今日の勝利の女神は、横っ面を引っ叩く(更新停止中) 作:R主任
『ダイの大冒険』のキャラについては、名前を現代風にアレンジしています。
今回の該当者はこちら。
・子岸 中←チウ
・大円 世良←ポップ
・阿万先生←アバン
アバン先生のフルネームが「アバンテJr」をもじっているって設定は、当時は気づかなかったですねえ。
「……少しオペラオーの様子がおかしかった?」
「はい。私の後に話しかけたスペースミリオンとのやり取りでは、いつもの調子に戻っていたようでしたが……」
「具体的に、どんな感じだったんだ?」
「普段通りであれば、私が流そうとしても『ボクには分かるさ!キミの心の中に燃える弓矢が、このハートを撃ち抜くべきオリオンによって引き絞られ、血脈が熱き鼓動を奏でている、そんなアルペジオの旋律が!』みたいに食い下がってくる筈でしたが……」「……ぶふっ!」「……何です?」
アドマイヤベガのオペラオーを真似た口調に、思わず吹き出してしまう大円。
「ごめん。ただ……普通そこまで似せられないと思うよ?」
「……」
「それだけアヤベさんがオペラオーのことを良く理解している、ってことでもあるよね?」
「……不本意です。」
こめかみに指を当てて頭を振るベガ。
『本当に、美少女は何をやっても美少女なんだなあ……』と一瞬考えつつ、話を続ける大円。
「他には?」
「あとは、レース……オペラオーのあんな走り、初めて見ました。いつもなら、『競争を楽しんでいる』雰囲気が伝わってくる筈なのに……」
「俺にもあれは、異様に思えたんすよねえ。……俺の場合、オペラオーよりも子岸の方に、ですけどね。」
「子岸……オペラオーのトレーナーか?」
黒沼の質問に、大円が応える。
「はい。何だかんだで付き合い長いんで……てっきりオペラオーが勝った後も高笑いしながら『おめでとう!ボク達の完全な勝利だ!』とでも言うかと思ったら……いきなり『ボクの責任です!』なんて謝りだして。正直何事だよ、って思いましたよ。」
「勝っておいて『ボクの責任』ってのも、確かに良く分からんな。」
「……オペラオーにあんな走りをさせたのは、ボクの責任……って意味じゃないかしら?」「そこが分からないんですよ。」
ベガの言葉に反応する大円。
「子岸の性格じゃ、あそこまでオペラオーに『勝ちにこだわった走り』させるなんて、絶対に無理っす。そこは断言できるんですよ。」
「断言できる……とまで言い切るか。」
「……あの阿万先生の前で『ボクがウマ娘を不幸にするなんて、有り得ません!なぜならボクは、彼女らを幸せにするからです!』って啖呵切りましたからね。」
「……その辺はお前の主観だから、根拠にはならねえ……と言いたいが、考えてみりゃ新人トレーナーが立ち上げた、チーム『レグルス』、いきなりG1の皐月賞で勝利……普通は有り得ねえ話だからな。
大円、お前から見て、レグルスのトレーナーの強みは何だと思う?」
「『運』は間違いなくあるでしょうね。あとは……カリスマ?」
「ああ……なるほどな。良く分かった。あいつのヤバい点は……」
『今の時点で、それらを持っちまっていること』だ。
新人ホヤホヤのトレーナーが、周囲や観客から『こいつは何かやってくれるんじゃないか』と期待してもらえるか?って話だ。
ーーー
『……レグルスのトレーナーがお前の言う通りの奴ならば、次のダービーはそいつの言った通り、ベガが知っているオペラオーの走りをしてくる筈だ。
……そうなると、「皐月賞でのオペラオーらしからぬ様子や、レース運び」について、きちんと解明しておくべきだろうな。
ベガのトレーニングは俺が見るから、お前はそれを考えろ。』
「……流石に子岸達に直接聞くわけにはいかないよなあ……あいつの場合、あっさり喋ってくれるかもしれないけどさ。」
黒沼から出された課題を思い出し、競技場の前でひとりごちる大円。
「……随分と考え事をしているようだが?」
「あ、いつも通りなんで気にしないでください。」
「競技場から近づいてくるウマ娘に気づいていない時点で、いつもの君ではないだろう。」
「……何でそんなこと、分かっちゃうんすかね。」
「トレーニング中、評判のトレーナーが一人でいるところを、みすみす見逃してくれるようなウマ娘ばかりではないということだ。」
「……そいつは喜んで良いのか……」
ふと、トレーニング中のウマ娘に話し掛けられる。
「それで、一体どうしたというのだ?」
「……あー、君はチームとかには……」
「今は模索中の身でね。」
「……んじゃ、聞いてもらおうかな。もし興味がなければ、忘れてくれても良いから……」
ーーー
「……実に興味深いな。」
「え、本当?」
「……ああ、今度のダービーで君達は、オペラオーと子岸トレーナーに勝とうというのだろう?
その話、私にも一枚噛ませて貰えないだろうか?正直、彼女らには私にも思うところがあってね……」
「その口振り……何か知っているのか?」
「うむ。……その前に1つ聞いておきたい。本当に君は、彼女らに勝てると思っているのか?」
「もちろん。」
「……仮に打倒オペラオーを目指しても、結局彼女らに上を行かれてしまうかもしれんぞ?」
「構わないさ。……人事を尽くさなきゃ、そもそも勝利の女神は微笑んでなんかくれない。むしろ全てがダメでも『横っ面を引っ叩いて立ち上がらせてくれる』、それが俺にとっての勝利の女神なのさ。」
「……」
「絶対に諦めねえ……それが俺の信念……あれ、どうしたの?」
大円がウマ娘ーーー『ナイトシグマ』に怪訝そうに訪ねる。
「いや、君の信念……ぜひ協力させて貰おうと思ってな。
……変わらんな、君は。」
「ん?何か言った?」
「いや、気にしないでくれ。それよりも、交換条件としては暫く私のトレーニングを見てほしいのだが。」
「……まあ良いか、それならお安い御用さ。」
元々シグマに前世思い出して貰っていても、極短期間を戦闘に明け暮れただけなので本人のキャラには特に影響は無いという。
ただ、この辺の人間関係みたいなのがスムーズになるのは強力な要素……というか考えてみたらそれが一番ヤバいか。