爺口調な男子高校生が、のじゃろりになってTSライフを送るだけの日常   作:九十九一

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日常133 プール掃除。瑞姫のいたずら

 着替えを終えてプールへやって来る。

 

 男子のほとんどが最初から水着状態なのが面白い。

 

 女子の方はと言えば、一部は男子のように既に水着状態ではあるが、ほとんどが体操着姿な辺り、性別の差は意外とデカい。

 

「よし、これで全員だな。これからプール掃除についてのことを説明するので、よーく聞くように!」

 

 今回のプール掃除の担当教師は、うちのクラスの体育を担当する教師と数名の教師なんじゃが……なんか、結衣姉もいるんじゃけど。

 

 結衣姉、英語教師じゃなかったか?

 

 何故、プール内にて、いつものほんわか笑顔でここにおるんじゃろうか。

 

「まず、怪我しそうなことはしないように。足元が濡れているため、滑りやすくなっているからな。走り回ることのないようにな。それから、こまめに水分補給をするように。今日は暑いから、熱中症に注意だ。もし、体調が優れないなどのことがあれば、この場にいる教師に伝えるように。それが難しければ、近くにいる他の生徒に伝えるなどをしてくれ。以上だ。あとはまぁ、お前らも子供じゃないし、やっていいこととやっちゃいけないことの区別位つくと思うので、頑張って終わらせるように。もし、手が入っていない場所があった場合は、できればやってくれると嬉しいがな。そうすりゃ、早く終わる。……よし! じゃあ、プール掃除始め!」

『『『はーい!』』』

 

 体育教師の開始の言葉と共に、生徒たちが動き始めた。

 

 儂は、瑞姫とましろん、健吾、優弥の三名と集まり、どの辺りを掃除するか相談する。

 

「とりあえず、プールサイドから掃除しようと思うんじゃが、どう思う?」

「その理由はなんだ?」

「掃除と言えば、上から下へが基本じゃからな」

 

 一応、プールサイドとプールの間に排水口があるにはあるが、水と汚れが勢いでプール内に飛ぶ可能性もあるのでな。

 

 であれば、上から下への方が二度手間にならんじゃろ。

 

「なるほど。一理ありますね。それに、プール内は立候補者が多いと思いますし、かなりいいんじゃないですかね」

「わたしはまひろちゃんと一緒であればどこでも」

「……ん、みーちゃんと同じく」

「反対もなさそうじゃし、早速やるか」

 

 話もまとまったので、儂らはプールサイドから掃除を始めていくことにする。

 

 各々がモップを持って、床を擦って行く中、儂はデッキブラシではなくたわしや雑巾を活用して、細かい所の汚れを落としていく。

 

 なぜかって?

 

 ……デッキブラシ、でかくて、な。

 

 一応、成長すれば問題はないが、長丁場になることが分かり切っている中、でかくなるとか……儂の空腹がえらいことになるため、さすがにせんかった。

 

 ちなみに、ましろんは巧みにデッキブラシを扱っておった。

 

 身長差、そんなにないんじゃが……。

 

 とはいえ、実家で暮らしていた時は、基本的に雑巾での掃除であったため、あまり苦痛には感じんがな。

 

 むしろ、こっちの方がしっくりくる。

 

「んっしょ、んっしょ…………うぅむ、汚れがすごいのう……」

 

 男の時よりも遥かに非力になっておるため、かなり力を込めて拭かなければ、汚れがなかなか落ちない。

 

 おかげで、こういう掃除をした後というのは、筋肉痛になったもんじゃ。

 

「「「……」」」

「……って、なんじゃなんじゃ、おぬしら。儂を見つめて……」

 

 ごっしごっし、と汚れを落とすべく四つん這い状態で雑巾とたわしを駆使して拭いていると、ふと視線を感じてそちらへ視線を動かせば、そこには瑞姫とましろん、結衣姉の三名がこっちをじっと見ておった。

 

「……ん、なんか、エロい」

「エロい!? エロいってなんじゃ!?」

「ん~、体操着が少し大きめだし~、それに、少しだけ胸元が見えてるから~?」

「マジで!? あ、ほんとじゃ!」

 

 結衣姉に言われて、自分の胸元に視線を落とせば、確かに襟から内側が見えていた。

 

「ご安心を! まひろちゃんの素敵なお姿は、既に写真に収めていますので!」

「全然安心できんが!? というか、写真を撮るな写真を!」

 

 何しとんのこやつ!

 

 くっ、毎度毎度写真を撮りおってからに……!

 

「いえ、これは家宝ですので」

「家宝ってなんじゃ家宝って! というかじゃな、今場所でそのようなことをするでないわい! そういうのは、家でやれ、家で」

「……え、お家ならいいのですか!?」

「ぬお!?」

「い、今、家でやれと言いましたよね!? ということは、お家であれば、頼みを聞いてもらえると、そう言う事でしょうか!?」

 

 ずいぃっ! と、ものすごい顔を近づける瑞姫に、思わずのけぞり、危うく転びかける。

 

「っとと……まぁ、家ならばな。もちろん、あまりに変なことは絶対にせんぞ。常識的な範囲であれば、撮っても良い」

 

 瑞姫の問いかけに、儂は溜息を吐きながらも、常識的な範囲であれば、という条件付けをした上で肯定する。

 

 すると、瑞姫がものすごいいいえ笑顔で、

 

「き、聞きましたか、真白さんに結衣さん! まひろちゃんが遂にデレましたよ! デレ期です! デレ期突入です!」

 

 とか言い出した。

 

「……ん、帰ったら、色々撮らせてもらう。ふふ」

「ましろん? なんか、肉食獣の如き顔で、舌なめずりは怖いので、止めてほしいんじゃが?」

 

 ましろんが、ぺろり、と舌なめずりする姿とか、マジで妖艶でぞくっとするから勘弁してくれ。

 

「なるほど~……それなら、私も捕りたい写真があるの~」

「結衣姉、なんか妙な圧を感じるんじゃが?」

 

 いつものほんわか笑顔なのに、謎の圧力を感じるんじゃが。怖いんじゃが。母性的なアレか?

 

「ハァッ、ハァッ……ま、まひろちゃんの写真っ……! エッチなのとか、エッチなのとかっ……!」

「おぬしはド直球すぎるぞ、瑞姫!?」

 

 ド直球にエッチなのとか、というのはどうかと思うんじゃが儂!

 

『お、おい、聞いたか? 桜花の奴、家では爛れた生活を送ってるみたいだぜ……?』

『あ、あぁ、ってか、羽衣梓さんって、あんなヤベー顔すんのな……なんか、意外っつーか、予想外で脳がバグる』

『なんか、まひろちゃんたち、はっちゃけてるなぁ』

『一昨日の結婚式とか、すごかったのにね。……まひろちゃんの告白とか』

『あれの破壊力凄まじかったよね。あの、笑顔で大好きとか言われたら、一発で落ちる自信あるし、羽衣梓さんがあんな顔になるのもわかるわー』

『『『それな』』』

『でも、やっぱり、家ではあーんなことや、こーんなことを……?』

『もしそうなら、まひろちゃんって、絶対受けだよね!』

『『『わかる』』』

『そう言えば、体育祭の時に、ドM疑惑があったっけ……ハッ! つまり、まひろちゃんはすごくエッチで可愛いと言うことでは!?』

『『『超見たい!』』』

「なんか、誤解がものすごい勢いで広まっとらんか!?」

 

 というか、女子側の会話の方が酷いのは何!?

 

 知らんうちに、儂がエッチで可愛いとか言う、謎評価くらっとるし、しかも受けとか言われとるんじゃけど!

 

「え、でも、事実ですよね?」

「違うが!?」

「……ん、でも、受け身は間違いない」

「ぬぐっ」

「少なくとも、自分から甘えたり、キスしたりはないわね~。強いて言えば、結婚式と前日の夜くらい~?」

『『『キャ―――――!!』』』

 

 あぁ、女子共が喜んでしまった!?

 

「わ、わわ、儂だってなっ、じ、自分から行くときはある、ぞ!?」

「「「えぇぇぇ? ほんとぉ~?」」」

「なんで、三人揃ってイラっとする口調なんじゃい!」

「いえ、まひろちゃんは生まれ持っての受け身だと思いますので。むしろ、自分から行くまひろちゃんはまひろちゃんじゃないです」

「何言ってくれとんの!? というか、今掃除中! 掃除中じゃから、そっちに集中させて!? じゃないと……!」

「「「じゃないと?」」」

「――おぬしらには、儂手製のおやつは抜きじゃ!」

「「「掃除に戻らせていただきます!」」」

 

 おやつ抜きと言った瞬間これよ。

 

 我が旦那共は、基本的に儂が作った料理や菓子類なんかを抜きにすると言うと、かなり素直になる。

 

 ……今後、これを手札にするか?

 

 いやしかし、それはそれで可哀そうという気もするが……まあ、それはあとで考えるとするか。

 

「まったく……」

「相変わらず、騒がしいなぁ、お前ら」

「仲がよくていいと思いますよ」

「そりゃ、仲はいいとは思うが……それはそれとして、儂の羞恥心がいつか死ぬと思うわい」

「ま、そこは発症者の宿命みたいなもんだろうなー」

「むぅ、納得いかんのう……」

 

 しかしまぁ、発症者というのは、ある意味羞恥心との戦いである、と発症者の者が言っておったからのう……。

 

 ……あ、そう言えばO3の会合的なあれ、先月は参加せんかったが……今月は参加しようかのう。久々に、伊夜とか、未久斗たちに会って話したいし。

 

 招待状もたしか、来ておったし……よし決めた。今月は絶対行こう。

 

 

 O3の催し物に行くことを決めつつ、掃除の方に集中する。

 

「ん~……よし、ここはOKじゃな! では、儂はプール内の方へ行くかー」

 

 ある程度プールサイドの掃除を終えて、儂はプール内へ移動し……そして、なんとも言えぬ気持になった。

 

「……むぅ、深い」

 

 いざプール内に降りてみれば、プールサイドが儂の目線辺りの高さに存在していた。

 

 今の儂の身長は百三十センチ程度。

 

 この学園のプールの深さは、大体一.二メートル程度……つまり、十センチほどしか余裕がないと言うわけで……これ、儂溺れそうじゃな……。

 

 まあ、溺れない範囲で成長させるか。

 

 考えてみれば、十センチ程度の成長でもいいわけじゃからな。

 

 まだ、細かい調整などには慣れてはおらんが、これは要練習じゃな。

 

「さて、儂も掃除を――」

『おらっ、くらえ!』

『へっ、甘いぜ! お返しだ!』

『きゃっ! やったわねぇ……! このやろー!』

『うぉっと! へへっ、そんな生ぬるい攻撃が当たるか、よっ!』

『……あ! まひろちゃん危ない!』

「へ? ぬおわぁ!?」

 

 注意が飛んで来て、何事かと声がした方を向いた瞬間、水が儂目掛けて飛んで来て、思いっきり水を被る。

 

 その際、あまりに突然だったことと、それなりの量の水が一気にかかったこともあって、ひっくり返ってしまった。

 

『ごめん! 大丈夫だった?』

「いったたた……何をしとるんじゃ、おぬしらは……」

 

 尻をさすりながら近寄って来た者たちに、儂はジト目を向ける。

 

 うぅ、尻が痛い。

 

「うえ、びっしょびしょじゃな……」

『わ、わりぃ、桜花。怪我は……?』

「いや、怪我はないぞ。まったく、気を付けるのじゃぞ? 怪我をさせてからでは遅いからのう」

『『『すみません』』』

「いやいや、いいってことよ。それに、プール掃除ではしゃぎたくなる気持ちも、わかるしな」

 

 なんとなく、遊びたくなるよな、この行事。

 

『だよなだよな! やっぱそうだよな!』

「うむ……なので、これは仕返しじゃ」

 

 にやり、と儂は笑うと、近くに置いておいた水入りバケツの水を目の前の者たちめがけてばしゃぁっ! と勢いよくぶっかけた。

 

『おわぁ!?』

『きゃあぁ!?』

『ごぼぼぼっ』

「ふふふー! どうじゃどうじゃ! いい一撃じゃろ?」

『いや予想外だったが、桜花ってこんなこともすんのな』

『わかる。まひろちゃんってたしか、去年とかぐーたらな感じで、どっちかというと、無気力っぽかったよね?』

「はは、儂とて遊ぶ時は遊ぶぞ。……まあ、この体じゃからのう。案外、精神部分が少し幼くなっとるのかもな」

 

 子供というのは、こういう非日常にわくわくするもんじゃからのう……それに、実際にこの体は幼い。

 

 本来であれば、ロリっ娘になっていたとしても、肉体年齢は変わらないらしいからな。

 

 儂の場合、『成長退行』の能力が本当に体を幼くしてしまったと結果と言うべきか、外見通りの肉体年齢になるからのう……。

 

 ……儂だけ、やっぱり異質じゃね?

 

『へぇ、そういうもんなのな』

「まあのう。……さて、儂は掃除に戻るわい。おぬしらも遊ぶのはほどほどに、な?」

『『『――っ!』』』

 

 ぱちっ、とウインクしながらそう言うと、目の前の者たちは顔を赤くした。

 

 ん? どうしたんじゃろ?

 

「ふんふふ~ん♪」

 

 ともあれ、掃除じゃ掃除。

 

 さすがに、この辺りは雑巾やたわしでは無理があると言うか……なんか、周りでデッキブラシを使っておる。

 

 その代わり、体よりでかいが。

 

「よい、しょっ……んっしょ……!」

 

 ごしごし、としっかり柄の部分を両手で握って、床を擦る。

 

 そうすれば、苔や水垢、カビらしきものが取れて行き、綺麗な水色の床が見えて来る。

 

 うむうむ、掃除する時のこの、綺麗になっていく様は、見ていて気持ちがいいのう……。

 

 素晴らしい。

 

 ……ただ、やはり疲れるな、これ。

 

『なにあれ、めっちゃほっこりする』

『小さい子が必死に掃除する様って、なんでこう、癒されるんだろ』

『なんか、やる気出て来たわ』

『私も』

『俺も』

 

 ……む? なんか、周囲の者たちのやる気が上がっとるな?

 

 何かあったのかの?

 

 まあでも、やる気が上がる、というのはいいことじゃからな!

 

 この調子で行けば、かなり早く終わりそうじゃ。

 

 

 そんな予想を立てた儂じゃったが、その予想は見事に的中。

 

 なぜか、やる気を出した生徒全員の手により、それはもう見事なまでにプールが綺麗になった。

 

 そして、目の前には水が張られており、太陽光を反射して、きらきらと光っておる。

 

 こう、水が光を反射する様というのは、なぜこうも綺麗なんじゃろうなぁ。

 

「よーし、お疲れ様だったな、お前たち! お前たちのおかげで、見ての通り、プールが見違えるほどに綺麗になった。なので、ご褒美、というわけではないが……四時間目終了まで、このままプールで遊んでもいいこととする!」

『『『おー!』』』

『い、いいんすか! 遊んでも!?』

「ああ、もちろんだとも! というか、毎年こうしてるしな。時間が余れば、遊ぶ時間に充てているのだ」

 

 あぁ、そう言えば去年もそうじゃったな。

 

 去年は、健吾と優弥がおらんかったので、遊ばずに水に足を突っ込んで寝転んでおったのう。

 

「と、いうわけだ。怪我をすることのないように遊んで良し! 以上、かいさ――」

「あ、ちょっと待ってくれ」

 

 体育教師が解散と言い切る前に、儂はそこに待ったをかける。

 

 今にも飛び出しそうな生徒たちは、なんだなんだ? と儂を見つめるが、儂は特段気にしない。

 

「ん? どうした、桜花。何かあるのか?」

「うむ。ちょいと待っていてもらえるかのう」

「まあ、構わんが……」

 

 体育教師の了承を得たところで、儂はつい先ほど、集合がかかる前にあらかじめプールの出入り口付近に置いておいたクーラーボックスを持ってきて、生徒たちの前に置く。

 

「今日は暑いと思って、実は昨日冷たい物を作って来たので、食べんかと思ってのう」

『『『マジで!?』』』

「うむ。とはいえ、そこまで凝ったものではないぞ。というわけで……アイスじゃ」

『『『おおおお!』』』

「食べる者は並ぶように――」

『『『食べます!』』』

「いやはやっ!」

 

 並ぶようにというよりも速く、生徒たちが目の前に並び、その速さにびっくりする。

 

 尚、戦闘にいるのは、ましろん、瑞姫、結衣姉である。

 

「……さっきのおやつってこれ?」

「うむ。で、どれがいい? ラズベリージャムがかかったアイスと、ブルーベリージャムがかかったアイス、あとミックスベリージャムがかかったアイス」

「……全種類」

「そう言うと思って、実はましろんは別で三種類ミックスしたでかいのを用意してある。……ほれ、これじゃ」

 

 ましろんに関しては、生徒会長であるということで、確実に参加することが確定しておったからのう。

 

 なので、ましろん専用のでかめの器に盛った、量多めのアイスと、三種類のジャムがかかった物と一緒にスプーンを手渡す。

 

「……さすがまひろん! 大好き!」

 

 別で用意されていたことに対し、ましろんは目を爛々と輝かせた。

 

「おぬしの大好き、飯の時だけやたら重いよな」

「……食べ物は大好き」

「そうか。ほれ、受け取ったら列から出るようにな」

「……ん」

 

 ましろんは素直に列から出た。

 

「わたしは、ラズベリーがいいです」

「了解じゃ。ほれ」

「ありがとうございます! 大事に食べますね!」

「私は、ミックスベリーね~」

「ほい、ミックスベリー」

 

 と、旦那共に順番に渡していき、他の者たちにも各々好きな味のアイスを手渡していく。

 

 ちなみに、健吾はブルーベリーで、優弥はラズベリーであった。

 

「あ、教師陣も好きな物をどうぞじゃ」

「俺たちの分もあるのか?」

「うむ! 遠慮しなくてよいぞ!」

「随分とまぁ、気が利くなぁ。んじゃ、ありがたく」

 

 体育教師を皮切りに、教師陣もアイスを受け取っていく。

 

『うまっ!』

『なにこれ、超美味しいんですけど!』

『バニラアイスとか、濃厚だし、上のジャムもちょうどいい酸味……はぁ、なんか癒される』

『そういや、さっき桜花先輩が作って来たって言ってたような……?』

「ん? あぁ、それなら、儂が全部作った物じゃぞ。なのでまあ、口に合わんかったらすまんな」

『え、まひろちゃんってお菓子作りするの!?』

「簡単な物ならな」

 

 たまにケーキも作るし。

 

 最近はあまり作ってはおらんがな。

 

 ……なんか、メイドさんたちが、ものすごい美味い菓子を作るからな。

 

『ま、マジか……つまり俺ら、桜花の手作り菓子を食ってるってわけか……』

『これ、自慢できそうだけどさぁ……』

『……だな』

『『『間違いなく、ファンクラブから制裁を受けるな』』』

 

 ……儂のファンクラブ、物騒すぎん。

 

 なんか、男子生徒共が覚悟を決めた顔をしつつ、遠い目をしておるんじゃが。

 

「……はむっ、はむっ! 美味しい、美味しい!」

「あぁ、ほれ、ましろんよ。ほっぺにジャムが付いとるぞ。ちょっとこっち向け」

「……んぐ、んぅ……」

「これでよし。ほれ、綺麗になったぞ。まったく、子供ではないのじゃから、もう少し落ち着いて食え」

「……ん、ありがとう」

「いや、いいってことよ」

『うわぁ、ナチュラルにいちゃついてる……』

『というか、桜花ってマジで嫁っぽいのな』

『信じられるか? あれ、去年まで無気力爺男子だったんだぜ?』

 

 無気力爺男子て。

 

「おぬしらも、美味いか?」

「えぇ、とっても美味しいわ~」

「……わたし、もう死んでもいいです……」

「おぬし、事あるごとにすぐ死んでもいいとか言うの、止めん?」

 

 最終的に、儂が生きておるだけで、死んでもいい、とか言いそうじゃよ? 冗談抜きで。

 

 

 アイスを食べ終えれば、プールで遊ぶことに。

 

 器やスプーン等はクーラーボックスの中にしまい込んだ。

 

 生徒たちは体操着を脱いで水着姿になるなり、プールに入って泳ぎ出す。

 

 よーし、儂もそろそろ泳ぐかのう!

 

「あ、すまんがビート板を貰ってもよいか?」

「ん? あぁ、桜花はいま小さかったっけか。んじゃ、浮き輪でも貸し出そう」

「お、助かる。ありがとうじゃ」

 

 体育教師から浮き輪を受け取り、儂は体操着を脱ぎ……

 

『『『ぶふっ!』』』

 

 なぜか泳いでいた者たちが噴き出した。

 

 え、なんじゃ? 一体何が……ってぇ!

 

「な、なななっ……なんじゃこりゃあぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

 儂は自身が身に纏う水着を見て、素っ頓狂な声を上げた。

 

 なんでっ……なんでっ!

 

「何故、胸元に『2―3 おうかまひろ』とか書かれとんのじゃ!? しかも、ひらがな!」

 

 どう見てもこれ、小学生じゃろ! 小学生にしか見えんじゃろ!

 

 お、おかしい、儂が入れた水着はこれではなかったはず……ハッ! まさか!

 

「み、瑞姫いいぃぃぃぃぃぃぃ!」

「ふふふ……お気づきになりましたか! そうです、このわたしがまひろちゃんの水着をすり替えました!」

「何してくれてんの!? これ、明らかにヤバいよな!? 高校生の中に小学生が混じったような状況なんじゃが!? 女子はともかく、男子はまずいじゃろ!」

「いえ、問題ありません! なぜなら、今のまひろちゃんは、小学生みたいなものですから!」

「高校生じゃが!? ゴリゴリの女子高生じゃが!?」

 

 中身男じゃけど!

 

「……ん、まひろん、良く似合ってる」

「嬉しくないが!?」

「あらあら~、とっても可愛らしいわ~」

「可愛くても、これはなんか違うぞ!?」

 

 おのれ、瑞姫めぇ……!

 

「まあまあ、よくお似合いですし、大丈夫ですよ」

「おぬしのせいじゃが!?」

「というわけですので、早速遊びましょう!」

「え、あちょっ……きゃぁあ!?」

『『『今、きゃぁって言った……』』』

 

 手に持った浮き輪ごとプールに引きずり込まれ、悲鳴が出てしまった。

 

「ぷはっ……まったく、危ないじゃろうが……」

 

 儂は浮き輪の穴に体を通して、プカプカと浮かぶ。

 

 ……あ、なんかすごくいいな、これ。

 

「ふふふ、すみません。つい」

「まったく……じゃあ、儂を押してくれ」

「わかりました! お任せください!」

「……ずるい」

「ならば、ましろんも一緒に入るか?」

「……入る」

 

 幸い、この浮き輪はでかめであったため、ましろんくらいならば入る程度には大きかったので、儂はましろんを誘うと、すぐに中に入り込んできた。

 

「……ん、素晴らしい」

「あらあら~、それじゃあ私も瑞姫ちゃんと一緒に押すことにするわ~」

「うむ」

 

 というわけで、瑞姫と結衣姉に押してもらいながら、儂とましろんはプカプカ~とプールを適当に動く。

 

 と、そうして儂らは、仲良くプールで遊ぶことになった。

 

 尚この時、

 

(((どう見ても……小学生のそれ……)))

 

 などということを思われているとは、儂には知る由もなし。

 

 

 プール掃除というイベントが終わり、着替えて教室へ戻ってすぐ昼休み。

 

 昼休みには、いつもの面子で飯を食い、そしてアイスが食べたかった、と美穂とアリア、祥子姉の三名が拗ねたので、それを見越した儂は、三人にアイスを提供。

 

 機嫌を直すことに成功。

 

 そうして、午後の授業も問題なく終えて、屋敷に帰宅し、しばらくしてから夕飯を食べ、風呂に入り、自室で宿題と予習復習を行い……

 

「……くしゅっ! うぅ、なんか、寒いわい……」

 

 くしゃみが出ると共に、妙な寒気を感じた。

 

「んー、心なしか、頭がぼーっとする気がするが……ま! 気のせいじゃろ!」

 

 おそらく、湯冷めか何かじゃろうな。

 

 とはいえ、こういう時は早く寝るに限ると言うことで、儂は予習復習を切り上げて、ベッドにもぐりこみ、就寝となった。




 どうも、九十九一です。
 なんかこう、もっとどうにかならんかったんか、とか思わんでもないですが、まあ、いつも通りと言う事で。ちなみに、まひろの水着、白スクにするか……? と迷いましたが、それではすぐに気付いてしまうと言うことで、普通のスク水です。
 明日も以下略です。
 では。
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