早ない???
「お前、確か雷門のFWだったよな?」
「知ってるのか?」
「あぁ知ってるぜ、弱小チームの必殺技すらねぇFWだろ。そんなんじゃあどこと戦っても苦戦するだろうよ」
「テメェ……!」
「オイオイ、そう怒んなよ。事実だろうが」
「…………んな事、俺が1番分かってる」
染岡は項垂れながらベンチに座って、語りだした。
エースストライカーでありながら、強力なストライカーが入部した事によって自身の立場が危うくなっている事。
「で、必殺技を使えればと特訓してたわけか」
「あぁ…必殺技さえあれば…!」
「…はぁ、こう言うのは柄じゃねぇがよ」
「あん?」
「サッカーってのは一人でやるもんか?」
「…」
「違うだろ、11人全員でやるもんだ。欠けちゃゲームにならねぇ」
「仲間を見ろってことか」
「はっ、んなもん自分で考えろ」
「仲間…か」
「おい、必殺技習得するんなら多少手を貸してやる」
「いいのか…?」
将来を見据えて恩を売っておくことに越したことはない、それがお人好しであれば尚更。
人の縁ってのは何かを成すとしたら役に立つ、それだけだ。
「構わねぇよ、だが俺様が直々に教授してやるんだ。感覚だけは覚えてもらうぞ」
「上等だ!よろしく頼むぜ、あー」
「獏良了だ」
「獏良だな!よし、何からやるんだ?」
「先ずはボールを蹴るなんざしねぇ、他にやる事がある」
「?」
超次元サッカーにおいての必殺技は、使用者のイメージや概念の捉え方で発動する。
ならば、先にイメージを固める方が習得しやすい筈だ。
ここまで伝え、染岡に問いを投げる。
「お前は自分が必殺技を使うとしたら、どんな技になると思う?」
「あん?そりゃあ……豪炎寺みてぇな」
「それじゃダメだ、テメェにはアレは似合わねぇ」
「どういう事だよ」
「先ず豪炎寺の事を頭から外せ、自分だけの必殺技を考えろ」
「自分だけの……」
「例えば、俺様は遊戯やオカルト。そして価値のある宝が好みだ。オカルトなら例えば幽霊や怪奇現象だよな?」
「あ、あぁ」
「だから俺様がイメージした必殺技を即興で作るなら……染岡、ボールを蹴りながら俺様に向かってこい」
「わかった」
染岡がボールをキープしつつ向かってくる。
俺様は脳内にイメージを固定し、こんな必殺技になると強く思い込み……
「ポルターガイスト!」
魔法カードに描かれているゴーストが染岡に襲いかかり、ボールを取り上げて俺様の元へ転がってきた。
「な、おい。これ今作ったってのか?」
「その通り、こんなもんは才能だとかは関係ねぇ。思い込みの力だ、理解したか」
「…なんとなくな」
「じゃあ教えんのはここまでだ、足りねぇピースは自分自身で考えろ。俺様はゲーム攻略しなきゃ行けないんでね」
「ありがとうな、後は自分でやってみるぜ!」
「じゃあな」
_______
「…はぁ、俺の必殺技か。どんな必殺技を使ってんだろうな俺は」
河川敷の土手に寝転がり、夕方の空を眺める。
獏良の言う様にイメージを思い浮かべようにも想像がつかない。
それに、未だに脳内にある豪炎寺の姿が俺を焦らせている。
「あれ、染岡!こんな時間まで特訓か?」
「円堂……」
「よっと」
円堂が俺の横に寝転がって空を見上げた。
姿を見るに、円堂も特訓をしてたに違いない。
「それで、何の特訓してたんだ?」
「必殺技だよ、豪炎寺にばっかいい顔はさせねぇ!」
「染岡……」
「だが、な。さっき言われたんだ、豪炎寺のことばかり考えんなってよ」
「?」
「獏良って奴にな。俺がむしゃくしゃして蹴ったボールが獏良の方に飛んでいっちまって成り行きで必殺技の習得の仕方を…」
「獏良!?」
「うおっ!?」
円堂が急に飛び起きて叫ぶもんだから驚いちまった、知り合いなのか?
「何だよ急に、どうした?」
「あ、いや。小さい頃にあった事があるんだ、そっかまだこの街にいたんだな」
「そうなのか…」
「でさ、さっきの続きだけど習得出来たのか?」
「いや、全然だ。出来ない原因がわからねぇ、獏良は気づいてるっぽいけどな」
「そっか」
円堂が再び寝転がり、こちらに顔を向けた。
「俺が言えることはさ、染岡は染岡だって事だな」
「はぁ?」
「豪炎寺になろうとするなよってこと、お前は染岡竜吾だ!染岡は染岡のサッカーをすればいいんだ」
「俺の…サッカー……」
「おう!自分のサッカーをすれば、必ず結果は出るはずだ!お前なら出来る、なんたって俺達のストライカーなんだからさ」
そういう事か、結構簡単な話だったな。
俺は俺の、サッカーをすればいい。俺だけの……!
「ありがとうな、円堂。見とけ、俺の必殺技を!」
「おう!特訓だ!」
円堂がゴールまで走っていく。
……円堂と獏良のお陰で自分を見失わずにすんだ、礼は結果でだす!
雷門のFW、染岡竜吾はこの俺だ!
バクラがサッカーチームに入るとしたら?(採用するかは未定)
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