爺口調な男子高校生が、のじゃろりになってTSライフを送るだけの日常   作:九十九一

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日常108 散歩デート。学園と仕事はさぼる

「まひろちゃん、帰りにどこか寄っていきます?」

 

 帰りの車に乗ったところで、瑞姫が寄り道の提案をしてくる。

 

「お、いいのう。折角学園を休んどるんじゃ。どこかで遊ぶのもありじゃな。おぬしらも行くか?」

「私は賛成。なんか、背徳感があって楽しそう」

「あたしも! 学校をさぼって遊ぶの、してみたかったんだー!」

「……美味しいものが食べたい」

「わたしはお仕事に戻るつもりよ~」

「すまなね、私も研究所の方に戻らなければいけなくてね。色々報告もあるから」

「むぅ、そうか……残念じゃ……」

 

 儂ら学生組はともかくとして、大人組である二人は生きたそうにしながらも、責任感から遊びに行くことを断り、儂は思わずしょんぼりする。

 

 どうせなら全員で遊びに行きたかったが……まぁ、仕方ないのう。

 

「「やっぱり行く(わ~)」」

 

 しかし、なぜか二人はすぐに撤回してきた。

 

「い、いや、おぬしら仕事じゃろ? 別に無理せんでも……」

「ひろ君が行きたいと言うなら行くわ~。お嫁さんのお願いを聞くのも、旦那さんに必要なことよ~」

「なに、考えてみれば、私はあまり君たちと親交を深めているわけじゃないからね。ちょうどいい機会だから、親交を深めようと思っただけさ。気にしないでいい。……ま、今後は私がいない時間も増えるだろうし、部下たちにはこれを機に私を超える気概を身に付け、そして超えてほしいからね。私がいないから研究が進まない、など度と泣き言を抜かすような部下たちじゃないから」

「おぬしレベルの天才がこの世にたくさんおったら、それこそ第三次世界大戦に入りかねんじゃろ」

 

 少なくとも、世界トップクラスでTSF症候群に関する研究成果を叩きだしとるある種の人外じゃぞ? そんな者が大量に出現したと考えると……他国において政治や研究を生業としとる者からすれば、頭の痛い話じゃろうからな。

 

 戦争になりかねんわい。

 

 多分。

 

「ははっ、私は基本的にそちら方面の研究をするつもりはないよ。興味がない。私の興味は、TSF症候群と、その発症者たちに……あとは君だね」

「あー、能力的な?」

「それもあるが……君のように、こうも複数の人と結婚するなど、日本ではあまりないことだ。それに、海外においても、君は異色だろうからね」

「え、マジで?」

「祥子さん、それってどういう意味なの? たしかに、こいつは女たらしを超えて、人たらしな所があるけど」

「おぬし、儂のことをそう思っとったんか」

 

 たらして。

 

 なんかそれ、儂がろくでなしっぽく聞こえるんで、普通にやめてほしいんじゃが……。

 

「ふむ、そうだね……海外の発症者たちは、その整った容姿を利用してそれはもう気に入った人たちをたらし込み、かなりの人数の人と結婚するのさ。けど、たった二人と付き合うだけでも喧嘩になりやすいと言うのに、それが多くなったらどう思う?」

「喧嘩するかな?」

「その通り。ギスギスした関係になることは想像に難くない。むしろ、それが当然とさえ思うが……普通はこうはならないんだけどね」

「む? そうか?」

 

 呆れた様な笑みでもって儂を見つめる祥子姉に儂はこてんと首を傾げる。

 

「それはそうだろう? これが友人関係と言うのならば話は別だが、たった一人を複数人がなんら軋轢もなく愛している時点で、かなり異色と言うものだろう? 日本には、もともと多重婚は存在しなかったからね」

「……今でも、一般人は禁止だけど」

「ま、それはそうだが……色々あるからな、これに関しては」

 

 その色々に例の、子供が能力を保持して生まれることが含まれとるんじゃろうなぁ。

 

 実際、儂らが多重婚が許されている理由は、能力が大きいじゃろうからなぁ……ただ、黎明期とも呼べる時期に、一人の発症者を巡った血で血を洗うような争いがあったとも聞くので、本来はそれをどうにかするための理由らしいがな。

 

 今は理由が変わっとるじゃろうが……未だ十年しか経過しとらんと考えると、比重的には過去の方に傾いていそうじゃがな。

 

「だからまぁ、私はこの人数と結婚しておきながら、仲睦まじい君にも興味がある。もっとも、それは昨日の時点でほぼ解消されているけどね?」

「昨日? 別に、おぬしと一日過ごした程度じゃが……」

「ははっ、それが理由さ。君の素がわかったからね」

「ふぅむ?」

 

 別段、儂の素を見たところで何かわかるような気はせんが……まあ、祥子姉がそう言うのならばそうなんじゃろうな。

 

「お話そこそこにして、どこへ遊びに行きましょうか?」

「おっと、そうであったな。んむぅ……何か案はあるか? おぬしら」

「私は別にどこでもいいけど」

「同じくです」

「どこへ行っても楽しいと思うな!」

「……お任せ?」

「どこへでも付き合うわ~」

「私は遊び場など知らないからね、任せるさ」

 

 我が旦那共は全員が同じようなことを答えた。

 

「なんと言うか……本心からの言葉であることはわかるんじゃが、もうちと主体性を持っても良いのではないか?」

 

 別に、その言葉は嬉しいんじゃが、こう……晩飯が何がいい? と訊いた時に、なんでもいい、と答えられた時のあれと似たものを感じるんじゃよなぁ。

 

「じゃあ、まひろはどこかあるの?」

「儂か? うーん……」

 

 美穂に質問を投げ返され、儂はしばし考え込む。

 

 この人数で遊びに行くとなると、やはりラウンドツーが一番じゃろうが……。

 

 正直、儂が嫌だったりする。

 

 なんせ、昨日の夜は凄まじかった……一応、今日の朝、問題なくホテルを出るために一時的に大人にし、体を再びロリっ娘に戻したことで、肉体的疲労は消えとるが……精神的疲労が消えたかと言えばそうではない。

 

 ……思うんじゃが、この時間を進める、戻すと言う能力は、あくまでも肉体……つまり、物質にしか作用しないのではないか? と。それも、現実にしっかりと存在を持った物だけとも。

 

 故に、儂が子供になったり大人になったりしても、精神性が幼くなったり、反対に大人びたりすることがないのではないか?

 

 他に、気になる点としては、汗や涙と言った体内で生成されたものが排出された状態で体を戻しても、それらはそのまま残っとるんじゃよなぁ……しかし、怪我などは戻る辺り、何か基準がありそうじゃな。

 

 それから、祥子姉が以前儂の能力が物にも作用するかどうかを調べるために、同僚のバキバキのスマホを儂が戻した時があったが、あれ、やはりデータも巻き戻ってしまっておったらしい。

 

 幸い、PCにもバックアップを取っていたため、大事には至らなかったようじゃが。

 

 記憶や精神は戻らんが、データは戻る……つまり、精神や記憶と言った、目に見えない形の物は、言ってしまえば魂でも呼ぶべきものに付随するため、戻らんのではないか? と、今ふと思った。

 

 ……なぜ儂は、どこへ行くかの相談で、頭が考察モードになっとるんじゃろうか。

 

 あれか? 昨日や今日の朝、散々祥子姉とそう言う話をしとったから、頭がそっちに切り替わっとるのか?

 

 うぅむ、まぁ、これはあとで祥子姉に話すとして、今はどこへ行くか。

 

 ともあれ、現状、儂の精神疲労からか、なんか妙に体が気怠い……病は気から、とはよく言うが、確かにその通りじゃな。

 

 肉体的疲労は無くとも、精神的疲労が肉体に影響を及ぼすとはのう……なので、個人的には激しく動くよりも、どこかでまったりしたいところじゃな。

 

 ということを旦那共に話す。

 

「なるほどね。そう言うことなら、そう言う場所を探すとしましょうか」

「この辺りにそのような施設、ありましたっけ?」

「んーん? 多分ないかなぁ」

「……じゃあ、散歩とか?」

「あら、いいわね~。ひろ君、散歩はどう~?」

「んー……うむ! それならば良いぞ! むしろ、この辺りは滅多に来ないからのう! 散歩デートと行こう!」

「「「「「賛成!」」」」」

「ふむ、まひろ君が中心であることに変わりはないが……ふふっ、他の人たちの意見をしっかり聞くことも、好かれる理由なのかな? 面白い。私も賛成だ」

 

 祥子姉が何やら言っておったが、とりあえず、散歩デートと相成った。

 

 

 というわけで、手頃な場所で運転手さんに卸してもらうように頼み、駅前に停車してくれた。

 

 尚、車がどっからどう見てもリムジンであったため、ものっそい注目を浴びたが……この辺りは割と大企業の本社や支社があるためか、そこまで不思議がられるということがなかったのが幸いじゃな。

 

 ってか、よく見たら儂ら以外にも普通にリムジンあるし。

 

 おっそろしいのう……。

 

「「「「「最初はグー! じゃんけんポン!」」」」」

 

 そして、リムジンから降車するなり、儂とましろんを除いた五名がジャンケンを始めた。

 

 祥子姉は楽しそうな雰囲気で参加しとるが、その他の五名はどこか鬼気迫るオーラを纏って参加しとった。

 

 えー、ちなみにこれが何のジャンケンかと言えば……

 

「お、どうやら私の勝ちみたいだね。ビギナーズラックと言うものかな。というわけで、まひろ君、今日は私が君を抱っこすることになったらしい。よろしく頼むよ」

 

 誰が儂を抱っこして移動するか、というものじゃな。

 

 日常的な部分はローテーションを組んどるんじゃが、こういうデートの場合はジャンケンで決めることを是としておる。

 

「あー、まあ、うむ、よろしく頼むわい」

 

 とはいえ、儂的には抱っこ移動は楽なので、助かるがな!

 

 最近はあまりゴロゴロしたり、だらだらしたりできとらんからあれじゃが、本来の儂と言えば、基本的には睡眠大好き且つだらだらするタイプの人間じゃからのう……。

 

 こやつらという旦那が出来た結果、今のような騒がしい日常になっとるだけで、実際はそっちじゃからな、儂。

 

 うぅむ、久々におもいっきり惰眠を貪りたい。

 

 ってか、普通に今眠いし。

 

「あぁ、任せたまえ。……よっ、と。ふむ、軽いな、君は」

「まあ、子供じゃからのう」

 

 むしろ、この歳で重かったらそれは、身長が高いか、太っとるかの二択じゃからな。

 

 儂、一応胸の発育がいいらしいが……なんでじゃろうか。ってか、小学三年生程の体なのに、胸があるってどういうこと? Cカップらしいが……正直、でかいのか小さいのかわからんし。

 

 ……にしても、なんじゃろうか、この不思議な感覚は。

 

 普段の儂と言えば、ましろん以外に抱っこされとるからのう。

 

 しかし、その四人とはまた違った感覚じゃな、これ。

 

 結衣姉が一番近い気がするが……しかし、微妙に違うな。

 

 特に、胸。

 

 んむぅ……僅かに、祥子姉の方がでかい、か? それに、結衣姉はふわふわとでも言うべき柔らかさじゃが、祥子姉のは何と言うかこう……もちもち? しとる。

 

 こう、儂の後頭部を押し返すような柔らかさがたまらん……。

 

 ふっ、やはり体は変わり、こやつらに女性と言うものを体に叩き込まれはしたが、心はやはり年頃の男じゃな。胸はよいものじゃ……。

 

「ふぅむ、なんだろうね、この癒されるような感覚は……」

「わかる。なんかまひろって抱っこするとこう、落ち着くのよね」

「あー、それわかります! まひろちゃんって抱っこするとあったかくて、穏やかな気持ちになれますよね」

「うんうん! なんでだろうね?」

「ひろ君、すっごく抱き心地が良い物ね~、二つの意味で~」

「結衣姉!?」

 

 なんか今、さらっととんでもないことを言わんかったか!?

 

 き、気のせいか? 気のせいじゃよな……?

 

「……みんな、ずるい。私も抱っこしてみたい……」

「いやまぁ……おぬしは身長が、な?」

「……ぐぬぬぅ、いつかボンキュッボンになってやる……!」

「おぬし、もう十八歳じゃろうに……」

 

 とっくに成長期が過ぎとると思うんじゃが……あ、いや待て? 考えてみれば、ましろんの過去と言えばそれはもう悲惨と聞く。もしや、成長期が来なかっただけで、もしや今ならばちゃんとした物が来るのでは?

 

 ……なんてな、多分ない、じゃろうが……試すか? 例のアレを。

 

 いやしかし……どこから情報が漏れるかわからんしな……あー、でもあれか。こやつらとは身内じゃから、ある程度話しておくべき、か?

 

 ……うむ、個人的にましろんがここから成長するのか気になるしのう、近々色々話して試してみるか。

 

「……まひろん? どうしたの? わたしを見つめて」

「ん、あぁいや、なんでもない。なんとなく、ましろんが大人になったらどうなるのかのう、と思ってな」

「……まひろん、当てつけ?」

「いや違うが!?」

 

 別に嫌味でも何でもないんじゃが!

 

 じゃから、いつもよりも冷たいブリザードの如き無表情でこちらを見るのはやめてくんね!?

 

「……じゃあ、何?」

「それについては、家で話すわい。ここでは話せん」

「……恥ずかしい話?」

「全然違うが?」

「……ふふ」

「いやそんな、『隠さなくても大丈夫』的な表情と笑いをしても無駄じゃからな!? 本当に関係ないから!」

「……チッ」

「舌打ち!?」

 

 こやつさては、そう言う事をしてほしいとか考えておった感じじゃな!? じゃがしかし! もう既に昨日散々あれこれされたんで、しばらくはやらんぞ儂!

 

「まひろ君まひろ君」

「ん、なんじゃ? アリア」

「まずはどっちへ行こっか?」

「む? あぁ、そうじゃなぁ……とりあえず、あちらへ行くとしようか!」

 

 そんなこんなで、儂らの学園及び仕事をさぼっての背徳感を伴った散歩デートが始まった。




 どうも、九十九一です。
 最近はなぜか調子がいい。良いことなんだろうけど、他の小説も書かなきゃなぁ、と思ってるが、結局こっちを書くことを優先しちゃってるのがなんとも言えねぇ……いやまあ、いいっちゃいいんだけど。
 明日も以下略です。
 では。
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