それから三日、遂に帝国の使者が訪れた。
帝国の使者が来た時、エリヒド陛下とイシュタルが驚いていた。なぜ驚いたのか、それは帝国の皇帝がわざわざ王国まで来ていたからである。
帝国の皇帝の名はガハルド・D・ヘルシャー。帝国最強を誇る皇帝だ。
現在、光輝達、迷宮攻略に赴いたメンバーと王国の重鎮達、そしてイシュタル率いる司祭数人が謁見の間に勢ぞろいし、レッドカーペットの中央にガハルド皇帝陛下とその護衛が五人ほど立ったままエリヒド陛下と向かい合っていた。
「まさかガハルド殿直々に参られるとは思わなんだ。では勇者方の至上の武勇、存分に確かめられるがよかろう」
「あぁ、その前に俺の方からも帝国の勇者を紹介させて頂こう」
「「は?」」
エリヒド陛下とイシュタルの声が重なる。ガハルド皇帝陛下の言ったことを理解できなかったようだ。その反応を笑いながらガハルド皇帝陛下は1人の男を前に出す。
その男は光輝のようなイケメンでありながらキラキラオーラは抑え目であり、ボサボサとした黒髪の容姿をしていた。
「神谷 遥人、と申します。この世界、そしてヘルシャー帝国に召喚された帝国の勇者…です。よろしくお願いします」
神谷遥人と名乗ったその男は光輝や王国の使徒と比べると鎧や武装が心もとないようにも見える。
「コイツはエヒト様が我々に与えてくださった2人目の勇者だ、もう魔人族との戦争に出て武功を上げている。そちらは何をなさったのだったかな?」
「うむ、では説明の前にまずは紹介させて頂こうか。光輝殿、前へ出てくれるか?」
「は、はい」
予想だにしない新たな勇者の登場に少し戸惑いながらも光輝はエリヒド陛下に促されるまま前に進み出る。
そして、光輝を筆頭に、次々と迷宮攻略のメンバーが紹介された。
「へぇ、お前が王国の勇者か。本当にベヒモスを討伐したのか?話を聞く限り、王国に召喚された錬成師がベヒモスを撃退して勇者達は逃げ帰ったと聞いているんだが…」
ガハルド皇帝陛下が疑いの視線と声を光輝に向ける。その視線と声に居心地悪そうに身じろぎしながら、光輝が答える。
「えっと、ではお話しましょうか? どのように倒したかとか、あっ、六十六層のマップを見せるとかどうでしょう?」
光輝は信じてもらおうと色々提案するがガハルド皇帝陛下はあっさり首を振りニヤッと不敵な笑みを浮かべた。
「いんや、話は結構。実力はこの場で示してもらおう。言葉ではなく、実戦でな…遥人!」
「あぁ、わかりました皇帝陛下」
前から示し合わせていたかのようにガハルド皇帝陛下の前に立つ遥人、光輝は若干戸惑ったようにエリヒド陛下を振り返る。エリヒド陛下は光輝の視線を受けてイシュタルに確認を取る。イシュタルは頷いた。神威をもって帝国に光輝を人間族のリーダーとして認めさせることは簡単だが、完全実力主義の帝国を早々に本心から認めさせるには、実際戦ってもらうのが手っ取り早いと判断したのだ。
「構わんよ。光輝殿、その実力、存分に示されよ」
「決まりですな、では場所の用意をお願いします」
こうして急遽、王国の勇者対帝国の勇者という模擬戦の開催が決定したのだった。
光輝の目の前には何も武器らしい物を持っていない遥人が居り、対する光輝はいつもの聖剣と鎧を身にまとっている。
「えっと…神谷さん、武器はどうしたんです」
「あぁ、遥人でいいよ、僕と君同年代だし、僕も光輝って呼ぶからさ。後武器は今から出すよ」
「え、あぁわかった遥人」
怪訝な表情の光輝を尻目に遥人は何かを念じ始めた。すると遥人の手が光りだしてその手にサークル型のシルバー、レッド、ブルー、ブラックの色で色付けられたアイテム、『オーブリング』が現れる。
「さて行くか」
「え?」
戸惑う光輝を無視してオーブリングを起動する遥人。今まで来ていた服がなくなり、黒いスーツに換装する。そして赤と銀色の戦士『ウルトラマン』とそれに黄色と紫を足し、姿が少し違う戦士『ウルトラマンティガ』が描かれた『フュージョンカード』をリードさせる。
「ウルトラマン!」《ウルトラマン!》
『ヘアッ!!』
ウルトラマンの幻像が遥人の右横に現れる。地球から転移した者たちはそのウルトラマンが何であるか知っているために驚きを隠せないでいる。
「ティガ!」《ウルトラマンティガ!》
『デアッ!!』
次はウルトラマンティガが遥人の左横に現れる。地球から転移した者たちは何がどうなっているのか分からずに混乱し始める。
なにかのウルトラマンに変身するのか、だが見たことがないと地球組の頭はごちゃごちゃになっていた。
「光の力、お借りしますッ!」
《フュージョンアップ!》
オーブリングを片手で掲げ、2人のウルトラマンも同じ手を天に掲げる。そしてオーブリングのトリガーを引くと2人のウルトラマンが遥人の身体に同時に融合…否、『フュージョンアップ』した。
《ウルトラマンオーブ!スペシウムゼペリオン! 》
そこには2人のウルトラマンの意匠が込められた赤、黒、紫の色をメインカラーとするウルトラマン、『ウルトラマンオーブ スペシウムゼペリオン』がそこにいた。
ただウルトラマンの特徴である巨大化はしておらず、依然として人間サイズだが。
「…皇帝陛下がお望みだからね、やろうか、光輝」
「あ、あぁ、わかった。行くぞ!」
光輝が真正面から斬りかかってくるのを遥人は手で軽く捌く。そして光輝の腹に一発ジャブを入れる。
「遅いよ、それじゃあ魔人族は倒せない!」
ただのジャブで痛がる光輝はその言葉に反論することが出来ない。遥人は手のひらから紫色のエネルギーで構成された手裏剣状のカッター光線、『スペリオンスラッシュ』を光輝に放つ。
「我が身を守りたまえ、『光絶』!」
その攻撃は咄嗟に繰り出した光の障壁魔法によって阻まれる。遥人は意外そうな表情をマスクの下で浮かべながら右手を上に掲げ、左手を横に広げてエネルギーをチャージする。
そしてそこからギザギザの刃が丸くなってできた『スペリオン光輪』を作り出して光輝に向かって投擲する。
「あァァァ!」
スペリオン光輪を破壊しようと光輝は聖剣でその攻撃を防ぐ。だがその攻撃は破壊されず、ジリジリと光輝を押していく。
遥人のスペリオン光輪をやっとのことで破壊した頃には、光輝は先程スペリオン光輪を受けたところからだいぶ離れたところまで押されていた。
「…期待外れだな、やはり錬成師に任せて逃げ帰ったってのは本当そうだな」
ガハルド皇帝陛下は光輝のその体たらくを見てそう判断した。イシュタルやエリヒド陛下、雫達が何かを言いたそうにしていたが、何を言っても意味は無いと苦虫を噛み潰したような顔になっていた。
「…ならこれでお前を倒す!喰らえ遥人!万翔羽ばたき、天へと至れ――『天翔閃』!」
「素直に食らうわけないよ、ほいっと」
光の奔流が遥人を襲うがそれを軽々と避け、遥人は再度右手を上に掲げ、左手を横に広げてエネルギーをチャージする。
そしてゆっくりと両腕を十字に組んで紫色のエネルギーで構成された、必殺光線、『スペリオン光線』を放つ。
「君は正直すぎるよ、光輝…スペリオン光線ッ!!!」
紫色の天翔閃よりも大きな光の奔流が天翔閃を放った光輝に向かって放たれ、それは光輝に直撃するかのように思われた。
だがそれは突如として現れた光の壁に防がれることになる。
「神の加護よ、貴方の従者たる勇者を守りたまえ…『聖絶』!」
スペリオン光線を止めるために幾重にも重ねられたイシュタルが作り出した聖絶がそれを止めた。
「…フゥ……それくらいにしましょうか。これ以上は、模擬戦ではなく殺し合いになってしまいますのでな。ガハルド殿もそれでよろしいですな?」
「ちっ、仕方ねぇな…遥人、戻れ」
「わかりました」
イシュタルの介入によってなし崩しで模擬戦も終わってしまい、その後に予定されていた晩餐で帝国からも遥人のスペリオン光輪を止めたことで勇者を『一応』認めるとの言質をとることができ、一応、今回の訪問の目的は達成されたようだ。
ちなみに晩餐会でガハルド皇帝陛下は雫を口説いていて、光輝がそれを止め、ガハルド皇帝陛下に軽くあしらわれるということがあったのだが、そのすぐ近くで遥人がとある人を口説いていた。
「あの、一緒に帝国に来て頂けませんか?私が生涯をかけてお守りしますから…!」
「え、ちょっとその…困ります…!」
恵里を口説く遥人がそこにいた。鈴がエリリンは渡さない的なことを言っていたがそれを無視して口説いていた。
終始恵里は顔を真っ赤にしていた。
神谷遥人の力はウルトラマンオーブ!とりあえず聖剣を自前で持っている戦士にしました!
それにチートと言える能力もあまり持っていませんから人型なら勇者パーティー全員と神谷遥人はバランスが取れていると思います。
ちなみにホーリーライブが出た時に執筆したので、最初はエビル/ライブにしようと思いましたが、ハジメが仮面ライダーとスーパー戦隊を使うのでウルトラマンにしました!