爺口調な男子高校生が、のじゃろりになってTSライフを送るだけの日常   作:九十九一

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日常139 イベント。事前説明

 そんなこんなで金曜日の朝。

 

 今日は例の鬼ごっこ大会が開かれる日。

 

 服装は動きやすいように、シンプルな半袖シャツに、ミニスカート、その下にはスパッツを穿いておる。

 

 髪の毛も邪魔にならないよう、ポニーテールにしておるので問題なし。

 

 準備を終えたら、食堂へ行き、全員で朝食である。

 

 メニューは、焼き鮭とおひたしに味噌汁、あと白米。

 

 理想的な朝食じゃよなぁ……。

 

「……そういえば、しょうみゃんは今日どうするの?」

 

 もりもりとマンガ盛りの白米を食べるましろんが、祥子姉に今日のことを尋ねる。

 

 そう言えば、祥子姉はカウンセラーとしての職業でうちに来とるが……どうするんじゃ?

 

「あぁ、救護班という形だね。ほら、私は医師免許を持っているだろう? だから、もしもの時のために、救護側として参加するよ」

「じゃあ、怪我しても安心ね」

「あぁ、任せておくといい。完璧な治療を施すとも」

「おー、心強いね!」

「結衣さんはどうするのですか?」

「私はルール違反者がいないかの確認ね~。あ、贔屓とかはしないわよ~」

「したらむしろ興覚めじゃろ」

 

 こういうのは、本気でやるからこそ楽しいわけで。

 

 ……というか、運営側に身内がいるって、すんごい不思議な状況じゃな……。

 

「それもそうね。にしても、まひろも参加するとは思わなかったわ。どっちかと言えば、めんどくさがって参加しなさそうじゃない?」

「そりゃまぁ、儂もこういうイベントは好きじゃし、それにアリアが絶対に参加すると思ってな」

「さすがまひろ君! よくわかってるね!」

「そりゃ、付き合いもそこそこ長いからな」

 

 案の定だったみたいじゃがな。

 

「そういえば、鬼はどう決まるんでしょうか?」

「……抽選って言ってた。方法は知らないけど」

「うぅむ、ま、案外学園アプリの方に通知でも来るのではないか? 例えば――『ピロン♪』そうそうこんな感じ……って、む? 通知か?」

 

 冗談半分で言った瞬間、スマホに何かの通知が。

 

 一体何だと思ってスマホを覗き込んでみると、

 

『本日のイベントにて、鬼側をする生徒にはこの通知が届いております。つまり、君は今日追いかける側だ!』

 

 とのこと。

 

 あー、なるほど……。

 

「なんか儂、鬼らしい」

「「「「「「鬼嫁……」」」」」」

「なんか意味合い違くない!?」

 

 というか儂、別に鬼嫁じゃないと思うが!?

 

 むしろ、甘い方だと思うが!?

 

「だが、まひろ君のようなタイプほど、子供が出来たら夫を尻に敷きそうだがね」

「「「「「あー……わかる」」」」」

「さすがにそうはならんと思うが……」

 

 というか、尻に敷くて。

 

 儂、普通に元男じゃが? いや、心もまだ男のままではあるが……。

 

「ちなみに、まひろちゃんは子供が出来た場合、わたしたちと子供、どちらを優先するのですか?」

「む? あー、そうじゃのう……極力平等に接するとは思うが、子供じゃろうな」

 

 少なくとも、将来的にいるであろう儂の子供には、儂のような寂しい生活をせんでほしいからな。

 

 両親がおらんというのは、子供がいくら強がろうと、無意識下でそれがトラウマのようになっておる場合もある。

 

 儂の場合、爺ちゃんがおったし、隣の家に健吾がおったから大したダメージもなかったが、もしおらんかった場合は、間違いなくもうちょい性格が歪んでおった可能性があるからな。

 

「……ん、まひろんらしい」

「そうか? というより、親というのは普通子供を優先するものでは?」

「でも、ひろ君のお家って~……」

「結衣姉が言わんとしてることはわかる。しかし、あれでも子供を優先することはあるぞ? 儂が熱を出した時とか」

 

 あとは、授業参観とか、運動会のような行事ごととかな。

 

 まあ、それ以外は基本家にいることは少なかったがなぁ。

 

「何気にまひろの家も世間一般から見ると、問題があるわよね」

「んー、ま、儂は特段気にしとらんよ」

「そうなの?」

「うむ。ほれ、今はおぬしらがおるしな! おかげで、寂しさなど感じんわい! はっはっは!」

「「「「「「――っ!」」」」」」

 

 笑いながら、美穂たちがいるから寂しさなどないと笑いながら言うと、なぜか六人は顔を赤くした。

 

「む? どうした? 全員顔が赤いぞ。なんじゃ、風邪が治りきっとらんのか?」

 

 治ってから二日は経過しとるんじゃが。

 

「だ、大丈夫、不意打ちくらっただけだから」

「そうか? ならよいが……」

「お嬢様方。お時間は大丈夫でしょうか?」

「む? おっといかん。そろそろ出るぞ!」

 

 柊さんに言われて時計を確認したところ、そろそろ出発した方がいい時間になっておったので、儂らは朝食をさっさと食べて、学園へ向かった。

 

 

 学園へ到着後、すぐに結衣姉と祥子姉の両名と別れ、儂らは集合場所の方へ。

 

 学年やクラスごとに分かれるとは言われておらんので、このまま適当な場所に集まる。

 

 周囲を見回してみると、楽しそうに友人と話す者や、早く始まらないかと期待感でそわそわする者もおり、なかなか好意的に捉えられておるらしい。

 

 それから少しすると、連絡が入る。

 

『えー、十五分後にルール説明等を行いますが、その前に今日の朝、学園アプリにて鬼役をするように指示された生徒は前へ来るようにお願いしまーす!』

「だそうじゃ。儂は前に行くわい」

「了解。頑張りなさいよ」

「うむ。では、お互い頑張ろうな」

 

 そう言い残して、儂は前へ。

 

「お、よう、まひろ」

 

 前の方へやって来ると、不意に声をかけられてそちらを剥けば、そこには健吾の姿が。

 

「健吾ではないか。なんじゃ、おぬしも鬼なのか?」

「おうよ。ってか、まひろもなのか」

「通知が来てな」

「そうか。あー……優弥もいなければ、お前んとこの旦那も無しか」

「みたいじゃな。ま、儂は普段追いかける側というより、追われる側故、ちと楽しみじゃがな」

「そういやお前、桜小路先生と再会する前に、メイドと鬼ごっこしてたんだっけか? いやぁ、その話を聞いた時はマジで笑ったぜ」

「……あれなぁ。まさか、ボーラが飛んでくるとは思わんかったわい」

「現代日本じゃ絶対に出てこない武器の名前が出て来たことに、俺は戦慄を禁じ得ないんだが?」

「それについては、おぬしだけではなく、誰だって思うじゃろ」

 

 何も知らない一般人が見たら、何かの撮影かと思うのかもしれんがな。

 

「おーし、鬼は全員集まったか? いない奴はいないなー」

 

 健吾と話しておると、そんな声が聞こえて来る。

 

 声がした先には、四方木教諭がおり、いつものだらっとした格好ではなく、動きやすそうな半袖に長ズボンという出で立ちであった。

 

 ちなみに、いつもはなんというか……だぼっとしたような服装。

 

「えー、これから君たちには先に鬼としてのルール説明をする。その後、すぐに各々が担当するエリアに行ってもらいたい」

 

 あ、儂らは先にルール説明を受けるのか。

 

 と言っても、儂はある程度健吾から聞いておるんじゃがな。

 

「はい、重要なことしか言わないので、細かいことは学園アプリを見るように。はいまずひとーつ。エリア移動中、つまり自転車やバス、タクシーを用いた移動を行っている生徒は捕まえちゃだめだ。あと、着地狩りのように、降りた瞬間に捕まえるのも無し。最低限、降りてから一分は待つように」

 

 そう言えば、健吾がそれはダメと言っておったが、なるほど、一分間はダメなんじゃな。

 

「ちなみにこれは、トイレに駆け込んだ場合の生徒にも適応されるので、覚えておくように」

『せんせー、トイレからずっと出てこなかった場合はどうするんですか?』

「その場合は逃げ側が失格になる。一定時間立て籠もると、各々にこの後渡される無線機に連絡が入ることになっている。そこで、明らかにヤバそうだなと判断された以外は、基本的に失格になる、という仕組みだな」

 

 ふむ、つまりずっと立て籠もること自体は不可能、と……いやそれ以前に、無線機て。

 

 え、なに、そんな物まで用意されとんの?

 

 ヤバくない?

 

「次、無線機は基本的に、鬼側は鬼側と運営側としか連絡が取れず、反対に逃げ側も逃げ側と運営側にしか連絡できないようになっているので、盗聴とかはできないからな。まあ、一部例外もあるが」

 

 例外……なんじゃろう、それ。

 

「そして最後。昼食に関してだが、基本的に十二時~十四時の間はいつでも昼食が摂れる。ただし、各々三十分までとする。そうしなきゃ、時間が無くなるからな。ちなみに、これは逃げ側も同様だ」

『ってことは、食べなくてもいいってことっすか?』

「ありだが、さすがに体力を消耗しまくると思うんで、食べといたほうがいいぞ」

 

 ふむふむ、飯も時間が設けられておるのか……。

 

 む?

 

「のう、その飯はどこで食うんじゃ? いや、そもそもどこで受け取れば?」

「各エリアに休息所が何ヵ所か設けてあるんで、そこで食え。あと、飲み物の補充もそこだ。場所に関しては、学園アプリにある市内地図を見ればわかるんで、そっちを見ろ」

 

 なるほど、飯を食う時は近くの休息所を探して行けばよいわけか。

 

 なんとも、凝っておるのう……。

 

「あと、基本的にどのような場所を通っても構わない。屋根の上とか、電柱の上とか、まあ、色々だな」

『『『それはできなくね!?』』』

 

 四方木教諭の説明に、鬼側全員がツッコミを入れた。

 

 ってか、屋根や電柱の上とか行っていいの!? それってつまり、許可を取っとると言う事じゃよな!? たった一日程度のイベントに全力投球すぎんか!?

 

「普通ならな。あぁ、桜花」

「む、なんじゃ?」

「お前は能力の使用が全面的に認められてるそうだ。よかったな」

「お、マジか。なら、遠慮なく使わせてもらうわい」

 

 ちょうど、おあつらえ向きの動物もあるしな。

 

「それから、時間経過と共にエリアが狭まると思うが、あえて逃げ側の移動を阻止し、失格にさせるという方法は合法なので、もし捕まえられないと思った時は、その手を活用するといい」

 

 こすい手じゃなぁ……。

 

 しかし、そうか。

 

 あくまでも、エリア移動における乗り物を使用しておる途中の者を捕まえることはできんが、反対に乗り物に乗る前であれば妨害し放題、というわけか……。

 

 それはそれで、戦略の幅が広まりそうじゃな。

 

「それと、もし追いかけていた相手が何らかの要因で怪我をした場合は、すぐに救護所に連絡するように」

 

 まあ、それは当然じゃよな。

 

「では最後。これが一番重要なんだが……実は、各エリアには所謂お助けアイテムと呼ばれる物が存在している。どういった物が入っているかは伏せるが……少なくとも、鬼側、逃げ側、両方にとってかなり有用な道具が入っていると思ってくれていい。早い者勝ちでもあるんで、積極的に見つけるのもありだ」

 

 ほほう、お助けアイテムか……。

 

 まあ、楽が出来るのであれば、探してみるのも面白そうじゃな。

 

「おし、以上が重要なことだな。これからお前たちには二十五人ずつに分かれて、東西南北の各エリアに移動してもらうことになる。まあ、この辺はくじ引きでいいだろうということで……ここに、東西南北のどれかが書かれた紙が入ったボックスがある。順番とかどうでもいいんで、引きたい奴から引きに来るように。引いたら、俺にどこの担当になったか言うようにな」

 

 四方木教諭がそう言うと、生徒たちが一斉に四方木教諭の元へ群がった。

 

 儂と健吾は別にどこでもいいという感じなので、人がいなくなるを待ってから紙を引く。

 

「お、俺は西だな」

「儂は北じゃ」

 

 その結果、健吾が西、儂は北となった。

 

 北か……たしか、あの辺りは山とかなかったかのう?

 

「んじゃ、隣同士かー。もしあれだったら、連絡でも取り合おうぜ」

「うむ、それはよいな。挟み撃ちなんかもできそうじゃ」

 

 知り合いがおるというのは、なんだかんだこういう時便利じゃのう……。

 

「あ、言い忘れてたが、一応スマホの使用等はありだが、できるのはLINNだけな」

「だってよ。ま、俺らは問題ねぇな」

「じゃな」

 

 まあ、LINNしか使えないのはおそらく、GPS等の機能を使って悪用するようなものが現れるかもしれない、と考えたからじゃろうな。

 

「よし、それじゃあ決まったエリアへ移動後、開始を待ってくれ。開始は、市内の放送用スピーカーを通して行われるんで、それまで待機! はい解散!」

 

 相変わらず適当じゃなぁ、などと苦笑しながら、儂らは各々のエリアへ向かった。

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