今日の勝利の女神は、横っ面を引っ叩く(更新停止中) 作:R主任
ーーー入学生達が、思い思いに競技場の様子を体験していた……筈だったのだが。
気付けば場内では、幾つもの『駆けっこ』が始まっている。
この日学園を訪れた大勢の関係者が、この場に詰めかけていたならば、最早収拾が付かないほどの騒ぎとなってしまっていただろう。
ポニーテールの少女が、併走する二人に話しかける。
「貴方は?」
「ボクはトウカイテイオー!今年一番の『オーゴンのスーパールーキー様』だよ!」
「……これは又、大きく出たな。」
開口一番の宣言に、思わず反応してしまうシグマ。
「むー?本当のことなんだから仕方ないじゃん。キミはナイトシグマさん、だよね?」
「知っていてもらえたとは、光栄だ。」
「そりゃーそうだよ!ボクはゆくゆくはカイチョーのような無敵のウマ娘になって、最強の座を手に入れるんだ!」
カイチョー……入学式にも姿を見せていた、『シンボリルドルフ』のことか。
考えるシグマをよそに、テイオーが続ける。
「キミもマックイーンも、みーんなボクが倒すんだからさ!」
「……中々面白いことを仰るのですね。」
マックイーンの雰囲気が変わる。
相変わらず、乗せられやすいお嬢様だ……と、心の中で苦笑する。
「初対面の方の心を折るのは気が引けますが……これもメジロの為です。この場でその自信、打ち砕いてあげますわ。」
「お、おー……」
「マックイーン、少し落ち着くんだ。流石に今のは言い過ぎだろう。」
「あら……」
丁寧な言葉遣いで飛んできた、真正面からの宣戦布告にテイオーは返し方が分からず、ドン引きしていた。
シグマがフォローに入り、我に帰るマックイーン。
「確かに頭に血が昇りすぎてしまったようです。申し訳ないですわ。」
「うん、ボクもちょっと言い過ぎたかも……ごめんね。」
素直に謝り合う二人。
「戯れはこの位にして、『ひと勝負』といこうか?」
「そうですわね。体も温まってきましたし。テイオーさん?あなた、あれだけの啖呵を切ったのですから、私達をがっかりさせるようなことがあっては困りますわよ?」
「それはこっちのセリフだよ!」
「距離は……丁度この競技場が1周2000mだった筈。
あのコーナーを過ぎたらスタート、で良いかな?」
「分かりました。」「オーケーだよ!」
再び加熱を始めそうな二人。それをたしなめる目的も兼ねてシグマが提案し、二人がそれに答える。
……考えてみれば、マックイーン達以外のウマ娘と本気で走るのは、これが初めてかもしれないな……
そう思いながら、コーナーを3人で曲がる……と同時に、
本気で競争を始めるウマ娘達。
競技場の空気が緊迫したものへと変わったのを、場内にいるウマ娘達は感じ取っていた。
ジョギング感覚で走っていたウマ娘達は、突然何かが自分の横を駆け抜けたことに呆気にとられる。
逃げの姿勢に出たのはシグマ。その後ろをマックイーンとテイオーが追う形となった。
(……マックイーンは……すぐ後ろにいるな。2000メートルは決して短い距離ではない。私のスピードと彼女の持久力、今日はどちらが勝るか……)
後ろかのプレッシャーを感じつつ、シグマは考える。
そして、そのプレッシャーが1つでは無いことも感じていた。
(…この娘……!)
(二人とも……ボクが圧勝できる相手じゃないみたいだね!)
位置関係は変わらないまま、順調に1000メートルを3人で通過する。
「速い……」「流石は名門の走り……」「栗毛の娘、あの速さについていってる……」
競技場の視線は、いつの間にか3人の走りに集まっていた。
ただし、視線の先にあるものは同じであっても、その考えは一人ひとり全く違っている。
同世代とは思えない走りの様子に驚く者。
純粋に勝負の行方を見守る者。
そして、
「ずるーい!ターボ抜きで競争するなんて!」
「なんか……ドキドキする!」
自分も加わりたい!と思う者。
気持ちを昂らせる者。
「……どれ、私も力比べに混ぜてもらおうかな。」
……自分の立場をすっかり忘れ、闘争心を滾らせてしまう者。
このゲームのガチャ、過去のキャンペーンのキャラも時期限定じゃなくて普通に出るのね……花嫁衣装のマヤノが出てきてびっくりしました