爺口調な男子高校生が、のじゃろりになってTSライフを送るだけの日常   作:九十九一

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日常142 イベント終了。再び黒歴史

 それから、鬼ごっこは問題なく進み、気が付けばエリアが二つ消えておった。

 

 残っておるのは、西エリアと南エリアの二つで、時間は残り五時間ほど。

 

 儂は健吾と合流し、西エリアを散策中。

 

「聞いたぜまひろ、お前すっげえ活躍してんだってな?」

「ま、儂にかかれば朝飯前よ!」

 

 健吾の言葉に、儂は自慢げに胸を張る。

 

 いやぁ、無双するというのは、こうも爽快感があるもんなんじゃなぁ……。

 

 今ならば、異世界へ行ってチートを貰い、そしてヒャッハー! と無双する者たちの気持ちがわかることわかること。

 

 たしかに、圧倒的優位な状況というのは、気持ちよさが段違いじゃな。

 

「あー、そうだ。なんか、お助けアイテムが見つかったらしいぜ」

「マジで? どっちじゃ?」

「あー、一応逃げ側らしい」

「ほほう、となると、鬼側が地味に大変になりそうじゃな。ま! 今の儂には問題ないがな!」

「おいまひろ、それ絶対フラグだろ」

「ははは、今の儂は無敵とも言うべき境地! この程度のフラグ、いくら乱立しようともへし折って見せるわい!」

「お前、なんか性格が変わってね? なんか、見たことねぇくらい傲慢ってか……自信に満ちてんな」

「ふはは! 能力とはこういう時のためにある!」

「それはないだろ」

 

 などなど、健吾と二人仲良く話しながら逃げ側の者たちを探す。

 

 エリアは残り二つで、現状逃げ側の残り人数は、四百弱。

 

 無くなった北と西エリアにいた鬼が全員南か東におるからな。

 

 案外すぐに捕まると思う。

 

 いくら数がいようと、最終的には学園内になるからのう。

 

 狭い空間に追い込んでしまえば問題はないと言うもの。

 

 ならば、儂らはその前に数を減らすのがいいじゃろうな。

 

「あ、お前の旦那、まだ誰も捕まってないらしいぜ」

「じゃろうな。あやつら、普通に身体能力高いし」

「だなー。音田は運動も勉強もできるタイプだが、どっちかっつったら運動の方が得意だしな。羽衣梓も文武両道タイプだし、時乃も結構身体能力高いし。生徒会長は言わずもがなだしなー。……って、そういや疑問なんだけどよ」

「ん、なんじゃ?」

「お前らって結婚したじゃん?」

「そうじゃな。現に、こうして指輪しとるし」

 

 そう言いながら、儂は左手を健吾に向ける。

 

 薬指にはすっぽりと指輪が嵌っておる。

 

「お前らって、苗字とか変えないのか?」

「あー、そのことか」

「やっぱ、何か思うところがある感じ?」

「んー、そうじゃのう……」

 

 正直言って、儂らの間で、苗字どうしようか問題がマジで存在している。

 

 いや、正確に言えばしていた、が正しいか。

 

 祥子姉が入る前は、うんうんと頭を悩ませておった。

 

 何せ、通常の結婚とは違い、複数人での結婚じゃからな。

 

 そのため、苗字を変えるかどうか、という問題があったわけじゃが……これに大して、祥子姉が、

 

『そうだね……まず、発症者側は苗字を自由に変更可能だよ? もちろん、結婚相手の苗字限定ではあるけど』

 

 だそうじゃった。

 

 つまり、儂は音田でも、羽衣梓でも、時乃=Cでも、氷鷹でも、桜小路でも、神でも、いつでも好きな苗字を名乗れる、というわけじゃな。

 

 ということをかいつまんで、健吾に説明。

 

「へぇ、じゃあお前、実質苗字が七つあるようなもんか」

「そうじゃな。ま、場面場面で切り替えるわい。とはいえ、基本的な苗字をどうするか、という問題は残っとるがな……」

「お前、なんで遠い目をしてるんだ……?」

「……儂がどんなに自由に苗字を変更できたとしても、日常生活で使用する苗字は決まっとらんからな……つまり、まあ、旦那共が、な」

「あー、察し」

 

 この辺りはいずれ決着を付けねばなぁ……。

 

「ん? お、まひろ、向こうにいるぜ」

「お、ほんとじゃ。よし、では捕まえるか」

「おうよ!」

 

 よし、さっさと捕まえるぞ!

 

 

 それから順調に確保は進んでいき、気が付けば、残るエリアは南と学園のみ。

 

 ここまで範囲が狭まると、ちらほらと逃げ側の生徒や鬼側の生徒とすれ違う。

 

 なかなかにハードな一日ではあるが、幸い儂は疲れなどなく、疲れた傍から体を戻していくために、ほぼ無制限に動けているという状況。

 

 いやぁ、本当にチートじゃのう……。

 

 というか、大人状態で獣化を使用しても、かなりのスタミナと身体能力を得られる以上、ある意味スポーツ選手になれそうではあるが……いや、無理か。

 

 そもそも、フェアではないからのう。

 

 ドーピングも裸足で逃げ出すようなものじゃからな。

 

 そんなこんなで、儂と健吾は南エリアにて逃げ側の生徒を探しては見つけ、確保したり、しなかったりしながら、探し回り、ショッピングモールに到達。

 

「うぅむ、こうも人がいないショッピングモールというのは、なかなかに不思議な光景じゃな……」

「まあ、これだけのために貸切った、って話だしな。ほんと、やべーよな、お前んのとこ旦那の家は」

「それはそう」

 

 わざわざ、学園のイベントのためだけにここまでするからのう……。

 

 恐ろしい限りじゃ。

 

「むっ、逃げ側の生徒発見! 二階じゃ!」

「了解。んじゃ、俺はエスカレーターから行くわ。まひろはどうするよ?」

「む? んなもん、決まっとるじゃろ」

「は?」

 

 儂は健吾の質問に答えるように、ガラスの縁に立ち、

 

「こうするんじゃよ!」

 

 バッ! と二階目掛けて飛び降りた。

 

「ちょぉお!? 飛び降りとかありィィィィ!?」

 

 後ろから健吾の焦った声が聞こえるが、儂は今猫に変身中。

 

 そう、猫と言えば、着地が上手い!

 

 そして、高所からの落下もある程度であれば問題がなく……

 

「ほっ、と」

『うお!? なんか、上から猫耳幼女が降りて来たんだけど!?』

『それより逃げろ! あれ、多分各エリアに出没しては異常な速度やスタミナで追いかけ回す、ターミネーターならぬ、ローリネーターだ!』

「なんじゃそのあだ名!?」

『何!? あれが、バーサーカー幼女だというのか!? くっ、たしかに上から降って来るのは予想外ッ……! よし、逃げるぞ!』

『『おう!』』

 

 なんか儂、変なあだ名が付いとるんじゃが……って、いやそうではなく!

 

「逃がさんっ!」

 

 儂はツッコミを押し込み、着地まもないが瞬時にスタートダッシュを決める。

 

『ちょっ、クソ速いんだけど!?』

『くっ、おい、お助けアイテムだ! 使うならここしかねぇ!』

『合点承知!』

 

 なにっ、お助けアイテムじゃと!?

 

 果たして、どのようなアイテムが――

 

『くらえ! 黒歴史スピーカー!』

「……へ?」

 

 黒歴史スピーカー……?

 

 なんじゃそれ。

 

 いや、名称から察するに、黒歴史を暴く物なんじゃろうが……。

 

 儂、何かあったかのう?

 

『スイッチオン!』

 

 ぽちっ! という音が鳴り(ガチで)、ピー、ガガガガ! という電子音? が鳴り響いた直後、

 

『黒歴史スピーカー、起動します。対象、二年三組桜花まひろ』

 

 儂を標的にするという音声が流れた。

 

「え、ちょっ、儂!?」

『二年三組、桜花まひろは…………』

『『『ごくり……』』』

『――昨年、服飾手芸部の人に土下座で頼まれて女装をし、紆余曲折あって逃げ回る途中、誤って女子更衣室に入ってしまったが、なぜか受け入れられてしまった挙句、なぜか写真撮影会になるという事態を引き起こしている』

『『『ぶほっ!』』』

「ぬおおおぉぉぉぉぉ~~~~~っ! わ、儂のトップシークレットがぁぁぁぁぁぁっ!」

 

 スピーカーから放たれた儂の黒歴史に、儂は頭を抱えて蹲り、叫んだ。

 

 なぜその黒歴史を知っておるんじゃ!? というか、これを作成したのマジで誰!? いや、間違いなく羽衣梓グループじゃろうけど!

 

 だとしても、一体誰がこの情報をっ……!

 

 ……ちなみに、この黒歴史はマジじゃ。

 

 元々儂、女顔じゃったからなぁ……それ故、時たま女装してほしい、と言われることがあった。

 

 中学時代もあったしな……。

 

 くっ、なぜこの場でその黒歴史が……しかも、周囲から吹き出した音が聞こえたし、おそらく目の前の逃げ側の者以外にもおったんじゃろう。あと、何気にこのスピーカー、なぜか館内放送もしとるし! ちくしょーめ! 儂のプライバシー!

 

「「「「へぇ~~~~…………」」」」

 

 ダンッ! と儂が地面に手を叩きつけた直後、後ろから何やらこわ~い雰囲気の籠った聞き覚えのある声が聞こえて来た。

 

 びくっ! と震えてから止まり、恐る恐る後ろを振り向くと……

 

「へぇ、まひろ、そんなことがあったんだぁ……」

「そのようなことがあったのですねぇ……」

「まひろ君、詳しく、聞かせてほしいなぁ?」

「……ん。とりあえず、こちらもお助けアイテムを使用」

「お、おぬしらっ……え、というか、ましろん? 今、お助けアイテムって……一体何を――」

「……偶然見つけた捕縛君」

「捕縛君!? なんじゃそのアイテム!? あ、ちょっ、なんか嫌な予感!」

 

 ゾクッ! と背筋を冷たい物が走り抜け、儂はその場から離れようと動くが……

 

「……甘いっ!」

 

 カシュッ! と妙な音が聞こえると共に、縄? のようなものが飛び出し、儂に巻き付いた。

 

「ぬおお!?」

 

 それは謎の挙動で儂を縛り上げていく。

 

 え、なんじゃこの謎機能!? あ、なんか手も縛られとるんじゃけど!?

 

「なんじゃこりゃぁぁぁぁぁっ!?」

 

 床に転がされ、びったんびったん動きながら、儂は叫んだ。

 

 え、これ大丈夫なのか!? 絵面的に大丈夫なのか!? こう、場所間違えとらん!?

 

 ぎっちぎちに縛られて、全く動かせんのじゃけど! 上半身! 特に腕とか!

 

 これでは、されがままじゃろ………………………………ふへへ。

 

「あ、今まひろがにやけた」

「ばっ、ばばばばばっバカなことを言うでないわ!? わ、儂が悦ぶとかそ、そんなわけないしっ!?」

「……ん、ドMはみんなそう言う」

「じゃから違うて!」

 

 別に儂ドMじゃないから! じゃから、そこで見とる逃げ側の者、変に顔を赤くする出ないわ! なんかこう……恥ずかしいから!

 

『ま、マジか、桜花って本当に縛られて悦ぶドMなのか……』

『お、おう……なんか、すんげぇドキドキするわ』

『わかる。あんなメッチャ可愛い幼女みたいな奴が、悦んでるとか……なんかもう、うん。やっぱすげぇわ、TSF症候群』

「やめて!? 儂をそんな目で見ないで!?」

 

 ちくしょーめ! これ、儂相手じゃと、明らかに事案じゃからな!? いや、ましろんでも同じじゃろうけど!

 

 というか、これマジでぎっちぎちなんじゃけど!

 

 動けないんじゃけど!

 

「というわけで、まひろちゃん、正座です」

「いや正座て。儂、見ての通り動けないんじゃけど」

「正座です」

「じゃからな? 儂――」

「正座です☆」

「……うっす」

 

 もぞもぞと何とか動いて、正座する。

 

 ……おかしい、儂は鬼側で、旦那共は逃げ側のはずなのに……なぜ儂が捕獲され、正座させられておるのか……。普通、逆じゃね……?

 

「で、話を聞かせてもらおうかしら」

「……あの、すみません」

「どうしたの? まひろ君」

「いや、あの……なぜ、儂は正座させられた挙句、おぬしらはどこからともなく用意された椅子に足を組んで座っていらっしゃるのでしょうか?」

「「「「尋問」」」」

「じ、尋問と来たかぁぁぁぁ~~~~~っ」

 

 十中八九、あのことじゃろうが……。

 

「別に、大したことはないんじゃが……」

 

 儂は去年あったことをかいつまんで話した。

 

 あれに関しては、儂思いっきり被害者じゃから……。

 

 着替え途中の女子がいる更衣室に間違って入ったのはまあ……100%儂が悪いんじゃが、服飾手芸部の部員たち、目が血走ってて怖くてなぁ……人外的な恐怖を感じた結果、間違えて入ってしまった、という経緯じゃったり……。

 

 ちなみに、儂が許された理由は主に、

 

『だって、あまり男子! って感じしないし』

『下心がないって100%信頼できるし』

『というか、普通に可愛かったし』

『むしろ、可愛いから許された感はある』

 

 らしい。

 

 ……儂の存在って……。

 

 

 結局、なんとか弁明をして許された。

 

 いやまぁ、許す許さない以前に、どうも単純に話が聞きたかっただけみたいじゃがな、こやつら。

 

 尚、満足したのか普通に四人は捕まっておった。

 

 何がしたかったんじゃ、マジで。

 

 結局、この後も普通に儂が無双しまくって鬼側の勝利。

 

 尚、儂は捕まえた数がぶっちぎりのトップだったので景品を貰った。

 

 貰った物は……プールのチケットじゃったので、今月のどこかで行こうと思う。

 

 と、そんなこんなで、大盛況だった(儂は普通に黒歴史を晒したが……)鬼ごっこ大会は、恙なく幕を閉じた。




 どうも、九十九一です。
 本当はもうちょい書くか? と思ったのですが、あまりに長すぎてもあれですし、というか考えるのがめんど――大変だったので、こうなりました。
 そう言えば、最近サイバー攻撃が酷いですよね……なろうだけでなく、カクヨムとハーメルンもやられたみたいで、マジで心配になります。解決はいつになるのかなぁ……。
 次回も以下略です。
 では。
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