今日の勝利の女神は、横っ面を引っ叩く(更新停止中) 作:R主任
俺はその前のG1がクリアできねえぜ!
ホンマこのゲーム、繰り返さんと分からんこと多いねえ。
ーーー
「よろしくお願いします。」
「……よろしくです。ぺこり。」
「おう。これから頼むな。ま、気楽にな。」
チーム『シリウス』。新たにサブトレーナーとして配属となった『桐生院葵』と、『ハッピーミーク』が初日の練習後、改めて主任トレーナーの北原に挨拶する。
「しっかし、葵ちゃんが来てくれるのは知っていたが……これは又、中々鍛えがいがありそうな娘が来てくれたなあ。」
「……ありがとうございます。」
『ユーティリティ』。
北原がハッピーミークの入団テストーーー彼女に限っては、葵が連れてきたこともあり、半ば適性検査のような意味合いが強かったがーーーを経て、下した評価であった。
北原を一流トレーナーに押し上げたと言っても過言ではない、オグリキャップのようなずば抜けた能力や強みはまだまだ見当たらないが、とにかく短所らしい短所が無い。距離適性に関しても、走ろうと思えば短距離から長距離まで、何でもこなせる……といったところだった。
北原が、チーム『シリウス』について考える。
昨年度シニア級で活躍したメンバーは、既にドリームトロフィーリーグへ進むか、今期は無理せずリハビリや回復に専念するメンバーがほとんどである。
また、ジュニア級やクラシック級を走るメンバーも、皆頑張ってはいるがその年の『顔』となれそうな才能や能力のある者は、正直なところ……
(……今年は育成やスカウトに専念すっかなあ……こいつら桐生院の兄妹も含めて。)
……というのが、北原の本音であった。
(新入生にも、今年は有望そうな奴らが多く入っていると聞くが……まずは、今頑張っている奴らに答えてやらねえとな。)
「ミークちゃんは、まずは葵ちゃんの指導に従ってくれ。分からないことがあったら俺や悠人が助ける。」
「あ、はい!分かりました。」
「……がんばる。おー。」
(……地方にいた頃は、まさかここまで大所帯の連中をまとめ上げるのが大変だとは思ってなかったぜ……ま、辛くはねえけどな。)
ーーー
「……と、いうわけで新入りのマックちゃんでーす。」
「え、ええええええ!?本当にメジロマックイーンさんなの!?」
「ちょ、ちょっと待ちなさい!私はまだ入るとお伝えしては……!」
ゴールドシップが『スピカ』に連れてきた存在を見て、ウイニングチケットが驚きの声を上げる。
スピカの室内にいた沖野トレーナーや、他のウマ娘達も、ウイニングチケットのようなリアクションこそとってはいなかったが、皆驚いた様子を見せる。
「というか、ゴールドシップは何でメジロマックイーンさんを連れてきたの?」
「んー?アタシのレーダーに引っ掛かったんだよねー、こう、『ドゥン、パーン!ドゥン、パーン!』って。」
「おおお!それはすっごいレーダーだねえ!」
「……メジロマックイーンさん……」
「マックイーンで良いですわ。」
「あー、マックイーンさん、ウチのゴルシがすまん……」
ゴルシとチケゾーの恒例のやり取りが始まり、その最中で沖野がマックイーンに詫びる。
「……むしろ、ウイニングチケットさんって、本当にテレビなどでお見かけするキャラ、そのまんまなのですね……」
「まあ、あの真っ直ぐさがあるから、あいつは去年ダービーを獲れたんだけどな……」
チーム『スピカ』を去年一躍有名にした、クラシック級でのダービー制覇。
勝利後のライバル達や沖野を巻き込んでの号泣や会見の様子は、瞬く間に彼女のファンを増やすに至り、『スピカ』に入団を志望する者も急増した。のだが……
「このレーダー、凄いんだぜ?ちょっと細工すると……『ワタシ、ウチュウジン。イマカラチキュウ、シンリャク。』」
「ウワアアアア!?それは駄目だよお!地球が!みんな!ぬ¨わ¨ーっ¨!?」
根っこの部分での面倒見などは良いのだが、基本的に掴み所がなく破天荒な言動を繰り返すゴールドシップ。
そして、それを流すこともなくひたすら正面から受け止めてリアクションを取りまくるウイニングチケット。
……このテンションについていけない、という理由で入団を躊躇う者も多かった。
「……ブレーキは?」
「……できれば頼めると嬉しいんだけど……」
「はあ!?私が…… ……!!」
その時、マックイーンに電流走る。
スピカの部室の机に置かれたチケット、それは……
『高級スイーツ、食べ放題』
「……沖野さん、つかぬことをお聞きするのですが……」
「どうした?」
「あ、あの机の上のチケットは……」
「ん?ああ、あれは……ぐほっ!?」「おーっとわりー。アタシの体が滑ったー。」
「沖野ザアアン!?」
沖野が答えるよりも先に、ゴールドシップのドロップキックが沖野に炸裂。吹っ飛ぶ沖野と驚いて駆け寄るウイニングチケット。
「これはね、マックちゃんがスピカに入ってくれるなら、選別にプレゼントしてあげようと思って……ね?」
マックイーンに上目遣いで話し出すゴールドシップ。
「……そ、そうなんですの?で、では……」
「いや、目がマジなのは良いけど涎出てんぞお前」
葛藤を始めたマックイーンの様子に、素で返す。
もう少し疑えよと思い、早々にネタばらしに入る。
「そいつは今日、既にウチに入った奴に歓迎会開いてやろう、ってことで用意した奴なんだよ。ま、もしマックちゃんがウチに入ってくれるってなら一緒に来ても構わねーぜ。な、沖野?」
「……俺の出費が増えるけどな……まあ、良いさ。」
「あの、あなた今のは……」
「大丈夫大丈夫。こいつのタフさはゴルシちゃんお墨付きだから。」
「そもそも蹴らないでくれると嬉しいんだがな……」
「……はあ。」
「え……じゃあ、マックイーンさん、ウチに入ってくれるの?」
ウイニングチケットがマックイーンに問いかける。
『【はい】か【イェス】か【ヤー】だよね!』と言わんばかりのキラキラとした表情に……
「え、ええと、暫くは『仮入部』ということであれば……」
「!……ウワアアアン!嬉シイヨオオオ!」
マックイーンの手をとって感動のあまり号泣するチケゾー。
「マックちゃーん」
「か、勘違いしないでください!元々スピカのお話はライアンさんやドーベルさんからも聞いてましたし……ああそのニヤケ面!ひっぱたきますわよ!」
部室内がカオスな状況で、むしろ俺は俺でこの令嬢を一人前にしないとな……と考える沖野。
……と、
「失礼します。今日の基礎トレーニング、終わったよ……!?」
「おー、お疲れオミクロン。」
「いつも頑張ってるね!今日はこの後みんなで……?」
「あら……あなたは……」
部室に入ってきたオミクロンが、沖野に報告しようとして、マックイーンを見て固まった。
マックイーンの方は、シグマにそっくりなその姿を見て『そういえばシグマさんから聞いたことがありましたね……』と、相手を認識する。
そこに、
「オミクロンちゃん、アイシテルー!」
「なあっ!?」
ゴールドシップがオミクロンに抱きついた。
そのままの状態で囁く。
「……お前にとっちゃ、あのマックちゃんは『倒したい相手の一番の友人』なんだよな?」
「……」
「だったら、色々教えてもらえよ。」
「……!!!」
「あ、アタシがマックちゃん連れてきたのは、決してその為じゃねーからな。そこは誤解すんなよー。もしマックちゃんに何かよからぬこと考えたら連れていくからな。」
「……うん。」
以前拉致られたことを思い出し、素直に頷くオミクロン。
「冥王星にな。」
「どうやってよ!」
突然声を張り上げるオミクロンに、戸惑うマックイーンと、『いつものことか』と思う沖野とチケゾー。
入学式後、ゴールドシップが連れてきたオミクロンは、沖野の指導やウイニングチケット達によるダンスレッスンなどもあり、何だかんだでいつの間にかスピカに馴染んでいた。
「メジロマックイーンさん……よね?」
「ええ。あなたは確か、『コマゴメオミクロン』……さん、でしたかしら。」
「知ってて貰えて光栄だわ。」
オミクロンがマックイーンに続ける。
「同期として、あなたもいずれは越えるべき存在。よろしく。」
「あら……こちらこそ。」
(アイツ……)
そのやり取りを見て、笑みを浮かべるゴールドシップ。
「それよりも、今日はこの後どうするの?」
「ああ、練習は早めに切り上げて、皆で『食べ放題』といこう!」
「……え?食べ放題って……」
「驚いた?オミクロンちゃんとマックイーンさんの歓迎会も兼ねた『スイーツ食べ放題』だよー!」
「……でも、今日食べ過ぎては明日以降の制限は……ならばこの後の練習で……」
「オイオイマックちゃーん、今日ぐらいはさー」「うるさいですわ!」
グサリ
「「あっ」」
葛藤にふけるマックイーンの顔を覗き込ゴールドシップに、マックイーンが反射的に手を振り払う……その指が目に刺さり、
『ウギャアアアア!!』
目を抑えながら転げ回る長身美女の姿があった。
チケゾーのテンションを的確に表現するのが難しい。
しかしURAファイナルズって流用元にパワポケ6の『裏野球大会』も少なからず含まれてるよね……とやればやるほど思えてくる