爺口調な男子高校生が、のじゃろりになってTSライフを送るだけの日常   作:九十九一

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日常127 結婚式前。挨拶回りとか

「と、いうわけで……来てくれてありがとうな、おぬしら」

 

 旦那たちの褒められまくるのが恥ずかしくなって、儂はクラスメートたちの方へ赴き、固まっているクラスメート共と手前側にいる健吾と優弥に声をかけると、例を告げた。

 

「ま、幼馴染で親友の門出だからな! 当然ってもんだぜ」

「健吾さんの言う通りです。僕たちは親友同士なのですから。その代わり、もし将来僕たちが結婚したら、絶対に来てくださいよ?」

「もちろんじゃ! 盛大に祝ってやるので、覚悟するんじゃな!」

「ま、その前に俺たちは彼女作りからだろうがな! 今はどうでもいいが」

「ですね」

 

 はははっ、と三人で笑い合う。

 

 彼女作りから、とは言うが、こやつらなら案外すぐに恋人が出来そうじゃがな。

 

 優弥は自分から仕掛ければ一瞬じゃろうし、健吾もなんだかんだいい奴なので、密かにモテているタイプじゃ。

 

 もし、この二人が結婚となったら、その時は儂の持てる全ての力を用いて祝うとしよう。

 

「……し、しかし、なんか儂、すんごい見られてる……?」

「そりゃまぁ……そうだろうなぁ」

「今のまひろさん、びっくりするくらい綺麗ですから」

「そ、そうか? やはり、おぬしらから見ても儂って、綺麗なのか?」

「「メッチャ綺麗」」

「お、おう、そうか……て、照れるのう」

 

 旦那共ほど赤面はしないが、それでも親友の二人から褒められると普通に照れる。

 

『わああぁぁ~~~~! まひろちゃん、超可愛いんだけど!」

「んおう!?」

『うわぁ、メイクも完璧だし、ドレスもメッチャ似合ってる!』

「お、おう、ありがとうのう」

『羨ましいなぁ。高校生なのに、こんなに立派なドレス着て結婚式なんて!』

『わかる! 私も将来、絶対イケメンな彼氏ゲットして、結婚式上げる!』

『あ、ともかく、まひろちゃんおめでとう!』

『『『おめでとう!』』』

「う、うむ。あ、ありがとな……えへへ」

 

 クラスメート共から祝福されて、すごく嬉しくなった儂は赤面しつつも顔が熱くなる。

 

『『『ぐふっ……』』』

 

 そんな儂を見てか、クラスメート共(健吾と優弥は除く)が胸を抑えて倒れそうになった。

 

 おぬしらもかい。

 

『待って? あれが以前怠そうな感じだった桜花君だって言うの……?』

『めっちゃ乙女なんですけど! びっくりするくらい乙女なんですけど!』

『すげぇな、TSF症候群……あのぐーたらで爺なまひろがすげぇ可愛くなっちまってるんだけど……』

『どこの二次元だよってくらい可愛いわ。マジで』

『そんな奴の結婚式に呼ばれるとか、俺らマジでラッキーだよなぁ』

『わかる! しかも、滅多にない複数婚だから尚更! これ、一生自慢できるっしょ!』

 

 などなど、なんか儂をだしに話が盛り上がる。

 

 なんじゃろう、すんごい気恥ずかしい……。

 

「ま、まあ、なんじゃ。主役は儂だけでなく、旦那共もなので、な? あ、あやつらもしっかり祝福してくれると、儂は嬉しい……」

 

 照れ照れとしながらも、儂は旦那たちのことも祝福してくれるように話せば、クラスメート共がさらに胸を抑えだした。

 

『待って待って! 今日のまひろちゃんマジでむりぃ! 尊過ぎて死ぬッ!』

『旦那を立てる嫁とか……お前は大和撫子か!』

『やべー、桜花の嫁力が高すぎるのと、男だったころを知ってるからか、脳がバグるんだけど。え、これ、本当にあの桜花か?』

「な、なんじゃいっ、儂が旦那共のこと想って悪いか!?」

『『『いや全然』』』

 

 そこは異口同音なのな。

 

「む、むぅ~……わ、儂、次の所行ってくる。また後でな」

「おーう、また後で」

「はい」

 

 クラスメート共との挨拶を終え、儂が次に出向いたのは『喫茶 友愛』の同僚たちの所。

 

 最後に会ったのは体育祭の打ち上げの時じゃったな。

 

「おーい、店長ー」

「ん? おぉ、まひろまひろ君じゃないか! ……へぇ? これはまた、随分と綺麗に着飾ってんなぁ!」

「メイドさんたちが、ガチすぎてな……」

 

 がっはっは! と豪快に笑う店長に、どこか安心感を覚えつつ、儂は苦笑いを零す。

 

「うおっ、桜花先輩、なんすかその姿! え、本人!?」

「な、なんじゃ、変か? 儂」

「いやいやいやいや! むしろ、綺麗すぎて本人か疑わしいんすよ!」

「……とりあえず、本人じゃよ。はぁ……あと、あんまし言いたくはないが、そんなことを言っておるようでは、彼女を作るなど、夢のまた夢じゃぞ」

 

 高畑の物言いに、儂は溜息一つ吐き、グサッと心に矢を射るかのようなことをジト目と共に言い放った。

 

「ぐはっ……!」

「まぁ、これは桜花の言う通りだな」

「おぉ、葛井先輩。来てくれたのか」

「俺だけじゃないぞ。少なくとも、今日は臨時休業にして、全員来てる」

「マジか。わざわざ儂のために来てくれたのは嬉しいのう」

「ま、そんだけまひろ君が慕われてるってこった」

「そうなのか? 別に儂、慕われるようなことはしてない気がするんじゃが……」

 

 何かあったかのう?

 

 店長の言葉に、儂は特段思い当たる節がなく、うーん? と首を傾げる。

 

 それを見た同僚たちは呆れた様な笑みを零す。

 

「俺、桜花先輩には散々仕事を教えてもらったし、勉強を教えてもらったなー」

「俺は悩みを解決してくれたな」

「オレはそもそも、まひろ君が入ったことが一番助かったな」

『私、ナンパから助けてもらったことあるわ』

『私は財布を落として帰れなくて困ってるところを、帰りのお金をくれただけじゃなくて、財布を探して見つけてくれたわ』

『俺、仕事のミスをフォローしてくれた』

『妹が高熱を出した時、仕事じゃないのに代わりに仕事をしてくれた時があったなぁ』

 

 などなど、同僚たちが口々に過去の儂の所業について言って来る。

 

「つまり、そういうこった。それに、まひろ君はあんましそう言う事を自慢げにすることもなかったしな!」

「わかる。恩着せがましくないというか、当然じゃね? みたいな反応っすよね」

「それが良い所であり、呆れる所だがな」

「あれ、なんか儂、すんごい褒められてる?」

「「「そりゃあねえ」」」

 

 儂ってば、そんなに慕われるような存在じゃったのか……うぅむ、むずむずする。

 

 にしても、こうして色々な人が来てくれると言うのは、嬉しいし、幸せなことなんじゃろうなぁ……見知らぬやたら質の良さそうな衣類に身を包んだ大人たちは知らんが。

 

 どう見ても、社長とかそっちの人ばかりじゃろ、あれ。

 

「……で、桜花先輩」

「なんじゃ、高畑よ」

「……正直、さ。俺たち、場違いじゃね?」

「まあ、言いたいことはわかる。が、安心せい。そもそも、瑞姫の父上が言うには、学生はタダらしいからな。他は知らんが……って、そう言えば、店長はどうしたんじゃ? ご祝儀は」

「オレも必要ないって書かれてたぞ」

「そうか、よかったな」

「いやー、大人で、オレの店の恩人な桜花の結婚式に、タダで参加ってのも、気持ち的に微妙なんだがな」

「そういう物か?」

「そういうもんだ」

 

 しかしまぁ、そうなのやもしれぬ。

 

 大人とは、かなり面倒な生き方をせねばならないらしいからのう……。

 

 尚、同僚たちはうっきうきである。

 

 現金な奴らじゃ。

 

「じゃ、儂次の所に行ってくるわい」

「おーう、楽しみにしてるぜー」

「大変っすね、先輩」

「頑張れよ」

「うむ。ではな」

 

 同僚共への挨拶を済ませ、次に向かうのは……親族エリアである。

 

 正直、一番緊張する。

 

 まずは、美穂の両親に会いに行くことに。

 

「あ、あの~……」

「ん? おぉ、もしや君が娘の結婚相手の桜花まひろ君かな?」

「あら、随分と可愛い娘ね」

「あ、うむ、じゃない。えと、はい。儂……じゃなくて、私が桜花まひろ、です。この度は結婚を承諾してくださり、ありがとうございます」

「ははは、そう畏まらなくてもいい。いつも通りで大丈夫さ」

「そうよ。これからは、私たちの義理の娘にもなるわけだから、安心して?」

 

 一応、これはケジメでもあるため、儂は慣れない敬語でお礼を言う。

 

 無理して話していることが伝わってしまったのか、美穂の両親が笑いながらそのままでいいと言ってくれた。

 

 いい人たちじゃ……。

 

「で、では……改めて、儂らの結婚式に来てくれて、ありがとうじゃ」

「へぇ、話には聞いていたが、本当にそんな口調なんだね」

「冗談だとばかり思っていたけど……我が娘ながら、面白い娘を好きになったものね」

 

 儂的には、美穂も十分面白いと思うが。

 

「桜花まひろさん」

「あ、う、うむっ、なんじゃ?」

 

 くすくすと笑っていた美穂の母上は、背筋を伸ばし真剣な声で儂と向かい合う。

 

「不束な娘ですが、どうか、よろしくお願いいたします」

「……あ、あー、うむ。任せるのじゃ! と、言いたいところなんじゃが……」

「「???」」

 

 任せろと自信満々に言わず、玉虫色なことを言う儂に、二人は疑問符を浮かべる。

 

「見ての通り、儂の方が嫁側でなぁ……実際、美穂たちの方がその、旦那らしくて。なので、そう言う事を言うのはむしろ儂の方というか……」

「ははっ、なるほど。どおりで娘の方がタキシードを着ているわけだ。これまた、面白いことになったね、美弥子」

「ふふ、そうね。……でも、親としては幸せになってくれればいいから。だから、そう言う意味でもよろしくお願いいたします」

「……うむ。全力で愛そう。それに、儂は普通に気に入っとるからな」

「複数人は大変かもしれないけど、頑張ってね?」

「……あー、うむ。それはもう、はい……」

 

 最後にちょっと微妙な感じにはなったが、音田家の方は恙なく挨拶が済んだ。

 

 羽衣梓家の方は、実は昨日のうちに改めての挨拶を済ませているが、改めて挨拶をすることにする。

 

「繫春殿」

「おぉ、まひろちゃんじゃないか! うむうむ、どうやらドレスはぴったりのようだな」

「おかげさまでな」

「久しぶりだな、まひろ君」

「うむ、お久しぶりじゃ、理事長」

「はは、ここでは瑞姫の母として来てるんだ。京花でいいよ」

「それもそうか」

 

 考えてみれば、理事長というのも変か、学園じゃないし。

 

「やぁ、君が桜花まひろ君かな?」

 

 ふと、儂に声をかけて来る者が現れ、そちらへ向くと、そこにはどことなーく、瑞姫に似た顔立ちのイケメンが立っておった。

 

「む? えーっと、おぬしは……」

「初めまして、瑞姫の兄、羽衣梓大晴です。以後、お見知りおきを」

「あ、う、うむ。桜花まひろじゃ。こちらこそ、よろしくじゃ」

「ふむ……なるほど……母さん、少しまひろ君とお話してもいいでしょうか」

 

 一体何がなるほどなのかわからんが、なぜか大晴殿は儂と話したいと京花殿に申し出ていた。

 

「構わないよ」

「まひろ君もいいかな?」

「あ、う、うむ、大丈夫じゃ」

 

 正直、羽衣梓家の相手ということで、こやつもロリコンの変態なのでは? と身構えてしまうが、それでも今後は顔を合わせる機会が増えるんじゃ。

 

 ここは、話しておいた方がいいじゃろう……!

 

 と、内心覚悟を決めて一旦繫春殿たちから離れた所へ移動し、大晴殿は周囲をきょろきょろと見回しほっと胸をなでおろしたところで、口を開いた。

 

 や、やはり変態なのか!?

 

「……まひろ君、君、瑞姫に襲われたね?」

「……!」

「その反応、やっぱりか……まあ、瑞姫を可愛がっていた父さんが簡単に結婚を認めた上に、瑞姫も瑞姫で相当入れ込んでいたし、母さんも狂喜乱舞していたからおそらくと思ってはいたけど……悪かったね。俺の家族が迷惑をかけたようで」

「……あ、い、いや! と、特に気にはしとらん、が……あ、あのー、大晴殿? つかぬ事を訊くのじゃが……大晴殿はロリコンではない……?」

「もちろんだよ。確かに、客観的に見れば可愛いのかもしれないけど、俺はちゃんとノーマルだよ?」

「え、突然変異……?」

「そう言われると確かにそうかもしれないと納得できてしまうところが嫌なところだね……」

 

 あははは……と苦笑いを浮かべる大晴殿に、儂はまるで雷に打たれたかのような衝撃を受けた。

 

 え、ろ、ロリコンじゃない……じゃと!?

 

「う、羽衣梓家はロリコンしかおらんのかとばかり……あ、いやでも、京花殿はまともだった気が……」

「あぁ、それは多分相当堪えていたね。実際は、鼻血を吹き出し、狂喜乱舞だった」

「知りたくなかったッ……!」

 

 結局羽衣梓じゃねーか!

 

 えぇ……京花殿もロリコンなの……?

 

 なんか、まともだと思ておった儂がバカみたいじゃん……。

 

「俺も昔は色々と思ったからね……」

 

 そう言う大晴殿の表情は、なんとも言えぬ哀愁が漂っており、過去に色々あったんじゃろうな、と察せられた。

 

「なんというか……大変じゃったな……」

「それを言うなら、まひろ君の方が大変だろう? 大丈夫なのかい?」

「……ま、慣れた」

「その言葉で色々と察したよ。ともあれ、今後は仲良くしよう」

「うむ。こちらこそ」

 

 ガシッ! とお互いに固い握手をした。

 

 まさか、羽衣梓家にまともな者がおったとはのう……それだけで、儂は安心じゃし、ないよりありがたい。

 

 むしろ、他がおかしすぎるだけじゃろ、これ。

 

「さて、俺たちの方はいいから、別の家の所に行くといいよ」

「良いのか?」

「もちろん。それに、俺たちの方も色々やることは多いからね……挨拶周りが多くて嫌になりそうだよ」

「大変じゃなぁ……」

「将来的に、羽衣梓グループを継ぐことになっているから仕方ないさ。……それじゃあね」

「あ、うむ。これからもよろしくのう」

「うん」

 

 まともな大晴殿と別れ、次に向かうのは時乃家。

 

 アリアの両親か……どのような者なのか、ある意味気になる……。

 

 事前にアリアから聞いておった特徴の人物を探し、すぐに発見。

 

「すみません、少しいいでしょうか……?」

 

 初対面なので、当然敬語である。

 

 うむぅ、肩が凝る……。

 

「あら~? もしかして……桜花まひろちゃんですか?」

「あ、はい、そうです」

「挨拶しに来てくれたのかな? ありがとう」

 

 にこやかにお礼を告げるのは、優しそうな男性とどことなくアリアの面影を感じる女性であった。

 

「あらあらまあまあ、結婚する! とアリスから聞いておりましたが……うふふ、こんなに可愛らしい方だとは思いませんでした」

「というより、つい最近発症者だと知ったばかりでもあるけど」

「え、アリアは言ってなかったんですか?」

「そうだね。アリスは『大好きな人結婚します!』って元気いっぱいに言っただけだったから」

「おおう、アリアらしい……」

 

 あやつ、たまーに大事な部分を言い忘れるんじゃよなあ……。

 

 まさか、儂が発症者であることを言っておらんかったとは……。

 

「それにしても……随分と優しい方みたいですね」

「そ、そうですか?」

「えぇ。あ、それとアリスからは『お爺ちゃんみたいな話し方をするよ!』と聞いていたのですが……もしかして、初対面だからと敬語を?」

「あ、はい。さすがに挨拶は普通に、と」

「はは、そんなことは気にしなくてもいいよ。娘が君と結婚してくれたおかげで、我が家はとても安定したんだ。君は恩人なんだよ」

「そ、そうか? では普通に……あと、礼を言うのならば、瑞姫にしてくれ。儂は別に、何もしてはおらん」

「うふふ、アリスが瑞姫さんと結婚したあなたと結婚したからですよ。まひろちゃんも恩人です」

「そ、そうか……そう言われるとむず痒くなるのう」

 

 なんか今日の儂、褒められまくりじゃね?

 

 すんごい気恥ずかしくなるし、むず痒くなるんじゃが?

 

 なぜじゃ。

 

「娘を幸せにしてあげてください。あの娘は、うちが貧乏で出来なかったことも多くありましたから」

「……うむ。もちろんじゃ。まあ……アリアは、というか、うちの旦那共全員、儂を幸せにする! と豪語しておるので、むしろ逆の立場なんじゃがな……」

「ははは、まひろ君は愛されているんだね。うんうん、いいことだよ」

「ま、愛想を尽かされないようにするわい」

「アリスの様子を見る限り、愛想は尽かさないとは思いますけどね」

 

 くすくすと笑いながら、そう言うアリアの母上。

 

 なんか、あの元気っ娘の親とは思えぬ上品さじゃな……。

 

 たしか、アリアの家は名家と聞くが、やはりそういった教育を受けてきたのじゃろうか?

 

 アリアはなぜ、あんな感じになったんじゃろうな?

 

「では、儂は次の家に向かうのでこれで」

「えぇ、結婚式、リラックスしてくださいね」

「見ているよ」

「うむ。ありがとうじゃ」

 

 アリアの両親との挨拶を終えて、続いてましろんの義両親の元へ。

 

 どんな人物なのかと見に行くと、そこには初老の夫婦が。

 

「あのー……」

「んん? おやおや、随分と可愛らしいお嬢さんだねぇ……もしかして、真白ちゃんのお嫁さんかい?」

「あ、はい、そうです。桜花まひろと言います」

「おぉおぉ、わざわざ挨拶に来てくれたのかい。ありがとうなぁ」

 

 なんと言うか、すっごい柔らかい雰囲気の夫婦じゃな……すごく優しそう。

 

「真白ちゃんは、楽しくやっているかい?」

 

 ふと、父上の方が儂にそう尋ねて来た。

 

 母上の方も、少し心配そうな顔で、儂の答えを待っておる。

 

「……はい。毎日毎日幸せそうです。旦那同士仲が良いし、何より私とも仲が良いです」

「そうかいそうかい! いやぁ、よかったなぁ、おまえ」

「そうですねぇ、あなた!」

 

 儂の答えに、二人は満足そうに笑うと、お互いに喜びの感情を見せる。

 

「あの娘は私たちが引き取った頃は、人間不信に陥っていたから、心配で心配で……聞けば、あなたが真白ちゃんを変えてくれたと聞きます。本当に、ありがとう」

「あ、い、いや、お気になさらず……」

 

 儂としても、気に入ったから一緒におったわけじゃから……。

 

「おやおや、随分と謙虚なお嬢さんだ。とてもいい娘のようだなぁ、おまえ」

「そうですねぇ、あなた。これなら、私たちも安心できると言うものです」

「はい、お任せください。絶対に不幸にしませんから」

「そう言ってもらえると、安心だよぉ。真白ちゃんのこと、お願いします」

「お願いします」

「……はい」

 

 言葉少なに挨拶を済ませ、最後に結衣姉の両親の所へ。

 

「冬治殿、小百合殿」

「おや、久しぶりだね、まひろ君。挨拶回りかな?」

「うむ。改めて、と思ってな」

「お元気そうで何よりです、まひろさん」

「うむ。見ての通りじゃ」

 

 久々に会う二人は、相変わらずであった。

 

 まあ、二ヵ月ちょいしか間が空いとらんから、当然と言えば当然か。

 

「あの時の少年が、まさかこうなるとは予想もしなかったよ」

「それは儂が一番そう思う……」

「珍しい病気ですもの、仕方ありませんよ」

「ははは……」

 

 旦那共の親族で一番話しやすいかもしれん。

 

 幼少期、よく話しておったからのう……ある意味、ありがたい。

 

「一時は、既婚と聞いてどうなるかと思ったけど、こうして娘と結婚してくれてありがたい限りだ。今後とも、結衣をよろしく頼むよ」

「うむ。そこは任せよ。……とはいえ、儂は基本、結衣姉に甘やかされるような状況なんじゃがな……」

「あらあら、あの娘ったら……どうやら、母性を爆発させてしまったようですね。――私のように」

「うむ、実は……って、え? ちょっと待って? 今、なんと言った……?」

「あ、あー! まひろ君! そろそろご両親に挨拶をしに行った方がいいのではないかな!?」

「え? あ、うむ、そうじゃな。時間的にも、そろそろ行かなければまずそうじゃ」

「だろう!? だから、急ぐといいよ!」

「うむ。では、短いがここらで」

「あぁ、結婚式、楽しみにしているよ!」

「頑張ってくださいね」

「うむ、ありがとうじゃ」

 

 何やら焦った様子の冬治殿に急かされるように、儂は最後の目的地である両親と婆ちゃんの元へ向かった。

 

「ほれ、おぬしらの息子(娘)が来たぞー」

「おぉ! まひろ! なんだ、随分と綺麗になっちまったなぁ! 元の姿から乖離しすぎだろ!」

「素晴らしいッ! 素晴らしいわまひろッ! あとで写真を撮りまくるから!」

「へェ、こいつァまた、えらく綺麗になっちまって……いやァ、歳を取ると、涙もろくていけないねェ」

 

 父上は笑い、母上はなんかエキサイトしそうになり、婆ちゃんは涙を流していた。

 

 婆ちゃんが一番まともってどういうことじゃ……。

 

「ここに、あいつもいればさぞかし喜んだろうにねェ……」

「いいのじゃ。今日の写真は、絶対に次に見せるつもりじゃから」

「あぁ、そうだね。……雅也に千尋、あんまりはしゃぐんじゃないよ。娘の門出だってのに、親がそんなんじゃ示しがつかんだろう」

「おっと、すいません、お義母さん。想像以上にまひろが綺麗になっていたもんで」

「あのまひろが綺麗すぎて、私は最高です、お母さん」

「何を言ってんだい、千尋は……まあいい、ほれ。あんたらはちィっと挨拶回りの続きでもしてきな。まひろは、ワシが相手しとくよ」

「いやでも、俺たちまひろの――」

「行け」

「「はい」」

 

 おぉ、婆ちゃん強い。

 

 両親を追っ払ってしまったぞ。

 

 ……しかしそれ、色々とどうなんじゃ? まあ、儂的には全然ありではあるが……。

 

「まひろ」

「あ、うむ」

「多くは言わないが、これだけは言わせとくれ。……幸せになんなよ」

「……うむ!」

「まひろが幸せであればあるほど、ワシやあいつは嬉しいし、何よりこれ以上ない幸せさね。まあ、できればひ孫を見たいところだが……ま、それは高望みさね」

 

 はははっ、と苦笑しながらそんなことを言う婆ちゃんに、儂は少し考え込んでから口を開く。

 

「……絶対、婆ちゃんにひ孫を見せてやるわい。たくさんな」

「おや、ワシのことは気にしなくてもいいんだよ? むしろ、そういうのは、千尋たちに言ってやんな」

「いや、儂としては、婆ちゃんも大事じゃから。それに、両親よりも、爺ちゃんと婆ちゃんに育てられたようなもんじゃからなぁ……」

 

 赤ん坊の時はまた別じゃが、それ以外では間違いなく二人が儂に一番接しておった気がする。

 

 もちろん、両親への感謝もある。かなり。

 

 じゃが、それ以上に爺ちゃんと婆ちゃんへの感謝が強いと言うか……なんじゃろう儂、これって親不孝者になるのか? 微妙な気分になる……。

 

「そうかい……ま、そう言われちゃァ、ワシとしては何が何でも長生きしないとだねェ。楽しみにしとるよ、まひろ」

「うむ!」

「よし、そろそろ旦那たちの所へ戻りな。まだ時間はあるだろう? 最後に色々と打ち合わせでもしといたほうがいいよ」

「わかったのじゃ! では、また後でな! 婆ちゃん!」

「あぁ。ちゃんと、見てるからね」

「うむ!」

 

 やはり、婆ちゃんは最高じゃな、ということを考えながら、儂は挨拶回りを終えて、旦那共の元へ戻った。

 

 

 そうして、旦那共と最後の打ち合わせを行い、遂に結婚式が始まる。




 どうも、九十九一です。
 旦那共の両親、もうちょい濃くするべきだったか? と悩みつつも、『まあ、出番そんなにないしいいか』と思うことにして、ごく普通な感じにしました。メインはまひろたち一家とその周りの友人らなので。そもそも、私にキャラづくりの才能なんてねぇ!
 次回も以下略です。
 では。
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