今日の勝利の女神は、横っ面を引っ叩く(更新停止中)   作:R主任

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今更めっちゃ『ダイ』本編のネタバレ含みまくってることに気付きタグを更新。サーセン


第10話:女神をひっぱたいた女神がいた(後編)

『楽しんで暮らす』ことが使命……

要領を得ない様子のシグマに、マァムが続ける。

 

『要は【使命とか、やらなきゃダメなことは特に無い】ってことよ。

第一、あなた元の世界に戻っても死んじゃってるじゃない。』

「……そうだったな。」

 

 

 

 

二人と交わした最後の言葉を思い出す。

同時に疑問が沸く。私が死んだ後、あの世界は……

 

 

 

 

『……あの後、大魔王は滅んだわ。

あなたの仲間だったヒムや、ポップがあなたから預かったシャハルの鏡が大活躍してくれたわよ。』

 

「……そうか。

 

……いや、待ってほしい。あの時、ハドラー様は余命僅かという中で、勇者との最終決戦に臨んだ筈。

それなのに、シャハルの鏡はともかく、何故ヒムが……?」

『ああ、それはね……』

 

 

 

 

マァムの口から、様々な事が語られていく。

 

 

 

 

『真竜の戦い』。

ハドラー最大の好敵手、アバンの復活とハドラーの最期。

最高幹部・ミストバーンとの決戦とヒムの活躍。

大魔王との最終決戦。

世界の平和が守られ、その直後に起こった勇者の『自己犠牲』ーーー

 

 

 

 

『……チウ……覚えているかしら、私たちと一緒にいたおおねずみの子ね。あの子が言っていたわ。【悪に奇跡は起こらない!】って。』

「……うむ。」

 

 

 

 

ふと、涙を流していることに気付く。

 

 

 

 

『あの時の戦いも、本当に【奇跡】の連続だったわ。

きっと、あなた達も含めた皆の思いが、あの世界に平和をもたらしたのよ。』

「……そうか……なるほど。改めて合点がいったよ。

ポップが言ってた『横っ面をはたく勝利の女神』とは、君のことだったのだな。」

 

敵であった者達にまで慈愛の心を向け、それでいて信念を叶える為の強さと誇りを併せ持つ者。

女神になったのも、正に彼女自身が告げる『奇跡』の1つなのだろう。

 

 

 

 

『ま、まあ私のことはともかく、そういうわけで分かって貰えたかしら?』

 

少し照れ臭そうな口調で、言葉を続ける。

 

 

 

 

『まず、【あなた達は悪ではない】ってこと。悪だったらこっちの世界に来られなかったでしょうし、もし悪として来ていたのであれば、私がやっつけてあげたところよ。』

「……なるほど、それは流石に御免被りたい。」

 

『次に、【あなた以外のこっちに飛ばされた皆は、基本的に記憶は持ち越していない】という点ね。

あなたが今日まで私達のことを覚えていなかったのと同じ。』

「そういえば、私のこちらでの家族は……」

『記憶は持っていないけれど、元々の皆の気質みたいなものが、自然と【キサラギ家】を作り出したみたいね。

 

……ただ……』

「ただ?」

 

 

 

 

『……正直なところ、ハドラーやアルビナス辺りは、記憶がありながら敢えてこっちで人間として暮らしているようにも見えるのよねえ……』

「……なるほど。確かにアルビナスからすれば、今の状況は悲願みたいなものでもあるものな……

 

……もう1つ、質問させて欲しいのだが。」

『何かしら?』

 

自分の置かれた環境の中で、色々と当てはめる中、ふと【異質な存在】が混じっていることに気付く。

 

 

 

 

「【オミクロン】という私にそっくりな存在について、何かご存知ではないか?」

『あー、その件かあ……実は私も直接は会ったことも戦ったことも無いんだけれどね。』

 

どことなく歯切れの悪い様子で、マァムが答える。

 

『あなた達5人以外にも大魔王の直下として、残りの駒で結成された集団がいたみたいなのよ。あっさり全滅しちゃったらしいんだけれどね。チェスの駒としては、あなたの他にもう1人騎士がいるわけだし、おそらくはその騎士が一緒にこっちに来ちゃったみたいね。』

「……先程の話と照らし合わせれば、一応【悪ではない】ということになるようだが?」

『そうなのよねえ……まあ、私も一応変なことはしないよう気にはかけておくから、あまり気にしなくても大丈夫だと思うわよ?』

 

「了解した。……それにしても。」

 

色々と理解しながらも、一方で理解し難いといった感じで言葉を告げる。

 

 

 

 

「私が人間……いや、『ウマ娘』として、果たして上手くやっていけるのか……」

 

 

 

 

『……っぷ……うぷぷぷっ!』

「何故そこで笑う!」

 

シグマの呟きに対し、可笑しくてたまらないといった様子のマァム。

他人事とはいえ少々失礼ではないか……と怒りを表したのもつかの間。

 

 

 

 

『【かっ飛ばせー、シ・ン・ジ!】ですっけ?』

「 」

 

豪速球が炸裂した。

 

 

 

 

「……神は……神は死んだのか……」

『残念、私が他ならぬ女神よ。』

 

心底落ち込むシグマに対し、あー可笑しい…と呟き、マァムはシグマに続けた。

 

『そんなわけで、とっくにあなたにはウマ娘として、この世界を十分に楽しんでやっていける状況にあるの。分かった?』

「……本当に君はどこまでも女神なんだな。」

『あら、褒め言葉として受け取っておくわね。

 

一応最後に言っておくけれど、あなたの挑戦する【競走】、幾らあなたに元々の力があるからといって、甘い気持ちで臨まない方が良いわよ。』

「……元よりそれについては、メジロの皆達から教わっている。だが、忠告痛み入る。」

『ふふ。【同郷のよしみ】として、応援してるからね。』

 

ーーーそれにしてもこれ、結構『力』を使うから、次にお話しできるのは1年後くらいかもねー。

頑張ってねー。

 

そんな言葉を聞きつつ、目の前が急激に閃光に包まれーーー

 

 

 

 

「ー貴!

姉貴!大丈夫か!」

 

目の前には自分の名を呼び続ける『弟』の姿があった。

傍らには学園の警備員とおぼしき人物、そして『母』も、凛とした中に何処か心配そうな雰囲気を携えている。

 

「時折、女神像の前では不思議なことが起こるようなのです。」

警備員が説明し、どこか痛いところや気分が悪かったりはしないですか?と問いかけてきた。

 

「大丈夫です。それに、今はすこぶる調子が良い。」

「本当に大丈夫か?こうなっちゃ、無理に入学式も出なくて良いんだぜ?」

「……全く、本当にお前という奴は。」「うわっ!何すんだよ姉貴!」

 

思わず『ヒム』の頭をわしゃわしゃとやるシグマ。その様子を見て、「入学式には遅れないよう気をつけて下さいねー」と言い残して立ち去る警備員。

 

「本当に大丈夫なのですか?」

「ええ。心配をおかけしましたが、問題ありません。」

「そうですか……分かりました。シグマ。」

「はい。」

「あなたらしく、精一杯頑張るのですよ。」

「…畏まりました。」

 

ーマァムの予想も、あながち間違ってはいないのかもしれんな……

 

そう思い、式場へ向かおうとして、ふとポケットに覚えの無いメモが入っているのに気付く。

 

 

 

 

【女神より。

 女難の相に、注意!】

 

……今は私も女じゃないか。

そう心で呟き、式場へと向かうのだった。




次回アバン先生対ハドラー様、宿命の対決(なお競技)

ゲームで色々ストーリー拝聴した結果、ダイ側から出すトレーナーとウマ娘との相性が「ヤバすぎる」のが何件かあったので、はよそこまで進めたい。
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