爺口調な男子高校生が、のじゃろりになってTSライフを送るだけの日常   作:九十九一

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日常141 イベント中。色々とおかしいまひろ

『えー、残り三十分ほどで、北エリアが封鎖となります。逃げ側の皆さんは早急に北エリアから退避し、西、東エリアのどちらかへ移動をお願いいたします。時間内に移動できなかったら即失格となりますのでお気をつけて』

「おっと、北エリアが最初になくなるのか」

 

 変わらず、兎状態でひたすら屋根から屋根へと飛び移りまくり、逃げ側の生徒を探しておると、そんな放送が聞こえて来て一度足を止めた。

 

「んー、ま、元々北エリアはあまり人がおらんかったからのう」

 

 この一時間半の間に、儂は能力をフル活用して移動しまくっておったが、なんか、途中から人が少なくなっておったんじゃよなぁ。

 

 やはり、狩り過ぎたか。

 

「まあ、仕方あるまい。搦め手は他の者に任せて、儂はさっさと次のエリアにでも行くかのう」

 

 おそらく、隣のエリアに行けないように邪魔をする鬼とか絶対いるとおもうしの。

 

 であるならば、儂はさっさと別のエリアに行くことを目的とした方がよいに決まっておる。

 

「うーむ、ここから近いエリアとなると……東エリア辺りか」

 

 よし、ならば東へ行こう。

 

 

 東エリアに到着。

 

 北エリアは結衣姉の家のように、少し大きめの家がかなりあるような高級住宅地的なエリアじゃった反面、東エリアは自然が多い場所となる。

 

 でかい公園もあるし、水上アスレチックなどがあるエリア。

 

 よく小学生が遊び場にしておったり、中学や高校の運動部などが体力作りや、体幹を鍛えたりするのに使用される場所でもある。

 

 儂も小さい頃は健吾や結衣姉と共に遊んだこともあるな。

 

 途中から遊ぶことは減ったが。

 

 で、この東エリアはなんだかんだ自然豊かということもあり、かなり動くには難しい場所でもある。

 

 悪路を走ることに慣れていれば大したことはないかもしれんが、普通の高校生というのはそう言うわけではない者が多いじゃろう。

 

 とはいえ、これは逃げ側と鬼側両方に言えることではあるので、どちらが不利かなどは一概には言えん。

 

 しかし、そこは動物の能力が扱える儂。

 

 現在は兎から狼に変身中。

 

 悪路など、狼であれば問題ないと言うもの。

 

 一応猫になることも考えたが、なんとなく狼の方がいいと思った結果、狼になった。

 

「すんすん……むむ? こちらから汗のような匂いがするな……」

 

 狼と言えば、嗅覚が素晴らしい生き物でもある。

 

 それは当然、今の儂にも適応される力じゃ。

 

 現在儂は、自然公園におり、特に舗装された道というわけではなく、自然そのままの姿の場所じゃな。

 

 木々も多いことから、隠れるのには向いておるじゃろう。

 

 しかし、儂は動物の力が扱え、嗅覚も今は鋭いため、何ら問題はない。

 

「んー……お、見つけたのじゃ!」

『何ィ!? なぜここがわかった!?』

『おいどうすんだよ、俺ら今木の上だぜ? さすがに……』

『バカ野郎、頑張って逃げんだよ!』

『そ、そうだなっ! よっし、絶対逃げてやる!』

 

 儂が発見したのは、なぜか迷彩柄の服を着た二人の男子が。

 

 あれか、自然に溶け込むためにその柄の服を着た感じか。

 

 まあ、悪くはないとは思うが……うむ、なんじゃろうか、この……なんか違くね? みたいな感じ。

 

『あれ? なんかぼーっとしてる? よし、今の内だ逃げるぞ!』

『おうよ!』

 

 儂が迷彩柄を着た男子を見てぼーっとしとる隙を見逃さなかった男が、チャンスと見るなり木の上から飛び降りて駆け出す。

 

 っと、しまった、ついつい考え込んでしまったわい。

 

「ふふふ、今の儂は早いぞ!」

 

 儂は前傾姿勢になり、片手を地面に着きながら力を溜めて、一気に駆け出す。

 

 ぎゅんっ! と前傾姿勢のまま駆けだすと同時に、視界に映る景色が前から後ろに流れる。

 

 逃げる二人を追いかけ、徐々に近づいていき、もう少しでタッチというところで、

 

「――むっ!?」

 

 不意に地面から網が現れ、それが儂を捕まえようと上に持ち上がる。

 

 あ、これ、アニメとかでよく見る奴じゃな!

 

 あれじゃろ、網の中に捕らえて、ぶら下げる奴。

 

 なるほど、こんなものが仕掛けられておったか……。

 

 がしかし!

 

「はぁっ!」

 

 儂は網を見た瞬間には、体を大きく捻りながら横へ飛び、罠を回避する。

 

 やはり、動体視力と反射神経が上がっておるからな、この程度、造作もない!

 

『ちょっ、罠が回避されたんだけど!?』

『うっそだろ、どんな反射神経してんだよ!』

「ふふふ、甘いぞ! この程度の罠、今の儂には通用せん!」

 

 まあ、実際はちょっとヒヤリとしたが、そこは言わないお約束。

 

 しかし、他にも罠があることは間違いないじゃろうな。

 

 気を付けねばならん。

 

 とはいえ、この罠の匂いはある程度記憶した。

 

 あとは、嗅覚と視覚、それから動体視力と反射神経を頼りにすれば、回避は可能じゃな。

 

「逃がさんぞ!」

 

 儂は逃げる二人を追いかける途中、何度か罠が現れるが、それらを最小限の動きで回避していく。

 

 軽い跳躍で躱したり、体を半身にして跳んで躱したり、あとは糸が張られておる場合はそこをスライディングの要領で下を潜り抜けるなどをして回避しつつ、追い詰めていく。

 

『ちょっと待って!? 明らかに人の動きじゃねーんだけど!?』

『というか、能力フル使用はずるくね!? 俺ら、メッチャ不利やんけ!』

「いや、能力無しの儂とか、マジで小学生レベルじゃから」

 

 んな状態で参加しようものなら、儂は一瞬で体力が尽きるわい。

 

「というわけで、ほい、タッチじゃ」

『『畜生め!』』

「ふははは! では、鬼役よろしくじゃ!」

 

 男子二人に追いつき、タッチをした後、儂はそんな捨て台詞と共に、走り去った。

 

 スピードを落とすと、また走り直をせねばいかんからな。

 

 

 ――ところ変わり、瑞姫視点。

 

「ふぅ、はぁ……真白さん、大丈夫ですか?」

「……ん、もーまんたい」

 

 現在、わたしたちは南エリアにいました。

 

 南エリアは商店街やショッピングモールなどがあり、逃げ隠れする場所が多く存在するエリアです。

 

 東エリアも同様ではありますが、南エリアとは方向性が違いますからね。

 

 あちらは自然という環境を活用して隠れますが、こちらは人工物等で隠れますからね。

 

 鬼ごっこ大会開始後、わたしと真白さんは美穂さんとアリスティアさんと別れ、南エリアをメインとして動くことに決め、今はショッピングモール付近のコンビニの裏で隠れていました。

 

 幸いなのが、この場所は周囲を高めのブロック塀に囲まれている事と、木々が植えられている事でしょう。

 

 これにより、木々とブロック塀の間には小さいながらも隙間があり、ここで身を隠すことができ……そして、

 

「ふへへへへ……真白さんと密着……あぁ、素晴らしい!」

 

 何よりも真白さんとこうして合法的にくっつけるのですから!

 

「……みーちゃん、今は真面目に」

「あ、すみません。つい、可愛らしい真白さんとくっついていたせいで、欲望があふれ出てしまいました」

「……私も人のことは言えない。けど、みーちゃんは欲望に忠実すぎ」

 

 あぁ、普段から無表情な真白さんのジト目……なかなかにいいですね。

 

 わたし、基本的にはSですが、こういうのもありですね……うふふ。

 

「……まあいい。みーちゃん、スマホ、見た?」

「あ、はい。見ましたよ。たしか、美穂さんたちも南エリアに向かっている途中みたいですね」

「……ん、合流するべき?」

「そうですね……わたしとしましては、このまま二人ずつで行動した方がよろしいかと」

 

 少し考え込んでから、わたしは真白さんの質問にそう答えました。

 

 そうすると、真白さんはなぜかジト目を向けながら、

 

「……みーちゃん、私と二人きりが目的?」

 

 そう言ってきました。後ずさりもセットで。

 

「いえ、違いますよ!? 確かにわたしはロリコンですが!」

「……認めるんだ」

「真面目な時は真面目に考えます! それに、別々で行動した方が、この鬼ごっこ大会はいいと思いますから」

「……ん、その心は?」

「はい。まず、この鬼ごっこ大会、人数の多さ、そして舞台となる街が広い為、逃げ側が有利に見えますが、その実鬼側の方が有利になるように設定されているからです」

「……ん、同感」

 

 確かに、この鬼ごっこ、逃げ側の方が人数は多いです。

 

 鬼の数は百人程度で、各エリアに二十五人最初に配置されていることでしょう。

 

 反面、逃げ側の人数は六百人と少し。

 

 仮に、均等に各エリアにいたとしても、百五十人でしょう。

 

 ですが、そのようなことはあり得るはずがないので、エリアごとの人数はまちまちのはず。

 

 そして、この鬼ごっこの種類は増え鬼です。

 

 鬼にタッチされた人は鬼となり、倍々ゲームのように増えていくわけですが……鬼が増えれば、当然逃げる人たちは別のエリアに行こうとするでしょう。

 

 逃げる人が減るということは、同時に鬼が増えるという事でもあるわけですから。

 

 鬼の数が増えて逃げにくくなる前に、他エリアへ行ってしまおう、と考えることが普通です。

 

 つまり、終盤になればなるほど、一つのエリアに人が密集し、結果、逃げにくくなることは想像に難くありません。

 

 無線機などもあり、情報伝達も可能ではありますが……これ、かなり扱いが難しいのです。

 

 本来無線機とは、周波数を調整して、連絡が混線しないようにしなければならないのですが、今回支給された無線機は、周波数を調節することは可能ですが、合わせている余裕はないため、おそらく誰も弄っていないでしょう。

 

 わたしたちもそうです。

 

 それに、限定的ではありますが、LINNの使用も許可されていますからね。

 

 ただ、このLINNですが、鬼ごっこ開始から、少ししてあまり使用しない方がいい、という結論に至った人たちが多く存在します。

 

 と言いますのも……騙すことが出来てしまうからですね。

 

 例えば、仲の良い友人同士で行動し、途中で別行動を取ったとします。

 

 そして、どちらか一方が捕まったとして……その捕まった方は鬼となるわけです。

 

 無線機は鬼側同士、逃げ側同士としか連絡が取れないようになりますが、このLINNは違います。

 

 連絡が取れてしまうわけです。

 

 そのため、捕まったことを伏せて、呼び出したり場所を聞いたりすることも可能になってしまうわけですね。

 

 これが理由で、あまり信用しない方がいい、となっています。

 

「まひろちゃん、かなり無双しているようですけど……」

「……ん、能力を使っていると思われる」

「ですよね……実際の所、まひろちゃんは『獣化』の能力を使用した時、かなりの身体能力を得ますからね。それに、お婆様からお聞きした内容ですと、まひろちゃんは間違いなく、お婆様とお爺様の才能を引き継いでいるとか」

「……らしい。体の動かし方、多分なんとなくで理解しているんだと思う」

「やっぱりそう思いますよね」

 

 少し前、祥子さんと『獣化』の調査か何かで屋敷の庭で何やら色々試していましたが、その時のまひろちゃんの動き、なんと言いますか……かなり二次元寄りと言えばいいのでしょうか。すごく、キレのある動きだったのです。

 

 それを見たお婆様は、かなり感心していました。

 

 なんでも、

 

『へェ、なんとなくそうじゃないかとは思っていたが……ふふ、どうやら、ワシやあいつの才能を受け継いだようだねェ。鍛えれば、かなり強くなるだろう』

 

 だそうです。

 

 まひろちゃんのポテンシャル、高いみたいです。

 

「……強敵。気を付けないと」

「ですが、わたしとしましてはまひろちゃんに捕まって、一緒に鬼をする、というのはとても魅力的ではありますね」

「……わからないでもない。楽しそう」

「そうですよね?」

「……ん。でも、それは面白くないから、しないけど」

「もちろんです。だから――」

「……しっ!」

 

 わたしが声を出そうとした瞬間、真白さんがわたしの口元に手を当てて、口を塞ぎました。

 

 一体何が、と思っていると、塀の向こうから声が聞こえてきます。

 

『ん? なんか今、この辺りで声がした気がしたんだけど』

『気のせいじゃない? アタシは聞こえなかったよ』

『そっかー。じゃあ、気のせいかも。あっち行こう、あっち。もしかしたら、お助けアイテムがあるかもだし』

『賛成! どんなのがあるか、気になってたんだよね』

「……行った。ふぅ」

「ありがとうございます、真白さん」

「……気にしない」

 

 まひろちゃんも大概ですけど、真白さんも十分おかしいスペックをしていますよね。

 

 文武両道を地で行く人ですし、運動能力もかなり高いです。

 

 それに、どうやら気配を感じ取る、などということもできるらしいです。

 

 どうしてそのようなことが出来るのか、アリスティアさんが尋ねたところ、

 

『……たらい回しにされている時に身に付けた。気配を感じ取れれば、色々回避できる。暴力とか』

 

 という回答が来ました。

 

 それを聞いた時のわたしたちは、言葉を失い、失言したなぁっ……と酷く後悔しましたが、真白さんは特段気にした様子はありませんでした。

 

 完全に、過去は過去、という形で切り捨てているからのようですね。

 

 強いです。

 

「……お助けアイテム」

「はい?」

「……お助けアイテムを探そうと思う」

「それは構いませんけど……どうしてでしょうか?」

「……私たちなら、体力的にも足の速さ的にも逃げられる。けど、まひろん相手じゃ、無理。だから、お助けアイテムが必要だと思う」

「なるほど、たしかにそうですね」

「……だから、今のうちに確保しておくべき。みほりんたちにも連絡しておく」

「わかりました。あのお二人なら捕まっていることなどないでしょうし、大丈夫でしょう。仮に、鬼になっていたとしても、真白さんなら逃げ切れそうですからね」

「……当然」

 

 心強い言葉ですねー……。

 

「では、行きましょうか。まずは、ショッピングモールで探しますか?」

「……ん、賛成」

 

 わたしたちは、次に起こす行動を決め、お助けアイテムを求めてショッピングモールへ向かいました。




 どうも、九十九一です。
 何を書いているんだろうか、などと思いながら鬼ごっこの話を書いております。いやもう、ほんとに書いてんでしょうね。
 次回も以下略です。
 では。
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