今日の勝利の女神は、横っ面を引っ叩く(更新停止中) 作:R主任
ss書くのってホンマ難しい
「……落ち着いたか?」
暫くハンカチを目に当ててぐずり続けた後、震えが治まってきたのを見て、ゴールドシップが話しかける。
「ごめんなさい、ハンカチを汚してしまったわね……」
「いいってことよー。ところでよ、」
「?」
ハンカチを受け取りながら、言葉を詰まらせた様子を見て不思議がる。
「オマエ……誰?」
「はぁ!?誰って何よそれ!」
「いや、名前聞いてなかったよなー、って。」
名前も知らない相手を拉致して連行したの?と激情に駆られるも、同時に直前の出来事を思い出す。
……変だけど、悪い人ではないわね。変だけど。
「オミクロン、『コマゴメオミクロン』よ。」
「りょーかい。どっちで呼べば良い?」
「どちらでも構わないわよ?オミクロンでも……」
「いや、『百式』か、いっそ『リック・ディアス』……」
「なんで!?というか何それ?聞いたこと無いわよ!」
「んだよ、知らねーのかよ。世の男の子達はみんなあいつらに夢中だぜー。」
「女でしょ私達!」
んじゃ、オミクロンにするわー。と、軽い様子で立ち上がり、ラジカセに近づきつつゴールドシップが言った。
「オマエ、絶対今の顔の方が良いって。」
ーーー
『この後、大変な出来事が!』というボードをオミクロンに見せ、ゴールドシップがラジカセの再生ボタンを押す。
『……このテープは再生後、5秒で……』
「えっ?」
『次の内容に移ります。』「わざわざ言う必要いるのかしらそれ!?」
『大事なことなので言いました。』「どの辺が大事なの!?」
「オイオイ、カセットテープと会話すんなよなー。」
「あなたがやらせてるんでしょう!大体このテープの声、あなたが吹き込んだんでしょうが!」
『さて、おしゃべりはこの辺にして……』
カセットテープから流れる声のテンションが変わる。
同時に、徐々にBGMがテープから流れ始めた。
ーーー
「ーーーオイ!早まろうとすんな!お前には守ると決めたものが……」
『すまねえ。そいつはおめえに任せるよ。』
「ふざけんな!お前以外に誰があいつを支えてやれると思ってんだ!」
『いや、アレもすくすく成長して今や反抗期さ……いよいよおいらの手を離れようとしてんだよ。』
「反抗期にこそお前がそばにいてやらなきゃ駄目なんじゃねえのかよ!ええ?」
「……」
……サングラスをしたゴールドシップが、本人の等身大POPの前に置かれたラジカセとの寸劇……どうやらサスペンスもののクライマックスシーンのようである……を始めて、5分が経過していた。
オミクロンも、時々突っ込みを入れようとするが、それを見越したかのように『ラジカセの方から』回答が飛んでくる。
……というか、良く見るとPOPのゴールドシップの表情が、良く見ると微妙に変化しているような……
そういった流れの中、オミクロンは一旦深く考えるのを止め、ゴールドシップの寸劇をただ見つめていた。
……と。
『……それでは、さらばだ……』
「あ、アオシマあああ!」
カセットテープの犯人役が、崖からの投身を図ったようで、刑事を演じていたゴールドシップが崖の上へと駆け寄り……
ダイブした。本人の方が。
「……!!!え、ええええ!?ちょ、ちょっとちょっと!」
信じられない光景を目の当たりにし、混乱したオミクロンが慌てて崖の上へと走り、崖下の様子を見る。
(ゴールドシップ……じゃ……ない?)
『へのへのもへじ』と書かれた物体が、それほどの高さではない直下の海辺に見えた。
そして……
「……残像だぴょい。」
「ひいぃっ!?」
真後ろからゴールドシップが声を掛け、オミクロンは驚きでへたり込んでしまった。
「これぞ、我がゴルシ流『ドッキリの術』その117……大丈夫か?」
「……大丈夫かは、こっちの台詞よぉ……」
泣き出したオミクロンを見つめるゴールドシップ。
「本気で心配したんだからね……ぐすっ……」
「お、そうなのか?」
「当たり前でしょう……」
「なんだオマエ、人の心配とかできるんじゃねえか。」
「……は?」
「最初に見たときの表情だよ。何だよ、あの『私は一人なの、構わないで話しかけたら殺すわよ』みたいな目はよお。」
「……」
「実際話しかけられなかったよな?アタシ以外から。」
「……うん。」
「そんなんで、みんなと楽しく踊れるわけねーだろ。」
「……」
「レースで勝っても、つまんなそーにしたり無愛想に踊ってたら誰も応援してくんねーぜ?」
「……」
「考えようとしなかったのか、それとも考えたこともなかったのか……ま、どっちでも良いけどな。」
……無言のオミクロンに、遠慮など一切無しでゴールドシップが続ける。
「だいたいオマエ、何でここに入学したんだ?勉強とか大変だったろ。」
「……約束したのよ、お父様との……」
「はいカットー。」
「……!何よ!わたしは本当に……」
「やめとけやめとけ。自分どころか誰かでもなく、何かのため?そんなんで走ってもお前が楽しくねーし、続かねーよ。」
「あなたに何が……!」
「だってよお、その何かのために、あーんな顔してたんだろ?」
「……っ!」
「それとも何か?約束守れなきゃお前ゲームオーバーか?真っ黒な画面でBGM流れんのか?コンティニューしますか?」
「げ、ゲームオーバー?コンティニュー?」
「コンティニューしますか?」
「……い、いいえ?」
「そんな、ひどい……コンティニューしますか?」
「ええと……」
「コンティニューしますか?」
「……はい?」
「よっしゃー!ノリノリじゃーん!」
両手を突き上げて回転するゴールドシップ。
……今のは何なのよ……と言おうとして、又ペースを乱されるだけだと嘆息する。
「『ウマ娘達の一番になるために来ました!』これでいーじゃん。」
「は?そんなの……」
「いんだよ。ウマ娘ならみんなそう思ってるって。オマエも今からそうしろよなー。シンプルな目標で頭すっきりんこ!」
「……」
「んじゃ、改めて聞くぜ。オマエ、何でここに入学したんだ?」
「……ウマ娘達の、一番になるために……」
「テメエ、このゴルシ様に勝利宣言とは、中々良い度胸してるじゃねえか……」
「あなたがそう言えって言ったんでしょ!!」
「落ち着け、はい、ニンジン飴。」
「……いただくわ。」
「……ま、『オマエそっくりの奴』に勝てるよう、頑張るかー。」
「!!!」
やっぱあいつに何かあんのか、まあそうだよな……と考え、続ける。
「だったら、オマエの為に走れよ。名誉とか家柄なんてどーでも良いこと、練習やレースでは忘れちまえ。」
「そんなこと……!」
「アタシはアタシのやり方で、自分も周りも全部ひっくるめて楽しむつもりだ。名付けて『ゴルシちゃん100年計画』!」
「……」
「で、そんな世界にさっきまでのオマエみたいな奴がいちゃ、まーやりずらいんだわ、これが。」
「……」
「そんなわけで、これだけアタシから情報を聞き出したオマエは、早速戻って特訓開始だ!」
「へっ?」
勝手に色々喋ったのはあなたの方じゃない……そう思った直後、再びゴールドシップに麻袋に入れられた。
「沖野ー、ちょりーっす。」
「ゴールドシップ……って、何?その娘……」
「チームの研修生だ。暫くダンスをみんなでみっちり教えるから覚悟しろよー。」
「え?っていうかその前に覚悟って何……もしかして俺がすんのかよ!?覚悟!」
……ゴルシさん、細かい部分修正しようとしただけなのに、更なるネタぶっ込んでくるの勘弁してもらえますか……
お昼休みの1時間飛んだぞマジで……