どんなにチートでも僕は南雲ハジメ   作:排他的

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パートナー

「ホイっと!」

 

《Dark Shooter Phalanx Shift!》

 

「『緋槍』!」

 

大量の黒い魔力弾と燃えたぎる炎の槍がティラノサウルスのような魔物達を襲い、魔力弾はティラノサウルスの身体を食い破り、炎の槍はティラノサウルスの身体を焼いて貫く。

 

だがまだまだティラノサウルス、そしてラプトルのような魔物がハジメ達の元に向かってくる。

 

何故こうなったのか、それは少し前に遡る。

 

少し前、ハジメとユエは十メートルを超える木々が鬱蒼と茂っていて空気はどこか湿っぽいけれど以前通った熱帯林の階層と違ってそれほど暑くはない樹海のような階層に降りていた。

 

ハジメとユエが階下への階段を探して探索していると、突然、ズズンッという地響きが響き渡った。何事かと身構える二人の前に現れたのは、巨大な爬虫類を思わせる魔物だ。見た目は完全にティラノサウルスである。

 

但し、なぜか頭に一輪の可憐な花を生やしていたが……。

 

鋭い牙と迸る殺気が議論の余地なくこの魔物の強力さを示していたが、ついっと視線を上に向けると向日葵に似た花がふりふりと動く。かつてないシュールさだった。

 

さっさと片付けようとハジメは魔法を発動しようとしたその瞬間、それを制するように前に出たユエがスッと手を掲げた。

 

「『緋槍』」

 

ユエの手から燃えたぎる槍が現れ、ティラノサウルスを貫いて絶命させた。頭に生えていた花は地面に落ちた。

 

「……」

 

その様子にハジメは押し黙る。

 

最近、ユエ無双が激しい。最初はハジメの援護に徹していたはずだが、何故か途中からハジメに対抗するように先制攻撃を仕掛け魔物を瞬殺するようになってしまったのだ。

 

そのせいでハジメの魔法はいらないと思われているのではないかと思い始めていた。

 

ハジメはブラックブラスターを下ろすと苦笑いしながらユエに話しかけた。

 

「ユエ、張り切るのはいいんですが……最近私動いていないような気が……」

 

ユエは振り返ってハジメを見ると、無表情ながらどこか得意げな顔をする。

 

「……私、役に立つ。……パートナーだから。ハジメのパートナーだから!」

 

どうやら、ただハジメの援護だけしているのが我慢ならなかったらしい。

 

「(なんでこんなに強調するんでしょう……?)」

 

確か、少し前に一蓮托生のパートナーなのだから頼りにしているみたいな事を言ったような、と、ハジメは首を傾げる。

 

その時は、ユエが、魔力枯渇するまで魔法を使い戦闘中にブッ倒れてちょっとした窮地に陥ってしまい、何とか脱した後、その事をひどく気にするので慰める意味で言ったのだが……思いのほか深く心に残ったようである。パートナーとして役立つところを見せたいのだろう。

 

「いえいえ、十分役に立っていますよ。私も魔法が使えるんですから、私にも仕事を分けてくださいね」

 

「ハジメ……わかった」

 

ハジメに注意されてしまい若干シュンとするユエ。

 

ハジメは、どうにもハジメの役に立つことにこだわり過ぎる嫌いのあるユエに苦笑いしながら、彼女の柔らかな髪を撫でる。それだけで、ユエはほっこりした表情になって機嫌が戻ってしまうのだから、ハジメとしてはもう何とも言えない。

 

香織がいながらも可愛い故に優しくしてしまう。そんな中、魔物が大量に現れる。

 

ラプトルのような魔物と先程ユエが燃やしたティラノサウルスがそこにいた。しかも大量に。そして全ての魔物の頭に花が生えている。

 

「「…………」」

 

2人は顔を見合わせるとそれぞれ自分の得意魔法を発動していく。ハジメは簡単に発動できる《Black Shooter》、ユエは緋槍を発動して魔物の軍勢を殺していく。

 

だがいくら経っても魔物が減らない。殺しても殺しても魔物が出てくる。それが最初の状況だった。

 

「こうなったら、全ての魔物を殺し尽くすだけです!ユエ、時間を稼いでください!」

 

「ん、わかった!」

 

ハジメは空中に飛び上がると、階層内の魔力の残滓をブラックブラスターが展開する魔法陣に収束させる。さらにブラックブラスターに内蔵されているカートリッジシステムを使用し、薬莢を排出する。

 

「さぁ、全てを黒に染めよう!」

 

魔法陣が黒いプラズマを発し、大きな黒い魔力球が魔法陣から現れる。そしてそこから魔力砲が放たれた。

 

《Dark Star Braeker!!》

 

「ダークスターブレイカー!!!」

 

黒い魔力砲、ダークスターブレイカーが放たれ、ティラノサウルス、ラプトルを全て飲み込み、消し去った。

 

「……まだ魔力に残量はあるな」

 

ハジメはユエの元に降り立った。するとそこには呆然としたユエがそこにいた。

 

「ゆ、ユエ?どうしました?」

 

「な、何あれ……?」

 

どうやらブラックブラスターを携えたハジメが放ったブラックブラスターの威力に呆然としているようだった。

 

「ダークスターブレイカーは魔力の残滓を吸収して放つ技です。そう易々と放てるものでは無いです。それに撃つのに隙を晒すことになりますから、ユエが気に病む必要は無いですよ」

 

ハジメはユエの頭を撫でながらユエのことを慰める。

 

「……そう。絶対負けない……!」

 

ダークスターブレイカーにライバル心を燃やすユエだった。

 

「それにしてもあの花、それにあの結束力……」

 

「ん、寄生」

 

「そうですよね……はぁめんどくさい」

 

ハジメの推測を肯定するようにユエがコクンと頷く。

 

「……本体がいるはず」

 

「ですね、あの花を取り付けている魔物を殺さぬ限り、めちゃくちゃな数の魔物をぶつけられてこちらが先に死ぬか魔力が切れて死んでしまいます」

 

ハジメ達は物量で押しつぶされる前に、おそらく魔物達を操っているのであろう魔物の本体を探すことにした。でなければ、とても階下探しなどしていられない。

 

さらに先程の数の2倍がハジメ達の前に立ち塞がる。

 

「なら、つき崩すまでです……これを使うのは久しぶりなんですがね……」

 

ハジメは仮面ライダーエグゼイドの劇中内で見たことの無いガシャットとガシャコンバグヴァイザーを取りだし、ガシャットを起動する。

 

「?何それ」

 

「あぁ、これは……」

 

《仮面ライダービルド!》

 

《ガッシャット!》

 

そのガシャットはハジメが転移するまで使っていた訓練用のNPCを投影するためのガシャット。それをガシャコンバグヴァイザーに差し込み、ウィルスとして噴射すると──

 

そこには大量のハードガーディアン──仮面ライダービルドに登場する戦闘員がいた。

 

ハジメは手を振り上げるとハードガーディアンはティラノサウルスとラプトルを押さえ込んでハジメとユエの道を作り出す。

 

「行きますよ、ユエ」

 

「ん、わかってる」

 

ハジメとユエは漏れ出た魔物を倒しながら道を進んでいく。

 

ハジメ達が部屋の中央までやってきたとき、とあることが起きた。

 

全方位から緑色のピンポン玉のようなものが無数に飛んできたのだ。ハジメとユエは背中合わせになってそれを迎撃する。

 

しかし、その数は優に百を超え、尚、激しく撃ち込まれるのでハジメは障壁を展開してそれを防ぎ、ユエは風魔法で弾いていた。

 

「ユエ、恐らくは本体の攻撃です。どうします?……ゆ、ユエ?どうしました?」

 

「……」

 

「ユエ?……!?」

 

ハジメがユエに対して意見を聞こうとして、ユエの返答が聞こえないため後ろを振り向いたその瞬間、ハジメは後ろに飛び退いた。

 

ハジメに向かって緋槍が放たれたのである。

 

「に、逃げて、ハジメ!」

 

ハジメの目の前にいるユエの頭の上に花が咲いていた。緑色の玉のせいと考えるべきだろうと頭の中で考えながらユエの攻撃を避ける。

 

ハジメに殺到する緋槍、それを防ぐか避けるハジメ。そんなことを続けているとハジメの目の前、ユエの真後ろにアルラウネのような魔物が現れた。アルラウネというには些か醜悪ではあるが。

 

ハジメはブラックブラスターをエセアルラウネに向けるがエセアルラウネは斜線上にユエを配置して攻撃をさせない。

 

「ハジメ……ごめんなさい……」

 

悔しそうな表情で歯を食いしばっているユエ。自分が足でまといなっていることが耐え難いのだろう。今も必死に抵抗しているはずだ。口は動くようで、謝罪しながらも引き結ばれた口元からは血が滴り落ちている。鋭い犬歯が唇を傷つけているのだ。悔しいためか、呪縛を解くためか、あるいはその両方か。

 

「別に大丈夫ですよ、すぐに終わらせます」

 

緑色の玉を打ち込もうとするエセアルラウネとユエを見ながらハジメは走り出す。それも、エセアルラウネとユエが視認できないほどの速さで。

 

《Sonic Form》《Sonic Move》

 

ハジメのバリアジャケットの上着がなくなりスピードが上がる。

 

ハジメはユエに当たらないように、エセアルラウネがユエを移動させる暇がないほどの速さで動きながら蹴りや拳をエセアルラウネに入れていく。

 

《Saber Mode》

 

ブラックブラスターの持ち手が銃身と垂直になるように変形し、銃口から極太の魔力で出来たレーザーブレードが現れる。

 

《Jet Plasma Saber!!》

 

レーザーブレードがさらにプラズマを発し、エセアルラウネを切り裂く。エセアルラウネは一瞬で半分になり、そのまま塵となって消え去った。

 

ユエは頭の花をプチッと抜かれ少し痛そうにしながらハジメに感謝しながら自分を責める。

 

「次は足でまといにならないようにする」

 

「ユエは足でまといじゃありませんよ……いつも手助けしてくれて助かってますよ」

 

ハジメはユエの頭を撫でながら次の階層に繋がる階段を探し始めたのだった。

 




ハジメのブラックブラスターと戦い方はなのはとフェイトのハイブリッド的な感じにしました。


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