走れトレーナー   作:ゴールデンウィーク

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消えたままの王冠

実況「さあ各ウマ娘とトレーナーがゲートに入りました。解説の種島さん、どの選手が勝利すると思いますか?」

解説「んーそうですね、やはり本命は1番人気のノビタジャイアン。スピードがありますからね、最も期待すべきウマ娘でしょう。」

実況「ありがとうございます。さあもうすぐゲートが開きます。」

 

カシャン

一瞬の静寂の後、ゲートが開き歓声がこだまする。

 

実況「さあ先頭はノビタジャイアン、2番手はトレーナー、次いでベイス、ローリングアイランドと続きます。」

 

出遅れてしまったせいで、ノビタジャイアンとは少し差が開いている。しかしさすがのキック力増強シューズ、ここまではウマ娘と互角に渡り合えている。コースの半分ほど走ったところでノビタジャイアンはぐんと勢いを増し、差を広げにかかる。……無茶だ。ペースを上げるのが早すぎる。まだ経験が浅いからか、自分でペースを上げるべきタイミングが掴めていないように見える。掛かったか。おそらく最終コーナーで落ちてくる。そう思った俺は、2番手の位置を確保することを優先した。

 

解説「うーんノビタジャイアンのペースが早すぎますねぇ。掛かってしまっているかもしれません。」

実況「ノビタジャイアンは体力が持つのか?もうすぐ最終コーナーに突入します!」

 

踏み込めば踏み込むほど、芝生は俺の足をトランポリンのように弾き返す、今までは芝生の上を歩いてだけだった日常が今は芝生の上を踏み、前へ前へと走るための原動力になっている。最終コーナーに突入した。

観客の歓声が一段と高くなったその瞬間、俺はペースをあげた。その後はもう、一人旅。

 

 

実況「勝った勝った!トレーナーがまさかの連勝!あのノビタジャイアンに勝ちました!1着はトレーナー。2着はベイス。3着はキング…」

解説「いやあ私たちは今伝説を見ているのかもしれません。驚きですねえ。」

 

 

掛かってしまったノビタジャイアンは最終的に7着にまで落ち込み、俺の後に続くものは誰もいなかった。

普通に走って普通に勝った。…偉そうなこと言ってるけどこのシューズのおかげか。なんか最近、勝っても俺がすごいんじゃなくてこのシューズが凄いんだって思うようになってきて素直に喜べなくなってきた。まあスズカのためだから仕方ないか。

さっさと帰って寝よう。明日はスズカの病院だ。更衣室を出た俺は帰途につく。思ったより疲れていたようで、すぐにベッドで横になった。

 

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翌朝目を覚ますと大量の着信履歴が残っていた。同じ番号からだ。何十件もかけているようだ。

朝刊を取りながらトースターでパンを焼く。待ち時間中は暇なのでこの何度も電話をかけてきた相手にかけ直す。十数秒したのち、電話が繋がった。

「もしもしートレーナーです。どちら様でしょうか?」

「電話番号の登録ぐらい済ませておけ!」

声ですぐ分かった。「理事長!?えっと…ご用件は?」

「新聞を見てみろ。すぐにわかる。」俺はすぐに新聞を開く。

 

……「あっ。」「とんでもないことをしてくれたな」

新聞の見出しにはこう書いてある。

 

史上初!トレーナーがウイニングライブすっぽかし!!!!!と

 

 

 

し、しまったあー!!!!!

 

 

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