今日の勝利の女神は、横っ面を引っ叩く(更新停止中)   作:R主任

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マックイーンの野球関連の元ネタって、「大脱走」で印象的なグローブとボールだよなあ……と、個人的には頭の中でカチッてなった。
というかグレイやゲームの固有発動スキルを見ていたら、トップの皆がゾーン入ってからの鍔迫り合いってこんな感じじゃね?と。
あと各種固有スキルの発動状況がゲームと違いますが、予めご了承くだされ。


第13話:時速70キロの駆けっこ(中編)

(マックイーンだけならば、このペースを維持しつつスパートをかければかわしきれる筈。

だが、今回はもう一人……)

 

コーナーを曲がった直後に今回のゴールを定めている。

その為、この勝負は最終コーナーでの駆け引きが非常に大事であった。

 

コーナリングの無駄を無くし、且つ相手の進路を意識した位置取りをどのように行うか……

 

最後のカーブに差し掛かりつつ、シグマが後ろの様子を見る。

テイオーが外、マックイーンが内の位置取りで並走してきていた。

 

 

 

 

(……不気味だ……何を仕掛けてくる?)

 

一瞬だけ見えた表情にも、苦しそうな様子は共に見られない。

 

シグマは考える。

相手の一手を待って仕掛けるべきか。あるいはこちらから動くべきか。

この場合はーーー

 

 

 

 

ーーーボウッーーー

 

「!!!」

 

結論を出すよりも先に、後ろから感じたのは強烈な『炎のように揺らめく強烈な感覚』。

 

 

 

 

同時に目の前の競技場の景色とは異なる、『異質な世界』に意識を一瞬もっていかれる。

 

そこに浮かんだものは……

 

 

 

 

ーーー澄み渡る青空に浮かぶ雲。

 

その雲を軽やかに跳ね回る、テイオーの姿ーーー

 

 

 

 

「一番はこのボク!テイオー様がいっただっくよー!!」

 

 

 

 

(……な、なんですの!そのスプリントは……!!)

 

真横でスパートを仕掛けられたマックイーンには、テイオーの走りの『異質さ』が手に取るように伝わった。

 

走っているというよりも、まるで『跳ね回っている』としか思えないような足捌き。

コーナーでの走りも、芝の様子を知り尽くしたかのような無駄のないフットワークで、みるみるシグマとの差を詰めていく。

 

 

 

 

(……よし!このまま追い付いて……『……甘い』……っ!?)

 

 

 

 

シグマを捉えた……と思った瞬間、背筋の凍るような恐怖に襲われる。

彼女の目に一瞬、炎のようなものが宿った次の瞬間……

 

(……!危ない!)

 

『意識』の中、右肩を何かが掠めたような感覚を覚えていた。

 

 

 

 

テイオーは驚愕する。

 

競争で集中するといつも入り込んでいた、自分だけの世界に……

 

近衛兵を思わせる格好で銀の『騎士』が現れ、目の前に立ちはだかっていた。

 

 

 

 

……え、それじゃあ、今投げつけられたのって……

 

 

 

 

『……ほう、あれをかわすとは。』

『な、何するんだよもー!ボクじゃなかったら【キョーアクハンザイホー】に引っ掛かって死刑だよ!死刑!』

『そんな法律は存在しないが。』

 

シグマの天賦ともいえる能力。

相手の仕掛けるタイミングを読み切り、自らがスパートをかけて一気に勝負を決めにかかるもの。

テイオーは上手く回避したが、並みの競争相手はその『槍』をまともに受け、まともにそのレースを走ることができなくなる。

 

『仮に当たっていても、生命に影響が出ることはないから安心ししてほしい。勝負はいただくがね。』

『もー!それが嫌なんだってば!』

『全く、わがままなお嬢さんだ。』

『キミだって同い年じゃないか!』

 

集中する意識の中、挙動を通じて相手の意思を理解する二人。

互いの一手が微妙に不発に終わったことで、少しばかり緊張感に綻びが生じる。

 

 

 

 

……そして、それを、それこそを狙っていたステイヤーがもう一人。

 

 

 

 

『……お二人とも、そろそろ無駄話はよろしいかしら?』

 

『……あっ』『!……しまっ……!!』

 

お互いへの牽制を続けていたテイオーとシグマ。

そのせいで、『もう一人の相手』が仕掛けることを無警戒で許してしまった。

 

 

 

 

ーーー二人は、目に炎を宿したマックイーンが悠々と通り過ぎていく様子を、呆然と見つめることしかできなかったーーー

 

 

 

 

「あー、負けちゃったよー。」

「今回は完全に不覚をとった……完敗だ。」

「いえ、お二人が勝っていてもおかしくなかったですわ……むしろ私の仕掛けるタイミングが早ければ、勝っていたのはあなた方のどちらかだったでしょうね。」

 

最初にゴールの目印を駆け抜けたマックイーンを先頭に、クールダウンを図りながらレースを振り返る。

 

「それにしても物騒だねー、シグマのあれ。」

「メジロの皆も、いつもあれには最大限の警戒をしながら走っていますので。テイオーさんが先に仕掛けてくれて本当に助かりましたわ。」

「ああ……正直マックイーンに注意を払えば良いと思っていたが……テイオー、君があれほど手強いとは。本当にしてやられたよ。」

「こっちこそ、二人ともスゴかったよ!でも、次に勝つのはボクだけどね!」

「次も勝つのは私ですわよ?」

「二人とも冗談を……私に何度も同じ手が通じると思わないでくれよ。」

 

レースの余韻も冷めやらぬ内に、そのまま再戦へと意識を高め始める三人。

 

 

 

 

「それならば少し休んで、もう一度……」

「私も混ぜて欲しい、その勝負。」

 

 

 

 

背後から、凛とした声と共に沸き上がる、凄まじいプレッシャー。

三人の様子を見ていたウマ娘達も、その存在に目を奪われる。

 

 

 

 

「新入生の様子を監視する……というのが今日の仕事だが、あれだけの勝負を見せられては流石におとなしくしてられん。

構わないな?」

 

長いポニーテールに鼻腔テープ、枝を咥えた『シャドーロールの怪物』。

ナリタブライアンが、そのポーカーフェイスに抑えきれない闘志を漲らせていた。




マックイーンの発動スキルの様子を「バイクに乗って有刺鉄線や木材を軽々と乗り越えていく」とか描写しようかと思うも、流石にイメージに合わんので却下。
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