爺口調な男子高校生が、のじゃろりになってTSライフを送るだけの日常   作:九十九一

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日常130 取引。総ツッコミのケーキ

 クッソ恥ずかしい思いはしたが、何はともあれ会食が始まる。

 

 この会食において、別にお行儀よく椅子に座って飯を食う、というわけではなく、立食パーティーである。

 

 なので、フルコースを食べるのではなく、自分たちで好きな者を食べることが出来ると言う、バイキング形式となっておる。

 

 ちなみに、儂らも普通に動いておる。

 

 一応、言えば料理が運ばれてくるが、それでは面白くないということで、全員思い思いに動いておる。

 

 で、儂は儂で健吾と優弥たちがおる、クラスメート共の所へ。

 

「おーう、食っとるかー」

「お、まひろ。座ってなくていいのか?」

「儂も話しながら食いたいのでな」

「そうですか。……それにしても、その衣服は……」

 

 話しかけた直後、優弥が儂の今の服装に対して、なんとも言えぬ表情を浮かべる。

 

「あぁ、これか? さすがに、人前式が終わってもウエディングドレスってわけにもいかんじゃろう? じゃから、外用の衣服が用意されておったんじゃ。どうじゃ? 似合っとる?」

 

 今の儂と言えば、例のウエディングドレスからメイドさんたちに渡された衣装を着ておるが、なぜかクラスメート共は苦笑い。

 

「ま、まあ、似合ってる、な」

「え、えぇ、違和感はないかと」

『まひろちゃん、それ違和感とか覚えなかったの?』

「違和感?」

『ま、まあ、本人は気づかないのならいいんじゃないかなぁ……』

「???」

 

 一体何が言いたいのかわからず、首を傾げる。

 

 儂の服装、何か変かのう?

 

(((どう見ても、不思議の国のアリスなんだよなぁ……)))

 

 所謂エプロンドレスというような服なんじゃが、変か? これ。

 

 なぜか、頭にリボンカチューシャも! とか言われたが……というかこの衣装、以前O3の集まりに行った時に着た服な気がするが……まあ、なんかこのパーティーに合わせてか、微妙に細部が異なっとるし、まあ問題ないじゃろ!

 

 ともあれ、儂も飯飯!

 

 儂は適当に皿に食べたい料理を乗せ、早速とばかりに食べ始める。

 

 正直、朝飯もあまり食べた気がせんかったし、ウエディングドレスが入らなくなったら困ると言う理由で、量も少なかったんじゃがな……。

 

 あとはまぁ、色々と緊張やらなんやらで腹ペコな故、美味しそうと思った物を片っ端から食べていく。

 

『あ、そうそう! まひろちゃん!』

「むぐむぐ……んむ? なんじゃ?」

 

 飯を食べておる途中、不意にクラスメートの一人の話しかけられる。

 

『まひろちゃんって、ゴスロリ服着るの?』

「ぶふっ!」

「おわっ、おいおい、汚ぇぞ……?」

「大丈夫ですか? こっち向いてください。吹きますから」

「んむぐ……いやすまん。びっくりしてな……」

『あー、ごめんね? ちょっと気になっちゃって』

『それでそれで、実際のところどうなのかな?』

「……い、いやまぁ、こっそり着とるが……」

『『『おお~~~~』』』

「なんじゃその『お~~』は! 何に感心しとるの!?」

 

 しかも、全員もれなく微笑ましい物を見るような顔じゃから、なんとなくイラっとする!

 

『だって、あの桜花君が、こっそりゴスロリ着るんだよ? その時点で面白いと言うか……』

『あのぐーたら爺男子がなぁ、と思ったら、驚くってもんだろー』

『ってか、ちょー見たいんだけど』

「絶対見せんぞ!?」

『『『えええーーー』』』

「残念がるでない!」

 

 子供からおぬしら!

 

 ……あ、いや、高校生は子供みたいなもんか……?

 

「いや、諦めるのは早いよ君たち」

「ぬっ、貴様、安助!」

「やぁ、まひろちゃん。結婚おめでとう」

「あ、うむ。ありがとう……ではなく! おぬし、諦めるのは早いとはどういうことじゃ!?」

「ふふふ、まひろちゃん。水無月学園の学園祭がどのようなものか、憶えているかな?」

「む? 学園祭? そうじゃな……」

 

 うちの学園の学園祭と言えば、かなり自由度が高かったはず……。

 

 公立に進んだ中学時代の友人共曰く、ずるい、とのことらしい。

 

 衣装類についても、作成するもよし、どこかで買うもよし、オーダーメイドするもよしと、特段制限はない。予算内で収まるなら、じゃが。

 

 ……いや待て、衣装? 衣装が自由……そして、基本的にはうちの学園の学園祭においては、やたらコスプレをする者が多い……ハッ!

 

「おぬしまさか、学園祭における儂のコスプレを、ゴスロリしようとしておるな!?」

「……ふふ」

 

 儂の指摘に、安助は意味深な笑みを零した。

 

「絶対に嫌じゃぞ! 儂はやらんからな!?」

「ふふふ、君がそう言う事は既に想定内! この私が何も対策をしていないとでも!?」

「なんじゃとー!?」

「いでよ! 説得部隊!」

 

 なんか、無駄に香ばしいポーズでそう叫ぶと、数名の女性が……ってぇ!

 

「美穂たち何しとんの!?」

 

 そこには、見事なジョ〇ョ立ちを決める旦那共の姿があった。

 

 尚、恥ずかしいのか、結衣姉だけは顔を赤らめている。

 

 他の者? 全員決め顔じゃよ。

 

 何気に瑞姫のクオリティーがクッソ高いのがムカつく。

 

「というわけで、まひろちゃんの旦那さんたちに説得を頼もうかと」

「なんで!? い、いや、旦那共に言われても儂はやらんからな!?」

「瑞姫、例のことを」

「はい」

 

 なんじゃ例のことって……一体何を――

 

「まひろちゃんの今のお部屋、和室にして差し上げましょう」

「よっしゃ乗った!」

『『『即落ち二コマかい!』』』

「ハッ! し、しまったっ、和室にしてもらえると言われてつい……! い、いや! た、たとえ和室にしてくれると言われてもっ――」

「家具も全て、和風になります」

「ぐっ、ぬっ……」

 

 な、なんというっ、魅力的な条件っ……!

 

 い、いやしかし、儂はまだ、まだじゃぁ……!

 

「まひろちゃんの各背丈に合わせた浴衣や甚兵衛も用意しましょう」

「ぬぐぉおっ……」

 

 な、なんっ、じゃとっ……浴衣に甚兵衛……!?

 

 すんごい興味が惹かれるぅっ……!

 

 い、いや、だ、ダメじゃ儂ぃ!

 

 そのような誘惑に負けては、きっととんでもないことに――

 

「さらに、まひろちゃんの自室に、ふじのやの和菓子の常備もしましょう」

「ごふっ……」

『『『吐血!?』』』

 

 し、しまったっ、あまりにも魅力的な提案に必死に耐えたせいで、血反吐がっ……!

 

 くっ、い、いやしかしっ……和室に浴衣……ふ、ふじのやの和菓子っ……ぐおぉぉぉぉぉぉ~~~っ!

 

「それから、時代劇のBDボックスもセットでどうでしょう?」

「……し、しっかたないのう! そ、それで手を打とうではないかっ!」

 

(((やっぱり爺趣味……)))

 

「ち、ちなみに、それはいつ頃に……?」

「すぐに対応させましょう」

「よっしゃ!」

 

 我が部屋が、念願の和室になると言うのならば、ゴスロリを着る程度なんともないわい!

 

 それに、学園祭とは言っても、まだ数ヶ月先……ならば問題なし!

 

 とりあえず、先の面倒は考えんぞ! あとは頑張れ、未来の儂!

 

「……ふふふ」

 

 ゴリゴリに和な部屋になることが嬉し過ぎて、この時、安助が怪しい笑みを浮かべていることに儂は気付かなかった。

 

 ――そう、この時気付くべきであったのじゃ。

 

 安助に対し『おぬしまさか、学園祭における儂のコスプレを、ゴスロリしようとしておるな!?』と訊いた際に、安助はうんとも、そうだよ、とも肯定してはおらんかったことに……。

 

 この時のことに対し、儂は注意深くなるべきであったと、後の儂は後悔するが……まあ、この時は浮かれておったので、仕方ないがな!

 

 

 儂の部屋が和室になる、ということが決まり、会食が始まってから少々の時間が過ぎた頃、どうやらケーキ入刀をするということで、儂らは一度招集がかかったんじゃが……

 

「「「「「「……でかすぎじゃね!?」」」」」」

 

 そこには、アホみたいにでかいケーキが鎮座しておった。

 

 どう見ても、一般的に見るウェディングケーキのでかさじゃないんじゃけどぉ!?

 

 おかげで、ましろんを除いた儂含めた六名は各々口調を忘れて、全く同じツッコミをしておった。

 

 で、ましろんの方はと言えば……

 

「……ふぉおおぉぉぉぉ~~~~~~~!!!!!」

 

 それはもう、目をハートにして、今まで聞いたこともない歓声を上げておった。

 

 いやまあ、食べ物大好きのおぬしからすれば、そりゃ天国に見えるじゃろうが……

 

「いやこれ、どう見ても数メートル規模なんですけど!? え、なにこれ、瑞姫これ何!?」

「わ、わかりません! わたしもまさか、このような特大なケーキが用意されているなど、聞いていないのですが!」

「え、瑞姫ちゃんも知らないの!? じゃあこれどういうことなの!?」

「あ、あらあら~……ギネス記録に乗りそうな大きさね~……いえ、本当にこれ、おかしくないかしら~?」

「は、はは、さすがの私もこれを冷静に受け止めるのは無理だね……というか、おかしいだろう! これは!」

「う、うわあぁぁぁ……これ、食いきれんの……?」

 

 どう見ても、数十人前どころの規模じゃないんじゃが?

 

 下手すりゃこれ、数百人規模じゃよね!? え、なにこれ、ほんとどうやって作ったんじゃ!?

 

「……ん! 早く! 早く食べたい! 絶対美味しい! あのふわふわで甘そうなホイップクリームとか甘酸っぱそうな色艶ばっちりのイチゴとかところどころに宝石のようにちりばめられてる果物類とかチョコレートととかしっとりしていそうなスポンジケーキとか他にも他にも――」

「ちょいちょいちょい! 落ち着けましろん! というか、おぬし息継ぎ無しでそこまで喋るような性格じゃないじゃろ!?」

「……ハッ! トリップしてた……でも、早く食べたい。私の野生がそう叫んでる」

「野生て、おぬし普通に人間じゃろう……」

 

 こやつ、マジでなんなん……?

 

 目が怖いんじゃけど、涎が滝のように流れとんのじゃけど!

 

「皆様、いかがでしょうか」

「あ、柊さん! これ、どういうことですか!? なんか、ものすごいでかいケーキがあるんですが!?」

 

 儂らの元へやって来た柊さんに、美穂が血相を変えて問い詰めた。

 

 突然問い詰められた柊さんは、特段いつもの仕事顔は崩さず、冷静に答える。

 

「こちらは、特製ウエディングケーキでございます」

「「「「「「「特製……?」」」」」」」

「はい。まずこちらのケーキですが、主役であらせられます、皆様方の中に、特にたくさん食べる方がおりますね?」

「まあ、ましろんじゃな」

「はい。真白様に対し、生半可な量を提供すれば、間違いなく『……もうないの?』と悲しそうな顔をされることでしょう」

「……ん、否定しない」

「否定せんのかい」

 

 それはそれでどうなんじゃ、おぬし。

 

 というか、妙なところで子供っぽいのう……。

 

「そこで考えました。ならば、高さ数メートル規模のケーキを作ってしまえばいいと。あれございます。暗殺〇室の巨大プリンが、ケーキになったようなものです」

「それはおかしくないかしら!?」

「さ、さすがに、ケーキとプリンじゃ色々と難易度が違う気がするかなぁ……あ、あはは」

 

 まあ、確実に自重で崩れそうじゃが……あれ、どうなっとんのじゃ?

 

 そんな疑問を持っておると、それを見透かしたかのように柊さんが説明を始めた。

 

「こちらのケーキ、実は土台の部分はケーキではなく、クッキーなのです」

「マジで!?」

「……一度で二度美味しい!」

 

 ましろん、絶対そこじゃない!

 

「なるほど、スポンジケーキで作ったとしても、自重で崩れてしまわないよう、土台を固いクッキーにしたというわけか……しかし、それでは綺麗に着ることはできないのではないかい?」

「そうね~。ケーキとクッキーでは柔らかさが違うし~……どうするの~?」

「問題ございません。この日のために、特注のケーキナイフをご用意しております。ちなみに、切れ味も抜群で、硬い魚の骨であろうと、スパッと切断できる一級品でございます」

「柊さん、それはもうケーキナイフではないのでは……?」

 

 あ、あの瑞姫が、すんごい頬を引き攣らせとる!?

 

 ま、まあそうじゃよな……なんせ、たかだかケーキ入刀のためだけに使うナイフが、アホみたいな切れ味を持った凶器じゃからな……いやおかしくね?

 

 というか、どうやって作ったんじゃそれ。

 

 やはりあれか、発症者か? 発症者の中に、鍛冶能力がある者がおって、そ奴に作ってもらった感じか?

 

 怖いのう……。

 

「いえ、れっきとしたケーキナイフでございます。長さもかなりのものですが」

「それはそれで変なような……?」

「七名で持つとなりますと、どうしても大きさも必要でしたので、ならば切れ味も上げてしまえ、と思いましたので」

「それはおかしいぞ!? そこは絶対にイコールで結びつかない気がするんじゃけど!」

「お気になさらず」

「「「「「「気にするよ!?」」」」」」

 

 く、くそぅ、やはりとんでもねぇ会社じゃな……まさか、巨大ウエディングケーキだけでなく、とんでもねぇナイフまで用意しておったとは……マジでどうなっとんの?

 

「さて、早速ケーキ入刀の方へ行きましょうか」

「え、ほんとにこれですんの!?」

「はい。ちなみに、こちらがケーキナイフでございます」

 

 そう言って柊さんが持って来たのは、ワン〇ースの世界に出て来ても不思議じゃない長さのケーキナイフの形をした大太刀みたいな何か。

 

 装飾に可愛らしいリボンが付いていたり、形状自体も愛嬌のある(刃物に愛嬌ってのも変じゃが……)形状をしていたりと、いやもう、なんか規格外なナイフ。

 

「……てこの原理的に、かなり重そうなんだがね」

「そこについても、ご安心ください。軽量化を施してありますので」

「いよいよもって、ファンタジー物体になってきてないかしら、これ……」

「……美穂よ。そもそも、異常な力を持った発症者がいるような世界じゃぞ? 今更じゃね……?」

「ですがこれ、科学で説明がつかない代物だと思うのですが……」

「ま、そこは今更だろうね。たしか、鍛冶系の能力を持った発症者もいた気がするからね。確か、鍛冶屋を営んでいる、という話だったかな?」

 

 やっぱりおるのか、鍛冶職人的発症者。

 

「正解です。そちらの方に依頼させていただきました。試しにお持ちになってみてください」

「う、うむ……じゃあまあ……」

 

 試しに儂がナイフを受け取ると……

 

「お、おお? なんか、重さを感じないんじゃが……」

 

 その軽さに驚いた。

 

 なんか、長さや大きさの割に大して重くないと言うか……中学や小学校に置いてあった、T字型のあのなぜか人気がある箒くらいの軽さなんじゃが、これ。

 

 つまり、全く重くない。

 

「え、ほんとに? ちょっと、貸してみなさいよ」

「う、うむ。ほれ」

 

 美穂にナイフを手渡すと、美穂もその重さに驚きの表情を浮かべる。

 

「え、軽っ!」

「じゃろ? マジで軽いんじゃよ、これ」

「あたしも気になる!」

 

 と、次にアリアが気になりだし、その次に結衣姉、ましろん、祥子姉、瑞姫と、結局全員が持ってみることになり、全員が軽い、という感想となった。

 

 じゃよね。

 

「と、持っての通りですので、安心したところで、早速参りましょう」

「あ、うむ。……ではまぁ、行くか」

 

 色々と気になることがあるが……まあ、もう気にしたら負けじゃろうな、これは。

 

 結局、そう思うことにして、儂らはケーキ入刀をするべく、裏から表へ出た。

 

 ……ちなみに、ケーキ入刀自体は特筆すべき点はなかったが……あまりの巨大さに総ツッコミ(主に学生組から)が入り、同時にクソデカいケーキナイフにもツッコミが入り、足を滑らせて儂がケーキに顔面ダイブ(クッキー自体は、そこまで硬くなかったので痛くなかった)したことで、会場に笑いが生まれた。

 

 儂的には、笑いになったのでまあ、よかったが……。

 

 尚、ケーキナイフはあまりに危険ということで、今後は厳重に補完するとか。

 

 ……そんな危険物を渡すでないよ、と思うのは当然のことじゃろうと思いたい。




 どうも、九十九一です。
 えー、突然ではあるのですが……近々、この小説のIFストーリーを書いて投稿しようかなぁ、と思っております。具体的なことは、活動報告に後で挙げるのですが……理由を簡潔に言うとすれば『結婚しなかった場合のまひろたちが見てぇ』という気持ちですね。あとはまあ、書き始めた当初の物語の路線にしたい、と言ったところでしょう。
 詳細やらなんやらは、後で活動報告に上げますんで、上がったら見てみてください。まあ、どうでもいいことではあるので、見なくても問題はないです!
 次回も以下略です。
 では。
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