どんなにチートでも僕は南雲ハジメ   作:排他的

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大迷宮攻略は終わらない

ブランチマイニングによってハジメの階段発見のタイムは縮んでいく。すぐに階下の階段を見つけて次の階層に向かう。

 

その階層は、地面がどこもかしこもタールのように粘着く泥沼のような場所だった。足を取られるので凄まじく動きにくい。

 

ハジメはフライアーフィンという靴から魔力の羽を生やして飛ぶ魔法を使用して空中を飛びながら移動する。

 

このタールのようなものはフラム鉱石というらしく、熱を加えると融解しタール状になり、火がつくと勢いよく燃え、摂氏3000℃の暑さになるらしい。

 

ハジメは発火しない魔法、魔力弾を攻撃に使うと心に決めて階層内のブランチマイニングを慎重に行なう。

 

するとハジメの目が青くなり、ギアスマークが浮き出てくる。

 

「サーチャーに反応無し、方向がわからないんですが!」

 

ハジメが辺りをキョロキョロしていると鋭い歯が無数に並んだ巨大な顎門を開いて、サメのような魔物がタールの中から飛び出してきた。ハジメの頭部を狙った顎門は歯と歯を打ち鳴らしながら閉じられる。咄嗟に身を動かしてかわしたもののハジメは戦慄した。

 

「……サーチャーが意味をなさないなんて……」

 

ハジメはどうしようか悩んでいると、ハジメの頭の中に天啓が降りてくる。

 

「そうだ。ここ全体を燃やしちゃえばいいんですね……」

 

ハジメは自分も萌えてしまいそうな考えを思いつき、それを実行に移す。

 

ハジメは集中するために必要の無い呪文を詠唱して魔法の準備を行う。

 

契約に従い(ト・シュンボライオン) 我に従え(ディアーコネートー・モイ) 炎の覇王(ホ・テュラネ・フロゴス)

 

来れ(エピゲネーテートー) 浄化の炎(フロクス・カタルセオース) 燃え盛る大剣(フロギネー・ロンファイア)

 

ほとばしれよ(レウサントーン) ソドムを(ピュール・カイ) 焼きし(テイオン)

 

火と硫黄(ハ・エペプレゴン・ソドマ) 罪ありし者を(ハマル・トートゥス) 死の塵に(エイス・クーン・タナトゥ)

 

ハジメの両手に業火が灯り、火花がバチバチと光る。ハジメの目がこれから起こることを予期してチカチカと青く点滅する。

 

燃える天空(ウーラニア・フロゴーシス)!!!」

 

燃え盛る炎の業火が、フラム鉱石を包み込み、次の瞬間、この階層内全てが炎の海で埋め尽くされる。

 

ハジメは魔法を発動し終えるとすぐに異空間の研究所の中に避難する。どうやらハジメは魔法を打ち捨てて邪魔なものを全て焼き払うつもりだったようだ。

 

「これぞ、環境を利用した戦法です!」

 

誇らしげに言っているが、こんな攻略法で攻略されるなんてこの迷宮の製作者は思っていないだろう。というか少し涙目になっていそうだ。

 

そしてハジメはまた呪文を詠唱する。

 

契約に従い(ト・シュンボライオン) 我に従え(ディアーコネートー・モイ・へー) 氷の女王(クリュスタリネー・バシレイア)

 

来れ(エピゲネーテートー) 永久の(タイオーニオン)(エレボス)!」

 

永遠の氷河(ハイオーニエ・クリュスタレ)!!!」

 

ハジメは燃え盛る外に向かって氷を放つ。すると階層内の火が全て消え去り、フラム鉱石も全てなくなって、辺り一面氷となっていた。そしてハジメの足元には、ハジメを襲ったサメの丸焼きが氷漬けになってそこに残っていた。

 

「作戦完了。このサメ食べてからまた進みましょう」

 

ハジメは氷漬けになったサメを取り出してそれを食べて技能を得てからまた階下に向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タールから出てきて多分迷宮攻略史上最も変なやられ方をしたサメからもう五十階層は進んだ。ハジメに時間の感覚は既にないので、どれくらいの日数が過ぎたのかはわからない。それでも、驚異的な速度で進んできたのは間違いない。

 

ハジメの中では全ての魔物が弱く感じたが、トータスという世界の人間から見たら化け物と言っても過言ではないほどの魔物と戦ってきた。

 

例えば迷宮全体が薄い毒霧で覆われた階層では、毒の痰を吐き出す二メートルのカエルを電撃攻撃で感電させたり、逆に麻痺させてくるモネラモドキの蛾にはカエルの吐いた毒を投げつけて殺していた。

 

他にも分離して攻撃してくるムカデややたら美味しい果実を投げてくるトレントもいたが、ミッド式の魔法とネギま式の魔法で簡単にねじ伏せられた。

 

そんな感じで階層を突き進み、気がつけば五十層。未だ終わりが見える気配はない。

 

そしてその五十階層は明らかに異質な場所であった。

 

脇道の突き当りにある空けた場所には高さ三メートルの装飾された荘厳な両開きの扉が有り、その扉の脇には二対の一つ目巨人の彫刻が半分壁に埋め込まれるように鎮座していたのだ。

 

「……強化されたビルドの試運転にちょうどいいですね……!」

 

だがハジメには関係ない。フルボトルからエボルボトルに進化した仮面ライダービルドを試す体のいい実験場と思っている。

 

ハジメは遠隔で扉を無理やり錬成で開けようとすると、一つ目巨人が壁を破壊して現れる。

 

「さて、実験を始めましょうか」

 

ハジメはラビットエボルボトルとタンクエボルボトルをカシャカシャと片手で振りながらエボルドライバーを身につける。

 

《エボルドライバー!》

 

そしてハジメはラビットエボルボトルとタンクエボルボトルをエボルドライバーに装填する。

 

《ラビット!》《タンク!》

 

《エボリューションマッチ!!》

 

そしてハジメはエボルドライバーのレバーを回し始める。交響曲第9番第4楽章・歓喜の歌が流れ、ハジメの周りに赤い粒子と青い粒子が舞い散る。

 

「変身……開始!!」

 

ハジメの周りの粒子がハジメの身体に鎧を付けていき、次第にビルドのシルエットが現れ始める。

 

《鋼のムーンサルト!ラビットタンク!!》

 

《イェーイ!!!》

 

そして最後の音声がなり終わると、ハジメの身体は仮面ライダービルド ラビットタンクフォームに包まれ、変身を完了させた。

 

「さぁ、進化したこの力……その身で味わいなさい!」

 

ハジメは一つ目巨人──サイクロプスに向かって宣言すると、進化したそのスペックを活かして一瞬で二体の背後に回る。

 

「まぁ、感想を言う暇もなく撃沈するんですが……ね!!!」

 

ラビットエボルボトルの成分を使って作り出された赤い左脚でサイクロプスを踏んでジャンプし、タンクエボルボトルの成分を使った青い右脚で一体目のサイクロプスの頭にかかと落としをお見舞する。

 

そしてそのまま───サイクロプスの頭から股間までを抉って真っ二つにした。

 

「あぁ、すいません……スペックが違いすぎて

 

もう一体のサイクロプスはハジメにバカにされたことを知ってか知らずか怒り狂ってハジメに重い攻撃を仕掛けてくる。だがその攻撃をハジメは難なくかわしていく。

 

「遅いですね。さて面白いものを見せてあげます」

 

ハジメは右手にスマホのようなものを持って操作する。するとハジメの右脚に魔法陣が通り抜けて行き、異質なエネルギーが灯る。

 

「これはとある妹しか愛せない兄の魔法を再現したものです。完璧なものは戦闘中では使えませんが──貴方には問題ないでしょう」

 

そしてハジメはエボルドライバーのレバーを回し始める。また交響曲第9番第4楽章・歓喜の歌が流れ始め、音声が辺り一帯に響き渡る。

 

《Ready Go!》

 

ハジメの両脚に凄まじい圧を感じる程のエネルギーが集まり、それが一点に収束する。そしてサイクロプスを錬成で封じ込め、ラビットの脚力で飛び上がる。

 

《エボルテックフィニッシュ!!!》

 

そしてハジメは右脚を突き出してライダーキックを行ない、拘束され動けないサイクロプスの腹に凄まじい威力の蹴りを撃つ。

 

すると拘束はあまりの衝撃で耐えきれずそのまま砕け散り、サイクロプスはそのまま扉の方に吹き飛び、大きな音を立てて倒れる。

 

《Adieu……♪》

 

さよならの意味を込めた言葉が流れるとサイクロプスの身体は粒子となってそのまま消え失せ、その場には青い炎しか残らなかったのだった。

 

「これにて実験終了、実験の協力…ありがとうございました♪」

 

ハジメはにこやかに笑いながら自分の攻撃で殺され、消え失せたサイクロプスに礼を言うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハジメがサイクロプスに蹴りを叩き込む少し前──

 

「……なんの音?うるさい音…」

 

ハジメの実験で意識が覚醒する者が1人、階層の最深部に存在していた。

 

 

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