爺口調な男子高校生が、のじゃろりになってTSライフを送るだけの日常   作:九十九一

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日常138 イベント。割とぶっ飛んだ内容

 全員の風邪が治り、翌日には全員で学園に登校。

 

 とはいえ、大してこれと言ったイベントはなかったわけじゃが……七月の頭のことじゃ。

 

 期末テストという、学生にとって戦争とも言うべき行事を終え、儂らは夏休みに入るまでの期間をだらだら~っと過ごす。

 

 やはり、テストという緊張する行事が終わると、気が抜けるからのう。

 

 おかげで、テスト前の緊張感はどこへやら、と言わんばかりに緩い空気感が学園中に蔓延する。

 

 ちなみに、儂のデスマーチも終わっておる。

 

「む? のう、優弥。健吾は知らんか?」

「健吾さんですか? そう言えばいませんね……」

 

 今日は健吾と優弥の二人と飯でも、と思って弁当を持って二人の所へ赴いたんじゃが、なぜか健吾の姿がなかった。

 

 教室内を見回してみても、健吾らしき影はない。

 

「まあ、仕方あるまい。今日は二人で食うか」

「ですね。どこで食べましょうか。今日は暑いですし……」

「そうじゃのう……あー、中庭とか? あそこはこの時間は日陰になっておるし」

「あ、いいですね。ではそこで」

 

 食べる場所を決め、儂らは中庭へ向かい、中庭へやって来るとそこには儂ら以外にもちらほらと飯を食う生徒がおった。

 

 ……まあ、半数くらいカップルなんじゃが……。

 

「のうこれ、儂とおぬしが不倫しとるように見えん?」

「言わないでください。僕も少し思ってますから……」

 

 そういう優弥は、なんとも微妙な顔だった。

 

「……まあよいか。ほれ、食おう食おう」

「そうですね。……では」

「「いただきます」」

 

 二人並んで弁当を食い始める。

 

 夏という暑い季節になってきたため、保冷剤などを入れる関係上、弁当はかなり冷たくなる。

 

 しかし、そこは料理人の腕が良いのか、なんか冷めても美味い。

 

 冷めても美味い飯というのも、何気に難しいんじゃがなぁ、作るの。

 

 唐揚げは割と簡単じゃが。

 

「しっかし、健吾はどこへ行ったのかのう」

「何も言わなかったですよね、健吾さん」

「うむ。あやつ、その辺りは割と言う方ではあるんじゃが……何かあったのかのう?」

 

 と、二人でなぜかいなくなった健吾のことを話しておる時じゃった。

 

 ピンポンパンポーン

 

「放送ですね」

「何かあったか? この時期」

「いえ……さすがになかったと思いますが」

 

 去年のことを思い返してみても、大してなかった気がするんじゃが……。

 

 周囲を見回してみると、儂らと同じように一度食べる手を止めて放送の方に耳を傾けておった。

 

『あー、あー……んんっ! ヘーイ! 水無月学園の生徒たち、ハッピーかい!?』

「「んん!?」」

『さてさて、突然放送が流れて驚いている事だろう。今回は、生徒諸君にイベント管理委員会から、イベントのお知らせのために放送させてもらってるぜ!』

 

 などなど、スピーカーから聞こえて来るのは、儂らのよく知る人物……というか、これ絶対健吾じゃろ! なんか儂らが知る健吾じゃない喋り方の健吾がスピーカーの向こう側におるんじゃけど!?

 

 どういうこと!?

 

『期末テストが終わったということで、さぞかしだらけきっている事だろう……そこで! 俺たちイベント管理委員会が、今週の金曜日に鬼ごっこ大会を開きたいと思う!』

「「えぇぇぇ……」」

『ルールはシンプル! 今回は理事長や市長からの許可を得て、翁里市全体がフィールドだ!』

「「いや広くね(ないですか)!?」」

 

 何をどうしたらそんな頭のおかしい範囲が思い浮かぶん!?

 

『当然、広すぎるという反応を貰う事だろう……しかーし! 当然、そこについても考えがあるんだなー、これが!』

「健吾、どうしたんじゃ……」

 

 いつもの口調はいずこへ? と言わんばかりの、らしくない口調に、儂と優弥は揃って頭が痛そうな顔を浮かべる。

 

『まず、今回の鬼ごっこ大会、エリアが東西南北の四つに分かれており、最初は四エリア全てを活用することになるが、時間経過と共に、これが一つずつ減り、最終的には学園内だけになる。制限時間は、朝の八時から始まり、夕方の六時まで! かなり長丁場になることが決まっているが、参加は自由! ただ、最後まで生き残ろると、豪華な景品もあるので、是非とも参加してほしい! ちなみに、昼食は出るんで、安心してくれよな!』

 

 あー、自由参加なのか……。

 

『と、言うわけだ。逃げる側と鬼側は、抽選で決まるんで、そこはお楽しみに! 参加する生徒は、今日のHRにて担任が参加者を訊くと思うんで、その時に言うように! 以上、イベント管理委員会からだ! じゃ、多くの生徒が参加してくれることを祈ってるぜ!』

 

 最後にそう締めくくり、放送が終わった。

 

 放送が終わった後、周囲は少しざわつく。

 

 表情を見てみると、誰もがどこかワクワクとした気持ちを覗かせており、かなり好意的らしい。

 

 まあ、普通はここまで大規模なイベントとかないからのう……。

 

「というわけですが……まひろさんは参加するので?」

「うぅむ……儂としては、暑いし面倒、で済ませたいが……こういった非日常なイベントごとは大好きでな。参加しようと思う。……というか、アリア辺りが普通に参加したい、とか言いそうじゃし」

「あー、時乃さんは何でも楽しそうにやりますからね、納得です」

 

 儂の予想に、優弥もたしかにと頷きながら同意を示す。

 

 儂らの中で、一番今の生活を楽しんどるの、間違いなくアリアじゃからな。

 

「アリアが参加したい! と言えば、間違いなく全員参加になるじゃろうな。儂が参加すると言った場合も、同様じゃ。というか、儂らの内の誰かが参加すると言えば、全員参加になる」

「なるほど……仲がいいですね、本当」

「じゃなきゃ、今のような家族にはなっとらんよ」

「でしょうね」

 

 儂らって、基本的に仲が良いからな。

 

 特に、旦那共の結束力は半端ない。

 

 儂相手の時などさらに。

 

「しっかし、健吾はここに来るかのう?」

「来るんじゃないですかね? 一応、LINNに連絡を入れておきましたし」

「用意周到じゃのう、おぬし」

「まあ、これくらいは」

 

 さすがじゃなぁ、優弥。

 

 こういう気配りができるからこそ、モテておるのじゃろう。

 

「いやぁ、すまんすまん、放送してたもんで、遅れたぜ」

 

 噂をすれば影じゃな。

 

 走って来たのか、汗だくになりつつも、実に爽やかな笑みを携えた健吾の姿が。

 

「おぬし、あの放送の話し方はなんじゃ? 随分とまぁ、らしくなかったが?」

「仕方ねぇだろー、あれが台本だったんだしよ」

「嫌な台本ですね……」

「あれはあれで楽しかったぜ?」

「おぬし、強いのう」

「だろ?」

 

 どうやら、あの話し方は台本だったらしい。

 

 それを恥ずかしがらずに言える辺り、健吾のメンタルは普通に強いと思う。

 

 儂は無理。

 

「で? 鬼ごっこ大会はマジなのか?」

「放送で言ってんだぜ? 当然だろ。あ、俺は普通に参加すんぜ。主催者側だしな」

「たしか、イベント管理委員会が企画したイベントは、委員会の生徒は強制参加、でしたっけ?」

「おうよ。言いだしっぺが出ないとか、それはそれで問題だろ? そういうことだよ」

「なるほどのう……で? ルールはどうなっとんのじゃ? さっきの放送では、エリアが分割されることしか聞かされとらんし」

「おう、いいぜ。別に秘密ってわけじゃね―しな!」

 

 ニッと笑って健吾はルール説明を始める。

 

 どうやら、今回行われる鬼ごっこ大会というのは、先ほどの放送でこやつが言ったように、街全体を使った物らしい。

 

 当然、範囲がクソほど広いことから、エリア移動に関しては自転車やバス、タクシー等の移動が認められておるらしい。

 

 とは言っても、ずっとは不可能であり、別エリアに入った時点で降りなければならないとか。

 

 尚、自転車については、エリア内のどこかで貸し出しをしておるそうじゃ。

 

 一応、自転車やタクシー、バスに乗っておる間は所謂無敵時間のようで、その間は捕まらないとのことと、あとは降りた直後に捕まえるのも無しらしい。

 

 あと、一部の建物を除き、建物の侵入は原則禁止らしい。

 

 例外はショッピングモールで、自宅や学生寮、スーパーは禁止とのこと。

 

 唯一の例外は、トイレに行く時だけだそうじゃ。

 

「なるほど……ちなみに、エリアが使用不可になる際に、そのエリアに残っておった場合はどうするんじゃ?」

「失格だぜ」

「それ、判別できるんですか? 広いですよ?」

「そこは、先生たちが参加者にGPS付きの腕章のようなもので調べるんだと。一定時間以内に行けなかったらアウト、ってわけだ」

「なかなかシビアじゃな」

「案外そうでもないぞ。少なくとも、二時間ごとにエリアが減っていくんで、時間を把握すりゃ問題ない。それでも移動できなかったら、自分たちが悪いってことで」

「へぇ、つまり、全力で逃げつつ、時間の把握もしなければならないわけか」

「おうよ」

 

 となると、かなり難しいじゃろうなぁ。

 

 鬼の数がどうなるかわからんし。

 

「あ、鬼ってどうなるんじゃ? 捕まった場合とか」

「あー、一応増え鬼を想定してんな。つっても、あまりに増え過ぎてもアレと言う事で、捕まった場合、そのエリアが使用不可になるまでは鬼をやるが、そのエリアが消えれば退場。ま、見学もできるし、適当なところで観戦でもすんじゃね?」

「では、捕まった後、別エリアに移動した場合は?」

「一応、それはできないようになってんよ。んなことをしたら、このルールを設定した意味がなくなるしな」

「へぇ、そこは考えてあるんじゃな」

「そりゃな」

 

 案外、まともかもしれんな。

 

 ……いや、街全体を使っとる時点で、まともでもなんでもないが。

 

「そう言えば、その日は普通に平日ですよね?」

「だな」

「当然、歩行者や車等も通ると思うんですが……そこはどうするので?」

「それについては心配いらん。もともとこのイベント、前から企画されててな、その日は道路は完全封鎖だ」

「何してんの!? え、たかだか学校のイベントにそこまですんの!? ってか、一応運送業者もおるよな!? 大丈夫なのかそれ!?」

「そこは問題ねぇ。なんでも、理事長がその分の仕事を回してくれるとのことらしい」

「羽衣梓グループッ!」

 

 あそこやっぱおかしいじゃろ!

 

 いや、儂そこに嫁いだようなもんじゃけど!

 

「とまぁ、そんなわけでな。問題はないってわけだ。歩行者の方は、まあさすがにどうしようもないんで、そっちに関しては自由だな。つっても、道路が解放されてるようなもんだしな、問題ないだろ」

「そ、そうか。ならまあよいが……」

 

 なんというか、ぶっ飛んどるのう……。

 

 去年も何かあったような気がするが……まあ、覚えとらんと言う事は、儂は参加しなかったんじゃろう、多分、きっと、おそらく。

 

「あ、鬼って何人くらいいるんですか?」

「鬼か? あー、そうだなぁ……正直、逃げる範囲も広いし、大体百人くらいだな」

「となると、各エリア二十五人ずつか……多いんだか少ないんだかわからんのう……」

「ま、その辺はハンデもあるんでね」

「ほう、そうなのか」

「おう。つっても、こっちはさすがに言えんが」

「ま、全部知ってしまったらつまらんしな」

「ですね。ほどほどが一番です。……そう言えば、逃げ切ると豪華賞品があるとか言ってましたが、それ、鬼側は何かあるんですか?」

「そりゃな。鬼側は、捕まえた数が多い上位十名に賞品があるぜ」

「ほほう、それは気になるのう……ま、当日どうなるかわからんし、楽しみにしとくわい」

「おう!」

 

 この後も、雑談をしながら儂らは仲良く飯を食べた。

 

 

 そんなこんなでHR。

 

「うーし、今日放送があった通り、今週の金曜日に行われる、鬼ごっこ大会に参加したい奴の集計しなきゃいけないんで、訊いてくぞー」

 

 相変わらず気だるい様子で入ってきた四方木教諭。

 

 そんな四方木教諭とは正反対と言うほどに、儂ら生徒側はうっきうきとした表情を浮かべており、今にも手を上げそうなほどじゃ。

 

「んじゃ、鬼ごっこ大会に参加する奴は手を上げろ」

 

 四方木教諭がそう投げかけると、バッ! と一斉に手が上がった。

 

 当然儂も手を上げており、旦那共も同様であった。

 

 特にアリアの瞳とか爛々と輝いとるな。

 

「お、うちのクラスは全員参加か。ま、実際一日授業とかないしな。そりゃそうか。なら、注意事項を話すから、メモしたい奴はしとけよ」

 

 四方木教諭はそう言ってから一拍空け、注意事項を話し始めた。

 

「当日だが、当然七月であるため暑いことが予想される。なので、しっかり水分補給をするため、各々飲み物、可能であれば水筒で持ってくるように。当日、中身が無くなれば補充が出来る場所があるからな」

 

 なるほど、まあイベントをするのならば、そうするか。

 

 むしろ、飲み物は各自用意してね! 補充とかないから! などと言われようものなら、参加する気が失せそうじゃからな。

 

「それから、服装だな。こちらは特に指定はない。制服でもいいし、体操着でもいいし、私服でも構わん。まあ、自由だ自由。各自、動きやすい服装で臨むように」

 

 四方木教諭のその言葉に、クラス内が少しざわつく。

 

 ほほう、私服でもよいのか……となると、体操着じゃない方が良さそうじゃな。

 

 最近、ミニスカートって動きやすいな、と理解してしまった故。

 

 まあ、スパッツとか穿くが。

 

「ま、注意事項とは言っても、こんなもんだな。あぁ、これは別に注意事項ってわけじゃないが、もし自転車を貸し出してもいい、という奴がいたら俺に言ってくれ。当日、使うんだと。以上だ。あぁ、昼飯の方はこちらで用意するんで、用意しなくてもいいとのことだ。何か質問がある奴はいるかいないなよし解散!」

『『『いや早いわっ!』』』

 

 さっさと帰りたいんだよこっちは、みたいな反応を見せた四方木教諭に、儂らは全員ツッコミを入れておった。

 

 が、四方木教諭はどこ吹く風とでも言わんばかりに儂らのツッコミを無視し、ひらひらと手を振りながら教室を出て行った。

 

「あれで教師なのがなぁ……」

 

 正直、どうかと思う。




 どうも、九十九一です。
 やべぇ、書くことねぇ……とか思いながら適当に書き出したら、案外書けました。そして、書いた後に、あ、七夕の話にすりゃよかった、と後悔もしましたが、まあ、いつも通りと言う事で。
 次回も以下略です。
 では。
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