走れトレーナー   作:ゴールデンウィーク

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トレーナー「お゙れ゙の゙あ゙い゙ば゙が゙!゙」

トレーナー「お゙れ゙の゙あ゙い゙ば゙が゙!゙」

 

 

 

堂々と歌ってやった。死にたい…

完全にこのことを忘れていた。

 

ウイニングライブ。

レース後に出走ウマ娘によって行われるライブで、レースにもよるが基本は上位陣のみ参加する。今回俺は1着を取ってしまったがために、当然参加しなくてはならない。勿論センターで。

ウイニングライブというものは、トレセン学園では「レースに並ぶ重大事項」として定められておりこれをサボると最悪永久追放となる。まぁ何度も繰り返すと、だが。過去に先輩のトレーナーのウマ娘がウイニングライブをサボった時は当時の生徒会長に一晩中叱られたそうだ。

だからこそ俺はサボるわけにはいかなかった。女装なんかしたくなかったので堂々と私服で壇上に躍り出た。

まぁ…紅白歌合戦だと思えば悪くない………本当にそうか?

 

1着を取れたことと、このことも含めてスズカに伝えると女装姿も見てみたかったのに、なんて言われた。あぁみえてSっ気あるよなあいつ。

 

 

レース場からトレセン学園に戻る最中、大勢のマスコミから取材を受けた。無理もない、人間がウマ娘に勝ったんだ。世界史上初の快挙とあってスズカがG1戦で勝った時と同じくらいのマスコミが俺に詰め掛けてくる。それを軽くいなし、トレセン学園に帰還する。

もう時刻も遅いので、スズカのいる病院には入れない。

 

トレーナー室でため息をつきながら天井を見上げる。

 

 

 

逃げの感覚、先頭の景色。未だにあの感覚がこびりついてくる。

 

「今日はもう寝よう…」

 

シャワーを浴びて、新聞に少し目を通して眠る。

 

 

 

全然眠れない。

頭が冴えてしまっている。

 

 

「しょうがないから走るか…」

 

気づけば外周をしていた。

 

 

翌朝、朝刊を手に取るとそこには「人間がウマ娘に勝利!」と大々的に昨日のレースが一面に取り上げられていた。

 

いよいよとんでもないことになった、と身震いをした俺と同時にドアがノックされる。

 

たづな「トレーナーさん、理事長がお呼びです。」

 

どうやらたづなさんのようだ。

すぐに理事長室に向かおう。

 

 

 

やよい「よくぞ来てくれた!」

手には扇子、頭には謎の猫を乗せた小柄の女性が俺に話しかけてくる。

 

やよい「素晴らしい走りだった!まさか人間がウマ娘に勝てるとは!前代未聞だな!」

目を輝かせて語る理事長がちょっと可愛く見えてきてしまった。昨日英語で暴言を吐いた人とは思えない。もしかして俺はロリ○ンなのか?

 

 

 

どうやら理事長の話によるともしこれからも好成績を残した場合クラシックレースの参加資格が与えられるらしい。

これまでのルールだとクラシックレースには期日までにクラシック登録をした「ウマ娘」しか参加できないらしいが俺も登録できるように上に掛け合ってくれるらしい。ありがたい。クラシック三冠は出走するだけでかなりの金額がトレーナーにも入ってくる。優勝ともなると…その先は言うまでもない。

 

 

 

「あーとひとつぶのーなみーだでー」

スズカのいる病院への道中、歌を歌いながら河川敷を歩いていると水色の髪にたんぽぽの髪飾りをつけたウマ娘が釣りをしているのを見かけた。

ほーん、ウマ娘でも釣りなんかするのか。今度声かけてみようかな。

 

受付を済ませ、スズカのいる病室に入る。

スズカはどうやら昼寝しているらしい。

手元には、ルービックキューブが置いてある。

色はぐちゃくちゃで、揃えられそうな気配はない。

 

「ちょっとやってみようかな…」

そうして俺はスズカが起きるまでルービックキューブに夢中になっていた。

結果何十分かけてもルービックキューブは一面すら揃わなかった

 

 


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