今日の勝利の女神は、横っ面を引っ叩く(更新停止中)   作:R主任

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【作品を読むにあたって】
『ダイの大冒険』のキャラについては、名前を現代風にアレンジしています。
今回の該当者はこちら。
・大円 世良←ポップ

あと、トレーナー全員学園出てライセンスとっていることになるので……賢さは一定ライン以上って感じです。チウなんかはそれが顕著ってことで。


第35話:覇王の挑戦~皐月賞④

ーーー

 

「……流石に無人、ってわけじゃないか。正直誰もいないんじゃないかって思ってたし、ちょっと安心したかも。」

 

 

 

 

皐月賞前日。

 

各チームの出場選手やチームメイト、そしてトレーナー達は、練習を早めに切り上げて、ミーティングや激励会に入っていた。

その影響か、全体的に競技場は閑散とした雰囲気が漂っている。

 

 

 

 

そんな中、この日も競技場の練習風景を伺うのが、チーム『アンタレス』の大円サブトレーナー。

皐月賞に出走するアドマイヤベガのミーティングはチーフトレーナーの黒沼に任せつつ、競技場を訪れていた。

 

 

 

 

「しかし、やっぱ練習してる娘、少ないなー。トレーナーなんてほとんどいねえし。」

 

トレーナー達も、皐月賞に参加しないウマ娘達も、多くが万全の状態でレースを見るべく、自宅や寮に戻っている。

一方で、そんな状況下でも競技場で練習をする少数派のウマ娘は……

 

 

 

 

「……イメージとか、大事なんだろうな。」

 

闇雲に走っていたり、無計画に練習をしている感じの娘は見当たらない。

むしろ、何か目標を定めているか、競争相手を想定しながらのスプリントを行っている姿が目につく。

『こういう状況だからこそできること』を意識してトレーニングを行っている娘がほとんどだ。

 

 

 

 

「俺も、できることをやらないとな……」「いつも精が出るな、キミ。」「うわっと!?」

 

メモを取りながら改めて競技場に集中し……そんな時、後ろから声をかけられ、驚く大円。

 

 

 

 

「……キミは、確か『アンタレス』に入ったというトレーナーで合っているかな?」

「あ、良くご存じで。」

「一部のウマ娘達の中では結構有名になっているぞ。

『いつも競技場に来てはメモをとったり、困っている娘にアドバイスしている、若いけど研究熱心なトレーナーがいる』とな。」

「そうなんすか……いや、光栄かも。」

 

思わぬタイミングでの評価に戸惑いつつも、嬉しさを隠せない。

そんな大円に、相手は続ける。

 

「……野暮なことを聞くかもしれないが、キミは何故毎日、そこまでして研究を続ける?」

「決まってますよ。」

「ほう?」

「これが俺にできる精一杯だからです。……あの娘達とこの先、共に全力で頑張っていくには、俺が全力でなきゃダメですからね。」

「共に……か。」

「ええ。まあ、今の俺の全力なんて、まだまだチームの皆に認めて貰うには力不足ですけどね。」

 

あははは……と照れ笑いをする大円。

それを見て、相手が大円に語りかける。

 

「……折角の縁だ。良かったら、今から私の練習に付き合ってくれないだろうか?」

「え?別に構いませんけど……あなたは……」

「私のことは知っているだろう?」「ええ、まあ……。」

 

「この先、どうしても勝ちたい相手がいる。とても一筋縄ではいかない相手なのでね……最近評判というキミの手腕、お手並み拝見という意味も込めて、ひとつお願いされてくれないか。」

「……なんか俺、試されてませんか?」

「何ならキミの方で私を試してみてくれても構わんぞ?」

「あー……」

 

ちょっと面白そうかも、という好奇心を刺激され、トレーニングに付き合う大円であった。

 

 

 

 

「……どうした、妙に機嫌が良さそうじゃねえか。」

「あ、分かります?」

 

戻った大円に対し、黒沼が訪ねる。

 

「ちょっと有意義な時間を過ごしてきました。……あ、勿論トレーナーとしての意味っすよ?」

「当たり前だろうが。」「あははは。」

 

頭をかきながら笑う大円に、呆れた様子の黒沼。

 

「……師匠、」「ああ?誰が師匠だ、オイ。」

「あ、すいません。黒沼さん……」

 

「……面白そうじゃねえか。師匠呼びも。」

「じゃあ、師匠でお願いします。」

「はは、悪くねえな。で、何だよ。」

 

 

 

 

「ウマ娘がレースで勝つには……」

「んなモン、ひたすら心身鍛え上げるに決まってんだろ。」「いや、そうじゃなくて……」

 

ココの話っす。と、自分の頭を指す大円。

 

 

 

 

ごちん。

「いってえ!?」「んなわけあるか。」

 

次の瞬間、黒沼の鉄拳が大円の脳天に刺さっていた。

 

「痛くはしてねえぞ?」「あ……確かに。」

 

衝撃はあったが、痛みは無い。

 

「……今後の為に忠告しておくが、お前、親しい相手であってもああいうリアクションは止めておけ。」「……すいません。」

「で、何となくお前の言いたいことは分かった。実際、レースでそれができる奴は強い。だが、基本的に知略や作戦は、俺らトレーナーが担当するべきモンだ。」

「あ……」

「どうしてもあいつらに頭を使わせたいなら、その方法をお前が考えてみろ。」

「あー、そっか!分かりました師匠!」

「……」

 

……本当に分かってんのかコイツ。

 

「……まあいい。明日の準備をするぞ。手伝え。」

「了解っす!」

 

とても病気とか患ってるようには見えないけどな……と思いつつ、雑用にいそしむ大円だった。




微妙に黒沼トレーナーにマトリフ師匠がインストールされてても違和感なさそうだったので、つい。
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