爺口調な男子高校生が、のじゃろりになってTSライフを送るだけの日常   作:九十九一

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日常116 帰宅後。お試し成長

「ぐすん……」

「よしよし、大変だったねェ、まひろ。まさか、そんなに生活が変化していたとは」

 

 恥ずかしいセリフを言わされ、泣き出した儂は文字通り飛んで帰宅。

 

 玄関を潜るなり、ソファーに座って煙草を吹かしていた婆ちゃんに抱き着き、ちょっと泣いた。

 

 そんな儂に驚いた婆ちゃんじゃったが、優しい声音で頭を撫でてくれるのがすごくありがたい……。

 

 うぅ、婆ちゃんの優しさが沁みる……。

 

「まさか、泣きながら帰って来るとは思わなかったが……そんなことになっていたとはね。君の環境は……というより、君自身もかなり病の影響を受けているんだね」

 

 ふと、儂が婆ちゃんに抱き着いて撫でられておると、台所の方から適当に入れたコーヒーを持った祥子姉がそんなことを言いながらリビングへ戻ってくる。

 

「へェ、こいつもアレの影響だってのかい?」

「そうですよ。案外、人間は自身の肉体に精神が引っ張られる物です。特に、発症者は体が大きく変化しますからね。実際、性別だけでなく、脳の構造も微妙に変わるみたいですし」

「なるほどねェ……ワシの孫は、随分とまァ、面倒なことになっちまったもんさね」

「まひろ君は、その中でも異例だとは思いますがね」

「はははっ! ま、そこはあいつの血さね」

「源十郎さん、すごかったですからね」

「まあね。嫁としちゃァ、モテるのは嬉しいことではあんだが、ジジイになってもモテるのは異常さね。とはいえ、あいつもワシもお互い一途だったんで、問題はなかったがね」

「お二方は、熱々でしたしね?」

「たった一人の伴侶だからね。……まひろ、そろそろ大丈夫かい?」

「……うむぅ。ありがとう、婆ちゃん……」

「ははっ、いいってことさね。ワシとしちゃァ、こーんなめんこい孫に抱き着かれただけで幸せってもんさ。いつでもこうしてくれて構わんよ」

「うむ! 婆ちゃん大好きじゃ!」

「ワシもまひろが大好きさ」

 

 爺ちゃんが亡くなっても、婆ちゃんがいたから、正直持ち直した感があったからのう、昔の儂。

 

 婆ちゃんはそうそう死なんし。

 

 というか、死ぬ姿がまったく思い浮かばんしのう……。

 

 と、祖母と孫のやり取りを楽しんでおると、玄関の方が騒がしくなる。

 

 勢いよく扉が開き、ドタドタと廊下から足音が響き、バンッ! と再び勢いよくリビングの扉が開かれると、そこから旦那共がぞろぞろと入ってきた。

 

 ……一名、安らかな顔で死んでるが。

 

「はぁっ、はぁっ……ま、まひろっ、に、荷物、忘れてるわ、よぉっ……!」

「……(安らかな笑み)」

「あー、アリアよ。おぬしのその背におるのは……」

「瑞姫ちゃんだよ!」

「……まひろんのあのセリフで幸福度がキャパオーバーしたみたい。鼻血出して倒れてた。すっごくいい笑顔で」

「あー……まあ、最初の頃もそうじゃったからなぁ……」

 

 初めて瑞姫の父上に挨拶しに行った際の道中でな。

 

 そうか、やはりこやつは死んだか……。

 

「しかし、おぬしらはよく平気じゃったな……ましろんはともかく、美と結衣姉は絶妙にくらいそうじゃったが……」

「正直、危なかったわ~。血の匂いがしたもの~」

「同じく」

「あ、すんでの所までは行ったんじゃな」

「「うん」」

「そうかー」

 

 しかしまあ、瑞姫だけはダメだったか。

 

 いやまぁ、あやつのロリコンは筋金入りじゃからな……しかし、世の中にはそのロリコンを上回るロリコンが存在する。

 

 儂の従姉である。

 

 正直会いたくない……。

 

 ま、まあ、今回の結婚式で会うことはないらしいし、問題ないが……強いて問題があるとすれば、やはりお盆か……。

 

 ……儂、その日だけ風邪引こうかな……。

 

「まひろ君? なんだか、青い顔してるよ? 大丈夫?」

「だ、大丈夫じゃ、気にするでない……」

 

 今はあの従姉のことは忘れよう。うむ。

 

「さて、まひろ。そろそろワシにまひろの旦那たちを紹介してくれるかい?」

「あ、うむ! 了解じゃ!」

 

 話が一段落したところを見計らって、婆ちゃんとが我が愛しき旦那共の紹介を求めてきたので、儂は婆ちゃんから離れて、旦那の紹介をすることにする。

 

「まずは、美穂じゃ! 去年知り合った奴でな、儂らの中で一番普通と言える者じゃが、いい奴じゃぞ! あと、普通に頭いい」

「初めまして、音田美穂です。まひろの旦那ですが、絶対に幸せにしますので、安心してください」

「おぉおぉ、真面目だねェ。こっちこそ、よろしくねェ」

「次は瑞姫なんじゃが……あー、今は死んでるので、割愛。その瑞姫を背負っとるのが、アリアじゃ! 帰国子女で、元気いっぱいじゃぞ! あと、儂のバイト先の同僚でもある」

「お婆ちゃん、初めまして! 時乃=C=アリスティアです! アリスで大丈夫です! よろしくお願いしまーす!」

「おや、今度は随分と元気いっぱいだ。しっかし……時乃=C、ねェ……」

 

 アリアの自己紹介を聞いた婆ちゃんが、口元に手を当てて何か思案し始める。

 

 どうしたのかと気になっておると、婆ちゃんが口を開く。

 

「アリス嬢ちゃん、あんたもしかして、エリヤ=C=グティレの孫かい?」

「え!? どうして、あたしのお婆ちゃんの名前を知ってるんですか!?」

「やっぱりかい。へェ、あいつの孫か。あいつの旦那――アリス嬢ちゃんのジジイに当たる男が娘を勘当したってんで、色々と後悔してるみたいでね。孫が出来ていたことも理由の一つさ」

「婆ちゃん、アリアの家のことを知っとるのか?」

「ま、ちィっとばかしね。これでも世界中を旅してるからね。ちィっと潰れかけの店があるってんで、立て直しを手伝った時にね。ま、簡単なことだったが」

「お、おう、そうなのか」

 

 まさかの繋がりに、儂だけでなくこの場にいる全員が絶句する。

 

 いやだって、身内の知り合いがいるとか予想できんじゃろ。

 

「ま、今更勘当は解けないってんで、死ぬほど後悔しとる際中さね。気にしなくてもいいよ」

「そ、そうなんですね。あたし、初めて知りました……」

「そりゃそうさ。ま、気になるってんなら、ワシから話を付けよう。ワシの孫になるわけだからね、その程度は」

「その時はお願いしますっ!」

「任せときな。……さ、次だ次」

「あ、う、うむ」

 

 なんか、偉いことになった気がするが、さすが婆ちゃんじゃな……。

 

 ともあれ、気を取り直して旦那の紹介。

 

「次がこっちの氷鷹真白じゃ。儂はましろんと呼んでおる。儂らが通う学園で生徒会長をしておってな、かなりすごい奴じゃ。頭もいいし、運動もできるからのう! あと、ものすごい食べる」

「……初めまして、氷鷹真白です。神様――じゃなかった、お婆ちゃんにはすごく感謝してる。ありがとう」

「ンン? まひろ、ワシはなぜ礼を言われてんだい?」

 

 突然ましろんに例を言われた婆ちゃんが、きょとんとした顔で儂に理由を尋ねてきた。

 

「あー、それはじゃな、婆ちゃんが十人前の寿司を頼んでくれると言ったじゃろ? その相手がこやつでな」

「あぁ! あれかい! へェ、ワシャァてっきりもっと背丈のでかいのかと思ったが、そうか、こんなにめんこい子が……ははっ! 面白いねェ。真白嬢ちゃん、たくさん食うといい。足りなくなったら、追加注文もするよ」

「……やはり神か! ありがとうございます! 一生ついて行きます!」

「ましろん、おぬしなんかキャラ違う」

 

 普段のクールで物静かなキャラはどこ行った。なんか、番長か何かに付き従う舎弟みたいになっとるんじゃが。

 

「にしても嬢ちゃん…………なるほど、過去に色々あったらしい」

 

 喜ぶましろんをじっと見つめる婆ちゃんじゃったが、ふっとどこか同情交じりの表情をしながら、ましろんにそう声をかけると、ましろんはやや驚いたような顔になる。

 

「……わかるの?」

「まあね。あと、嬢ちゃんはおそらくその体に不満を持ってんだろうが……安心しな、今の生活を続けりゃ、体はでっかくなる」

「……ま、マジですか!?」

「マジさね」

「……ま、まさか、このぺったんこに近いこの胸も……?」

「でかくなるね」

「……私っ、まひろんと結婚してよかったっ……!」

「どこで泣いとんの!?」

 

 なんかもう、婆ちゃんという存在に出会ってから、ましろんのキャラがぶれっぶれになっとるんじゃけどぉ!

 

「……まひろん、私にとって、このロリ体型から脱却するのは良き事……! まひろんは大人にもなれるからわからないはず!」

「というか儂、元男じゃからな? 別にその辺はどうでもよいし」

 

 男なのに、胸が大きくなりたい! とか、普通は思わんじゃろ。

 

「……関係ない!」

「関係ないかー」

 

 いやまぁ、うん、ましろんらしいっちゃらしい。

 

「じゃ、次の紹介を頼むよ、まひろ」

「あ、うむ。最後に、こっちが結衣姉じゃ。小さい頃に世話になった人でな、なんか、その時に結婚の約束しておって……で、色々あって結婚した」

「初めまして、桜小路結衣です~。以後よろしくお願いいたします~」

「あぁ、桜小路んとこの嬢ちゃんか。桜小路カンパニーはどうだい? 上手くやってんのかい?」

「え、えっと~?」

「あぁ、そうか、結衣嬢ちゃんは知らなかったね。簡単に言や、嬢ちゃんの両親とは知り合いでね。特に、旦那の方、冬治坊には軽く手ほどきをしたのさ」

「あ、そうなんですね~。なるほど、両親のお知り合いですか~」

「まあね」

「結衣姉? 多分驚くところだと思うぞ?」

 

 というか婆ちゃんの交友関係どうなっとんの……?

 

 少なくとも、アリアの母方の実家を知ってるわ、結衣姉の両親とは知り合いだわ、他にも色々あるしで……気になることが多すぎる。

 

 あと、それをいつものあらあらうふふ、で済ませられる結衣姉がすごい。

 

「あとは、祥子姉が旦那じゃな」

「おっと、私だけ軽いぞ?」

「ま、祥子は既に話した後だからね。元々知り合いだからねェ」

「それもそうだ」

 

 祥子姉、普通に儂の親戚じゃからなぁ……。

 

 そう言えば、親戚とは言っても、関係性はどの程度のもなのじゃろうか?

 

 従姉ではないし……まあ、別に気にしなくても問題はあるまい。

 

 どうせ、結婚しとるからのう。

 

 ともあれ、儂の旦那たちの紹介が終わり、次をどうするかと考えておると、

 

「……あ、お婆ちゃん、将来私がどうなるかわかる?」

 

 ふと、ましろんが自身の成長がどうなるのか尋ねておった。

 

 いやそれ、婆ちゃんでもわかるわけ――

 

「ん? そうさね……推定としちゃァ、そっちの結衣嬢ちゃんくらいか?」

 

 いやわかんの!?

 

 すげぇ! さすが婆ちゃん! マジすげぇ!

 

「マジで!? え、ましろん結衣姉サイズになるの!?」

「おそらくね。というか、そんなに気になんなら、まひろが能力を使えばいいんじゃないんかい?」

 

 などと、婆ちゃんがとんでもないことを言って来た。

 

「ちょっ、婆ちゃんそのことは――」

 

 現状、儂の『成長退行』の能力の本質については、旦那共には話していなかった。

 

 なんせ、いろいろやべぇ能力じゃからな……。

 

 しかし、婆ちゃんの何気ない発言は旦那共の興味を抱かせるには十分な物であった。

 

「まひろ、能力を使えばいいってどういうこと?」

「うんうん。使ってもまひろ君がおっきくなったりするだけじゃなかったかな?」

「……ん、どういうこと?」

「私も気になるわ~」

「まひろ君。この家には私たち以外いないし、話してもいいんじゃないかい? とりあえず、本質も含めて話しておいた方が何かといいと思う」

「……そう思うか?」

「そうだね。とりあえず、用途を若返りと成長だけに絞っておけば問題はないと思うよ」

「む、それもそうじゃな……。うむ、わかった。では説明するが――」

 

 というわけで、儂は旦那たちに『成長退行』の能力のことを改めて説明する。

 

「――というわけじゃ。つまり、儂は壊れた物の時間を戻して直すこともできるし、他人の年齢も自在じゃ。まあ、代償は使用した相手に行くが……」

 

 こればかりは仕方ないと言うべきじゃろうな。

 

 代償自体が儂に来るのではなく、能力を使用した相手に行くと言うのは正直申し訳なく思うが……まあ、そもそも使用する場面が存在しなさそうではあるんじゃがな。

 

「なるほどね、そんな規格外な能力だったとは……」

「じゃあじゃあ、あたしたちも大人になったり子供になったりができるの?」

「うむ、そういうことじゃな」

「なるほどね~。つまり、その力で真白ちゃんを試しに大人に、ということね~?」

「……まひろん!」

 

 結衣姉のセリフを聞いたましろんが、ものすごい期待の籠った眼差しで儂を見つめてきた。

 

「え、やるの……? 言っとくが、成長は腹が減るぞ? すごく。以前儂が猛烈な飢餓感に襲われたように」

「……む、たしかに……」

 

 個人的には、旦那にそんな苦しみを与えたくないんじゃが。

 

 特に、ましろんは飯を食うことが好き故、特に空腹は辛いじゃろうに……過去的にも。

 

 儂の言葉にたしかにと零すましろんじゃったが、それを跳ね返すようなことを婆ちゃんが言い出す。

 

「安心しな、まひろ。真白嬢ちゃん。あくまでも感じるのは飢餓感。なら、常に飯を食い続ければいい話さね。それに、どうせなら、美味い寿司を大量に食いたいだろ? 真白嬢ちゃんは」

「……ん! たしかに! というわけだから、まひろん! せめて、一日だけでも成長を! 私を巨乳に!」

 

 婆ちゃんの説得に、ましろんは力強い言葉でもって儂に頼み込んでくる。

 

 巨乳て。どんだけ胸に憧れとんのか。

 

「……ま、おぬしがいいならよいが……婆ちゃん」

「なんだい?」

「こやつの空腹時に食す量は凄まじくてな。十人前じゃきかんかもしれん……」

「へェ、ならいっそ、追加注文と言わず、ありったけを頼むとするかい。ちィっと待ってな」

 

 そう言うと、婆ちゃんはおそらく予定していた寿司屋に電話をかけ始めた。

 

「……もしもし、久しぶりだねェ、ワシだ、小夜子だ。……あぁ、そりゃァもう元気さ。今は孫と孫の旦那たちと団欒中でね。あぁ、あぁ。それで、出前を頼みたくてね。……よし、じゃああんたの店にある飯、全部持ってきな。大至急だ。……何ィ? この後予約があるだァ? そいつァ一体どこのどいつだい。……あぁ、『四葉重工』の社長か。なら後日、ワシが出向くから今回は譲れと言っときな。ワシは数年ぶりに会う孫と、その孫の旦那たちにアンタんとこの美味い寿司を食わしてやるって約束してんだ。いいからやりな。……よし、それでこそだ。とはいえ、あいつらには迷惑をかけるからな……何? ちょうど来ただァ? OK変わりな。……四葉の坊主、久しぶりだね。あぁ、今孫に会いに帰って来てんだよ。しばらくは日本にいるつもりでねェ……ほう? そんな不届き者があんたの会社にいんのかい? よし、任しときな。今日の詫び代わりにどうにかしてやろうじゃないか。……あ? いや、金はいらないさね。元々、こっちが坊主に迷惑をかけたようなもんだ。気にすんじゃないよ。……あぁ、じゃ、そうさね……明日の朝にそっちへ伺うことにするよ。いや、歓待はいらないよ。それじゃあ明日に。……というわけだ、アンタんとこの飯、大至急で頼むよ。代金には色を付けるから。あぁ、頼んだよ。それじゃあ、待ってるよ。……よし、話はついた。店の従業員フル稼働でどうにかするようだ……って、どうしたんだい? 固まっちまって」

 

 何やら明らかに寿司や以外の誰かと話しておった婆ちゃんに、儂らは非常に反応に困る結果となった。

 

 なんか今、すっごい聞き馴染みのある大手建設会社の名前が出たどころか、そこの社長を坊主呼ばわりしとったんじゃけど……え、なに、どういう関係なんじゃ?

 

「婆ちゃん、今何を話しとったんじゃ?」

 

 なので、好奇心に負けて儂は電話内容を尋ねてみることにする。

 

 すると、婆ちゃんは笑いながら何でもないように話す。

 

「いやなに、頼む予定の店に予約が入っていたみたいでねェ。こちとら、久々の孫との団欒。だから、その予約相手に譲ってもらおうと思ったら、その相手がワシの知り合いでねェ。明日会社内のごたごたを解決することを引き換えに、譲ってもらったんさね。ま、そんなことをしなくても譲るとは言われたが、これくらいは当然さね。対価ってのは何事においても大事。まひろ、よく覚えとくように」

「うむっ! さすが婆ちゃんじゃ!」

「「「「それで済ませていいの!?」」」」

「む? 別に問題ないじゃろ? 婆ちゃんじゃし」

 

 そもそも、社長と知り合いなんて、婆ちゃんならば不思議ではないからのう。

 

「まひろ君のお婆ちゃん!」

「ん、なんだい、アリス嬢ちゃん」

「んと、四葉重工の社長さんとはどういう関係なんですか?」

「坊主とかい? そうさね……創業にワシがちィっとかかわっててねェ。つっても、大したこたァしてないんだが……ただワシの伝手を紹介しただけさね」

「え、創業に関わってるの!?」

「ははっ、若気の至りさね。……昔は、日本全国を旅して回ってたからねェ。そういう知り合いは多いのさ」

「そうなんですね~……ひろ君。ひろ君のお婆ちゃん、すごいね~」

「じゃろ?」

 

 儂の自慢の婆ちゃんじゃからな!

 

 正直何でもありじゃが……まあ、そこは婆ちゃんということで。

 

「……私は色々驚愕の事実がぽんぽん出て来るから頭痛くなってきたわ……」

「……ん、偉人も偉人だと思う。すごい」

「あはは、あたし、お婆ちゃんが国の偉い人と知り合いでも驚かないかなぁ」

 

 それは儂も思う。

 

 婆ちゃん、どこを旅しとるのかわからん時があるからのう……。

 

 しかしまぁ、すごいことすごいこと。

 

「さて、早ければ一時間で寿司が届くと思うからねェ……まひろ、そろそろ試してやったらどうだい?」

「うむ、そうじゃな。……ましろん、覚悟はできとるか?」

「……ふっ、お寿司がたくさん食べられるのなら、覚悟などとうにできてる」

「カッコいいセリフを言っとるようじゃが、普通に飯のためのセリフじゃからな? すんごい下らんからな?」

「……早く、早くっ!」

「わかったわかった」

 

 やたらと急かしてくるましろを宥め、儂は苦笑しながら能力を使用する準備をする。

 

 準備と言っても、触るだけじゃが……。

 

 そうして、ぺたり、とましろんの方辺りに手を触れる。

 

「では、能力を行使するぞ。よいな?」

「……ん! 早く!」

「よし……では」

 

 了承も取れたんで、儂は早速とばかりに目を閉じて集中し、ましろんの体を成長させる。

 

 とりあえず……そうじゃな、結衣姉と同じ歳にしとくか。

 

 じゃから、推定二十一歳程度に成長……。

 

 すると、触れたところがぐんぐんと上に上がって行き、手の平に触れる面積が何やら違って来とるような……。

 

「……こ、これはっ!」

 

 手のひらの違和感を感じておると、不意に上の方からどこか大人っぽい声が聞こえてくる。

 

 今の声はもしや……。

 

 儂は成功したかどうかと、声の主を確認するべく目を開けると……

 

「……お、大きくなってるっ!」

 

 そこには、絶世の美女とでも言うべき、銀髪美人が立っておった。

 

 腰元まで伸びたきらきらと光を反射する長い銀髪に、幼さが抜け大人の女性の魅力がこれでもか! と現れた綺麗な顔立ち。小さい状態よりも唇はふっくらと柔らかそうじゃな。

 

 そして、肝心の首から下はと言えば……それはもう、ボンキュッボンじゃった。

 

 たしかにこれは、結衣姉レベルじゃな……。

 

 可愛らしかったましろんは、大人になると、どうやらものすごい美女に成長するらしい。

 

 というか、なんじゃろう、すっごいドキドキする。

 

「…………」

 

 じゃが……じゃがしかし。

 

 婆ちゃんを除いた、ましろん以外の者はそれはもう……非常に困っておった。

 

「……ん、肩と胸が重い。なるほど、これが巨乳の重みっ……! 素晴らしい!」

「……ま、ましろん、なのか?」

「……ん、私。ありがとう、まひろん! 大きくなれた!」

「う、うむ、そ、それはいい、んじゃが……そのぉ……じゃな……ましろん」

 

 正直、言うべきか迷う……迷うんじゃが……。

 

 ここは言った方がいいじゃろう。

 

「……なに?」

「……すまん、服がぱっつんぱっつんというか……多分そろそろ破け――」

 

 ビリィッ!

 

 儂が現状を知らせるよりも早く、ましろんの服が限界を迎え、それはもうものの見事に衣類が破けた。

 

 唯一無事だったのはニーハイソックスのみである。

 

 Yシャツとブラジャー、スカートにパンツといった衣類たちが破け、床に散らばった。

 

 そして、抑圧されたましろんの立派な乳房が一気に解放され、ばるんばるんっ! と大きく揺れ……

 

「ぬおぉぉ!?」

 

 儂の頭を強打した。

 

 幸いと言うべきか、胸が柔らかかったので大したダメージはなかったが、吹っ飛ばされることとなった。

 

 尚、これまた幸いなことに、吹っ飛ばされた儂は結衣姉によってキャッチされ、怪我はなかった。

 

「あらあら~、ひろ君大丈夫~?」

「……結衣姉、助かった。いやぁ、驚いたわい……」

「……しまった、服が破けた」

 

 そして、服が破けた当の本人と言えば、珍しく困ったような表情で冷静に現状を呟くのじゃった。

 

 ましろん、凄まじい美人になるんじゃなぁ……。

 

 あと、瑞姫が未だに起きないが……まあ、いざとなったら、どうにかして起こすから問題ないじゃろう。




 どうも、九十九一です。
 どんどん婆ちゃんのキャラが濃くなっていく……なんなんだこの人。書いててやべーなと思ってしまう。
 次回はいつも通り以下略です。
 では。
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