爺口調な男子高校生が、のじゃろりになってTSライフを送るだけの日常   作:九十九一

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日常11 家族団欒。両親はちょっとクレイジー

 というわけで帰宅。

 

 高校生モードの為か、やけに人に見られた。

 

 成長すると、胸がでかくなるみたいじゃからな。儂。

 

 いやはや、大きい胸と言うのは、男からの視線を受けるんじゃな。不快、とまではいかんが、微妙に嫌な気分になる。

 

 まあ、男の性である以上、仕方がない事なんじゃろうがな。

 

 男じゃったから、その辺りは寛容に考えるよ、儂は。

 

 しかし……

 

「この服装は楽でいいな」

 

 現在の儂の服装。

 

 Tシャツにパーカー、あとジーンズ。

 一応靴も購入し、今はスニーカーを履いておる。

 

 男の時も似たような服装じゃったが、なるほど、女用のジーンズとはこう言うものなのか。

 

 動きやすくていいのう。

 

 あとは、単純にパーカーが好きなのでこれは嬉しい。

 

 普段は家でパーカーを着て生活しておったしな、ほぼ。

 

「っと、家が見えて来たな。さて……車はある、か」

 

 本当に帰ってきているらしい。

 

 儂としては、この姿で会いたくはないものなんじゃが……まあ、致し方あるまい。

 

 今後の人生を左右する出来事なわけじゃからな。

 

 しっかりと、話すとしよう。

 

「ただいまじゃー」

「おかえりなさい。あら、本当に女の子になってるわ。ふむふむ……なるほど……」

「……母上。あまりじろじろ見るでない。むず痒い」

「あらごめんなさい。声である程度分かっていたとはいえ、本当に女の子になるなんて……いいわね」

 

 儂の姿を興味津々で見たと思ったら、一瞬ニヤッとしたような気がするんじゃが……。

 

「母上。今、何かボソッと言わなかったか?」

「何でもないわ。それよりも、話を聞かせて? そのために、仕事を切り上げてきたんだから」

 

 なんじゃ、気のせいか。

 

「うむ。……ところで、父上は?」

「大丈夫、リビングにいるから」

「そうか。わかった」

「お茶の準備もできてるから」

「よし今すぐ行こう」

「……あなたって、本当に好きよね、羊羹と緑茶」

「至高じゃと思っておる」

 

 そこは譲れん。

 

 ふ、羊羹と雁金茶、楽しみじゃ。

 

 

 少しうきうきしながらリビングへ行くと、何やらつやつやした感じの父上がおった。

 何かいいことでもあったのかの?

 

「ただいまじゃ、父上」

「おう、まひろ。おかえり。……ほほう、まひろはそうなったのか。うんうん、父さん、好みだぞ、そういうの」

「そうか。まあ、この状態は本来の姿、というわけじゃないんじゃがな」

「あら、どういうこと?」

「こういうことじゃ」

 

 そう言いながら、儂は能力を切って元の姿に戻す。

 

 みるみる身長が縮み、小学生くらいになった。

 

 おっといかん。服が脱げてしもうた。

 

 ……まぁ、家族じゃし、いいか。

 

「これが儂じゃ」

「はぁ~、ロリか~。なるほどなるほど……これはいいな! まさか、うちの女よりの息子が、こーんな可愛い幼女になるとはなぁ!」

「えぇ、えぇ! 私もこれはいいと思うわ。まひろ、グッジョブ」

「……何を言うておるんじゃ、二人は」

 

 この二人、昔からこんな調子じゃが、なんだか、儂が女になったことでさらに酷くなっておる気がするぞ……。

 

 まったく、こっちとしては笑い事ではないと言うのに。

 

 もっとも、別段気にしてもいないがな。

 

「それで? 戻って来た理由は?」

「だから言ったろ? お前が――」

「「『TSF症候群』を発症させて美少女になったとか言う面白い状況を見るためさ(よ)」」

「おぬしらぁっ~~~~!」

 

 この親は、本当に碌でもないな!

 

 儂も碌でもない人間であると多少自覚はしておるが、少なくともこやつら二人よりはましだと思っておる!

 

 くそぅ、他人事だと思って楽しみおって……!

 

「でもよ、女になった割には、お前そこまで困ってないのな」

「……どこかのバカな母上が、小学生の頃に女装させた際の服を残しておったのでな。しかも、エロ本でも隠してそうな場所に」

「でも、役に立ったんでしょ?」

「……確かに役には立った。じゃが、なぜ男児用の服を捨てるのじゃ!? 普通、捨てんじゃろ! なのに、なんで女児用の服を残しておるんじゃ!」

「思い出的に?」

「いい方の思い出ではないわ!」

 

 別段、そこまで黒歴史というわけではない! わけではないが……あれはいささかおかしいじゃろ!?

 

 くっ、昔からそうじゃ。

 

 うちの両親は何かと酷い部分が目立つ。

 おかげで、儂が疲れる羽目になる。

 

 くそぅ……。

 

「にしても、驚きだったのはあれだよなー」

「なんじゃ?」

「お前、祥子さんに会ったろ?」

「まあ、担当医じゃったからな。それがどうかしたのか?」

「いやな、あの人、うちの分家らしい」

「…………マジで?」

「マジマジ。ほら、最近言ったろ? 研究者の親戚がいるって」

「……あぁ、そう言えば言っておったな……って、あれ、神のことか!?」

 

 どういう偶然じゃ!?

 

 あやつ、儂の親戚じゃったの!?

 

「おう。俺も驚いたよ。まさか、担当医が祥子さんだったとはなぁ……」

「そうねぇ。病気に関する研究をしている、と言うのは聞いていたけど、まさか『TSF症候群』とは。世の中、狭いものね」

「いやいやいや! 狭いどころの騒ぎじゃないぞ!? というか、うちの家系どうなっておるんじゃ!?」

「さぁ? 俺、婿入りした身だから知らん」

 

 そう言えば、父上が婿入りしたって話じゃったなうち。

 

「まあ、桜花家は結構昔からある家みたいなのよねー。私も、お父さんから聞いたけど、いまいち覚えてないし。ただ、お父さんの部屋を探せば、色々と出て来るんじゃないかしら? あの人、何のかんの言って、色々と残しているみたいだから」

 

 ま、マジかー……。

 

 あの時の担当医、儂の親戚じゃったのか……。

 

 そう言う偶然もあるもんなんじゃなぁ……。

 

「……前々から気になっておったんじゃが、うちって本家なんじゃよな?」

「ええ、そうよ」

「おぬしら一体、なんの仕事をしておるんじゃ?」

「そこは秘密、ということで」

「……教えてくれんのかい」

「まあな。別にいいだろ? 不自由なく暮らせてるんだしよー」

「でも、どういう風の吹き回し? あなた、いっつも面倒くさがって、仕事の方は聞かなかったのに」

「いやそうじゃけども。ほれ、気になるじゃろ? 両親がしてる仕事とか」

 

 別段、昔から気にならなかったわけではない。

 

 儂とて、気になるものは気になる。

 

 ただ、聞くのも面倒じゃったし、そもそも二人が家にいる機会は割と多くなかったんで、結果的に聞かなかっただけじゃからな。

 

 家族団欒の方が、重要じゃったから。

 

「ま、簡単に言えば……ゲーム関連、と言ったところか」

「む、ゲーム?」

「ええ。ちょっと色々あってね。二人が関わっている仕事がそう言う方面なのよ。もっとも、割と完成は近いけど」

「なるほど。じゃから、最近は特に帰らない日が多いんじゃな」

「まーねー。仕事場の近くにマンションを借りて生活してるから」

「そんなことをしておったのか……」

 

 一体何をしているんじゃろうか、この二人は。

 

「ちなみに、結構大きいプロジェクトだから、これが完成すれば、ドカンと稼げるって寸法よ。そうなれば、うちの財産もすごいことになるわよー」

「ならば、頑張らねばならぬな」

「おうよ。だから、まひろー」

「……なんじゃ、父上。気持ち悪い猫なで声を出して」

 

 今一瞬、ぞくっとしたぞ。

 

 父親の猫なで声ほど、気持ち悪いものは無いのう。

 

「俺、まひろが作ったスタミナが付く料理が食べたいなー」

「……それはつまり、儂に作れと?」

「Yes! 息子から娘になったわけだしさ、こう、男親的に、可愛い娘の手料理が食べたいわけよ!」

「お母さんも食べたいわ。まひろの料理、美味しいから」

「……はぁ。まあ、仕事で疲れているみたいじゃから構わんよ。それで、リクエストは?」

 

 碌でもないことを言ったりしたりするとは言っても、親じゃからな。

 儂としてもやぶさかではない。

 

「んー、揚げ物!」

「あ、揚げ物とな。……まあ、よいか。なら、選択肢として二択じゃ。とんかつと唐揚げ、どちらがいい?」

「「天ぷら」」

「……儂今、二択と言ったよな? なんで選択肢にない天ぷらが出て来るんじゃ。しかも、息ぴったりじゃし……」

「「食べたいから」」

「はぁ……まあよい。多少は手間じゃが、二人が家にいる時は少ないしの。ならば、多少の苦くらい、どうってことないわ」

 

 むしろ、家にいられない分、いる時くらいは美味しいものを食べてもらいたい、何て言う気持ちがないわけではないしな。

 

「お前、何のかんの言って面倒見いいよな。面倒くさがりなのに」

「……放っておけないだけじゃ。あとはまあ、親しいものからお願いされると、断れない、と言うのもある」

「そう言うのを面倒見がいいって言うんだよ。……しっかし、面白い奴に育ったもんだ。やっぱ、お義父さんの影響かね?」

「そうでしょうね。あの人も、面倒くさがりだったもの。私たちがいない間、あの人がまひろの面倒を見てくれていたからこんな風に育ったんだものね」

「爺ちゃんは好きじゃったぞ、儂」

 

 いい爺ちゃんじゃった。

 

「でしょうね。あなた、おじいちゃん子だったもの。そのせいで、口調までうつるし」

「幼稚園児ながらに、爺口調な息子を見るとか、本当驚いたぞ。あと、他の親もびっくりしていたし」

 

 はははと笑いながら話す父上。

 

 そう言えば、そんなこともあったようななかったような……どうじゃったか。

 

「それがまさか、こーんな面白状態になるとはな! はっはっは! いやぁ、愉快愉快!」

「そうねぇ。ここまで可愛い女の子になるとは思わなかったわ。しかも……洋服と下着も買ってきているみたいだし?」

「仕方なく、じゃよ。優弥に言われてな」

「さっすが、まひろのおかん的存在の優弥君だ。相変わらず世話を焼いているらしい」

「本当にな」

 

 目の前に置かれているお茶に手を伸ばし、お茶を飲む。

 

「ずず……む、美味い」

「でしょ? 関西だと、雁金茶は人気らしいからね。ほら、そっちの羊羹も食べてみなさい」

「うむ」

 

 切り分けて羊羹を口に入れる。

 

 お、おぉ!

 

「こっちも美味い!」

「いい羊羹だからね」

 

 この甘すぎないところがいいのう。

 

 なのに、しっかりとした甘さがある。

 

 これにはやはり、緑茶じゃな。

 

「ずず……ふぅ。いいのう、羊羹と緑茶」

 

 口の中に残った甘さを、緑茶がさっぱりとさせてくれる。

 

 それに、この淡い苦味がいいんじゃよなぁ。

 

 そして、この苦味が羊羹の甘みを引き立てているわけで……。

 

 うむ、最高じゃ。

 

「ほんと、爺さんみたいだよな、まひろ」

「好みが爺くさいとか、渋い、とは言われるが、儂は別に気にしておらん」

「寿司のネタとかもえんがわばっかだしな」

「美味くないか? えんがわ」

「いや美味いけどよ」

「あなたくらいの歳だと、まぐろとかサーモン、とか言いそうなんだけどね」

「儂は儂。よそはよそ」

「それもそうよね」

 

 あ~、しかしこの雁金茶は最高じゃな。

 個人的に、一番好きかもしれん。

 

「……ごちそうさまでした。さて、今の内に買い物に行くとするかの。この時間にいい食材があればいいんじゃが……」

「楽しみにしてるぜ、娘よ」

「はいはい。楽しみにしておれ、父上、母上」

 

 苦笑いを浮かべながら言い、儂は体を成長させる。

 

 買い物に行くのには不便じゃからな、あの姿は。

 

 そう言えば儂、ずっとシャツ一枚じゃったな。

 

 まあよいか。

 

 いそいそと落ちていた服を着ると、儂はそのまま家を出た。

 

 

「ほれ、出来たぞ」

 

 食材を買いに行き、夕方ごろに調理を始めた。

 

 一応下処理もあったので、少し早めにな。

 

 天ぷらは、ちと面倒なことも多いので仕方あるまい。

 

「おー、さすがまひろ。綺麗に揚がってるなー」

「じゃろ? ほれ、冷めないうちに食べるぞ。冷めても不味くはないが、やはり揚げたてが一番じゃ」

「そうね。それじゃ」

「「「いただきます」」」

 

 久しぶりに家族三人で食事。

 なかなかにいいものじゃな、やはり。

 

「それで、父上と母上は、次はいつ仕事に行くんじゃ?」

「んー……正直、お前の様子を見るためだけに抜け出してきてる状態だからなー。実は、まひろが買い物に出かけている間、電話がひっきりなしだった。もう面倒だから、電源を切った」

「……何をしておるんじゃ。というか、結構大事なプロジェクトなんじゃろ? よいのか? そんなことをして」

「大丈夫よ。部下たちには『息子が娘になって心配だから、ちょっと様子見に行ってくる!』て書置きを残してあるから」

「報連相はどこ行った!?」

 

 いい大人が書置きはまずいじゃろ!

 何をしでかしておるんじゃ、この二人は!

 

「「てへ☆」」

「可愛くないわ!」

 

 まったく、本当にどうしようもない……。

 

「そんなことをして、クビにならんのか?」

「大丈夫さ。絶対クビになることはないから」

「本当か……?」

「本当本当。だから、安心しなさいってば」

「……報連相ができておらん親に、どう安心しろと?」

「気合」

「気合でどうにかなるもんじゃなかろう……」

 

 本当に、疲れるな、この二人を相手にするのは……。

 まったくもって、面倒。

 

「あ、そういやお前、彩女ちゃんに今の状況を伝えなくていいのか?」

「……あやつに伝えたら、何をしでかすかわからん。どう見ても、あやつの好みじゃろ、この外見」

「「たしかに」」

「しかも、変態じゃぞ? 割とマジの」

「まー、お前の女装姿を見てハァハァしてたくらいだからなぁ」

「そう言えば昔、あなたのパンツをクンカクンカしてたわよ?」

「女になって明かされる衝撃の事実っ……!」

 

 一体何をしていると言うのじゃ、あの従姉は!

 

 儂の知らない間に、とんでもないド変態行為をしていたんじゃが!?

 

 というか。叔母にその光景を見られているとか、どんな拷問じゃ。

 

「いやぁ、あの子は色々と愉快だからなぁ。どうする? 俺から連絡しておくか?」

「……勘弁してくれ。儂は、のんびりと過ごしたいんじゃ。残りの春休みは全て、自堕落に過ごすと決めておる」

「ま、宿題はあらかじめて終わらせておくたちだものね」

「うむ。そうすれば、ゆっくりだらだらできるのでな」

「だらけることには全力ねぇ」

「ふっ、それが儂の生き方よ」

 

 そこは曲げられぬ。

 

「そう言えば、春休みが終われば新学期だが、お前、大丈夫なのか?」

「何がじゃ?」

「制服だよ」

「ん、あぁ、制服か。昨日の検査で身体測定もしてある。もっとも、成長時の服はないので、所謂ロリ形態のものしか送られては来ないと思うが」

「そうか。ま、お前がいいならいいや。だが、一応成長時の物は作っておいた方がいいんじゃないか?」

「……面倒じゃな。とりあえずはこれでいいじゃろ。どうせ、着ることはないじゃろうからな。成長状態を維持するのには、カロリーを消費するから、腹も空くしな」

「しっかりデメリットがあるのね」

「そりゃそうじゃろ」

 

 むしろ、デメリットなしで使える能力があれば、見てみたいわ。

 

「いやー、それにしても、飯が美味い。まひろは、面倒くさがりだが、色々と器用な奴だからな。割となんでもそつなくこなすし、いいことだ」

「お父さんの遺伝でしょうね。あの人も、なんでもそつなくこなす人だったから」

 

 そう考えると儂、爺ちゃんの遺伝が強いんじゃな。

 素直に嬉しい。

 

「ま、明日には会社に戻るかね」

「そうね。まひろの顔も見れたし。それに、もう大詰めだしね。ここが正念場」

「そうか。となると、帰るのはまた先の方になるのか?」

「ああ。早くて……夏ってところだ。デバッグやらなんやらもあるしな」

「そうか。どんなゲームなのか気になりはするが、完成して発売が決まったら教えてくれぬか?」

「もちろん。というか、試作機ぶんどるくらいはするわよ?」

「それはまずいじゃろ」

「冗談だ。まあ、融通は効くから、もしもらえたら貰ってきてやろう」

「ならば、楽しみしておこう」

 

 どんなゲームを作っているんじゃろうな、この二人は。

 

 ……というか、この二人の本当の職業とは一体……。

 

 まあよいか。

 

 この後も家族団欒を楽しんだ。




 どうも、九十九一です。
 もう11話。ついでに文字数が、ラブコメのあれを超えました。どうしよう、マジであのラブコメ、何も思い浮かばないんですが。どうするか……。
 えー、少しずつですが、あっちのTS作品の調子も戻りつつあります。あっちの投稿ペースは毎日なので、こっちの投稿ペースがどうなるか、なんですが……もういっそのこと、両方とも毎日投稿してやろうかなと。行ける気がしてきた。要は、一日最低8000文字書けばいいだけですからね! 私なら行ける!
 今日も二話投稿……できたらいいなぁ。できれば17時。できなきゃ、明日の10時ですので、よろしくお願いします。
 では。
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