爺口調な男子高校生が、のじゃろりになってTSライフを送るだけの日常   作:九十九一

23 / 157
日常23 会社に到着。変態の父親は変態

 それからしばらく、儂による謎すぎるセリフ朗読会は目的地に到着するまで続いた。

 

 そして、目的地につく頃には、

 

「……疲れた」

 

 儂は疲れておった。

 

 なんと言うか、精神的にも微妙に疲れたし、喉の方という意味でも普通に疲れた。

 

 まったく、次から次へとセリフを言わせようとしおって……。

 

 見よ。

 

「車内が血まみれじゃよ」

 

 知っておるか? これ全部、鼻血なんじゃぜ?

 

 どんだけ興奮したんじゃ。特に瑞姫の方。

 

 ロリコンにもほどがあるじゃろ、これは。

 

「お、お恥ずかしいところを……」

「瑞姫、鼻の下にまだ鼻血が付いておるぞ」

「まひろのロリボイスがマジで可愛すぎたものね……本当に、すごかったわ、インパクトが」

「美穂、おぬしも鼻血が付いておる」

 

 美少女の皮を被った変態なのでは? とこの短時間で思うようになったぞ儂。

 

 ロリボイスで鼻血を出す美少女というのもどうかと思うしな。いや、儂は別に全然気にはせんし、問題もないんじゃがな。

 

 結局、身内なわけじゃからな。マジもんの。

 

「お嬢様、まひろ様、美穂様、到着いたしました。こちらへどうぞ」

「あ、はーい。では、行きましょうか」

「瑞姫、せめてもうちと鼻血を拭え……」

 

 そんな状態で行かせるか。

 

 

 儂らが連れてこられたのは、ものすごくでかいビルじゃった。

 

 中に入るなり、ものすごく綺麗な内装が目に飛び込んでくる。

 

 奥の壁には『羽衣梓グループホールディングス』と書かれたプレートがあった。

 

 ここってもしかしなくとも……

 

「瑞姫、ここはあれか? おぬしの父上の……」

 

 儂は頭上の瑞姫に尋ねる。

 

 ちなみに、例によって儂は抱っこされておる。楽。

 

「はい、会社です」

「……ねえ、私たちの服装、変じゃないわよね? 場違い感が半端ないような気がしてきたんだけど。エントランスの時点で」

「問題ありません。そもそも、学園の制服と言うのは、結婚式やお葬式などで正装として用いられる衣服ですから、大丈夫です」

「だとしても……なんか、すごく立場が高い人がいる、わよね、あそこに」

「あちらの方は『四葉重工』の社長の方ですね」

「……とんでもない建設会社の名前が出てきたんだけど」

「ちなみに、あちらにいらっしゃるのが『常陸銀行』の総裁の方です」

「おぉ、それはすごいのう。やはり、羽衣梓グループはかなりの企業なんじゃな」

「まあ、国内有数の会社って言われてるしね……。あんた、普通に考えたらとんでもないとこの人と結婚したわけよね」

「それを言うなら、おぬしもじゃろ。まあ、正確に言えば儂が結婚して関係を持ったことで、結果的におぬしも関係を持った、と言ったところじゃが」

「本当にね……」

 

 まさか、学園でも憧れの的と言われておった瑞姫と結婚することになるとは思わんかったがな。

 

 ……ふと思ったんじゃが。

 

「のう、結婚前に挨拶せんでよかったのかの? こう言うのは、事後報告ではなく、事前に挨拶するものだと思っておったんじゃが……」

 

 もうすでに言ったかもしれんが、そこんとこどうなんじゃろうか。

 

 儂としては、選択の余地などないと言わんばかりに、迫られてOKしてしまったが、普通は逆じゃよね? あれ。

 

「今更ですよ、まひろちゃん」

「今更ね」

「わたしと美穂さん、すでにご両親から許可は得ていますから」

「……それもそうなんじゃが。儂、大丈夫かの? 殺されたりしない?」

「大丈夫です。お父様は確かに厳しい方ではありましたが、小さな女の子を殺してしまうような、酷い人ではありませんから。それに、もしそうなったとしてもわたしが絶対にお守りしますので」

「……やばい。ちょっとドキッとした。儂、元男じゃのに……」

「あんた、精神面でも女子化が進んでるんじゃないの?」

「……まあ、人間は自分の体に心が引っ張られるみたいじゃからな」

 

 もうすでに、それが儂の身に起こっているのかもしれぬな。

 

 しかし、瑞姫の今のセリフは、ドキッとした。

 

 いや、キュン、の方かの?

 

 まあどちらでもよいか。

 どのみち、惚れてるということじゃろ、なぜか。

 

「ところで瑞姫よ。ふと思ったのじゃが、おぬしには縁談とかあったのかの?」

「あ、はい、ありましたよ? 一応」

「そこに、『あ、この人いいな』と思えるような奴はおらんかったのか?」

「いるわけないじゃないですか。今朝話した通り、わたしの好みはまひろちゃんのような人ですから。間違っても、男性に恋をする、ということはまひろさん以外ありえません」

「……おぬし、割ととんでもないことを言っておる自覚はあるか?」

「え? わたし、おかしなこと言いました?」

 

 あ、これは無自覚じゃな。

 

 そうか、無自覚で変態なのか。

 

 そもそも、小さい女の子が好み、とか言ってる時点ですでに変じゃし、男と恋をすることがない、とか言っていることもさらにヤバいと思うんじゃが。

 

 そりゃ瑞姫の父上も困惑するわ。

 

「しかし、このエレベーター長いな」

 

 エントランスを抜けて、エレベーターに乗っていると、儂はそんなことを呟く。

 

「かなり高いビルですからね。七十階建てだったはずですよ?」

「……ぶっ飛んでるわね、ほんと」

「じゃな」

 

 さすが、羽衣梓グループと言ったところか。

 

 大手の会社はすごいのう。

 

 なんて、しばらく他愛のない話をしていると、ようやくエレベーターが最上階に到着。

 

「さ、こちらです」

「ここは何のフロアなんじゃ?」

「ここは、お父様専用のフロアです。この一つ下の階が会長室です。なので、お父様がお忙しい時に住む場所として用意されています」

「となると、瑞姫は別の所に住んでるということかの?」

「はい。さすがに、ここから通うのも大変ですから。それに、ちゃんとお家はありますからね」

「瑞姫の家って言うことは、かなり大きそうよね」

「そう、ですね。世間一般的に見れば、それなりに大きいとは思います」

 

 それなりに、という部分が全く信用できん。

 

 何せ、リムジンではなくランボルギーニで来なかったことに対して文句(?)を言っていたくらいじゃからな。

 

 美穂も同じことを思ったのじゃろう。信用していない表情じゃ。

 

「さ、ここです。この中ですでにお父様がお待ちしています」

「……どうしよう、緊張するんだけど」

「人という字を手の平に書いて飲み込めばよいのではないか?」

「……この状況で効果あると思う?」

「ないな」

 

 そもそも、気休め程度でしかないからな、ああいう類のものは。

 

 扉の前で、儂は瑞姫に頼み下ろしてもらった。

 

 さすがに、抱っこされたまま入るのもあれじゃからな。

 

「では入りましょう」

 

 にっこりと微笑むと、瑞姫は扉をノックした。

 

『入れ』

 

 中からは、そんな低い声が聞こえてくる。

 

 おー、あの時聞いた声じゃ。

 

「失礼します」

「お邪魔します」

「おお! 瑞姫か! それに、そっちの赤い髪のお嬢さんが美穂さんかな? よく来たな! ……それで、例のお前の結婚相手は?」

 

 最初と最後で全然声音が違うのう……。

 

 あれ、儂敵視されていたりするのじゃろうか?

 

「はい。まひろちゃん、どうぞー」

「ん? ちゃん?」

 

 一瞬、瑞姫の父上が疑問そうな声を漏らしたが、儂は構うことなく部屋に入る。

 

「お邪魔します」

「…………ん? 瑞姫、この少女は……」

「わたしと美穂さんの結婚相手の、桜花まひろちゃんです」

「どうも、桜花まひろじゃ」

「…………な、なにぃぃぃ!?」

 

 まあ、娘の結婚相手がこんな幼女じゃ、驚くのも無理はない。

 

 儂だって、もし子供がいたとして、その子供が結婚相手に、幼女を連れてきたら普通に驚きそうじゃし。

 

「ほ、本当に君が、娘の……?」

「うむ」

「……話には『TSF症候群』を発症した相手だと聞いてはいたのだが……まさか、君のような小さな少女が来るとは。私はもっとこう、ちゃらついたような者が来るのだとばかり」

「む? ということは、女が男になった相手が来ると思っておった、と?」

「ああ、その通りだ。まさか、男から女に変わった者だったとは……」

「まあ、娘が惚れる相手は男だと思うのが普通じゃからな。すまぬな、儂が女で」

「いや、女性ならまだいいかと思っているので、問題はない。……しかし君、随分と年寄りのような話し方をするのだな」

「いやなに。祖父が大好きだったもので」

 

 この説明、何回目じゃろうな。

 

 まあ、仕方ないか。それだけ、儂の話し方は不思議な物、ということじゃろうからな。

 

「……そう言えば君、いつ発症したのかね?」

「三月じゃ」

「となると、それまでは男だった、ということだよな?」

「うむ。そうじゃな」

「……まさかとは思うんだが君、去年会ってはいないか?」

「瑞姫の話では、会っておるな。たしか、瑞姫の恋愛嗜好を否定したことで、瑞姫が家出。その後、儂に諭された、と」

「……あぁ! あの時の小僧か! 今時珍しく、私にあのような口を利ける気骨のある男だったので、覚えているぞ! そうか、君があの時の。それならば、私は瑞姫の結婚に文句はない」

 

 む? 文句はないとな?

 

「儂、殺されるかも、とか思っておったんじゃが……」

「あぁ、君のご両親から聞いたのか。確かに、変な男が来たら大反対だったかもしれないが……君のような者なら大歓迎だ。それに、あの二人の子供ということならば、反対するよりも賛成した方が得だからな」

「……儂の両親、何者」

 

 羽衣梓グループの会長に、賛成した方が得だと思わせるような両親とは一体……。

 

「あとは、娘が二人増えると考えれば私にも利点だらけだ。やはり、可愛らしい娘と言うのは男親としては嬉しいものだからな」

「儂、元男なんじゃが」

「『TSF症候群』を発症させれば、元の性別よりも今の性別の方で考えられる。前よりも今、というわけだ」

 

 なんじゃ、結構厳しそうな父親だと思っておったが、割と普通じゃな。

 

 むしろ、いい親なのではないか?

 

 瑞姫の家出理由がしょうもなかっただけで、実際はそうでもないような……。

 

「それに……」

「それに?」

 

 どうしたんじゃろうか? 微妙に震えておるんじゃが……。

 

 なんて、呑気に考えておった時じゃった。

 

「私は……小さい少女が大好きなのだッッ!」

 

 ………………突然、とんでもないことを暴露された。

 

「特に、君のような眠たげな眼をして、年寄りのような口調で話す少女はもっと好きだ! ギャップがたまらんッ! あと、その現実的に考えたらおかしいような桜色の髪も、とてもよく似合っていて、素晴らしいと思う。やはり……ロリは最高ということだな! 私は、君のような娘が増えることを、嬉しく思う! もちろん、美穂さんもね!」

 

 硬直する儂らをよそに、瑞姫の父上は熱く語った。

 

 そして、硬直した儂と美穂は思った。

 

『あ、瑞姫の父親だな』

 

 と。

 

 つまるところ…………変態(ロリコン)の父親も、変態(ロリコン)だった。




 どうも、九十九一です。
 変態は遺伝すると思います。現状、瑞姫の親は父親しか出て来ていませんが、母親もいつか出てくると思います。なるべく早めに出したいですね。多分。
 せっかく結婚させたんだし、結婚式とかやった方がいいですかね、中身的に。どうなんだろ。
 明日も10時……と言いたいところですが、もしかすると、17時になるかもしれないので、その辺りはご了承ください。まあ、出すことに変わりはないので!
 では。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。