爺口調な男子高校生が、のじゃろりになってTSライフを送るだけの日常 作:九十九一
「えー……というわけで、明日から夏休みだ」
『『『Yeahhhhhhhhhhhhhhhhhh!!!』』』
何事もなく日々は過ぎて行き、遂に今日は終業式で、明日から夏休みとなる。
なんと言うか、長かったような早かったような……いや、長かったな。
単純にこの姿に変化してから長く感じるほどに、濃密じゃったからのう……。
しかし、夏休み……夏休みか。
そう言えば八月にはお盆があったのう…………爺ちゃんに会えるのは非常に楽しみなんじゃが……月奈姉がなぁ~~~~っ……!
正直会いたくないんじゃが、うちは基本、お盆だけは全員でいるからのう……。
くっ、その日だけ怖いのう!
「はいはい、シャラップシャラーーーップ! いいか、これから夏休みの注意事項を話すからな? よーく聞くように」
四方木教諭がそう言うと、クラスメート共は嬉しそうな気持を滲みだしつつも、しっかり話を聞く姿勢になる。
「よし。じゃ、まずは……宿題は確実に終わらせるように。失くすとかも無しな。ちゃんとやれ。それから、夏休み中には登校日がある。今年は……あー、八月三日だな。その日は半日だけ学校があるんで、忘れないように。それと、校内に用事がある時は必ず制服を着るように。私服で入るのはダメだぞ」
あぁ、そう言えば登校日なぞあったのう……。
めんどくさいが、仕方あるまい。
「それから、まあまずないだろうが、非行には走らないようにな。夏祭りなんかもあるが、間違っても盗みとかするなよー。あ、それからアルバイトな。もし、アルバイトがしたい! とか言う奴がいたら、学園に連絡するといい。ちょうどいいアルバイト先を紹介してくれるそうだ」
『マジっすか先生!』
「あぁ、マジだ。ちなみに、時給も悪くないぞー」
『『『お~~』』』
学園がバイト先の紹介のう……なかなかに面白いことをするんじゃなぁ。
「と、いうわけだ。それから、もし生徒同士で旅行に行く! となった場合、ちゃんと計画して、尚且つ親御さんから了承を貰っていくように! ま、桜花たちみたいに、許可が不要な奴らもいるが」
「いやまあ、そりゃ旅行くらい行くじゃろ。家族なんじゃし」
『『『お、おう……』』』
「な、なんじゃおぬしら。何故気恥ずかしそうにしとるのじゃ?」
『い、いやぁ、あの桜花から、まさかそんな言葉が出るとは思わなかったってーかさ』
『うんうん、まひろちゃんなら言わなそうだなぁ、って』
「そうか? とは言っても、儂らは結婚しとるから、間違いではないからの」
恋人という過程をすっ飛ばしてはいるがな。
……うぅむ、そう考えると、かなり特異な状況じゃのう……。
「ま、あそこはラブラブ家庭なので、いいとして」
「その言い方は止めてほしいんじゃが!?」
「ともあれ、だ。お前たちはまだまだ学生で子供だ。だから、気を付けつつも、楽しい夏休みを過ごすように。以上だ! そんじゃ、次は八月三日に会うことになるだろう! それまでさらばだ! ほい解散!」
四方木教諭のなんとも締まらない言葉を皮切りに、クラス内がガタガタッ! と音を立てて、待ってました! と言わんばかりにクラスメート共が帰宅していく。
「それじゃ、私たちも帰るわよ」
「うむ」
そしてそれは儂らも同様じゃな。
一日が終わり、儂らは帰宅した。
道中、夏休みどうするかなどの話をしつつ、家路に就く。
ちなみに、結衣姉は教師であるためまだ仕事が残っておるようで学園に残り、それに合わせて祥子姉も学園に残ることにしたそうじゃ。
そして、屋敷に到着し、玄関を潜る。
「「「お帰りなさいませ、お嬢様方」」」
もう見慣れたメイドたちの出迎えを受けてからそれぞれ自室へ行こうとして、儂だけ呼び止められた。
「まひろお嬢様に、お手紙でございます」
「む、儂にか? どこじゃ?」
「O3からです」
「ということは、今月の交流会の開催日時でも決まったのかのう? じゃあ、受け取るぞ」
「どうぞ」
「うむ、ありがとうのう。では、儂は部屋で読むとするわい」
儂は柊さんから手紙を受け取り、自室へ戻る。
カバンを置いて、服を脱いでから手紙を読む。
ちなみに、儂は夏場は裸族であるため、服は着ておらん。
「どれどれ」
『桜花まひろ様へ。突然のお手紙、申し訳ありません。今月の交流会の日程が決まりましたので、そのご連絡をさせて頂きました。今回は、七月二十五日に交流会を開かせていただきます。もちろん、強制参加ではありませんので、ご自由にどうぞ。今回も美味しい食事もご用意させていただいておりますので、よろしければご参加してみてください。封筒の中に、もう一枚の紙があると思いますので、そちらに参加・不参加の旨を記入し、明日中にポストに投函していただければと思います。桜花まひろ様のご参加、お待ちしております』
やはり、招待状じゃったか。
「ま、今回は行くと決めておったしのう。どうやら、葛井先輩の親友も参加を決めたらしいしの。どのような者なのか気になるし、是非とも参加するとしよう」
早速、参加の旨を記入し、専用の封筒に紙を入れる。
「おーい、柊さんやー」
それから柊さんを呼び出す。
通常であれば、時間が空くと思うが……。
「お呼びでしょうか」
この通り、なんかもう、おぬし忍者? と思ってしまうくらい一瞬で来るようになった。
理由は婆ちゃん。
婆ちゃん、マジで氣の扱い方を教えとるからのう……おかげで、我が家のメイドたちの人間離れが加速中である。
最近では高所から落下しても死なないどころか、着地と同時に高速で走り出したり、反対に二階建ての家の屋根に垂直跳びで乗ることが出来たり、他にも気弾を放てるようになっておったりと、マジでおかしくなって来とるからのう……。
尚、この噂を聞きつけて来たボディーガードたちが婆ちゃんに教えを請うているとのこと。
婆ちゃんェ……。
「この手紙を出してきてほしいんじゃが……良いかのう?」
「もちろんでございます。まひろお嬢様の命は命よりも大切なことですので」
「そこまで優先せんでもよいが!?」
「というわけで、早速投函してきます」
「お、おう。頼んだぞ」
「かしこまりました。それでは」
そう言い残して、柊さんが音もなく消えた。
……いやこれ、もう氣とか関係ないよな? 氣じゃなくて、完全に忍術とかそっち方面じゃよな?
実は、柊さんも発症者だったりせん? 大丈夫?
「というわけで儂、来週の二十五日は交流会に行って来るのでな」
「「「「「「浮気……」」」」」」
「毎回それやるのか!?」
前も交流会に行くと言った瞬間、浮気を疑われたんじゃけど! しかも、今回は結衣姉と祥子姉の二人が増えとるし!
「ま、どうして今回参加するのかはわかるさ」
「そうなの?」
「あぁ。今月の頭頃、新たな発症者が出た話をしたね? その人が、どうもまひろ君とアリス君のバイト先の大学生の同僚の親友らしくてね。少し前に、まひろ君がその大学生の相談に乗ったそうだ」
「つまり、ひろ君はその人が心配で交流会に~?」
「まあ、それもあるが……どうせなら、友人になりたいな、と。ほれ、儂的には初の後輩的人物じゃろ? それに、葛井先輩からも仲良くなれそうとは言われたからな」
「あ、葛井先輩なんだね! そっかー、あの人のお友達がなっちゃったんだ」
「らしいぞ」
儂としては、その者と出会うのが楽しみじゃな。
「なるほどねぇ……あ、ちなみに祥子さん」
「なんだい?」
「その人って、やっぱり美人なのかしら?」
「そりゃあね。TSF症候群を発症させているんだぞ? 当然、美女……あー、いや、あれはどちらかと言えば美少女、か。ま、性格も併せてかなりモテそうだったね。まひろ君同様」
「ほうそうか」
まあ、この病に罹った以上、モテることはもはや確定じゃからのう。
儂とて、結婚したとはいえ、それでもナンパは普通にされるし、この容姿が理由でモデルをしたこともあるほどじゃ。
……そう言えば、あのファッション誌、いつ発売なんじゃろうか?
着た服的に夏、もしくは初秋っぽかったが。
ま、雑誌の完成品を送ってくれるみたいじゃし、気長に待つかのう。
「それにしても、バイト先の同僚の方の親友となりますと、もしや近所の方でしょうか?」
「あぁ、なんでも若葉市住みらしいぞ。ゴリゴリに隣町じゃし、通う大学も如月大学じゃな」
「……ん、志望校の生徒。世の中は狭い」
「じゃろ? 儂も驚いたもんじゃよ」
「……入学したら、先輩」
「そうじゃな。ま、儂も一応如月大学を志望しておるし、どうせ美穂と瑞姫、アリアも……」
「「「同じだけど(ですが)(だよ)?」」」
「じゃろうな」
三人の絶対に同じ! という強い意志に、儂は苦笑いを零す。
なんと言うか、儂大好きじゃからなぁ、こやつら。
愛想を尽かされないようにしないとじゃなぁ。
「ま、そう言うでも知り合いを作っておいて損はないじゃろ? あとはまぁ、純粋に興味があるだけじゃがな。葛井先輩の親友らしいし」
「なるほどー、たしかにあたしも気になるかも」
「その、葛井君、というのはすごくいい人なのよね~?」
「うむ。寡黙で、男前な人物じゃな。モテるぞ」
「まひろちゃんの周りの方々は、モテる方が多いですね? 類は友を呼ぶ、というあれですか?」
「それを言ったらおぬしらもそうじゃろうが」
実際、この中で最も一般人とでも言うべき美穂もモテる方じゃからな。マジで。
告白されても断っておったらしいが。
瑞姫は言わずもがな、アリアも前の学校じゃかなりの頻度で告白されておったとか。
ましろんも、直接的に告白されるようなことはほぼなかったらしいが、裏ではかなり人気があったからのう。
結衣姉は海外の大学でかなり口説かれたらしい。
祥子姉も同僚に食事に誘われたり、いきなり告白される、ということも多かったそうじゃ。
……うーむ、やはりモテるな、儂の旦那共。
「三島君もそうだしね」
「まあ、あやつはなぁ。イケメンじゃし、気遣いもできるし、何よりイケメン。ここ大事」
「……ん、あの人のことが好きな人は、生徒会にもいる」
「マジか。さっすがじゃのう、優弥は」
親友としては鼻高々じゃが……あやつが恋人を作らない理由を知っている関係上、少々複雑な気持ちにはなるがな。
「それで、話は戻すけど、交流会は泊りがけってことでいいの?」
「んー、ま、そうなるかもしれんな。久々に、向こうの友人とも会えるしのう。それに、明日から夏休みでもある。もしかすると、遊びに行く! ということがあるやもしれんしな」
「まあ、発症者というのは、なんだかんだストレスも溜まる。折角だから、ストレスを発散させておくといいよ。じゃないと、最近のように風邪を引いてしまうかもしれないしね?」
にぃ、といたずらっぽく笑いながらそう言う祥子姉に、うっ、と思わず唸ってしまう。
「……あれに関しては、マジで申し訳ないと思っとるよ」
まさか、風邪を引くとは思わんかったし……。
「ま、いいさ。楽しんでくるといいよ。ちなみに、私は研究施設に用があるので、途中までは一緒だがね」
「なんじゃ、そうなのか?」
「あぁ。夏休み中は、学園に行く用事がないからね。というわけで、夏休みの間は週に数回ほど研究所に行くことにした。あぁ、もちろん一日で帰って来るよ。家庭があるからね」
「ならよい。おぬしは研究バカじゃからな。一度そちらに集中してしまうと、マジで生活面が終わる」
「ははっ、手厳しいお嫁さんだ。ま、私も今の生活は気に入っているのでね。奥さんの言う通りにしますとも」
「そ、そうか」
奥さん、と言われるのは何とも不思議な気分じゃのう……。
お嫁さん、というのは聞き慣れたが。
……儂、一応元男なんじゃがなぁ……。
「と、まあ、そういうわけじゃ。儂は二日ほど留守にするでな」
「了解よ。ま、楽しんできなさいよ」
「はい。羽を伸ばしてきてくださいね」
「楽しんでね!」
「……浮気はダメ」
「楽しんできてね~」
「友人をたくさん作ってくるといい」
「なんか、ましろんだけ未だに疑ってね? まあ、いいけど……」
あと瑞姫。
儂は別に働いとるわけじゃないから、その言葉はなんか違う。
どうも、九十九一です。
ようやく夏休み。随分かかったなぁと思います。夏休みの話は割と書くことが多い……と思います。多分。ノリで書いてるからわからないけど……。
次回も以下略です。
では。