今日の勝利の女神は、横っ面を引っ叩く(更新停止中) 作:R主任
『ダイの大冒険』のキャラについては、名前を現代風にアレンジしています。
今回の該当者はこちら。
・子岸 中←チウ
・大円 世良←ポップ
次のダービーまで書いてようやく設定・人物紹介が書けそうな感じ。
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「……ボク、どうしてもさっきのレースで分からないことがあるんだよね。」
「分からないこと?」
中継を見終えたテイオーが、タイシンに語りかける。
「太陽ってさ、みんなを明るく照らしたり、暖かくしてあげる存在だよね。」
「ん……まあね。」
「あんな太陽じゃ、みんなを暖めるどころか全部焼いちゃって、後に何も残らないよね?」
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「伝言だよ。……『よくやってくれました。この先は全て、あなた達にお任せします。』だって。」
「そうか……ありがとう。でも、ボクは……」
「多分あの人には、ああなることも分かってたと思うよ?
それに、キミの場合は最後まで役者になりきるよりも、あんな風に素をさらけ出す方が似合ってるよ。だから、最後には歓声がキミ達を包んだんだ。」
「……オペラオーは……」
「彼女も分かっていたんじゃないかな。『今回』と『今後』の作戦について。」
学園に戻り、『レグルス』および随伴のメンバーが解散となった後、レグルス控え室では子岸とフジキセキが話をしていた。
「いずれにせよ、良く彼女はあそこまで『あの作戦』を完遂してくれたと思うよ。」
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子岸に渡されたノートには、皐月賞におけるオペラオーの走り方が、綿密なタイムと共に細かく記されていた。
そして、『仕掛け所』……ゾーンに入るべきタイミングまで。それも、当日のライバルになると予想された、アドマイヤベガやスペースミリオンの動きまで想定したものが。
そして……最後にオーダーが1つ記されていた。
子岸とフジキセキが前日、オペラオーにこの内容を伝えたところ、最初は笑顔で作戦を聞いていたところが、徐々に真剣な様子へと変わっていった。
そして、吟味を重ねる中でオペラオーが二人に訪ねた。
『……1つだけ聞かせてほしい。
【これを考えた者】は、これからもボクと共に覇道を歩んでくれるのかい?』
『今までも、そしてこれからも歩もうと精一杯頑張っている。これだけは信じてほしい。』
『そうか……ならば迷うことはないか!』
子岸の回答に、吹っ切れたような表情を見せたオペラオー。
『王に別の王を演じろとは、何とも大胆な策をもたらしてくれたものだ!だが、面白い!実に面白い!道化が王の首を狙うこともあるだろうが、逆に王が勝利の為に道化を演じることもあって然るべきか!ボクの覇道を進む序章としては、この上ない傑作になるかもしれない!
トレーナー君、フジ先輩!そしてボクらを見守る聖霊よ!この覇王に力を与えてくれたまえ!』
オーダーには、こう書かれていた。
【勝利が確定するまで、決して相手を振り返らないこと。】
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「『目眩まし』?」
「そう。」
夜のバーで偶然出会った沖野と東条。
近況を話す中、皐月賞についての話題となり、オペラオーの走りについて東条が分析する。
「ホープフルでは、先行から周囲と競り合って抜け出していく走法……だったのよね?」
「ああ……あれには舌を巻いたさ。」
「それが今回は後方からの差しで、一気にごぼう抜きして圧勝……それでいて、勝っても嬉しそうじゃなかったのでしょう?」
「オペラオーや子岸とかいうトレーナーも様子が少し変だったが、それ以上に暫くの間、競技場が静まり返ったからな……。」
「そこね。」
東条がグラスを口にし、続ける。
「私もオペラオーのことは少しだけど知ってる。勝利して観客が静まり返るなんて、あの娘が一番嫌がりそうな状況じゃない。」
「まあ、確かに……あの後の高笑いとか、無理矢理っぽかったしなあ。」
「それでもあの娘はそういう走りを選んだ。何故かしら?」
「……!『年間無敗の、完全制覇』……!」
「でしょうね。最初にそれだけ『完璧で、他の相手を負かすような勝ち方』をしておけば、少なくとも同世代の対戦相手に大きな先制パンチを浴びせられる。そして、それだけじゃない。」
「……『年間』、か。」
「そう。早ければ6月の安田記念や宝塚記念から、G1ではクラシック級とシニア級と混合でのレースが組まれるようになる。その相手達に対しても宣戦布告になるだけでなく……」
「……『目眩まし』ってのは、そういう意味か……」
「『レグルス』のトレーナーは新人って聞いているけれど、中々どうして大胆な手を打ってくるわね。
今からでもウチで声掛けて囲っておくべきかしら?」
「流石に想像するだけでキツいんで勘弁してくれ……」
「冗談にきまってるでしょ。」
オペラオーの走り方について、ライバルやそのトレーナー達に仕掛けられた『目眩まし』。
……だが、それに気付いた者達には、同時に『もう1つの目眩まし』が仕掛けられている。
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「師匠、ブルボンさんからクラシック三冠の時の話を聞かせて貰っても良いっすか?」
「……ちょっと力込めて拳骨入れても良いか?」
「いやいやいや!勘弁してください!」
「理由を話せ。回答次第では加減をつけてやる。」
「拳骨は確定なんすか!?」
「たりめえだ!何が悲しくてあん時の話をわざわざしなけりゃならねえんだ!」
怒号を浴びせる黒沼に怯まず、大円が応えた。
「今度のダービーで、あの真逆のことをやらなきゃならないからっすよ!」
「……何?」
「オペラオーをウチのベガさんでやっつける方法を、俺らで考えなきゃならないですから!考えるのは俺らの仕事って、師匠も言ってたじゃないっすか!」
「む……」
確かにそれを言ったのは自分だ。
それを思い出しつつ、黒沼が大円に問いかける。
「……その前に、本人の意志……いや、足の状態なんかも確認しねえと」「問題ありません。」
アンタレスの控え室に、アドマイヤベガが入ってくる。
「足に関しては、レース後やライブの後でメディカルチェックも受け、異常なしと診断されました。ダービーには出ます。」
「その口ぶりだと、ダービーでの1着を目指す、ってことで良いんだな?」
「はい。先日の皐月賞では後れをとりましたが、今度こそ1着になります。」
「『なりたい』じゃなくて『なります』ときたか。……良いだろう、みっちり鍛えてやるから覚悟しておけ。」
「ありがとうございます。……その前に、話しておきたいことがあります。
皐月賞の時のオペラオーなんですが……」
地下で相手に感じた『違和感』について、アドマイヤベガは話し始めた。
オペラオーの前トレーナーさんは、この先も出しすぎるとなんか黒幕とかの重要ポジを担いかねないのでここでお役御免(予定)
レグルスの参謀役はフジ先輩に頑張ってもらいます。