今日の勝利の女神は、横っ面を引っ叩く(更新停止中)   作:R主任

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【作品を読むにあたって】
『ダイの大冒険』のキャラについては、名前を現代風にアレンジしています。
今回の該当者はこちら。
・音坂 蹴←ヒュンケル
・子岸 中←チウ
・黒子台先生←クロコダイン
・如月 火丸←ヒム
・桐生院 悠人←ラーハルト

府中から中山へのくだりは本編には不要な筈だが、何か語らずにいられなかった。
つか一歩間違えれば、今回の放火致傷事件に競馬ファンも巻き込まれていた可能もあるよねえ……恐ろしい話です。


第36話:覇王の挑戦~皐月賞⑤

ーーー

 

皐月賞の舞台となる、中山レース場。

府中にある中央トレセン学園からは、マイクロバスによる出場選手の送迎が行われる。

一方で、そうでない者達は……

 

ーーー

 

「……東府中駅からは、一度下りの各駅で府中駅へと戻ってから特急で新宿駅へ向かう方が良いだろう。

新宿まで着いてしまえば、あとは総武線で西船橋まで一本……なのだが、この新宿駅構内での京王線とJRの乗り換えが案外ややこしい。

初めての人は下手したら小田急線なんかに迷い込んでしまうおそれもある。

 

まあ、目立つ場所に交番なんかもあるから、迷ったらそちらを訪ねると良い。あそこの警察官はトラブル慣れしているのか、基本的に親切な人が多い筈だ。

 

もしくは新宿から直で向かう以外にも、一度東京駅に出たり、あるいは大手町駅辺りから東西線の直通を利用するなんて方法もある。

 

地方から聖地巡礼などを検討したいのならば、都心の路線図に関してはJRとローカル線、および地下鉄こと東京メトロの違いなんかも、最低限知っておくと良いかもしれないな。」

「どうした急に。」

 

レース場で突然喋り出す、みなみとますお。

観戦スペースの最前列に陣取る彼らを初め、レース場は観客で既に満員となっていた。

 

ーーー

 

「……ちぇー、ボクも現地観戦したかったなー。」

「アタシもその方が良かったと思うんだけどね。」

 

チーム『ポルックス』の控え室。

テレビの前で頬をぷくーと膨らませて愚痴るトウカイテイオーと、それに応えるナリタタイシン。

 

「タイシンさんこそ、去年皐月賞で勝ったんでしょ?行けばチョー人気間違いなし!じゃないの?」

「……そんなんで調子崩したらたまったもんじゃないから。その辺はアイツも理解してくれてるし。」

 

天皇賞を前に、中山には行かずベストのコンディションを整えたいというタイシンに、音坂は「テイオーに当日、皐月賞についてレースを見ながら色々教えてやってくれ」という条件を与えていた。

 

「トレーナーは他の皆と中山に行ってるんだよね?」

「アイツは『実際に見ておきたい』って言ってたからね。スズカさんなんかもそんな感じでしょ。……タキオンさん辺りは、どちらかというとアイツのお弁当が目当てっぽいけど。」

「あああ……それ聞いちゃうとやっぱボクも行きたかったなー……」

「ちゃんとアタシらのお弁当も置いてってくれたんだから、それで我慢しなって。」

「でも、トレーナーと一緒に食べたいと思うのが『オトメゴゴロ』ってやつじゃないかな?」

「はいはい。」

 

 

 

 

……これ以上のテイオーとのやり取りは、ペースに乗せられてドツボにはまる可能性が高い。

経験上、そう考えたタイシンは話題を流す選択をとった。

 

「……アンタの目指す『無敗の三冠ウマ娘』、自分ではそれなりに理解はしているんだろうけど、きっとそれだけじゃ足りないんだと思う。アイツもそう考えたんだろうね。」

「むむむ……」

「1年後に画面の向こうで走ってるのはアンタだ。それを意識して今日のレースを見ること。」

「りょーかい。」

 

タイシンの一言に返事をするテイオー。

 

 

 

 

「……それにしても、皐月賞の『はやいウマ娘が勝つ』って、なんだか妙だと思うんだよね。1着を獲るには、一番速くなきゃ無理に決まってるのにさー。」

「……アタシも最初は同じことを考えたけどね。」

 

テイオーの尤もらしい疑問に、苦笑を浮かべつつタイシンが答えた。

 

 

 

 

「……スピードやテクニックを含めて、皐月賞は、『一番早く』『レースで勝てる自分を完成させたウマ娘』が勝つ。そんな舞台なんだよ。」

 

ーーー

 

競技場の一角。チーム『レグルス』に混じって、カール学園の黒子台先生と火丸、そしてシグマの姿があった。

レグルスの子岸が直前にトラブルを起こしたと聞き、わざわざ自主的に当日の引率を願い出た黒子台。そして「お前も一緒に来るか?」との声掛けに了承したのが火丸。「姉貴、まだチームとかに入ってないなら俺らと行こうぜ。」と誘われたのがシグマ。

 

当日、シグマは合流したメンバーの姿を見て絶句するも、火丸や黒子台先生もいるし、まあ大丈夫だろうと切り替える。

 

レグルスの常識人兼良心と言うべきフジキセキは学園に残り不在だったが、他のメンバーや子岸トレーナーも、いざ話してみれば明るく気の良い者達で、中山に着く頃には普通に打ち解けていた。

 

……一方で、第三者から見れば「妙に明るくテンションの高い集団」の一員として自らも見られてしまっている……そんな事実を、シグマは見落としてしまっていたが。

 

 

 

 

「折角ならボクらのチームに入ってはどうかな?シグマ君!」

「有り難い申し出ですが、今は回答を控えさせていただきたい。」

「そうか、まだメイクデビューまでに時間はある。じっくり吟味した上でウチを選んでくれるならば歓迎するからね!」

「寛大なご対応、感謝する。」

「なんだよトレーナー、もっと食い下がっても良いんじゃねーの?」

「ちっちっち。こういうのは何より本人の意志が大事なのだよ。火丸君!無理矢理決めようとするのはお互いにとって良くないのだ!」

「ははは、分かっているようだな子岸よ!お前も中々チームを率いるトレーナーの姿がサマになっているではないか!」

「黒子台先生……!」

 

 

 

 

……ウマ娘達以上に目立っているのが、この個性的な男達である。

なお、往路ではしゃぎすぎたツインターボと、それをたしなめつつ自らも負けない程はしゃいでいたサクラバクシンオーは、到着時にはエネルギー切れを起こして現在夢の中であった。

 

ーーー

 

「……これは又、奇遇で……」

「呉越同舟、ってか?ははは。」

 

観客スペースで、偶然鉢合わせたのが『スピカ』と『シリウス』である。

 

「先日の桜花賞、色々と学ばせていただきました。」

「それはこっちの台詞だって。それに、あの時の連中を鍛えたのは俺じゃない。オイ悠人!『スピカ』の沖野さんだ。」

「チーム『シリウス』の桐生院悠人です。先日の桜花賞ではウチのメンバー共々良い経験をさせていただきました。ありがとうございます。」

「あ……いえ、こちらこそ。」

 

 

 

 

……今キミ、どっから出てきた?ワープでもしたのか?

その一言を我慢した沖野に、北原が話しかける。

 

「あんときゃこいつのことを話しそびれたからな。あ、今日走る連中はこいつじゃなくて俺もトレーニングに加わってるからな?」

 

「……つまり、今日走るメンバーは先週よりも更に手強いと?」

「んあ?そう聞こえたのならそう理解して貰って構わねえよ?」

 

「奇遇ですね、今日ウチで出走する娘も、更に強力ですから。」

「んだと?」

「何すか?」

 

 

 

 

(……お前ら、子どもかよ……)

 

北原と沖野のやり取りを見ている全員が、そう思った。

 

 

 

 

『というかアレ、桜花賞を走った皆さんに滅茶苦茶失礼じゃありませんこと?』

『そうね……あとでゴールドシップ辺りに実力行使してもらうのが良いんだろうけど……ゴールドシップは?』

『あっち……』

 

 

 

 

「ラッシャッセー!ラッシャッセー!」

「みんなー!これ食べて元気出して、全力で応援しようねえええ!」

 

誰かが指差した先で、観客に焼きそばを販売している売り子のウマ娘達がいた。

 

 

 

 

『……いつ、何処で用意してたんだ?あれ。』

『分からない……』

『……まあ、ゴールドシップさんだし。』

『そうだね。』

『何でチケゾー先輩まで?』

『ノリじゃないかな……多分。』

『……やれやれ。』

 

 

 

 

「うーっし!今からタイムセールやんぞー!大盛、特盛の更に上の地球盛り、銀河盛り、宇宙盛りときてしまいにゃビッグバン盛りでーい!

残さず食えた奴にはゴルポ進呈すんぞー!あ、オグリパイセンは北原さんに許可とってからなー!」

 

 

 

 

……今、彼女達のことを深く考えるのはよそう。

全員がそう思った。

 

ーーー

 

中山レース場の地下バ道。

 

「アヤベさん、今日はよろしく頼むよ。」

「……フン。」

 

アドマイヤベガに話しかけたのはテイエムオペラオー。

 

「……気持ちが入っているようだね。お互い良い走りをしようじゃないか。」

「……ええ……?」

 

違和感を覚えるベガ。

いつものテンションで調子を乱されるのが嫌で、邪険に扱ったことは自覚している。

だが……ここから鬱陶しいほどに自他を賛美し、自分の世界を作り上げるのが本来のオペラオーの筈。

あっさりと引き下がった様に、『あなたこそ調子が変じゃない……?』と聞こうとするも、それは自分の性分じゃない、と訪ねるのを止める。

 

 

 

 

「キミはスペースミリオン君だね!弥生賞では素晴らしい結果を出したそうじゃないか!その輝き、是非ともボクに見せてくれたまえ!」

「よろしく。」

「おお、その差し出された手に籠るは、正に熱き魂!そして、それが生み出す生命のエネルギーは、これから会場を大うねりとなって包み込もうとしているじゃないか!

だが、ボクの率いる船は、決して沈むことはないのだ!そう!何故ならボクの船には『希望』が積んであるからね!

今日という日こそが、新たなる伝説の幕開けになる!ここに『覇王元年』の設立を宣言し、皆も共に歩もうではないか!」

「……はは、お手柔らかにお願いします。」

 

 

 

 

……やっぱりいつも通りかな。

心にしこりを残しつつベガは、高笑いしながらレース場へと歩いていくオペラオーの後を歩くミリオンに話しかける。

 

 

 

 

「……良く合わせられますね、あのテンションに。」

「あはは……割と慣れてますからね、私の場合。」

「……ああ……そっか。」

 

彼女の所属するチームって、そういえば『スピカ』だったわね……と思い出し、納得する。

 

「弥生賞の再戦、ですね。」

「ええ。今回は1位を獲りにくるのでしょう?万全のあなたと走れるのが、正直楽しみです。」

「……こちらこそ。あとはレースで語りましょうか。」

「喜んで。」

 

 

 

 

ジュニア級の中で選ばれし18名の精鋭達。

そのトップを決める『三冠の一角』が今、幕を開けようとしていた。




やっぱゴルシとオペラオー一緒に出すのキツイっす
ここにデジたんとかヘリオスとか書こうとした日には……




知識と理解と語彙力が試される恐怖の陣営として筆者のトラウマになる
キャラとしての性格もさることながらヲタ全開のテンション&口調、尊大な語り節とオペラの知識、ハイテンションなパリピ用語、ゴルシとそれぞれ言語が異なり猛勉強が必要
筆者は当初ゲーム未プレイで創作を行おうとしたことを改めて深く反省する羽目に
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