今日の勝利の女神は、横っ面を引っ叩く(更新停止中)   作:R主任

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アカン超書きやすい


第20話:チーム「ポルックス『被害者』」の報告①

ーーーいやあ、あのモルモット君は、私が最初に出会った時から色々と『人智を超えている』、としか言えない存在でねえ。

 

私がトレセン学園から身を引こうとした時も……

 

 

 

 

「……お前がアグネスタキオンか。」

「何だい、キミは?トレーナーならば他を当たってくれないかな?」

「そういう訳にもいかん。何故、お前は『諦め』ようとする?」

「『走るのに興味が無くなった』という回答では、納得して貰えないかな?」

「……悪いが、お前とシンボリルドルフの走りを見てしまった。あれ程の走りを見せられて、お前の『興味が無い』という言葉を信じられるほど、俺は単純ではない。」

「……もしそうだったとして、キミに何ができるんだい?」

「お前が走ることを諦めないのであれば、俺はお前に何をされても構わん。例え命をくれ、と言われても、それに従うまでだ。」

「おいおい、流石にそんな物騒なことは……

 

……フフッ、そうだねえ……それでは明日、競技場に来てくれたまえ。少し試してみたいことができたよ。」

「分かった。」

 

 

 

 

ーーー

 

「……別に来てくれなくても構わなかったのだがね。ところで、そちらの方は一体?」

「俺の通っていたカール学園の『黒子台先生』だ。何かあった時には見届けて貰おうと思ってな。」

「君がアグネスタキオンさんか。今日はこいつ、『音坂 蹴』に頼まれてな。

事情は良く知らんのだが……何かやったのか?こいつが。」

「いえいえ。ちょっとこの人が私に、色々とお節介を焼いてきているところでして。」

「そうか……」

 

(飄々としているようで、目に生気がない……これは、狂気でもない、何かを達観している者の目か。)

 

黒子台が心の中でタキオンを評価する。

こういう者に声をかけたということは……

 

「……どうやら、阿万校長の教えはしっかりと守れておるようだな。」

「守れているかどうかは、これから起こることが証明してくれるさ。」

 

 

 

 

……あの札付きのやんちゃ坊主が、よくぞここまで……と、黒子台が感心する一方、タキオンがおもむろに懐から、試験管に入った液体を幾つも取り出す。

 

 

 

 

「音坂くん……というのか。それでは、改めてキミにこの場でお願いしたいことがある。

私は以前からヒトとウマ娘が持つ『可能性』というものに、少々興味があってねえ……もし私がこの先も走るのであれば、学園でこういう研究も続けていこうと思っている。

さしあたっては、まずこの中の1本を……   えっ?」

 

 

 

 

タキオンが持っている試験管に全てを奪い取り、

 

 

 

 

「お、おい音坂!?」「え、えーっ!?」

 

 

 

 

何の躊躇いもなく、全てを一度に飲み込む。

それを見て驚愕する黒子台とタキオン。

 

そして……

 

 

 

 

「ぐ、ぐあああああ!?」

 

突然胸を抑えて苦しみ出す音坂。

 

「タキオン!お前、こうなることが分かっていて、こいつに……!」

「い、いや、待ってくれ!少なくとも苦しみ出すような効果は生まれない筈だ!そもそもあれを一辺に飲んでくれだなんて一言も……

 

 

 

 

……えっ?」

「な、何が起こっているのだこれは?」

 

 

 

 

突如音坂の体が明るく光ったかと思えば、反対にまるで闇に覆われたかのように暗く染まって……を繰り返し、その間も苦しみ続ける音坂。

 

 

 

 

「ま、まさかこれは……こいつの中の『光と闇』が戦っているとでもいうのか!?」

「え、何だいそれ」

 

黒子台の推測に理解が追い付かず、素の反応を見せるタキオン。

 

 

 

 

「さっきも言った通り、こいつも昔は色々とやんちゃしていてな……それが我が学園の阿万先生と出会ってから変わっていったんだ。こいつの体内から発せられる闇は、あの頃から残っていたこいつの心の闇なのかもしれん。」

「ああ、そうかなるほど」

 

無表情で返答するタキオンを尻目に、黒子台が音坂に叫んだ。

 

 

 

 

「音坂!オレはお前を信じている!例えこの身をお前に裂かれ、最後の一片になったとしても、お前を信じ抜くぞ!

だから戦え!悪い心と戦うのだっ!」

「……流石にそんな物騒な……いや、それにしても綺麗だねえ……」

 

オセロのように白と黒の発光を繰り返し続け、最後に……

 

 

 

 

「ぐおおおおおっ!」

 

一際大きく叫んで、倒れ込む音坂。

 

まるで死んだように動かない……

 

 

 

 

「……い、いや、待ってくれよキミ!私は決してそんなつもりじゃ……!」

 

 

 

 

駆け寄るタキオン。

そこに、足首をガシリ、と掴まれる。

 

 

 

 

「……俺はお前との約束を果たした。今度はお前が俺との約束を守る番だぞ……。」

「き、キミ……」

「音坂!やはり生きていたか!」

 

 

 

 

身体中から光を放ちながらタキオンに語りかける音坂と、狼狽えるタキオン。

当然だという様子の黒子台。

 

 

 

 

「俺はお前の為ならば、この身が砕けようとも構わん。

だから、お前も決して諦めようとしないでくれ……俺の、いや、俺達や学園の為に!」

「う、うぁ……」

「音坂……お前って奴は、本当に……」

 

真っ直ぐに宣言され、顔を赤くしながら返答に窮するタキオンと、教師としての目線から胸を熱くする黒子台。

暫くそんな光景が続いていた。

 

 

 

 

「……立てるかい?」「ああ、大丈夫だ。」

「……なら、さっさと行くぞ!」

「何処にだ?」

 

「……決まっているだろう!私とキミとのトレーナー契約を行いに、だ!」

 

 

 

 

音坂の手を引いて、早足になるタキオンと、それに従う音坂。

 

 

 

 

「タキオン君、音坂のことを頼むぞ。」

「……ああ、分かったよ。フン……こいつは随分と良い実験台が手に入ったものだ。」

「……しかし、さっきのあの薬、本来の効果はどういうものだったのだ?」

「いや、少しばかり筋肉の潜在能力を引き出す筈だったのだが……」

 

 

 

 

と、目の前の教師の図体に興味が湧いたタキオン。

 

 

 

 

「……黒子台先生、差し支えなければ、ひとつこの薬を飲んでみてほしいのだが。」

「大丈夫なのか?」

「1本ずついけば問題ないようには作っている。今回の見物料と思って、ぜひ。」

「ふーむ。」

 

タキオンから試験管を受け取り、物は試しと液体を口にした。

 

 

 

 

……それは、効果云々以前に、あまりにも苦く……

 

 

 

 

「ぐあああああ!」「く、黒子台先生ー!」

 

……口を抑えて転げながら悶絶する大男がいた。

 

ーーー

 

……本当に、何処までも無茶をするモルモット君さ、彼は。

人間であるかどうか、時折疑わしく思うことも多いね。

 

 

 

 

私が有馬を走ったときも……

 

ーーー

 

『さあ、最終コーナーを回って、先行するのはアグネスタキオン!しかし、後方の集団からマンハッタンカフェが飛び出してきている!

おーっと、これは!?マンハッタンカフェ、アグネスタキオンを捉えようかというところで、突然その勢いが止まる!

そして、観客席でトラブルか!?誰かが苦しんでいるようだが!?』

 

ーーー

 

……カフェ君が言うには、『あの子が私をどうしても勝たせたいと思うあまり、【墜ちそうになった】のを、あの音坂というトレーナーが【その身を犠牲にして、墜ちるのを救ってくれた】』らしいねえ。

 

……まったく、冗談はあの鈍感っぷりだけにしてほしいものだよ、本当にね。

モルモット君ときたら、私だけでは飽き足らず、他にも犠牲者を増やすんだからねえ……

 

 

 

 

さて、モルモット君についての話ならば、そうだねえ……確か私の次に『ポルックス』に入ったのは、タイシン……ナリタタイシン君じゃなかったかな?




ヒュン→擬音→音→音坂
ケル→蹴る→蹴

ノヴァの役割について「みなみとますおと『きた』」で思いついてしまったので、多分そっちよりはマシ
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