爺口調な男子高校生が、のじゃろりになってTSライフを送るだけの日常   作:九十九一

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日常111 買い出し。二名の危険人物(料理的な)

 バーベキューをすることが決まったということで、近場にいい感じの店が無いかを探すと、どうやらこの街には商店街があるらしかった。

 

 ……まあ、その商店街を見つけたの、ましろんじゃけどな!

 

 ともあれ、商店街へやって来ると……

 

「んむぅ? 人通りが少ないのう……」

 

 人通りが少なく、そして活気があまりない所に疑問符を浮かべた。

 

「まひろ、普通は地元の商店街みたいに活気があるのってあんまりないからね?」

「そうかのう?」

 

 探せばあるとは思うが……しかし、まあ、別に良いか。

 

「ましろんがここに来た、ということは当たりと言う事じゃろ」

「……ん、期待してよろし」

「だ、そうじゃ。では、肉類は少量、メインは野菜と、あとあれば海鮮系、といったところか?」

「だね! それとカレールーもかな?」

「うむ! では、買い物じゃぁ!」

 

 意気揚々と商店街に足を踏み入れると感じる、なんとも言えぬこの微妙に活気のない空気。

 

 もっとこう、商店街と言えば活気のいい場所じゃと思うが……うぅむ、そう言えばこの辺りは割と栄えとったな……つまり、あれか。でかいスーパーやら、ショッピングモールなどに人が流れ取る可能性があるということか。

 

 ま、人がいないのは、今の儂にはありがたいが。

 

「む? 祥子姉、ちと、このエリアは儂の足で歩かせてくれんか?」

「あぁ、わかった」

「すまんな」

「いいさ。どうせ、また抱っこするから」

「……おぬしもなんだかんだ気に入っとらんか?」

「君、抱き心地が良くてね。温かいし、癒される」

「……今は六月中旬で暑いと思うんじゃがな」

「それはそれ」

 

 ま、幸い今日はさほど暑くもないし、大して苦でもないがな。

 

 さて、儂が降ろしてほしいと頼んだ理由は一つ、やはり自身の足で歩き、食材を吟味したいからじゃな!

 

 こう、主夫の本能的な?

 

 いや、今は主婦の方が合っとるな。

 

 まあ、それはいいとして。

 

 やはり、自身の目で見て、触り、調べることこそが、良い食材を選ぶのに必要なこと。

 

 実際、今の屋敷で暮らす前は、商店街に買い物へ赴き、値切り交渉を行い、肉や野菜、魚介類なんかを購入しとったからのう。あと、おまけも良く貰えるし。

 

 よし、早速吟味じゃ吟味。

 

 最初に儂が目を付けたのは八百屋。

 

 やはり、野菜は重要!

 

 バーベキューの主役は、肉や魚介類と思う者がほとんどじゃろう……しかーし! 美味い野菜と言うものは、それだけで主役に匹敵するのじゃ!

 

 というか儂、普通に野菜好きじゃしな。

 

 さてさて、何があるかのう……。

 

『ん? あぁ、いらっしゃい。おつかいかな?』

「いや、ちとバーベキューの材料を買いにな。見てもよいか?」

『もちろんだとも。見ての通り、この辺りは閑古鳥が鳴いていてねぇ……むしろ、ありがたいくらいだ』

「むぅ、それは悲しいのう……」

『お嬢ちゃんは優しいねぇ』

「いやいや、儂はこういった場所が好きでな。して、野菜じゃが……」

 

 店先に並ぶ野菜類を見ていく。

 

 ……な、なぬ!? こ、ここの野菜、クッソ安い!?

 

 しかも、色艶良し! 形も良い!

 

 うむむぅ、キャベツなど、なんと鮮やかな色じゃ……。

 

 こ、これは何を買うべきか迷うのう……どの野菜も、見た感じ品質はかなり良さそうじゃから……これとか? いやしかし、こちらも良い……。

 

「うぅむ……迷う……」

『ほっほ、お嬢ちゃん、随分と熱心に選んでるねぇ。そんなに迷うほどかな?』

「もちろんじゃ! どの野菜をとっても、品質が良い! 故に、どの野菜が最も美味いか選ぶことが難しくてなぁ……お爺さんや、どれが良いとかあるかのう?」

『うちの野菜はどれも美味いさ。……まぁ、今時の若い子らは、肉ばかりでなぁ。お嬢ちゃんみたいに、嬉しそうに選ぶ姿は稀なんだよ』

「否定できんのう…………んー、よし! では、このキャベツを一玉と、椎茸一パック、それから玉ねぎ一袋に、んー……人参一袋、ジャガイモ一袋……お? アスパラガスもあるのう……では、これも二束。よし、こんな所じゃな」

『お嬢ちゃん、随分買ってくれるねぇ……いいのかい?』

「うむ! これも一期一会。良き八百屋に出会えたと言うことでな。……ま、本当であればもっと購入したいところじゃが……生憎と、この後も買うものがあってな。すまんのう」

『いやいや、買ってくれるだけありがたいってもんだ。ありがとうなぁ』

「うむ……これ、料金じゃ」

 

 頭の中で大雑把に計算し金を渡す。

 

『あいよ、こっちはお釣りね。毎度あり』

「ではな」

 

 良い野菜を購入できてほくほく顔な儂は、次の店へ行く前に美穂たちに持ってほしいと頼む。

 

「随分と購入したわね~」

「いやぁ、良い野菜ばかりじゃったから、ついつい買い過ぎてしもうたわい。ま、食いきれるじゃろ」

 

 どうせ、我が家には底なし沼の如き胃袋を持つましろんがいるから、どれだけ買っても困ることはない。

 

 むしろ、多ければ多いほど良い、みたいなところがあるので。

 

「……美味しそう」

「じゃろ? いやぁ、これは、他の店も期待できそうじゃわい」

 

 作り手として、安価で品質の良い食材が手に入ると言うのは、かなり嬉しいこと故。

 

 さてさて、次じゃ次ぃ!

 

 

 その後も魚屋と肉屋、雑貨屋に寄って購入すべき材料は全て購入。

 

 あと、ワインも買った。

 

 隠し味程度に使うつもりじゃが、結衣姉と祥子姉の二人は普通に酒を飲むつもりらしい。

 

 この時点で知ったのじゃが、祥子姉はどうやら酒好きらしく、よく飲むとのことじゃった。

 

 昼間から酒て。

 

 いやまぁ、二人にも何らかのストレスがあるんじゃろう。うむ、そう思うことにしよう。二人は大人じゃからな。

 

 八百屋以降の店も、素晴らしい品揃えの店ばかりで、ついつい買い過ぎてしもうたが、儂としてはこれで美味い物を振舞えると喜んだ。

 

 ふふふ、どうせなら美味い飯がよいからのぅ!

 

 調理が楽しみじゃなぁ。

 

 と、うっきうき気分のままキャンプ場へ向かう。

 

 すると、そこでは儂ら以外にもキャンプやバーベキューを楽しむグループがちらほらと見受けられた。

 

 平日であるにもかかわらず、かなり客がおるようじゃのう。

 

 ともあれ、早速バーベキューをするべく、儂らは受付があるロッジの中へ。

 

「先ほど予約した羽衣梓なのですが」

「あぁ、ご予約の羽衣梓様ですね! お待ちしておりました。既に場所の準備はできておりますので、あとは火をつけて楽しむだけとなっております」

「あ、そこまでしていただいたのですね。ありがとうございます」

「これもお仕事ですので。こちらがメニュー表です。各場所にタッチパネルがありますので、注文するとなったらそちらでお願いします」

 

 ほう、タッチパネルで注文するのか、なかなかキャンプ場にしては面白いシステムをしとるのう。

 

「わかりました」

「それから、料金は後払いとなっておりますが、お時間はどの程度ご利用でしょうか?」

「とりあえず、三時間で大丈夫です」

「かしこまりました。もしお時間の延長をされる場合も、タッチパネルで可能ですので、ご活用ください」

「わかりました」

「説明は以上となりますが、何かご質問はありますでしょうか?」

「大丈夫です。丁寧にありがとうございます」

「いえいえ、これもお仕事ですから。……こちらが皆様がご利用になる場所の番号です。何かありましたら、タッチパネルでお呼びいただければスタッフが参ります」

「ありがとうございます」

「それでは、ごゆっくりどうぞ」

 

 軽く会釈して、儂は指定された場所へ向かう。

 

 目的の場所へ到着すると、そこは何とも自然豊かな場所であり、既にバーベキューコンロとガスコンロがセットされており、火付けの方も説明書があるなど、準備万端。

 

 近くには食事用のテーブルと調理台、それから椅子が設置されており、椅子の数は八つ。

 

 一ヵ所につき八人が定員のようじゃな。

 

 大人数でやる場合は、おそらく二ヵ所分の料金となるのじゃろう。

 

「うむうむ、調理器具も揃っておるな。では、早速作るとしようかのう」

「何か手伝うことはある?」

「そうじゃなぁ……では、バーベキューの方の準備を頼むとしようか。適当に一口大に切って、買って来た串に肉と野菜交互に刺してくれればよい。あ、海鮮串の方は野菜は不要じゃぞ。肉のみじゃな」

「りょーかい。というわけみたいだから、みんなでちゃちゃっとやっちゃいましょ」

「「「「「おー!」」」」」

 

 うむうむ、旦那同士仲が良くて何よりじゃな。

 

 微笑ましい光景を見ながら儂はふとそんな思いを抱く。

 

 五人は各々分担を決め、適当に肉や野菜、魚介類を切ったり串に刺したりしていく。

 

 儂もその横でカレー作り。

 

 野菜の皮を剥き、肉を一口大に切る。

 

 それらを野菜を入れて炒め、その次に肉を入れてさらに炒める。

 

 野菜に油が回り、肉にある程度焼き色が付いてきたら水を投入し、蓋をしてしばらく煮込む。

 

 その間に米の準備。

 

 ましろんのことじゃから、たくさん食べると予想されておるので、多いかもしれんが10合炊くことにする。

 

 いやもう、本当に大変じゃからなぁ……。

 

 ましろんの食欲はすさまじい故、普段も料理人たちが嬉しい悲鳴を上げておる。

 

「……よし、こっちはある程度OKじゃな。さてさて、後ろは……」

 

 と、儂が後ろを振り向いた瞬間じゃった。

 

「ちょっ、祥子さん!? なんか手が怖いんだけど!?」

「ん、そうかい? とりあえず、切れればいいと……」

 

 ダンッ!

 

「祥子さん違うよっ! 包丁は振り下ろしちゃだめだよ!」

「……ん、難しい」

 

 ダダンッ、ダンッ!

 

「真白さん!? どうして手で押さえずに断頭台の如き振り下ろしを決めているのですか!? せめて抑えてください!」

「あらあら~、これは大変ね~……」

 

 ……あかん、後ろがヤバイ。

 

 手を伸ばした状態でジャガイモを押さえ、包丁を振り下ろし、それを美穂とアリアの二人が慌てた様子で祥子姉に注意し、その横では手で野菜を押さえることすらせずに、振り下ろされるギロチンのような動きで野菜目掛けて包丁を振り下ろすましろんの姿が。

 

 ……怖いんじゃけどぉ!?

 

「ちょいちょいちょい! ましろんに祥子姉! おぬしらすっごい怖いから一旦包丁を置け!」

 

 さすがにこれは看過できないということで、儂はましろんと祥子姉に包丁を置くように命令した。

 

 あれは絶対に続けたら切り傷どころか、指が吹っ飛びかねんっ!

 

「まったく……おぬしらは包丁禁止! 今度色々教えるから、今日は串に刺す方をやってくれ」

「……ん、わかった」

「了解だ。……しかし、難しい物だね、料理とは」

「今の料理以前の問題じゃろ。難しい難しくない以前に、安全性が無さすぎて怖いわ」

 

 案外素直に頷いてくれたことはほっとするが、祥子姉の発言にはさすがにツッコミを入れさせてもらう。

 

 あの行為はどう考えても難しいどころの問題じゃなかったからな……。

 

「ひろ君、お鍋が沸騰してるわよ~」

「っと、そうじゃった。では二人とも、串の方は頼むぞ」

「……ん、任された」

「あぁ、やり遂げよう」

 

 一抹の不安はあるが……まあ、さすがに串は問題ないじゃろう。

 

 そう思い込みながら、儂は鍋の所へ。

 

「うむうむ、灰汁が出て来とるな。あとはこれを取って……んー、まだちぃとジャガイモが固いのう……もう少しじゃな。米は……まだじゃろう、どう見ても」

 

 一応、炊飯器以外の米の炊き方も知ってはおるのでな、何とかなる。

 

 カレーの方はまだまだ野菜が柔らかくなってはおらんので、もう少し煮込む。

 

 手が空いたので、儂もバーベキューの方の手伝いに移る。

 

「エビは背ワタを取って、腹に浅く切れ込みを入れれば、真っ直ぐになる」

「なるほど」

「他は適当に切っても問題は無いのでな、気を付けるのはエビくらいじゃ。ま、エビも串に刺すんで、腹に切れ込みを入れずとも問題は無いがな」

「へぇ~。まひろ君って良く知ってるよね」

「儂の場合、自然と身に着いただけじゃよ。それに、儂が知っとるのはあくまでも初歩的なことばかり。応用は知らんよ」

 

 さすがにプロの料理人のような技量はないからな。

 

 なので、褒められても照れるだけじゃな。うむ。

 

「まひろ君、これはこんな感じでどうだい?」

「ん? うむ、問題ないぞ。あまり刺し過ぎても持ち手が短くなるからのう。……しかし、ましろんよ。おぬしのそれは刺し過ぎなので、少し減らすように」

「……酷い!?」

「酷いて。一応トングを使うが、手で出来た方が楽じゃからな? なんだかんだ」

「……むぅ、仕方ない。減らす」

 

 渋々と言った様子ではあるが、なんとかぎっちぎちに肉や野菜がぶっ刺さった串から、肉と野菜を減らすましろん。

 

 ……二センチ程度しか持ち手がない串は、さすがに怖いので。

 

 軽い問題はあったが、それ以外に大きな問題は特に起こらず、儂らはせっせと串に材料を刺していく。

 

 その途中で、そろそろいい感じになったかと鍋を見に行けば、野菜はしっかりと柔らかくなっておった。

 

 それを確認すると、儂はカレールーを取り出し、辛口を半分と甘口を半分投入。

 

 しっかりと溶かし込んだら、そこに醤油とワインを少量入れ、かき混ぜる。

 

 いつもならば、もっとこの中に様々な調味料をぶち込むんじゃが……生憎と、買っても邪魔になる物ばかりじゃったからな、今回は無し。

 

 ちなみに、いつもはコーヒーに、みりん、あとはマヨネーズとケチャップなんかも入れる。あと、スパイスもいくつか。

 

 正直、カレーは基本的に不味くなることがない料理じゃからな。物をぶち込めばぶち込んだ分、なぜか美味くなるというある意味楽且つ、奥深い料理じゃからなぁ。もっとも、本格的なカレーのレベルになると、さすがに難しいが……いつか挑戦したい。

 

 そんなこんなで、しっかりと煮込み、カレーが完成した。




 どうも、九十九一です。
 変なところで切れましたが、変に長くやっても次が中途半端になりそうな気がしたので、ここで切りました。まあ、いつものことですのでね。許してください。
 次回は以下略です。
 では。
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