爺口調な男子高校生が、のじゃろりになってTSライフを送るだけの日常 作:九十九一
そんなこんなで目的地、秋葉に到着。
ホームから駅構内に移ると、既に人がごった返しておった。
おぉ、さすがに休日の秋葉は人が多いのう。
「いやー、久々に来たなー。毎月一回くらいは行ってなかったっけか?」
「そうですね。四月以降はまひろさんがこうなってしまいましたからね。行けなくなった、と言うのも当然と言えば当然でしょう」
「うむ。しかし、今後はおぬしらと遊ぶのに制限がなくなったからのう、今後は定期的に行こうぞ」
「おうよ。んじゃ、まずは……飯にすっか!」
「うむ! あ、昼飯は奢るぞ」
「お、いいのか?」
「いいんですか?」
「もちろんじゃ。おぬしらとは全然遊べ無くなっとったからのう。それに、儂相手の態度も変えんし、色々と助かっとるんよ。なので、よければ奢らせてくれ」
もとより、今日の飯は儂が奢るつもりでおったからのう。
「んじゃ、ありがたく」
「ご相伴にあずかりますね」
「うむうむ! で、何食いたい?」
「あー、そうだなぁ……サ〇ゼでいいんじゃね? 美味いし安いし」
「良いのか? 別に何でもいいんじゃぞ? 寿司でもなんでも」
「いえ、さすがに申し訳ないですよ。というか、以前とは違い、まひろさんがその姿で会計を全て済ませると……なんかその、僕たちがヒモみたいじゃないですか」
困ったような笑みと共に放たれた優弥の言葉に、健吾もあー、と微妙な表情になる。
「そうかの? 儂らは中身は同じじゃがのう」
「そりゃ中身はな。しかもそれ、俺らみたいに普段からお前に接してる奴しか知らねぇだろ? お前のことを知らない奴はそうなるって」
「まあ、それもそうじゃな。しかし、あれじゃろ。別に儂がまとめて払ってます、みたいな感じにすればええじゃろ? それならば問題あるまい」
「……まあ、たしかに?」
「それにじゃな、儂的にはおぬしらには精神的な部分で助けられ取るからのう。故に、奢らせて欲しいわけじゃ」
「なるほど。まあ、そういうことなら少し考えましょうか」
「うむうむ、そうしてくれ」
よし、とりあえず、これでこやつらに美味いもんを食わせられる。
実際、金銭面の余裕はかなりあるし、今までのバイト代だってほとんど手を付け取らん。
強いて言えば、男の時にこやつらと遊びに行くのに使う程度で、その金額自体も大した額ではない。
それに、儂には両親からの仕送りもあるからのう。
故に問題はないわけじゃ。
……ちなみに、さすがに瑞姫の家に嫁いだようなものであるため、さすがに今は仕送りはいらんと伝えてあるので、今は振り込まれてはいない。
とはいえ、今までの分が普通にあるんじゃが。
「……つってもなぁ、俺ら学生だし、普通に高くて美味いもんが食いたい! とかってねぇんだよなぁ」
「ですね。むしろ、安くて量が食べられるお店の方が好ましいですよね。サ〇ゼとか」
「正直わかる。んむぅ……では、選択し。ラーメンか、寿司か、サ〇ゼ。どれが良い?」
「「サ〇ゼ」」
「どんだけ好きなんじゃ。いや美味いけども」
とはいえ、二人がそう言うのならば、まあええじゃろ。
というか、結局サ〇ゼかい。
……ドリアは確実じゃな!
というわけでサ〇ゼで豪遊(とは言っても値段はかなり安いが)し、店を出てから早速ゲームセンターへ。
「おぉ、久々に来たのう……うむうむ、素晴らしい。まずは何かする?」
「そうだなぁ、プリクラでも撮るか? なんて」
冗談冗談、と言った様子で言う健吾。
「お、それはいいのう! 面白そうじゃ。撮ろう撮ろう」
「え、マジで言ってんの?」
本人的には冗談で言ったんじゃろうが、儂的にはそれは名案と思った。
「まひろさん、それ、僕たち殺されませんかね?」
儂が健吾の冗談で出した提案に乗ったことに、優弥が心配そうな顔でそう尋ねてきた。
おそらく、プリクラを撮ることで、我が旦那共に粛清されるのではないか、という心配をしとるようじゃが……ふむ。
「む? なぜじゃ? 男同士でプリクラを撮るだけじゃぞ? それに、プリクラって男だけじゃ入れんじゃろ? 折角入れる資格を得たのならば、やっておきたいじゃろうが。思い出的な」
実際、プリクラコーナーと言うのは、男だけでは決して入ることが出来ない。
その理由は、主な客層である女子中高生などを狙った痴漢やら盗撮、他にもナンパなどがあるから、と聞くが……なんと言うか、その他大勢ではなくその内の少数を気にした結果とも言える物じゃな。
とはいえ、元々女性がメインの客層である以上、仕方ないと言えば仕方ないのかもしれん。
がしかーし! 今の儂らならば、問題なく撮ることが出来よう!
こう、仲良し三人組みたいな感じで!
「なるほど、ではやりましょう」
「優弥、お前って何気にまひろ相手には甘いよな」
「そうですか?」
「あぁ」
結局反対意見は出なかったので、三人でプリクラを撮ることに。
並び順的に、儂が真ん中で、両サイドに健吾と優弥がいる形。
「おぉ、面白い機能が多いのう。まぁ、とりあえず、スタンダードでよいじゃろ」
「だな」
「お任せします」
『それじゃあ撮るよ! いい笑顔を浮かべてね!』
と、アナウンスが流れた直後に、五秒のカウントダウンが始まり、儂らはそれぞれのポーズを取り……儂が一瞬いたずらっぽく笑い、ガバッ! と二人の肩に腕を回した。
「ちょっ、まひろ!?」
「まひろさん!?」
「この方が、儂ららしいじゃろ!」
ニッ、と笑顔で儂はそう言い放つと、パシャッ! とシャッター音が鳴り、フラッシュが焚かれた。
『この写真でいいかな? あと二回撮り直しが出来るよ! この写真で大丈夫なら、OKボタンを押してね!』
そう言って表示されたのは、楽しそうに笑う儂に腕を回されて困惑しながらも笑う健吾と優弥の三人じゃった。
「おぉ、なかなか良いのではないか?」
「だな。なんつーか、お前がすっげぇ生き生きしてるわ」
「僕はかなりいいと思いますよ? 普段からまひろさん、色々と苦労しているでしょうし、折角ですから、一発撮りのこれにしましょう」
「よっしゃ! じゃあ、落書きタイムと行こう!」
この写真でOKということで、早速OKボタンを押して落書きタイムへ。
「んむぅ、フレームはこれで……なんて書くよ?」
「あー……よし、じゃあこんなのはどうだ?」
ニヤニヤと、いたずらっぽく笑ったかと思えば、健吾が儂らそれぞれに文字を書き込んでいく。
健吾には『ケンゴロー』で、優弥には『✟幽夜✟』、儂には『まひにゃん』と。
「……おぬし、これはふざけすぎじゃね? ってか、にゃんと付けるんなら、儂、絶対耳生やした方がええじゃろ!」
いや今、猫じゃなくてチーターじゃけど!
「まひろさん、ツッコミ所はそこではないと思います」
「はっはっは! まあ、別にいいじゃねーの!」
「くっ、なんかおぬしだけ普通なのが気に入らん! こうしてくれるぅ!」
「あ、ちょっ、まひろ!」
儂はもう一つあったペンを手に持つと、『ケンゴロー』と書かれた部分を『史上最強の色黒ダンディケンゴロー』と。
「ちょっ、なんかすんごい痛い奴になったんだけど!?」
「いえ、僕も既に✟が入ってる時点で痛い人です」
「ふははははぁ! やられたらやり返すのじゃぁ! それ、完成ボタンを押してくれるわ!」
「何!? そうはさせねぇ! お前の所にも書き足してやらぁ!」
「お、おぬし何を書くつもりじゃ!? くっ、書き終える前に押してやる!」
ぎゃーぎゃーと騒ぎながら、儂は健吾が何かを書き足す前に儂は完成ボタンを押した。
「チッ、書ききれなかった!」
『完成した物をプリントしたよ! 持ち帰ってね! バイバーイ!』
そんなナビが流れる。
完成した物を見るべく、儂らは筐体の外に出て、取り出し口からプリントされた物を取り出し……なんとも言えぬ顔をした。
「……おぬし、手元狂った?」
「急がなきゃ! と思いはしたな」
「……いやまぁ、うん、なんか……女好きのめんどくさがりて」
「すまんすまん。嫁好きって書こうとしたら、家を書くの忘れたわ!」
あっはっは! と呵呵大笑と言わんばかりに笑う健吾にジト目を向け、その直後に少し大きな声を出す。
「こんなダイナミックなミスある!? くっ、しかし、旦那が五人おる時点で否定しきれぬぅ!」
傍から見れば儂、どう見ても女好きじゃろあれ。
五人もの旦那がいるわけで。
あと、女好きならまだしも、めんどくさがりという一文のせいで、儂がとんでもない人間のクズのような感じになっとるのがムカつく!
「まあ、これはこれで思い出、と言うことでいいじゃないですか? 僕は好きですよ、こういうノリ」
「いやまぁ、儂も好きじゃけど! 男同士だからこそ! みたいな感じで!」
「だろだろ? いやぁ、俺もいい仕事するぜ!」
「おぬしはもう少し反省せい」
「そりゃ無理」
「ぐぬぬぅ」
などと、軽口を叩きあう儂ら。
いやもう、なんじゃろうね、このすんごい安心感があり、尚且つ楽しい言い合いは。
美穂たちでは得られぬ栄養分があるのでは? と思わず思ってしまうほどに、この時間がすごく心地よくて楽しい。
うむうむ、男友達と遊ぶのならばこうでなくては!
「おし、プリクラも撮ったし、次はクレーンゲームでやるか?」
「お、いいのう。何かよさげな物があるといいんじゃが」
「まひろさん、乱獲しすぎないでくださいね?」
「いやいや、クレーンゲームとは戦場じゃから!」
「どんなセリフだよ」
ははは、と三人で笑い合いながらクレーンゲームコーナーへ向かった。
「おおぅ、このぬいぐるみ良いのう。やはり、寝そべり系は可愛いのう」
「わかる。やっぱ、デフォルメ調のキャラは可愛いよなー」
「こればかりは、現実では絶対に不可能ですからね」
「そりゃそうじゃろ」
デフォルメ調の人間が実際にいたら怖くね?
……あ、いや、案外そういう能力を持った発症者がおっても不思議ではないような……もしいるのならば見てみたい。
「んで? 獲るのか?」
「そうじゃのう……三本アームタイプか……できんことはないが、どれ。まあ、一回はプレイするか」
折角来たわけじゃからな。やはり、遊び尽くさねば。
早速財布から小銭入れから百円玉を取り出し、筐体に投入。
「ってかお前、未だにがま口財布使ってんの?」
「うむ。やはり、小銭入れとしては便利でな」
健吾が指摘した通り、儂が使用する財布と言うのは、札やカードが入った物は普通の長財布じゃが、小銭入れとしてがま口財布を使用しておる。
実はこれ、爺ちゃんが生前使っとった財布で、形見として使用しとる物じゃったりする。
「どれ、場所は……まあ、この辺でええじゃろ。よーし、まずは一発目ぇ!」
意気揚々と、掴むボタンを押し、アームが降下。
ここ! というタイミングで再びボタンを押すことでアームが閉じ、ぬいぐるみをガシッと掴み、持ち上げる。
まあ、上がり切った瞬間に落ちるじゃろうが……っと、お?
なんと、掴まれたぬいぐるみが落下する、などと言うことはなく、掴んだまま落下口へ移動していき、ぼと、と落ちた。
「おぉ、一発で獲れたぞ!」
プライズが獲れたことを祝福する音声が筐体から流れるのを耳にしながら、儂は嬉々として取り出し口からぬいぐるみを取り出す。
「お前、マジでクレーンゲームの運良いよな」
「ふっ、これも日頃の行いかのう」
「……あながち否定できないのがなんとも言えませんね」
「優弥よ、哀れみの籠った目でこちらを見るのはやめい、なんか、心に来る」
「あ、すみません、つい」
いやまぁ、優弥がそう言う顔をするのも納得と言えば納得なんじゃが……。
何せ、普段が普段じゃからのう……。
「まあよい。……さて、次に行くぞ」
「何をやるんですか?」
「ん、そうじゃのう……まあ、菓子類でも取るか。ましろん辺りの土産にでもするわい」
「土産がゲーセンの景品て。いやまぁ、生徒会長は大食漢らしいし、ありだとは思うけどよ」
「打ち上げの時すごかったですからね」
「あれでもまだマシな部類じゃぞ?」
「「え」」
マシだったと言うと、二人の顔が固まった。
そんなことも気にせず、儂は言葉を続ける。
「あやつ、あれでも他の者たちにしっかり行き渡るように計算して食っとったし」
実際、食べる量自体はかなりマシと言えばマシじゃったし、家で食べる量や以前あの店で食べた時に比べれば、大した量ではなかったしな。
「……優弥、まひろがこう言ってるが、どう思う?」
「あれでマシ……確か、お店の人たちが最後、死んだように倒れていた気がしますが……」
「……恐ろしいな」
「……ですね」
む? なぜか二人が曖昧な笑みで話とるが……むむぅ?
「まいいや。……お、まひろ、無効に駄菓子があるぜ」
「では、それをやるかの!」
健吾が見つけたクレーンゲームの場所へ向かい……
「お? 随分とまぁ獲れたのう」
「お前、やっぱおかしいだろ……」
「たまたま刺さったとところがきっかけで崩れた挙句、雪崩が起こるとは……運が良いですね」
「いやぁ、大量じゃのう」
いそいそと儂は取り出し口から大量の駄菓子を取り出し、近くに遭った景品用の袋に詰めていく。
「だぁ! 全然獲れねぇ!」
「なかなか難しいですね……」
その横では、儂とは別のクレーンゲームをプレイする二人ができないと嘆いていた。
「む? おぬしらは何をやっとるんじゃ?」
「俺は箱タイプの菓子」
「僕は袋詰めの奴ですね」
「ふむ……どれ、儂もやろう」
「いやいや、お前これ結構難いぜ?」
「いやなに、何とかなるじゃろ」
というわけで、健吾がプレイしとった物をプレイし……一発で獲れた。
「えぇ……」
「優弥、そっちもやってよいか?」
「どうぞ」
「……お、獲れた」
「ちょいちょいちょい!? お前、なんかおかしくね!? なんでそんなに獲れんだよ!?」
「そう言われてものう……獲れた、としか」
儂自身でも、なぜこんなに獲れるのかよくわからん。
ただひたすら獲れるというか……まるでそこに導かれるようと言うか、まあ、そんな感じで、なぜかここ! みたいな場所で止まるわけで。
どういうわけなんじゃろうね、これ。
「よーし、次じゃ次!」
この後もしばらくクレーンゲームを楽しみ、この後もなぜか乱獲した。
本当に何故なのか。
というわけで、次の目的地へ……行くその途中。
「……お? なんじゃろうか、あれ?」
元々人通りの多い秋葉じゃが、一際人の多い場所を見つけ、儂がそちらを指す。
「ほんとだな……優弥、なんか知らね?」
「いえ、特には。少し、調べてみますが………………んー、情報が錯綜しているのでわからない部分もありますが、何かの撮影があるみたいですね」
「撮影とな。しかし……ふむ。何やら騒がしいが……どうせなら、少し近くで見ていくか?」
「なんだ、珍しいじゃねえか。まひろってこういうのは『めんどくさそうじゃからパス』とか言いそうなのによ」
「いやほら、儂、非日常とか好きじゃし。それに、遠出した場所での突発的イベントは面白いじゃろ?」
「ひ、否定できねぇ」
それに、こういうのは創作物ではよくあるイベントの一つであるし、こう、旅先でのアクシデントこそ面白い、というのはよくある事じゃろう。
故に、儂もちと見てみたい。
「えーと……あそこ、隙間がありますね。行ってみましょう」
「うむ!」
優弥がちょうどいい隙間を見つけたということで、これ幸いと儂らはそこへ向かう。
よく見れば、周囲にいるのは……む? 女性の方が少し多い、か?
男もおるにはおるが、うぅむ、一体なんの撮影なのか。
少しだけわくわくとした気持ちで人垣の前へ進むと……
「うわぁ……モデルが急病とか……撮影どうすんの?」
何やらカメラを持った男と、スーツ姿で困ったようなオーラをゴリゴリに出しとる男が何かを話しとる光景じゃった。
よく見れば、周囲にはよくわからん器材などもあり、スタッフ? らしき者たちもいるのが見て取れた。
『そ、そう言われましても、病気ですし……その、撮影は……』
「いやいや、俺も暇じゃないからさー……そっちにも申し訳ないんだけど、マジで今日どうにかしなきゃだしさ……」
『ですよね……もういっそのこと、この辺で探します? ダメもとで』
「……そうだなぁ。ま、それしか方法は無いか……んー、とはいえ、いい感じの人いるかねぇ? それこ
そ、ビビッ! と来るような人がいれば……」
カメラを持った男がきょろきょろとこちら側の人垣を見回し始める。。
「これは、あれか? モデルが来なくて焦ってる、って感じか?」
目の前の状況から色々と察したらしい健吾が、目の前の光景についてそんな言葉を零す。
「みたいですね。それに、今の口ぶりからこの中から探そうとしているみたいですが……」
「なるほどのう、まあ何か良くわかったし、次の目的地に行くとしよう」
とりあえず、これが何かわかった以上、さっさと次の目的に行くことに決め、儂らは踵を返して次の目的地である、トレードーへ向かおうとした時じゃった。
「……ん? あれは……はっ! おーい、そこの桜髪の人ーー!」
ふと、背後からそんな声が聞こえてきた。
その瞬間に感じる、周囲からの視線。
な、なんじゃなんじゃ?
「おい、まひろ。なんか、桜髪の人が呼ばれてるっぽいけどよ……」
「い、いやいやいや、さすがに気のせいじゃろ? ってか儂、さっさとトレードーに行きたいんじゃが」
「ですが、この辺りにいるのは、桜髪と言うより、桃色っぽい人くらいですが、桜色ではないですし」
周囲を見回し、桜髪と呼べるような人物が儂しかいないと優弥が言う。
「はは、気のせいじゃ気のせい。じゃから、ほれ、次の場所へ――」
「そこで、二人の男の子と話してる君だよ君!」
「………い、いや! まだ儂と決まったわけじゃな――」
「そうそう、そこで特徴的な口調をしてる君だよ君! ちょっといいかな!」
明らかに言い逃れが出来ない内容のセリフが聞こえて来て、儂は天を仰いだ。
そして、一言。
「儂じゃん……」
え、なんで儂、呼び止められとんの? なんか、いやな予感がするんじゃが?
「あー、まひろ、固まってるところ悪いけどよ、お前、すんげぇ注目されてるぜ?」
「は、ははっ……儂が? そ、そんなバカな」
「いえ、冗談でもなんでもなく、注目されてますが」
「い、嫌じゃ! なんか絶対碌なことじゃないじゃろこれ!」
明らかに、面倒ごとが起こっとる現場らしき場所の、メインっぽい人物に呼び止められるとか、絶対碌なことじゃない!
くそぅ、近づくのではなかったかっ……!
そう思いながら、儂はその場から動きたくない、とばかりにその場で拳を握りながら停止する。
の、能力を使えば逃げられるか? 幸い、今は鳥の能力が使える……いや無理じゃ!
鳥に変身することはできても、この服に穴は開くとらん! 故に、ブラウスを脱がねばならぬぅっ……!
そうなれば、上半身ブラジャーのみで、下半身ミニスカ+ニーハイソックスという、変態痴女になってしまうではないか!
い、いやしかし、まだチーターが……いやでも! あれは速度の制御が難しく、まだまだ実用レベルじゃないし……くそぅ! 積みではないか!
まさに八方塞がりなどと考えておったら、後ろからスタスタと足音が聞こえてくる。
「君!」
そして、儂の真後ろで儂を呼ぶ声がした。
はぁ、と嘆息一つ、儂は仕方なく振り返る。
すると、男がまるで雷に打たれたかのような顔になると、これだァ! みたいな表情へと変わり、ガシィ! と儂の両肩を掴み、
「君すごくいい! 是非、モデルをやってくれないか!?」
そう、言い放って来た、どこか、興奮気味に。
……なんかこれ、傍から見たら変態が女子高生に迫ってる図じゃね……?
どうも、九十九一です。
どっかで見た様な最後の部分ですが、まあ、許してください。一応、あれの平衡世界バージョンの人物、こっちの世界にいるので。
次回は……まあ、できたら明日も投稿したく思います。できたら。
では。