爺口調な男子高校生が、のじゃろりになってTSライフを送るだけの日常 作:九十九一
「おーっす」
「おはようじゃ」
「おはようございます」
朝、三人で教室に入ると、なぜか視線が儂らに集まる。
一斉に見られたもんじゃから、思わず儂らはたじろぐ。
「な、なんじゃおぬしら、こっちを見て……」
『いや、なんか珍しく妻婦じゃない面子と登校してるなーと』
『もげればいいのになー、とか思ってないぜ?』
『浮気か!? とも思ってないから安心していいよー』
「なんか安心できなくね!? ってか、俺らはそんな関係じゃねぇ!」
「そうですよ。ただの親友という関係なだけです」
「じゃな。というか、こやつらに対しての恋愛感情とか……ははっ、ないない」
何度も疑われることじゃが、儂はこやつらに対して恋愛感情を抱くことはない。
健吾はそれこそ生まれた時からの付き合いじゃからな。
正直、お互いを知り尽くしておる。
優弥は優弥で、こやつはまあ、所謂純愛過激派みたいな面があるのでない。
まあ、過激派、とは言っても、儂のように複数人と結婚するということに対しては、特になんとも思わんらしい。
ちゃんと誠実に、そして責任が取れるかどうか、という部分が大事らしいからな。
儂の場合、責任を取るのは儂というより、他の面々じゃからなぁ……そのせいもあってか、優弥は特段儂に思うところはなく、むしろ同情的である。
ひでぇ……。
『なんだ、面白くねぇ……』
「面白くねぇってなんだよ!? つーか、俺らからすりゃ死活問題だからな!? こいつのファンクラブ、地味に過激派が多いんだよ!」
「昨日も、襲われかけましたね、夜道に」
「マジで!? おぬしらそんなことになっとんの!?」
優弥の発言に、儂はバッ! と二人を慌てて見ると、二人はこくりと頷いた。
登校時に襲われたとは聞いておったが、夜道に襲撃とは……まったく、碌なもんじゃないわい……。
「あー、とりあえず、ファンクラブの面々に、こやつらは襲わないように誰か言っといてくれ。正直、こやつらといるのはマジで心の健康に必要なんじゃから、儂」
主に、旦那たちから受けるあれこれのな。
「まひろお前……それは狙って言ってんの?」
「む? そりゃあ、本当のことじゃろ? 事実、おぬしらと一緒にいる時は、心が落ち着く」
「まひろさん!? それ、色々とアウトな気がするんですが!?」
「むむ?」
こやつらが一体何に対して慌てとるのかはわからんが……どうしたのかのう?
『心の健康に必要……?』
『心が落ち着く……?』
『やっぱあいつら、不倫関係……』
「いやじゃから、儂ら別にそう言う関係じゃないて! ……って、あぁ! そういうことか!」
自分で言って気付いた。
なるほど、じゃから二人は慌てておったのか……。
「よいか! この二人は気兼ねない関係じゃから落ち着くんじゃ! 美穂たちはなんかこう……あれはあれでよいが、心が休まらんような状況の方が多いんじゃからな!? じゃから、変な勘繰りはよせ! 頼むからマジで!」
これ以上、変な噂が立ってみよ、元々噂はあまり気にせん儂でも、自分自身の根も葉もない噂が流れだしたら、普通に嫌じゃからな!?
ただでさえ、昨日の例の放送で地獄見とるんじゃから儂!
という、魂の叫びが通じたのか、クラスメートたちは納得したような顔になる。
しかし、
『つまり、相当爛れた生活をしているわけか』
『なるほど、性活ってわけね』
『まあ、百合百合しいし、逆に興奮するわ』
「何言っとんのおぬしら!?」
『いやほら、心が休まらない状況の方が多いって言うから』
「言ったけども! 言ったけども! じゃが別にそれは、そう言う意味ではないからな!? ほんとに!」
などと、必死の弁解を見せる儂じゃが、クラスメートたちは生暖かい目を儂に向けるだけで、これっぽっちも取り合わなかった。
おのれぇ、クラスメート!
「まったく……まあよい。なんかもう、めんどくさいわい。儂はちっと寝る……寝るのが遅かったからのう……ふああぁぁ~~~……」
何を言っても無駄じゃと思った儂は、昨日のアレの件による寝不足で、眠くなっておったので、朝のHRが始まるまで寝ていることにした。
「あ、健吾に優弥。旦那共が来たら、儂を起こさないように言っといてくれんか」
「おう、了解」
「おやすみなさい」
「うむ。……くー……すー……んん……」
二人に伝言を頼むと、儂はすぐに夢の世界へ旅立った。
「寝るの早」
「相変わらずですね……」
そんなこんなで昼休み。
「ぬおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ~~~~~っ……!」
儂は机で一人頭を悩ませていた。
周囲では飯を食いながら談笑するクラスメートたちの他に、ゲームに白熱する者たちもおり、教室内はとても騒がしい。
しかし、儂はそんなことに耳を向ける余裕などなく、ノートを広げ、そこに文字を書き込んでいく。
その横には、タブレットが置かれており、そこを見ながら悪戦苦闘中。
このタブレットが何なのか気になる事じゃろう。
簡単に言えば、これは仕事道具じゃな。
儂は図書委員長をやっている関係上、例の勉強部屋についての仕事が今回って来とるわけじゃが……これがもう、マジで大変。
今日から本格的に仕事するかー、と思い学園アプリを開き、『勉強部屋申請・承諾』のページを開くと、そこには多くの申請がこちらへ来ておった。
それどころか、現状でも増え続けるほどでもあった。
おもわずぎょっとして、これはいかん! と仕事を始めたのがつい先ほど……。
一応、昨日放送で告げてはおるが、まさかたったの一日でこうなるとは……。
おかげで、先ほどから儂は申請の承諾と棄却という仕事に追われ、サンドイッチ片手に頭を使っておる。
「ぬぅ、やはりでかい部活動を優先的にした方がいいか……? いや、しかしこの部活は大して赤点すれすれの者もおらんし……それよりも、こっちの赤点ギリのグループを取るか……いや、むしろさぼる口実になる、か……? ――ぬああぁぁぁあぁぁぁ! めんどくさいのじゃあぁぁぁぁぁぁ!」
あまりのめんどくささに、思わず体を投げ出して叫び出す。
そうすると、周囲の者たちもぎょっとして儂の方へ視線を向けだすが……すぐに飯や話に戻る。
くそぅ、厄介な仕事じゃのう……。
これ、マジで急ぎの方がいいよなぁ……。
どうもこの仕事、あまりにめんどくさすぎて、特例として授業に参加せずにこっちの仕事を優先してもいい、ということになっとるらしい。
といってもまあ、この辺りは生徒会と各委員会の委員長の者たち全員の特権らしいが。
……はぁ、仕方あるまい。
後で、美穂か瑞姫、アリア辺りにノートを見せてもらうか。
「美穂、すまんが、儂はこの後の授業バックレる」
「あー、仕事?」
「うむぅ……ちっと、これは一人で集中したい。ので、次の教師に言っておいてくれんか?」
「りょーかい。頑張りなさいよ」
「うむ、悪いのう。じゃ、また後でな」
儂は美穂に伝言を頼むと、教室を後にした。
儂が向かうのは、勉強部屋。
あそこは図書委員長の特権で、いつでも利用できるようになっておる上に、ドリンクバーもあるし、食道からのデリバリーもある。
故に、勉強や仕事をするのに最も適している場所と言えよう。
それに、何のかんの行ったことはないからのう、興味もあったし、もしかすると判断材料になるやもしれぬからな。
ここは、是非も見ておきたい。
というわけで、さっさと勉強部屋の鍵を取り、中へ入り……驚嘆する。
「お、おぉぉ~~~~……これが、勉強部屋かぁ……」
勉強部屋は何とも広く、イメージとしてはよくあるファミレスの広さがちょうどよいな。
というか、なんかファミレスっぽくね? この空間。
しきりに四人掛けのテーブルが多く設置されており、壁際には何やら自販機らしきものが設置され、その右隣には五十センチ四方の扉らしきものがあり、反対にはドリンクバーと……あれは、キッチン? もしや、調理なんかもできるのか? ここ。
自販機らしきものがある壁の反対側には、扉があり、気になって入ってみると、そこには例のベッドと敷布団がそれぞれ五セットずつ設置され、計十名が一度に仮眠を取ることが出来る空間となっておった。
気になって、布団に触れてみると……。
「な、なんという手触りの良さ! それに……ふおぉぉぉぉぉ……ふっかふかじゃぁ……」
ついついごろんと寝転んでしまうほどに、素晴らしい寝心地の布団であった。
あー、これはたまらんのう……思わず瞼が重く――
「ってぇ! 今寝るのはあかんて!」
なりそうなところ、鋼の精神で阻止し、すぐに起き上がる。
危ない危ない……布団の誘惑に負ける所であった……。
ともあれ、仮眠室はこんなところか。
再び勉強部屋の方へ戻り、辺りぐるっと見回す。
奥の壁には参考書や筆記用具などもあり、本当に至れり尽くせりと言った空間。
なるほど、これは確かに、利用したくなるのう……。
「さて、仕事じゃ仕事。……お? これはパソコンか?」
ふと、一ヵ所だけパソコンが置かれている場所があり、気になって開いてみると、どうやらそれは、委員会仕事などが出来るパソコンであった。
なるほど、これで仕事が出来るのか……ふむ。
「よし、折角じゃ、これを使うか」
正直、タブレットよりも、パソコンの方が何かといいしのう。
じゃ、適当に緑茶を淹れて……
「後は何か摘まめる物が欲しいのう……」
となれば、やはり甘味じゃよな!
そうと決まれば、早速デリバリーを使ってみるか。
うきうきとした気分で自販機らしき物の前に立つ。
そこには、タッチパネル式で食堂のメニューが表示されておった。
よく見ると、金を投入する場所も見受けられ、どうやら前払い制らしい。
まあ、ベルトコンベヤーで来るみたいじゃからなぁ……。当然か。
「んーと……お、あったあった。抹茶クッキー。これで良いな」
適当に菓子を注文すると、ゴウンゴウン、という音が聞こえて来て、数十秒ほどすると、ピンポーン、という音が鳴った。
それと同時に、横の扉が開き、そこには注文した抹茶クッキーが。
案外早いんじゃな……。
「よしよし、これで準備万端! 早速仕事じゃ仕事!」
茶と菓子を手に入れ、儂は早速仕事にとりかかった。
広い空間に儂一人というなんとも不思議な空間には、カタカタというキーボードをたたく音と、カリカリというノートにペンを走らせる音、それから儂の呼吸しかない、静かな物となっておった。
そのおかげか、かなり集中できており、現在は棄却理由が明白な物を突っぱね終えたところじゃ。
「うぅむ、このグループはダメじゃな……申請理由がふわついとる。もうちっと、具体的にしてほしい、と」
棄却は棄却で突っぱねるだけでいいんじゃが……それでは、向こうも不満が出ると予想されるため、儂は申請してきた者個人のアカウントの方に棄却理由を送る。
個人的に、棄却と同時に送れればいいんじゃが、どうもその機能はないらしい。
ちなみに、今棄却した申請書には、
『環境のいい場所で勉強したい』
という理由。
まあ、これでも悪くはないんじゃが……これでは、正直優先度がどうしても下がってしまう。
優先度が高い理由で言えば、
『今回のテストの結果によって、今後の部活動に制限がかけられるかもしれないんです。なので、なんとしても回避するために、環境のいい勉強部屋を使用したいです。それに、遠方から来ている人もいるので、学内で利用できるこの場所を使いたいです』
みたいな感じの理由じゃな。
ようは、目的が明確であるかどうか、ということと、ここでなければいけない理由ということじゃ。
前者は、ただ環境のいい場所で勉強がしたい、というだけのもの。
それならば、近所の図書館やファミレスなどでいいのでは? という風に思えてしまうため、棄却となる。
しかし、後者はどうかと言われれば、こちらは明確な理由がある。
まず、部活動を続けるために、良い環境で勉強に集中したい、ということ。
それから、遠方から来ている生徒がいるから、近場でやりたい、ということじゃな。
一つ目は言わずもがな。
二つ目に関しては、移動時間が惜しい。
一応、学生寮なんかはこの学園に存在してはおる、市内に。
しかし、学生寮に入れなかった者たちもいるわけで、その場合は一人暮らしか、もしくは実家から通うことになり、その移動時間がもったいないから、という理由なわけじゃな。
このように、前者と後者では大きな違いがある。
一応、受理するかしないかは儂の裁量で決まるんじゃが……可能な限り、上手くやらねば文句が出る。
現状、部活動単位での申請が少なく、それ以外の者たちからの申請が多い。
まあ、当然と言えば当然じゃろうが……。
とはいえ、問題はここじゃ。
部活動単位であれば、少し優先的にしても問題はない。
しかし、それ以外の者たちの方が問題じゃな……。
「うぅむ、いっそ同時に使用許可を出すか……? いや、それはありなのか?」
うんうんと頭を悩ませている途中、ふと、一緒に使用許可を出せばいいのではないか、ということに思い至る。
しかし、それがありなのか無しなのかわからず、結局屋本司書に訊くことにし、学園アプリを通して聞いてみると、
『その方が効率的ですので、全然ありです』
という返事が返って来た。
ついでに、過去にもそうやって来た委員長もいるとか。
ならば、問題は無し。
とりあえず、ある程度席を埋める感じで行けば、この二週間でどうにかなるか……?
現状、申請受理をする予定の数は、ざっと三十近く。
一日に三つのグループを詰め込まないときついと考えると……できれば、余裕を持ちたいところなので、やはり同時でなければ不可能じゃろう。
「よし、そうと決まれば仕分けじゃな」
やるべきことが決まったので、さっさと仕分けをしていく。
人数が少ないグループは、まとめられるだけまとめ、人数が多いグループは個別に設定。
というか、人数が多い部活はあれじゃな、場合によっては分割も考えなければならんな……。
野球部やサッカー部と言った部活は、何気に人数が多いし……。
「んー、となると、こっちはこうで、これがこう……」
「……こっちのグループはここと混ぜない方がいい。仲が悪い」
「ほう、そうなのか。ではそうする……って、ましろん?」
突然横から聞き覚えのある声がして振り向けば、そこにはもっきゅもっきゅと抹茶クッキーを頬張るましろんの姿があった。
それ、儂のクッキーなんじゃが……まあよいか。
「なぜここにおるのじゃ?」
「……ん、みほりんたちから聞いて、まひろんがここで仕事してるって聞いた。だから手伝いに来た」
「む、良いのか? というか、授業中ではないのか?」
今は五時間目の真っただ中で、ゴリゴリに授業中なはずじゃが……。
「……私は生徒会長。様々な権限がある。だから、大丈夫」
「そうか……ま、おぬしの場合、一時間や二時間授業が遅れた程度、ハンデにもならんか」
「……そういうこと。だから、みんなの代わりに手伝う」
「うむ、助かる。特に三年生のグループとか、儂にはよくわからんからのう」
まあ、それを言ったら一年生もなんじゃがな。
とはいえ、一年生は申請者の中にはほとんどおらず、先輩や友人と一緒に参加する者が多いが。
「……任せて。ある程度の交友関係の情報は入ってる」
と思ったが、どうやらましろんはその辺りの情報も入っておるらしかった。
地味にすごい。
「おー、さすがじゃのう!」
「……もっと褒める」
「うむうむ、ましろんはすごいのう。さすが、我が旦那じゃな」
「……んふふ~」
褒めながらましろんの頭を撫でると、嬉しそうに目を細めた。
……可愛いな、こやつ。
「よし、ではなんとしてでもささっと終わらせるぞ!」
「……ん、任せる」
というわけで、ましろんが加わり、仕事再開。
なんと言うか、生徒会長をやっているのは伊達でもなんでもなく、ましろんのおかげでかなりペースが良く仕事が進んでいく。
特に、生徒の交友関係がある程度入っているのがでかい。
おかげで、衝突しそうな関係性の者を炙り出せ、上手くまとめられたと思う。
「……よし、こんなものか?」
「……ん、大丈夫だと思う。三日ほど空けられたのは大きい」
「じゃな。とりあえず、追加で来ても、最大三つのグループは何とかなりそうじゃ」
あとは、棄却した者たちが改めて申請してくるかどうか、じゃが……うーむ、結構めんどいな、やはり。
とりあえず、今回は何とかなったが、次もあると思うと、キッツイのう……。
しかし、今回ましろんから得たデータは全てノートにまとめたし、まあ何とかなるじゃろう。
「ほんと助かったわい、ましろん」
「……ん、これくらい何でもない。でも、まひろんも何気によくできてた」
「そうかのう?」
「……意外と采配が上手い?」
「そう言われてもよくわからんが、ま、そう言われるのは悪くないのう」
一応、バイトリーダーをやっておったからのう、それが理由かもしれんな。
なんだかんだ、あれもシフト作成というわけではないが、ちょこっと店長の手伝い紛いのことをしておったからのう。
何がどこで活きるかわからんもんじゃな。
「ふわあぁぁ~~~……んんぅ、眠くなってきたのう……」
「……ん、たしかに。私も眠い」
「昨日の夜があれじゃったからなぁ……まったくおぬしらは……」
「……好きな人のことは何でも知りたくなる。常識」
「嫌な常識じゃなぁ……」
わからんでもないが、さすがにあのレベルのことをされると若干引く。
しかし、仮に儂が旦那共に同じことをした場合、儂のように慌てふためく、などと行ったことがない気がする……瑞姫がいい例じゃな。あやつ、普通にオープンな変態じゃから。
「……んっ、ふわぁぁぁぁ……私もかなり眠くなってきた……」
「ふぅむ……であれば、隣の仮眠室で一緒に寝るか?」
「……いい考え。そうする」
「じゃ、行くか」
「……ん」
夜更かし気味だったことや、仕事で頭を使ったためか、かなりの眠気が襲いかかってきておったので、儂の提案で一緒に仮眠室で寝ることにし、早速仮眠室へ移動。
「……まひろん、どっちで寝る?」
「儂か? ここは……敷布団で寝るわい」
「……じゃあ、私もそうする」
「なんじゃ、ベッドでなくてよいのか?」
「……まひろんと一緒がいい」
「ははっ、そうか。なら、さっさと寝よう。とりあえず、帰りのHR辺りに目覚ましを書けておくわい」
「……ん、わかった」
一応、今日から勉強部屋の利用が始まるからな……最初の予約者たちが来る前に起きて、退室せねばならんのでな。
というわけで、さっさと布団に入り……ましろんが入って来た。
「……ましろん」
「……なに?」
「何故、同じ布団に?」
「……?」
いやそんな、『え、何かおかしい?』というさも当然だよね、的な顔をされても……。
「……一緒に寝たいのか?」
「……当然。まひろんは嫌?」
「全然」
好きな者と一緒に寝ることが嫌とか……ないない。
それに、向こうから迫ってきたのであれば、儂が断る理由などどこにもない。
強いて言えば……あれこれをされそうになるのであれば、断固として拒否るが……まあ、勝算は聞かんでくれ。
「……じゃあ、一緒に寝る」
「はぁ、仕方ないのう……ほれ、もうちっとこっちへ寄ってよいぞ。どうせ、ここは空調がよく効いておる。ちっと肌寒程度じゃし、何よりくっついて寝た方が、おぬしもいいじゃろ?」
「……んっ、さすがまひろん。お嫁さん力が高い」
「お嫁さん力ってなんじゃ」
謎単語が出て来たぞ。
……まあ、おおよその意味合いは理解できるが……。
「……どうせなら、大きくなりたいけど」
「それしたら、お腹空いて動けなくなるからやめとけ」
「……ん、残念。大きくなって、まひろんを抱いて眠りたかったのに……」
「したいのならば、長期休みにしておけ。さすがに、今は色々とまずいじゃろ。いきなり小さかったましろんがでかくなった状態で学園に行けば……それはもう、大騒ぎじゃ。儂ですら、高校生ほどの年齢にしたらそこそこの騒ぎになったんじゃからな」
「……ん、我慢する。でも、夏休みは絶対にやってもらう」
「ま、おぬしが望むのならば構わんよ。……これでも、おぬしらの嫁じゃからのう」
「……ふふっ、最近は素直でよろしい」
「誰のせいじゃ誰の」
ましろんの言葉に、そんなツッコミを返しながら、ははっ、と二人で笑い合い、ましろんが儂を抱きしめる形で、すぐに眠りに落ちた。
二人が仮眠室で眠ってから、しばらくして、お互いかなり眠かったようで、まさかの目覚ましで起きないと言う事態が発生。
その後、最初の勉強部屋の利用者である野球部が入って来て、しばし勉強をした頃、何名かの生徒が仮眠を取ろうと仮眠室に足を踏み入れると……
「くぅ……すぅ……んんぅ、ましろん……すきぃ……」
「……私、も……すー……すー……」
そこには、大変可愛らしい美少女(もう片方は美幼女とも言う)が向かい合わせで抱き合いながら、安らかな寝息と顔で眠る光景が広がっており、さらには、時たまキスをするという、とんでもねぇ百合百合しい光景の不意打ちをくらった部員たちは、思わず胸を抑えて、鼻血を出しそうになった。
その姿があまりにも可愛らしすぎる、ということで、眠気が吹っ飛ぶどころか、むしろやる気が漲り、その結果野球部全体のテストの成績が大幅に向上する、などという事態が発生したが、二人は知らない。
尚、この時のことは、何気に伝説となっており、もし仮眠室でこの絡みが見られた場合、学力が向上すると言うジンクスが残されることとなる。七不思議的な意味で。
どうも、九十九一です。
昨日は出せなかった……いやもう、書くのがめんどくさくなったと言うか、妙に気力が出なかったため、投稿できませんでした。すまねぇ……。
書いてて思うのですが、なんか真白との絡みがやたら多い気がするんですよね……動かしやすいからか? いつか、個別のデート回とか書きたいもんです。
次回も以下略です。
では。