爺口調な男子高校生が、のじゃろりになってTSライフを送るだけの日常   作:九十九一

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日常149 変わった一日。悶絶するまひろ

「と、いうわけで今日一日、まひろ君の口調が謎なお嬢様口調になった挙句、嘘が吐けなくなった」

「というわけなのです……」

 

 アイデンティティが失われるという事件が勃発し、これは緊急と言う事で喫茶室に全員を集めて、祥子姉が代表して事情を説明。

 

 儂の方も、いつも通りに話そうとすると、なぜかこの口調に変換されるため、変なことになっておる。

 

「あー、全員いまいちピンと来ていないだろうから実験すると……まひろ君、君は今何がしたい?」

「わ、わたくしは、その……お、お部屋で眠りたいのです……」

「「「「「――!?」」」」」

 

 ちくしょーめ! なぜかしらんが、死ぬほど恥ずかしいんじゃが! しかも、恥じらいが出て来とるんじゃがぁ!

 

「え、待って。無理、尊過ぎ」

「わぁ、可愛い!」

「……尊い」

「あらあら~、随分と可愛らしいことになっているのね~」

 

 などなど、全体的にかなり好印象である。

 

 が、唯一反応していない者が一名。

 

 そう、ド変態である。

 

「あの、瑞姫さん? どうかしたのです?」

「――いい」

「はい?」

「素晴らしいッッッ!」

「ひゃぁ!?」

「おっと」

 

 突然大きな声を出した瑞姫に、儂はひっくり返りそうになる。

 

 が、すぐ傍におった祥子姉が倒れないように支えてくれたおかげで、なんとか転ばずに済んだ。

 

「なんという素晴らしい状況! 口調もさることながら、嘘が吐けないというのが素晴らしいです! つまり、まひろちゃんの本心を今日は聞くチャンス、ということですよね!? ね!?」

「あぁ。少なくとも、誤魔化しすら出来ていなかったよ」

「で、ででで、ではっ……まひろちゃんのせいへ――」

「おっとそこまでよ瑞姫」

 

 瑞姫がとんでもないことを聴こうとするよりも早く、美穂が瑞姫の口を塞ぐことで最後まで言わせなかった。

 

 美穂、ナイス!

 

「美穂さん!? なぜ止めるのですか!?」

「そりゃ止めるわよ」

「そ、そんなっ! 美穂さんなら……いえ、この場にいる皆さんも、援護射撃をするはずですのに! なぜ!」

「いや、普通に朝っぱらからする話じゃないでしょ。それに、まひろが可哀そうじゃない? だから止めた」

 

 なに!? こやつ、本当に美穂か!?

 

 お、おかしい、いつもの美穂であれば、瑞姫の言うように、間違いなく悪ノリするはず……! ど、どういうことじゃ!?

 

「……みほりん、本音は?」

「これ以上まひろの尊い姿を見せられたら、私が死ぬ」

「では、聞きたいと?」

「当然よね?」

 

 味方はおらんかったっ!

 

 というか、真顔で何を言うとんのじゃ。

 

「まひろ君、その話し方って、話しにくくないの?」

「話しにくくはないのですけど、その、話そうとしている言葉が勝手にこのように変換されてしまうので……ですので、少々違和感がすごいのです……」

 

 アリアの質問に、儂は思っておることを話す。

 

 ただ、やはりと言うか、口調はかなりおかしくなっており、勝手に変換されてしまう。

 

 普通に考えてこれ、かなりおかしいじゃろ……どういう薬の効果をすれば、こうなるんじゃ。

 

「ま、見ての通り、まひろ君は勝手にお嬢様口調に変換されることと、嘘が吐けなくなったことを除けば、いつも通りさ。別に体調が悪いわけでも、かといって頭がおかしくなっているわけでもない。今日一日、いつもと違う一面のまひろ君が見られると思えばいいさ。どうせ、明日には抜けているからね」

「……ん。じゃあ、今日はまひろんで楽しむ」

 

 祥子姉の説明に真っ先の反応したのはましろんであり、なかなかにアレなことを言って来たので、儂はツッコミを入れようとしたが……

 

「ま、真白お姉様? そ、それは、その……う、薄い本のような……?」

 

 まるで、何かを期待したような、そんな言葉が、恥じらいと共に儂の口から漏れ出た。

 

 いや何言ってんの儂ぃぃぃぃぃぃぃ!?

 

 どう見ても、どう聞いても、そういうことを期待しとるただの変態ではないかっ!

 

 儂、思っとらんよ!? そんなこと、一切合切思っとらんよぉ!?

 

「え、ちょっと待って? まひろ、え、何? 期待してるの?」

 

 わ、儂がするわけ――

 

「……そ、その、少しだけ……」

 

 馬鹿野郎っ……!

 

 何が少しじゃ!

 

 明らかに、声の出し方が少しじゃないんじゃけど!

 

 わ、儂思っとらんよ!? 思っとらんからな!?

 

「えぇぇぇ……いや、あの、ごめん……マジで?」

「…………はぃ」

 

 困惑した美穂に聞き返された儂は、なぜか顔を真っ赤にさせ、さらに

 

 だあああぁぁぁぁぁっ!

 

 なぜじゃ……なぜ否定できんっ!

 

 くそぅ、口調はおかしいし、否定しようとしても、否定できんし……儂、マジで思っとるの……? 本心では思っとるの……? あれか? 深層意識が出てきちゃう感じ? だとしても、キッツイ……。

 

「あー、なるほどなるほど……ごめん瑞姫。やっぱこれダメよ。なんか、すっごい罪悪感が……」

「あ、あたしも……」

「……ん、襲いたい。でも、これは、ちょっと違う……」

「そうね~。いつものひろ君にはない恥じらいがあって、とても魅力的だけど~……」

「同意だね」

 

 絶対襲われる、と思った儂じゃったが、どうも旦那たち的にはかなり罪悪感を生むような物であったらしく、瑞姫を除いて全員が苦笑いである。

 

 というか、瑞姫の次くらいに儂を襲いかねんましろんがしようとしない辺り……もしや、普段からこうして否定しなければ、襲われないのでは!?

 

 …………いや、これ多分、薬のせいだから、という理由じゃな。

 

 おそらく、普段の儂が同じようなことをした場合、誘っていると思われて、一瞬で喰われるな。

 

 ……いやまあ、普通に妻婦だから、することしても問題はないといえばないんじゃがな……。

 

「……」

 

 む、そう言えば、瑞姫からなんの反応もないんじゃが……。

 

「瑞姫さん?」

「( ˘ω˘ )」

「瑞姫さん!? どうしたのです!? お亡くなりなられているのです!?」

 

 瑞姫の方に視線を向けた瞬間、そこには、最早お家芸レベルで見慣れた安らかな笑みで真っ白になっている瑞姫がいた。

 

「あー、これはあれね。普段ほとんどないまひろの恥じらう姿がぶっ刺さった感じね」

「あははー……さっきのまひろ君、すっごい破壊力だったもんね……あたし、ちょっと危なかったかなぁ」

「……恐るべし、まひろん。あと、お姉様呼び、素晴らしい」

「私はどちらかと言えば、お母様、方が嬉しいかもしれないわね~」

「結衣君、それは二十一歳の女性が言うにはどうなんだい?」

 

【悲報】結衣君、母親と呼ばれたいらしい。

 

 祥子姉の言う通り、本当にどうかと思う。

 

「しかし、瑞姫君はどうしようか?」

「ほっといていいんじゃないかしら? その内勝手に自己蘇生するし」

「だね。いつものことだもんね」

「……ん、みーちゃんなら平気」

「大丈夫よ~」

 

 おぬしら、何気に瑞姫に対して割と辛辣になることあるよな……。

 

 まあ、変態だから仕方ない。

 

 

 ともあれ、事情説明を終えた後……儂は部屋に引き篭もっておった。

 

 あ、ちなみになんじゃが、儂らの結婚式の日、例の取引の件で儂の部屋は既に和室へと変貌しておる。

 

 時期的には……体調不良から快復してから少ししてからじゃな。

 本当ならば、結婚式を終えた直後にはそうなる予定だったそうじゃが、軽い問題の積み重ねで少しだけ遅れたそうじゃ。

 

 とはいえ、儂的には自室が念願の和室になったことで、狂喜乱舞したがな。

 

「……ふぅ、やはり浴衣はいいのです……」

 

 独り言でもこれか……。

 

 はぁ、まあ、慣れるしかないのう……。

 

 心の中では、いつも通りであることが救いじゃな、これ。

 

「それにしても……はぅぅ、まさか、あんなことを言ってしまうなんて……」

 

 はぅぅ、て。

 

 儂、普段そんなこと言わんのじゃけど……しかし、あれはマジで恥ずかしかった……。

 

 やはり、発症者が創る薬、ヤバいな……。

 

 元々、開示薬や例のアレな薬もそうじゃが、人体に悪影響を及ぼさないで、超常的なことを引き起こす薬を平気で創れるとか、どう考えてもヤバいじゃろ……。

 

「ともあれ、本日は問題が起こらないよう、自室で大人しくしている方がいいのです……」

 

 下手に話そうものなら、ペラペラと深層意識の話をしかねんからな……。

 

 ……儂、ドMじゃないもん……。

 

「……そう言えば、近々林間学校があったような……」

 

 ふと、この学園における、夏のイベントの一つである、林間学校の存在を思い出した。

 

 水無月学園では、毎年夏休みに入ってから少しした頃に林間学校が存在する。

 

 時期としては、夏休みに入ってから最初の金曜日からであったか?

 

 となると……今週か。

 

 毎年キャンプというか、なぜかサバイバル飯をさせられるんじゃよなぁ、あの行事。

 

 楽しいから別にいいんじゃが……。

 

 そういえば、毎年止まる旅館には、素晴らしい温泉があるんじゃよなぁ……。

 

 去年は、それを楽しみにしておったし、実際に素晴らしかった。

 

 ……尚、男の儂は知っての通り、かなり女顔であるため、入浴時、男子共がなぜか顔赤くする、などという事態があったがな。

 

 健吾と優弥は見慣れているおかげで、大したことはなかったが……慣れん男子共はダメだったらしい。

 

 そう言えば、去年の夏にアリアと二人でプールへデートに行った際も、男子更衣室で着替える儂を見て、顔を赤くする男性客はそこそこおったしな。

 

 儂、どんだけ女顔だったんじゃ。

 

「ふわぁぁ~~……んぅ、眠くなってきたのです……」

 

 くしくし、と眠くなってきた目を擦り、儂は布団に横になると、すぐに意識が遠のき始め……一瞬で夢の世界へ旅立った。

 

 

「失礼しま~す~……あらあら、眠っているわね~」

 

 ひろ君が普段とは違った口調で、噓が吐けなくなったと教えられた後、ひろ君はそそくさとひろ君のお部屋に戻ってしまった。

 

 ひろ君と結婚したけど、私や祥子さんはみんなと違って学生ではなく、教師だから学園にいる間、あまり触れ合うことが出来ない。

 

 だからこそ、こういう夏休みは私にとってはチャンス。

 

 新婚だから、という理由で、夏休みは多く休みを貰っている私は、この休みを活用して目一杯ひろ君といろんなことをしたいと思っている。

 

 そんな私は、そそくさとお部屋に戻ってしまったひろ君のお部屋に、少し時間を空けてからそーっと中へ入ってみると、そこには可愛らしい寝顔に、ゆったりとした呼吸で眠るひろ君の姿が。

 

 はぁ……可愛い……本当に可愛いわ~……。

 

 ひろ君……私の大好きな、この世で一番愛している可愛い可愛い女の子……。

 

 小さい頃は、とっても可愛らしくて、不思議な男の娘だったけど、当時の私は追い詰められて、精神的に参ってしまっていた。

 

 そこに現れたのが、五つも年下のひろ君で……私はそのひろ君に救われた。

 

 海外の学校へ通うために日本を飛び出した私は、いつかひろ君と結婚することを夢見て勉学に励んだ。

 

 早く、早く、日本へ帰国して、ひろ君と結婚したくて、頑張り過ぎて、飛び級して、教員免許も取得して……そうやって私は今年帰国した。

 

 そしたら、ひろ君は可愛らしい女の子になっていた上に、たくさんの女の子と結婚していたから驚いたわ~。

 

 結婚できないかも~、って思っていたところに、瑞姫ちゃんが現れて、紆余曲折あって結婚できて……本当に幸せ。

 

 目の前で、可愛らしい寝息を立てているひろ君を見ていると、温かな幸せがこみ上げてきて、つい……襲いそうになる。

 

 もちろん、寝ている状態のひろ君を襲うことはしないわ~。

 

 ……既に一度しているけど。

 

「はぁ……可愛い……とっても可愛いわ~……」

 

 起こさないように、そーっとひろ君の頭を持ち上げて、私の太腿に乗せる。

 

 すると、ひろ君の表情がとても柔らかい物に変わり、ほわ~、っとした柔らかい表情に。

 

 ついつい愛でたい欲求が溢れだしてきて、気が付けば私はひろ君の頭を撫でていた。

 

「……あの頃から成長して、男の子から男性へと成長していくひろ君と結婚すると思っていたら、まさかこんなに小さくて可愛らしくて、不思議な女の子になったひろ君と結婚するなんて、思わなかったわ~……」

 

 だけど、この姿になってもひろ君はひろ君だったから、とても嬉しかったけど~。

 

 それに、ひろ君はモテモテで、美穂ちゃんに瑞姫ちゃん、アリスちゃんに、真白ちゃんや祥子さんと結婚して、色々とあるけど、それでも本当に楽しそうに、平等に愛してくれているのがわかる。

 

 ひろ君は、天然ジゴロになってしまったのね~、と少しだけ思ってしまった。

 

「でも、こんな幸せが、ずっと続いて欲しいわね~……」

 

 ふふ、と小さく笑ってひろ君の頭を撫でながら、私はそう呟くのだった。




 どうも、九十九一です。
 林間学校の話をやろうと、以前思っていたのですが、素で話の導入に繋がる部分を入れ忘れた結果、なんか変なタイミングで入ってしましました。とりあえず、薬の話が終わったら、次は林間学校かなぁ、なんて思ってます。
 次回も以下略です。
 では。
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