爺口調な男子高校生が、のじゃろりになってTSライフを送るだけの日常 作:九十九一
結婚式を終え、翌日の日曜日に学園アプリに通知が入る。
一体何かと思って通知内容を見てみると、そこには月曜日に行われるプール掃除に参加する生徒宛のお知らせが記載されておった。
「あー、これはつまり、今年も参加と言う事か……」
この通知の意味は、間違いなく、プール掃除に参加城やこの野郎、ということじゃな。
まあ、割とこういった行事は楽しいからのう。
小中時代のプール掃除とか、何気に好きじゃったからのう。
去年も、なんだかんだ楽しかったし……うむ、面白そうじゃ。
「んで? 注意事項は、と……」
通知には当然、必要な物や当日の服装等が書かれ、授業は免除となる。
一応、美化委員会は全員参加みたいじゃがな。
まあ、あれは基本的に掃除に関係のある委員会じゃからのう。
あとは、生徒会も参加じゃったか?
ならば、ましろんはおるじゃろうな。
んで、持ち物服装は……タオルに体操着、もしくは無地のシャツと動きやすいズボン(ハーフパンツ等)で、服の下に水着の着用(自由)もあり?
あー、そう言えば透けるからのう、服が。
それを防止すると言う意味で、ああなるわけじゃな。
しかし、着用もあり、となっておることから、着なくても良いわけか……んー、まあ。
「儂は普通に着よ」
着なかった場合、間違いなく旦那共だけでなく、メイドさんたちからも確実に着るように言われるじゃろうからな。
それに……
「……これもあるし、な」
ふっと小さく笑みを浮かべて、左手の薬指に嵌っている指輪に視線を落とす。
水無月学園では、基本的にはアクセサリー類は一部を除いて禁止となっておるが、わしらの場合結婚指輪であるため、例外として許可を貰っておる。
とはいえ、実は申請を出して受理されれば問題ないんじゃがな。
例えば、大事な人の形見を身に付けたい、とかな。
よっぽど派手でなければ、問題はない、といった感じかのう?
儂らはまあ、結婚指輪なのでな、全く問題なし。
正直、儂はもう名実ともに既婚者となったわけで、しかも儂、嫁側じゃからな……おかげで、そう言う事には気を付けろ、とよく言われる。
別にそこまで本気にならなくてもよくね? とか思うが、儂も反対の立場であれば普通に嫌ではあるので、大人しく従う。
「んむぅ、水着……水着か……」
そう呟きながら、儂は部屋に備え付けられておるクローゼットを見つめる。
その中には、パーティーの際に暴露された、水着たちが多く仕舞われており、儂的には今は何とも言えぬ気分になる代物である。
「……まあ、本命は夏に取っておくとして……そうじゃのう……ま、学園行事じゃし、普通にスク水で良いか」
それに、健吾や優弥対しては問題ないが……個人的に、可愛い物を見せるのであれば、普通に旦那共がいいので、今回はスク水にしよう。
「んー……お、あったあった。これじゃこれ」
一度スク水を着てみたが、案外体にフィットしとるんじゃよなぁ、あれ。
あと、この体の年頃の物を着ると、胸が苦しい為、この辺りは特注品じゃ。
うぅむ、小さい状態で胸があると言うのも、なかなかに面倒なんじゃなぁ……。
などと考えつつ、スク水に着替える。
「……まあ、問題はない、が…………なんじゃろうか、この……」
事案案件は。
あれじゃな、普通のスク水というのが、何かこう、非合法味を感じる。
しかし、儂は十六歳……であるならば、大した問題はないと言うものよ。
あれじゃな。女子高生がスク水着てるだけ。
うむ、それだけならばたいした問題はないじゃろうな!
「よし、今のうちにカバンに入れておくとしよう。忘れたら困るしのう!」
こういう大事なことは、予めどうにかしておくのが正解じゃからな。
「んー、体操着と水着を入れて、と……うむ、これで大丈夫じゃな」
あとは、開始時間じゃな。
んー……あぁ、なるほど、午前中を使うのか。
授業自体は、一応公欠扱い、と。
参加人数は……大体四十人弱かのう? 少ないのか多いのかわからなくなるが……とはいえ、あまり多く無くて助かる。
変に人数が多いと面倒じゃからな。
やりにくくなるわい。
「……む? これは……ほほぅ? 面白そうなことが書かれておるのう」
飲み物、食べ物、持ち込み自由とな。
まあ、水分補給は必須じゃからわかるが、まさか食べ物もOKとはな。
であるならば……よし、あれでも作ってくか。
「となれば、早速作りに行くとしよう」
儂はあることを思いつき、それを作るべく部屋を出て厨房へ向かった。
「……ふふふ」
そんなこんなで翌日。
いつぞやの時に、結婚式を上げた以上、儂らが誘拐される可能性があるということで、今日から実は車登校になる……はずだったのじゃが、
『大事な孫共を守るってのに、車だけじゃ意味ないだろう。ワシが直々に鍛えてんだ、どんな状況でも対処してもらわにゃ困る。ってェわけで、メイドの嬢ちゃんらは、今後ワシの修業を受けつつ、孫共を影ながら守るんだね。安心しな。ヤバかったらワシが飛んで行く。どうせ、近くで見るつもりなんだ。もしもなんて起こしゃしないよ』
という婆ちゃんの言葉により、徒歩での登校になった。
まあ、儂としては楽が出来るからよいと言う気持ちと、学生である以上車での登校は問題じゃろうなぁ、という相反する気持ちがあったため、なんとも言えんが……ま、やはり学生と言えば自転車か徒歩登校じゃからな。うむ。問題ない。
そんな道中、儂らはくだらないことを話しながら学園へ向かう。
「そう言えば、祥子姉はいつまで着いてくるんじゃ?」
ふと、珍しく祥子姉がずっと一緒にいることに疑問を覚えた儂は、祥子姉に直接問うてみることにした。
儂の問いに対し、祥子姉はふふ、とちょっとした笑みを浮かべ、
「今後、私のメインの職場が水無月学園になることになっていてね」
「え、そうなのか!?」
「祥子さん、研究の方はいいの?」
「あぁ、問題ないとも。それに、私だけまひろ君と一緒にいる時間が減るだろう? さすがにそれでは、面白くない。そこで、私は考えた。ならば、あれこれ理由を付けて学園に常駐すればいいと」
「――という理由でして、実は祥子さんには、今日から学園における特別カウンセラーとして、学園に常駐していただくことになりました」
「特別カウンセラー、って何かしら?」
「儂も知らんが……」
「私も知らないわ~」
聞き馴染みのない単語が出て来て、ましろんと瑞姫、祥子姉を除いた面々が首を傾げる。
それに対して回答してくれたのは、ましろん。
「……特別カウンセラーは、TSF症候群を発症した人が出た学校に常駐するカウンセラーの人たちのこと」
「学生だけなのか?」
「……ん。学生は色々と多感だから。小学校から大学までいる。一応、発症者がいることが条件。社会人は、直接施設に出向くらしい。連絡すれば迎えが来るらしい」
「へぇ~、良く知ってるね!」
ましろん、どこからそう言った情報を手に入れて来るんじゃろうか。
「でも、それなら春先にいてもおかしくないんじゃない? 祥子さん、その辺ってどうなの?」
「そうだね……真白君の説明を補足をすると、必要かどうかは事前調査等で決まるのさ」
「事前調査~?」
「そうとも。ほら、まひろ君みたいに、性転換しても関係ねぇ! みたいなタイプもいるだろう?」
「「「「「あ~」」」」」
「いやまぁ、儂の基準、基本睡眠じゃったからのう……」
正直、カウンセリングが必要かどうかと言われれば、必要ないに傾く。
特に困ったことはないしな。
変に態度が変わるわけでも、ハブられるわけでも、いじめられるわけでも、そんなことは一切ないからの。
「そう。水無月学園に特別カウンセラーが存在しなかった理由は、見ての通り、まひろ君が必要としなかさそうな性格だったからね。もともと、発症者は数が少ない。そのため、カウンセラーの数を増やしたところで、あまり意味はないんだよ。人件費の問題もあるしね」
「なるほどのう……では、なぜおぬしが?」
「私は責任者だよ? 当然、カウンセラーとしての能力もあるに決まっているだろう?」
「お、おう、そうか。……アリアも言っておったが、研究者の仕事は良いのか?」
「それには及ばない。私はしばらく、休暇を取ることにしてね。まあ、急用があれば研究所に戻るが、緊急の要件以外は部下たちに投げ――任せて来た」
「今、投げて来たって言ったね」
「おぬし、つい最近までは、休日に何をすればいいのかわからない、とか言っておったのにのう……」
それがきっかけで、こうして結婚しとるんじゃから、人生とはようわからんわい……。
「まひろ君のおかげだよ」
「……ま、休みを入れるようになったのは良いことじゃ。しかし、カウンセラーも仕事じゃろ?」
「仕事とは言っても、君が利用しない限りは、基本的に自由なのさ。もちろん、学生や教職員の仕事を邪魔しないことが大原則だけどね」
「じゃあじゃあ、今日からは一緒にお昼ご飯が食べられるね!」
「あぁ、そうとも。いやぁ、家族団欒と言うものに多少なりとも憧れがあったからね。今後は昼食が楽しみだよ」
などと、屈託のない笑顔でそう話す祥子姉に、儂らは小さく笑みを浮かべた。
「えー、知っての通り、今日はプール掃除があるわけだが……昨日までに参加通知が来た生徒は、この後プールの方へ行くようになー。それと、参加できなかったからって、ぶーたれる奴の成績はこの俺が下げてやるから、覚悟しとけよー」
『『『うーっす……』』』
「覇気がねぇなぁ……で? うちからは……桜花、笹西、三島、あとは羽衣梓の四人か。へぇ、見事に知り合い同士が固まったなー! じゃ、その四人は頑張ってくるように!」
「「「「はい」」」」
「それ以外の奴らは平常通りに授業なので、真面目に受けろよー。ほいHR終わり! んじゃ、お前ら頑張れよー」
いつも通り、怠そうにしながら四方木教諭は教室を出て行った。
担任がいなくなり、クラス内は一気に騒がしくなる。
話題はプール掃除じゃが……。
「なんじゃ、おぬしらも一緒だったんじゃな」
「みたいだな。いやー、驚いたぜ。まさか、一昨日話してたことが、俺らに来るなんてなぁ」
「昨日ですからね。正直、突然で少し焦りましたよ」
「まあわかる。瑞姫は大丈夫か?」
優弥の言葉に相槌を打ちつつ、瑞姫に準備が大丈夫なのかどうか尋ねる。
「問題ありませんよ。準備万端です」
そう言う瑞姫は、どこか嬉しそうな笑みを浮かべておったが……どういうことじゃろうか。
「さすがじゃな。……しかし、美穂とアリアは参加じゃないのな」
「ま、仕方ないわよ。でも、来年もあるし、来年は参加したいところね」
「あたしもー」
二人は特段残念そうにしておらず、来年一緒になれればいい、みたいな感じらしい。
てっきり、もっと残念がるかと思っておったが。
「なんか、すまんのう」
「いいってことよ。その代わり、頑張んなさいよ?」
「頑張ってね!」
「うむ。……では、儂らは向こうに行くか」
「おうよ」
「はい」
「そうですね」
儂らは荷物を持って、プールへ向かった。
我が学園のプールは基本的に室内プールである。
天井はドーム状になっており、ガラス張り。
あと、謎機能として、なぜか天井が開く。
現在は室外のプールを再現するためなのか、プール内には真夏かと思うほどの太陽光が降り注いでおり、なかなかに暑い。
プール自体も割とでかいが……まあ、その辺りは別にどうでもいいじゃろう。
プール掃除に選ばれた者たちは、当然着替えなければならないため、男女に分かれて、それぞれの更衣室にて着替えを行う。
するとそこには……
「……やほ」
ましろんがおった。
まあ、生徒会長じゃからな、そりゃ参加しとるわな。
「もう来ておったのか」
「……ん、生徒会長だから」
「それ関係あるか?」
「……模範、的な?」
「そうか。……では、さっさと着替えるか」
「そうですね!」
「……む? なんじゃおぬし。随分とテンションが高い気がするが……」
着替えようと言うと、なぜか瑞姫のテンションが上がった気がした。
「気のせいです」
「……そうか?」
「はい!」
なーんかありそうな気がしたんじゃが……まあ、よいか。
さて、さっさと着替えるか……。
『『『じー……』』』
「……あー、なんか儂、すんごい見られとるんじゃけど……」
着替えようとした矢先に、やたらと視線を感じて困惑した。
『まひろちゃんって、学年違うからなんか新鮮で』
『あれがのじゃロリ幼女師匠……たしかにのじゃロリ』
あのあだ名、マジで広まっとるよ。
おのれ、当時のナンパ男たちめ……!
「……儂、なんか恥ずかしいから端の方で着替えて来るわい」
『『『えー』』』
儂が端の方で着替えると言った瞬間、周りにおった女生徒たちがなぜか残念そうな声を漏らした。いや何故。
「わかりました」
「……ん。着替え終わったら来て」
「了解じゃ」
まあ、大して着替えるのに時間はかからんとは思うがのう。
と、そんな風に言葉を交わし、儂は視線から逃れるように、隅っこの方に移動し、早速水着を着て、と。
「……んむぅ、あまり慣れんな……」
男の時と言えば、服脱いで短パン穿いてハイ終わりィィ! みたいな感じじゃったからなぁ。
一方、スク水。
とりあえず、腰元で二つ折りにしてから足を通し、一気に引き上げる。その後、肩紐に腕を通して肩まで引き上げる。
これがぺったんこならば問題はないんじゃが……儂の場合、普通に胸があるため、一度前かがみになって、胸の位置を調整しなければいけないのがめんどい。
で、それが終われば腰から脇へと持ち上げ、肩紐の根本辺りを引っ張る。そして最後に、尻と股間辺りを整えて終了。
……いやもう、なんかマジで面倒じゃな、これ。
そう考えると、ビキニタイプは割と楽なんじゃなぁ……。
「……ん? そう言えばこのスク水、儂が入れた物と微妙に違うような……」
ま、気のせいじゃな!
最後に体操着を上から着て完了!
「これで良し! んじゃ、行くかのう」
気が付けば、他の生徒はいなくなっており、儂だけになっておった。
うぅむ、手間取ったからのう……まあ、仕方あるまい。
さて、掃除と行くか。
どうも、九十九一です。
本当は、プール掃除の回は一話で収めよ、とか思ってたんですが、なんか猛烈な睡魔に襲われたので諦めました。まあ、次回はなるべく濃くしたいですね。
次回も以下略です。
では。