってきたそうで、目が離せません!」
実況「ありがとうございます!やはり注目はこのシバタエキサイティングとラブリーマイネルにホークスブラック。そしてトレーナーらの四つ巴の状況ですね!接戦が予想される今大会!勝つの誰なのか!目が離せません!」
実況「さぁファンたちの人気投票が終わりました!現地のファン達は勝つのは誰だと思っているのか!?出ました出ました!1番人気はトレーナー!やはり史上初の人間ウマ娘(?)ということでやはり人気は絶大か!2番人気はホークスブラックー!3番人気はシバタエキサイティング!そして4番人気はメジロバイオレンス!ラブリーマイネルは7番人気!」
解説「そうですねえやはりもう少しトレーナー人気は続くと思われます。結果も残してますからこのレース含め今後に期待ということでしょう。シバタエキサイティングよりも人気だったサレジオタイガーはやはり直近の成績がいいですからね、旬のウマ娘と言えそうです。ハルウララちゃんは6番人気だからね、やっぱりハルウララちゃんに期待している人は多いということでしょう。」
実況「キモ…(そうですね!ハルウララにも期待です!)」
「勝つ!勝つ!勝つ!」
私は大声で腹から声を出し自分自身を鼓舞していく。
よっしゃ、今日も明日も明後日も明明後日も、言葉でどう形容していいかわからないくらいの次の日も、勝って勝って勝ちまくる!
本当は緊張で足が震えて仕方ないけども、私は無理やり笑顔をつくる。
今日もきっと、エキサイティングできるから。
口角を上げたままでいることを意識して、私は便器から腰を上げる。
もう大丈夫。私は、私は。
でも隣の個室から嗚咽混じりに泣く声が聞こえる。
…
その声の主が誰かは、後で知ることになる。
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ゲート前。
大体のウマ娘には、トレーナーがついている。G1に出走するようなウマ娘なら尚更だ。
そんななか、数人だけトレーナーのついていないウマ娘がいた。全員、まだG1で勝ったことのないウマ娘である。中には、あの性格の悪いウマ娘もいた。前回のG1で二桁順位の緑服のウマ娘だ。名前はキングヘイロー。彼女にはトレーナーなどもういなかった。彼女の後ろ姿に、誰もいなかったのだ。
天候は曇り。良馬場。もうすぐ、高松宮記念がスタートする。
今日、俺は初めて無力感を味わうことになる。