爺口調な男子高校生が、のじゃろりになってTSライフを送るだけの日常   作:九十九一

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日常101 外出二度目。神とデート

 翌日、今日も儂は出掛ける。

 

 姿は昨日と同じじゃが、さすがにそろそろロリに戻ろうかと思っておるので、着替えは持っていくつもりじゃ。

 

 折角なので昨日バイト代の代わりに貰った服に着替えて、ロリ用の着替えとカバンを持っていざ出陣。

 

 待ち合わせ場所は研究所前……ではなく、普通に普通にこの街の駅前。

 

 なんでも、

 

『色々と教えてもらう側なんだ。さすがに、私の方から出向くよ』

 

 だそうじゃ。

 

 大人じゃのう。

 

 というわけで、儂は準備を済ませてから家を出て駅前へ。

 

 昨日と同じ行動を取っておるのがなんとも言えぬのう……。

 

 しかし……。

 

『ねぇねぇ、あそこにいる人って……』

『もしかして、昨日SNSで流れて来てた……?』

『うっそ、本物!? うわぁ、すっごい綺麗……』

『あの人じゃね? 昨日のトレンドに載ってた』

『すっげ、本物じゃん。ってか、昨日もあそこにいなかったか?』

『この辺の人って可能性あるくね?』

 

 なんだか、昨日よりも見られとるような……。

 

 それに……なんじゃろうか? この、熱っぽいような視線の種類は……うぅむ、儂、何かしたかのう?

 

 それとも、昨日の件が原因か?

 

 ……あり得るのう。

 

 思い返してみればあの場には、スマホで写真を撮る者もおったような気がしたしのう。

 

 しかし、写真撮影は禁止であったと思うんじゃが……ふむ、やはり、どこにでもいるもんじゃな、ルールを守らん輩と言うのは。

 

 しかし、こうも注目されると面倒じゃのう……これはやはり、ロリ姿の方が良かったか……? いやしかし、この姿の方が何かと便利じゃからのう……うぅむ、悩ましいのう。

 

「おっと、待たせてしまったかな?」

 

 んー、とどうするべきか頭を悩ませておると、不意に横から声をかけられる。

 

 この声に、この話し方からして……

 

「おぉ、神か。なんじゃ、早いのう」

 

 今日会う予定の神じゃった。

 

「ははっ、それはこちらのセリフさ。まだ予定の時間まであったはずだけど?」

「早めに来る、そうすれば遅刻することはないじゃろ?」

「それはそうだ。……ふむ、しかし、君は随分と注目されているみたいだね?」

 

 辺りを見回し、少しいたずらっぽい笑みと共にからかい交じりに言われる。

 

 この顔からして、どうして注目を受け取るのか察してそうじゃな。

 

「……ま、色々あってな。ところで、おぬし……」

「ん? なんだい?」

「おぬし、随分とまぁ似合う服装で来たのう。なんじゃ、そんな服、持っとったのか?」

 

 今日の神の服装と言えば、かなりこう、THE大人、みたいな服装。

 

 シャツにジャケットを肩に羽織、デニムパンツという出で立ち。

 

 なんと言うか、スタイルが良いし、何より綺麗目な顔立ちじゃから、かなりカッコいいのう。

 

 結衣姉とは違った方向性じゃな。

 

「まあね。これでも、たまに食事に行く場面もあるから、同僚と」

「ほっほう、おぬしにも友人と呼べるものがおるということか」

「もちろん。というより、こう見えて私はかなり慕われるような人物なんだけど?」

「ははっ、すまんすまん。……しかし、うむうむ、良く似合っとるのう」

「そうかい? 君に言われると、なんだか嬉しいね。ありがとう」

「うむ。……では、そろそろ行くか」

 

 待ち合わせの人物が来たのならば、ここに長居する意味もない。

 

 それに、神が合流したからか、かなり周囲からの視線が集まっとるしのう。

 

「そうだね。で、どこへ行くんだい?」

「そうじゃのう、とりあえず、ショッピングモールにでも行くか?」

「ふむ、ショッピングモールか……一度も行ったことはないな」

「そうなのか?」

 

 ショッピングモールに行ったことが無いと言うまさかのセリフに、儂は思わず目をぱちくりとさせながら聞き返す。

 

 どんだけ知らんのじゃ。

 

「うちの家は根っからの研究者だからね、おかげで娯楽なんかには目もくれず、研究の毎日さ。それに、両親が亡くなってからはそれどころではなかったということもあるし、今まで以上に研究に打ち込んだ、と言うのもあるね」

「……寂しい人生じゃのう」

「そうかもしれないね。私も、最近までは特に何も感じなかったんだけど、君の生活を聞いていると、寂しく思えて来てね。だから、今日の件を引き受けてくれたことは嬉しく思っているよ」

 

 ふっと、いつもとは違う笑みを浮かべる神に、儂も一瞬つられて笑ってしまうが……

 

「いやあれ、どう考えても強制じゃったような……?」

 

 すぐに、事の経緯を思い出す。

 

「気のせいさ。さ、人生初のショッピングモールに行こうか」

「う、うむ。そうじゃな」

 

 実年齢は知らんが、推定二十代半ば、もしくは後半程度と考えると、かなりアレな発言じゃが……うむ、まぁ、なんじゃ。本当に寂しいのう……。

 

 

『今の美人、モデルさんだったのかな?』

『ね、すっごい雰囲気あったよねー』

『美人の知り合いも美人と言う事か……』

 

 

 駅から出発した儂らは、早速ショッピングモールへ。

 

 その道中、やたらと視線を受ける羽目になったが、儂と神両者共に大して気にする素振りはなく、むしろ談笑に花を咲かせておった。

 

「この時間帯に外を誰かと一緒に出歩く、と言うのはなんとも不思議な気分だ」

 

 その途中、なんと無しに神がそんな言葉を零す。

 

 その表情は、新鮮だね、という気持ちが表れておった。

 

「おぬし、普段はどういう生活をしとるんじゃ?」

「私かい? そうだね……とりあえず、この時間は寝ていることが多いかな」

「……おぬし、もしや日常的に徹夜を?」

 

 まさか、とジト目で神を見つめながら聞き返すと、神はふっと不敵な笑みを浮かべて当然と答える。

 

「当然。しかも、大抵はかなり長時間起きている場合が多い。今日はさすがに、前もって出かけることがわかっていたから徹夜は控えたが」

「普通は徹夜せんて」

「研究者の中では普通さ」

「嫌な普通じゃのう……」

 

 何でもないように言っとるが、普通徹夜は褒められたことじゃないんじゃがのう……。

 

 研究者の常識は、絶対にあてにしてはならんな。

 

「お、着いたぞ」

「へぇ、話には聞いていたけど、かなり大きな施設だね。ふむふむ……人が多く行きかい、それぞれの目的を持って行動するわけか……それに、店もフロアごとに分かれているのかな? しかし、衣類を商品とした店が多い気がするが、これは何か意味が……?」

 

 ショッピングモールに到着するなり、その光景をまるで子供のように見つめたかと思えば、すぐに表情をきりっとさせた物に変え、至高の海に沈んでいく。

 

「……はぁ、神よ、考察するのなら後にしてくれ、今はオフじゃぞ」

 

 そんな神の様子に溜息を一つ吐き、今がオフであることを突きつける。

 

「……っと、すまないね。自分の知らないことを体験するとつい、ね」

「生粋の研究者じゃのう……」

「はは、これが私だからね」

 ほんとにな。

「ところで、ここでは何をするんだい?」

「ただ歩くだけじゃぞ?」

「ふぅん? それだけなのかい?」

「まあ、ショッピングモールなぞ、明確な目的を持って行く方が珍しいじゃろ。大抵は、なんとなく遊びに来た、と言う感覚の方が多いぞ」

「へぇ、明確な目的を持たない、か……なるほど、私には無縁の考え方だが……面白いね。うん、面白い」

 

 そう言う神の表情は、なんとなく楽しそうという言葉がぴったりな物であった。

 

 なんだかんだ、楽しもうとしとるのかもなぁ。

 

「では、早速歩くか」

「うむ。……って、おい、この手はなんじゃ?」

 

 ふと、神に左手を掴まれ、思わずどういうことかと問い詰める。

 

 神はきょとんとした顔で答える。

 

「もちろん、手を繋ぐためだが?」

「いやなぜに!?」

 

 当り前だろ? みたいな反応に、儂は周囲の目を気にせず、思わず割とでかめな声でツッコミを入れておった。

 

 周囲の客がぎょっとするが、気にせず歩き出す。

 

「ふむ、今日のこのデート、私は君にどんな感情を抱いているのか、ということを知るための物でもあってね」

「おい、今さらっとデートとか言わんかったか?」

「ならば、色々と知るために君と手を繋ぐ、というのはわかりやすいことだろう? つまり、そう言う事だ」

「どういうことかまるでわからんが」

 

 こやつは一体何を言っとるんじゃ。

 

「ま、気にするな。……で、繋いでもいいのかい?」

 

 さすがに許可がないとあれかなー、とでも思ったらしく、神は繋いだ手を放そうとするが、儂はその手を今度は儂から掴む。

 

「まぁ、別に気にせんよ。ほれ、これでええじゃろ?」

「っ! あ、あぁ、なるほど、君はすごいね」

 

 バッ、となぜか顔を背け、すごいと言われた。

 

 一体何がすごいのかわからんが……。

 

「む? どうした? 顔を背けて」

「いや、何でもない。気にしないでくれ」

 

 儂が顔を背けた理由を尋ねると、神はすぐに顔を正面に戻し、いつもの表情に戻っておった。

 

 むぅ?

 

「そうか? もし体調が悪く鳴ったら言うのじゃぞ? 無理などする必要ないからな」

「……あぁ、ありがとう」

 

 神が礼を言うと同時に、なんだか手が強く握られた気がした。

 

 

 まずはということで、アクセサリーショップへやって来た。

 

「ここは……なるほど、アクセサリーショップと言うものか。なるほど、色々な物が売っているんだね」

「まあの。儂自身、あまり来たことはないが……試しに髪をまとめるクリップかゴムを買ってみようかと思ってな」

「君の場合、必要なゴムは別の物な気がするが?」

 

 儂の目的を話すと、神がいたずらっぽい笑みを浮かべて、からかうような口調でそんなことを言って来た。

 

 こやつ……。

 

「……おぬし、時と場所を考えた方がええぞ」

「ははっ、いやなに、ついね。というか、意味をすぐに理解する君も君じゃないかい?」

 

 墓穴を掘ったね? と言外に言って来おるなっ……!

 

「ぐぬっ……そ、そこはほれ、わ、儂とて年頃故……」

「……ま、君は色々と経験しているみたいだしね?」

「なぜ色々の部分を強調した」

「別に、他意はあるさ」

「いやあるんかい」

 

 そこは普通、他意があると言う言い方じゃろうに……。

 

 というか、平気で下ネタ言うんじゃよなぁ、何気に。

 

 初対面の頃とか、電話越しに話す時とか、普通に。

 

「ん? これ……」

 

 軽口を叩きあいながらも、アクセサリーを見ていく。

 

 ヘアクリップやヘアゴムだけでなく、ネックレスや指輪もあり、あまり興味のない儂でも、ついつい目移りしてしまうのう。

 

 そんな中、ふと神があるものを見て視線をそこに止めた。

 

「どうした? ……ほう、バレッタか?」

 

 神が見つめておったのは、バレッタと呼ばれる髪留めの一種じゃった。

 

 その中でも神が気になっておるのは、花や蝶がかたどられたデザインの物で、可愛らしいと言うより綺麗と言う印象があるな。

 

 ふむ……。

 

「気に入ったのならば、買ってやろうか?」

 

 欲しいのかと思い、ついついそんな言葉が口を突いておった。

 

「……いや、これでも私もかなり稼いでいる身でね。これくらい自分で」

「そんなこと関係ないわい」

 

 大丈夫とでも言いたげな神の言葉を遮る。

 

「え?」

「儂がなんとなくプレゼントしたいと思ったから買うんじゃ。別におぬしが稼いどるとか稼いどらんとかは関係ないぞ? 儂がしたいからこれだけじゃ」

 

 なんともまぁ、自分勝手な発言なのか。

 

 しかし、なのとなく、こやつにはこういう形で言わなければ何かまずいと思ったのでな。決して間違いではないとは思うが……。

 

「……なるほど、ふふ、そうか。それなら、買ってもらおうかな?」

 

 断られるか? とも思ったがそれは杞憂だったようじゃな。

 

 面食らった表情をしておった神じゃったが、すぐに小さく笑って、いつもの笑顔で勝ってほしいと告げた。

 

「うむ、ちと待っておれ、すぐに買って来る」

 

 儂は商品を手に取り、レジへ持って行く。

 

「これを頼む。あ、ラッピングをしてもらえるか?」

「かしこまりました。お会計、二千三百円になります」

「うむ、ちょうどじゃ」

「はい、二千三百円ちょうどお預かりします。……こちら、レシートと商品です。ありがとうございました」

 

 ささっと会計を済ませて、神の所へ戻る。

 

「ほれ、儂からのプレゼントじゃ」

「おや、ラッピングかい? 別にそのまま渡してくれても良かったんだがね」

「こういうのは形も重要じゃぞ? むき出しでぽんと渡されるよりも、丁寧に包まれた状態で渡された方が嬉しいもんじゃ」

「……たしかに、それはそうかもしれない」

「じゃろ? どうする? このままつけていくか? それとも、持ち帰るか?」

 

 儂的にはどっちでも構わんがな、と付け足す。

 

 すると、神は一瞬考えこむ素振りを見せてから、首を振る。

 

「いや、これは大事に持っておくよ。帰ったら開けるとしよう」

「そうか。まあよい、では次行くぞ次」

「……あぁ」

 

 アクセサリーショップを後にし、儂らは次の目的を探してぶらぶらとショッピングモール内を歩く。




 どうも、九十九一です。
 本編書いて、紹介を書いてと、色々とハードでしたが何とか書き切りました。
 特に、サブキャラが一番大変だった……多いねん、書くことが。あと、世界観設定の所に、『喫茶友愛』が入って無くね? と言う事に気が付いたので、付け足しておきます。
 次回は……まあ、できたら明日も出しますが、期待しない程度にお待ちください。
 では。
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