今日の勝利の女神は、横っ面を引っ叩く(更新停止中) 作:R主任
『ダイの大冒険』のキャラについては、名前を現代風にアレンジしています。
今回の該当者はこちら。
・大円 世良←ポップ
あと、トレーナー全員学園出てライセンスとっていることになるので……賢さは一定ライン以上って感じです。チウなんかはそれが顕著ってことで。
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「……流石に無人、ってわけじゃないか。正直誰もいないんじゃないかって思ってたし、ちょっと安心したかも。」
皐月賞前日。
各チームの出場選手やチームメイト、そしてトレーナー達は、練習を早めに切り上げて、ミーティングや激励会に入っていた。
その影響か、全体的に競技場は閑散とした雰囲気が漂っている。
そんな中、この日も競技場の練習風景を伺うのが、チーム『アンタレス』の大円サブトレーナー。
皐月賞に出走するアドマイヤベガのミーティングはチーフトレーナーの黒沼に任せつつ、競技場を訪れていた。
「しかし、やっぱ練習してる娘、少ないなー。トレーナーなんてほとんどいねえし。」
トレーナー達も、皐月賞に参加しないウマ娘達も、多くが万全の状態でレースを見るべく、自宅や寮に戻っている。
一方で、そんな状況下でも競技場で練習をする少数派のウマ娘は……
「……イメージとか、大事なんだろうな。」
闇雲に走っていたり、無計画に練習をしている感じの娘は見当たらない。
むしろ、何か目標を定めているか、競争相手を想定しながらのスプリントを行っている姿が目につく。
『こういう状況だからこそできること』を意識してトレーニングを行っている娘がほとんどだ。
「俺も、できることをやらないとな……」「いつも精が出るな、キミ。」「うわっと!?」
メモを取りながら改めて競技場に集中し……そんな時、後ろから声をかけられ、驚く大円。
「……キミは、確か『アンタレス』に入ったというトレーナーで合っているかな?」
「あ、良くご存じで。」
「一部のウマ娘達の中では結構有名になっているぞ。
『いつも競技場に来てはメモをとったり、困っている娘にアドバイスしている、若いけど研究熱心なトレーナーがいる』とな。」
「そうなんすか……いや、光栄かも。」
思わぬタイミングでの評価に戸惑いつつも、嬉しさを隠せない。
そんな大円に、相手は続ける。
「……野暮なことを聞くかもしれないが、キミは何故毎日、そこまでして研究を続ける?」
「決まってますよ。」
「ほう?」
「これが俺にできる精一杯だからです。……あの娘達とこの先、共に全力で頑張っていくには、俺が全力でなきゃダメですからね。」
「共に……か。」
「ええ。まあ、今の俺の全力なんて、まだまだチームの皆に認めて貰うには力不足ですけどね。」
あははは……と照れ笑いをする大円。
それを見て、相手が大円に語りかける。
「……折角の縁だ。良かったら、今から私の練習に付き合ってくれないだろうか?」
「え?別に構いませんけど……あなたは……」
「私のことは知っているだろう?」「ええ、まあ……。」
「この先、どうしても勝ちたい相手がいる。とても一筋縄ではいかない相手なのでね……最近評判というキミの手腕、お手並み拝見という意味も込めて、ひとつお願いされてくれないか。」
「……なんか俺、試されてませんか?」
「何ならキミの方で私を試してみてくれても構わんぞ?」
「あー……」
ちょっと面白そうかも、という好奇心を刺激され、トレーニングに付き合う大円であった。
「……どうした、妙に機嫌が良さそうじゃねえか。」
「あ、分かります?」
戻った大円に対し、黒沼が訪ねる。
「ちょっと有意義な時間を過ごしてきました。……あ、勿論トレーナーとしての意味っすよ?」
「当たり前だろうが。」「あははは。」
頭をかきながら笑う大円に、呆れた様子の黒沼。
「……師匠、」「ああ?誰が師匠だ、オイ。」
「あ、すいません。黒沼さん……」
「……面白そうじゃねえか。師匠呼びも。」
「じゃあ、師匠でお願いします。」
「はは、悪くねえな。で、何だよ。」
「ウマ娘がレースで勝つには……」
「んなモン、ひたすら心身鍛え上げるに決まってんだろ。」「いや、そうじゃなくて……」
ココの話っす。と、自分の頭を指す大円。
ごちん。
「いってえ!?」「んなわけあるか。」
次の瞬間、黒沼の鉄拳が大円の脳天に刺さっていた。
「痛くはしてねえぞ?」「あ……確かに。」
衝撃はあったが、痛みは無い。
「……今後の為に忠告しておくが、お前、親しい相手であってもああいうリアクションは止めておけ。」「……すいません。」
「で、何となくお前の言いたいことは分かった。実際、レースでそれができる奴は強い。だが、基本的に知略や作戦は、俺らトレーナーが担当するべきモンだ。」
「あ……」
「どうしてもあいつらに頭を使わせたいなら、その方法をお前が考えてみろ。」
「あー、そっか!分かりました師匠!」
「……」
……本当に分かってんのかコイツ。
「……まあいい。明日の準備をするぞ。手伝え。」
「了解っす!」
とても病気とか患ってるようには見えないけどな……と思いつつ、雑用にいそしむ大円だった。
微妙に黒沼トレーナーにマトリフ師匠がインストールされてても違和感なさそうだったので、つい。