今日の勝利の女神は、横っ面を引っ叩く(更新停止中) 作:R主任
『ダイの大冒険』のキャラについては、名前を現代風にアレンジしています。
今回の該当者はこちら。
・桐生院 悠人←ラーハルト
あと、チーム『シリウス』および『スピカ』からモブのオリジナルウマ娘を数人登場させます。
「……皐月賞、やはりオペラオーは出走するそうだ。」
「ははっ、そうこなくちゃな。」
週末の『皐月賞』に向けてチーム『シリウス』のメンバーが練習を行う中、サブトレーナーの桐生院悠人が北原チーフトレーナーに報告を行っていた。
「弥生賞には出てこないもんだから、おかげで誰が1着をとるのか読めねえのなんの。」
「……ウチのメンバーが聞いたら、怒るぞ?その発言。」
「いやいや、あいつらを貶してるわけじゃねえよ。大体あのレースの後は、お前も一緒になって走った奴らを労ったじゃねえか。俺の懐痛めてな。」
「今後もああいう機会が増えたら、出費が凄いことになりそうだな……」
「ま、ああこういうのも込みで俺らの仕事だからな。
将来独り立ちしたら、自腹切るのはお前だぞ?」
「うーむ……」
「オイオイ、今からそんなこと考えてんじゃねえよ。あくまであいつらに対しちゃ、『レースで勝たせる』ことを考えろ。」
「それもそうか……すまない。」
敬語よりも気楽ということで、北原は悠人にタメ口での会話を普段から容認していた。
その悠人が珍しく素直に謝ってくる様子に軽く面食らいながら、北原は続ける。
「『トリプルティアラ』を選んだ連中は順調か?」
「ああ。目下の相手は……むしろチーム内での競争だな。……幸い、ウチで去年デビューした連中は、全員ここまで怪我もなく順調にきている。」
「流石は桐生院トレーナー、ってところか。」
「最終的にデビューさせる娘を決定したのはあんただろう。」
「んじゃ、流石は俺、だな。」
含み笑いをする北原と、肩をすくめる悠人。
G1。
重賞の最高峰、ジュニア級でのデビューから己を磨き続け、一定以上の結果を残した者達だけが参加できるレース。
全国のウマ娘達が出走や勝利を目指す中、今年も『シリウス』から出場に名乗りをあげる者がいる。
「実際、デビューしたところで、まずはレースに1度でも勝たなきゃ、スタート地点さえ遠のいていっちまう。未勝利戦だっていつまでもそいつを待っちゃくれねえ。
あの娘達にとっちゃ、1戦1戦が勝負だからな。」
「ああ。……桜花賞はウチの『バーニングパープル』と『エメラルドクリスタ』、そこにスピカの『バトルコメット』辺りが張り合ってくる感じになりそうだ。」
「スピカ……沖野か。簡単には勝たせちゃくれねえだろうな。」
「勝つさ。だがどちらが1位を獲るかは分からんが。」
「はは、頼もしいな。」
トリプルティアラに関しては、引き続きこいつに任せるか……と改めて思い直し、北原はクラシック三冠に話題を戻す。
「皐月賞、今回ウチから出るのは誰だ?」
「『クレイジーロデオ』と『ホットスフィア』だ。」
「そうか……折角出走するからには、あいつらがどこまでやれるか見物だな。」
華麗さや優雅さ、そして勢いが物を語るトリプルティアラに対し、個々の実力が全てを語るのがクラシック三冠。
そこでトップを目指す連中……となれば、北原の方でも腰を据えて指導に関わる必要があった。
「勝てると思うか?」
「それをやらせるのが俺たちの役目……と言いたいが、流石にクラシック3冠の1角ともなると、簡単にはいかねえだろうな。」
「『シリウス』の中で、少なくともあいつらに勝てるウマ娘はいないぞ?……ああ、勿論オグリさんは別だが。」
「そういう奴らが集まる世界なんだよ。ここからはな。」
かつてオグリキャップが戦った相手やレースを思い出しながら、北原は続ける。
「オペラオー以前に、まずは弥生賞を獲った『スペースミリオン』や、2着の『アドマイヤベガ』にはリベンジする気でかからねえとな。」
「その辺りは、あいつらが一番分かっているだろうが。
……ちなみに……」
「どうした?」
「あいつらにマークさせるなら、どちらの方が良いと思う?」
「アドマイヤベガの方だろうな。」
悠人の質問に、即答する北原。
「明らかにリハビリ明けの調整って感じで、本気じゃ走ってなかったようだからな……しかし、それで2位とか、つくづく悔しいが天才ってのは幾らでも出てきやがるな。
あ、変にマークしろとか、あいつらに伝えるんじゃねえぞ。」
「分かってる。あくまで例えだ。」
「……まあ、いずれにしてもあいつらに勝つことが目標だ。景気良く勝てれば良いけどな。」
「勝たせるのが俺達の仕事……と、言ったばかりだろう?」
「ははは、そりゃそうか。」
だが……と、北原は続ける。
「勝たせるにしても色々なやり方があるもんだ。今回出走登録をしなかった『カノープス』のメイショウドトウみたいに、無理にG1での勝利を狙わず、じっくりと鍛え上げながら結果も出す、みたいな方法もな。」
「メイショウドトウ、か。弥生賞では……」
「ああ。」
最終コーナーで仕掛けようというタイミングで、まさかの転倒。下位に沈んだ1人のウマ娘を共に想像する。
「結果こそああなったが、もし転んでなけりゃあのレース、勝ってたのはおそらくあいつだ。」
「そこまで評価してるのか。」
「まあな。あの『カノープス』も、中々癖はあるが一筋縄じゃいかねえ連中が揃っている。マークしておけよ。」
考えにふける悠人に北原が、ふと思い付いて話を振る。
「……あ、そういやお前が一番意識している『ポルックス』は、ナリタタイシンが天皇賞に出るらしいな。」
「……何だと?」
突然の振りに、表情を険しくする悠人。
「見てりゃ分かるし、別に隠す必要もねえよ。俺がお前の立場なら、間違いなくあいつに対抗意識持ってるわ。」
「……フン。」
「あいつのチームにも中々凄い奴が入ったらしいし、ここはひとつ、我らが葵ちゃんに頑張って貰わねえとな!」
「……俺らが頑張るんじゃないのか。」
「葵ちゃんとミークが結果を出せば、それは俺らの手柄にもなる!『新人美少女トレーナーと、それを支える俺たち』って構図でな!」
何言ってんだか。
別に良いだろー。
葵とハッピーミークが合流するまで、トレーナー同士のやり取りは続いた。
オリジナルのウマ娘の元ネタは、某レースゲーム。
例えばスペースミリオンはジェットヴァーミリオンを軽く捻った名前。
モブの強さはスピカ(隠しマシン)≧シリウス(デフォルトマシン)って感じ。
あとトリプルティアラは現実でも当然ながら、決してクラシック三冠に勝るとも劣らない存在ではありますが……主要のネームド出せない都合もあって今回に限ってはこんな感じ。サーセン