爺口調な男子高校生が、のじゃろりになってTSライフを送るだけの日常   作:九十九一

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日常24 結婚式の話。まひろは追い詰められる

 瑞姫の父親(名前は、羽衣梓繁晴(しげはる)だそうじゃ)が、マジで瑞姫の父親だなと認識した後、普通に話をした。

 

「さて、まずは何と言うか、結婚おめでとう、と言うべきだろうか。少し遅れたが、まひろちゃんと美穂さんは、今後ともよろしく頼む」

「こちらこそ、よろしくお願いします」

「……なぜ、儂だけちゃん付けなんじゃ」

「さん、と付けるにはまひろちゃんは外見が幼いからな。まあ、いいではないか。少なくとも、瑞姫はそう呼んでいるんだろ?」

「はい!」

「ならば、私もそう呼ぶだけだ」

 

 ……と、口では言っておるが、こやつ、単純に儂の容姿が気に入っている且つ、ロリコンだからちゃん付けなのではなかろうか。

 

 だって、少し顔が緩んでおるし。

 

 ……そうか、考えてみれば、こやつは今後、義理の父となるわけか。

 

 変態が義理の父と言うのも、なんかあれじゃな……。まあ、そんなこと言ったら、儂の両親も十分イカレておるが。

 

「まさか、瑞姫の持っていた薄い本に描かれていたキャラクターのような幼女と、瑞姫が結婚するとは……世の中わからないものだ」

「本当にな」

 

 薄い本て。

 

 こやつ、どうやって薄い本なんて仕入れたんじゃ? 紛いなりにもお嬢なんじゃろ? 買うにしたって、色々と問題がありそうなんじゃが……。

 

「そう言えば、瑞姫に聞いたんですけど、私たちの新居を建ててくれるみたいですけど……」

「ああ、それか。もちろんだとも。瑞姫が気に入った相手なら、私は金に糸目は付けない。それが、美穂さんやまひろちゃんのような可愛らしい少女たちであるのならば、下手なものは建てられんさ」

「それはありがたいんじゃが……本当によいのか? なんか、そちらにばかり負担が言っている気がするのじゃが……」

「ははは、構わん構わん! 私が好きでしていることだ、気にしないでくれ」

 

 なんじゃ、外見とは裏腹に陽気なおっさんじゃな。

 

 オールバックでグラサンかけて、さらには顔のでかい傷があるからのう。あと、体もでかい。筋肉がかなりあるのか、ものすごくガタイがいいしな。

 

 なのに、口を開けばロリコンだとか、よく笑うような陽気なおっさん。

 

 まあ、付き合いやすくはありそうじゃがな。

 

「新居の方は、期待してくれ。きっと、二人が気に入るようなものを用意するからな」

「ありがとうございます」

「ありがとうじゃ」

「いいってことだ。……して、結婚式の日取りだが……」

「む、結婚式ってするのか!?」

「当たり前じゃないか。そうだろう? 二人とも」

「「もちろん(です)!」」

「えぇぇぇ……」

 

 結婚式するの? マジで? 本当に?

 

 ……儂としては、入籍しただけで十分なレベルなんじゃが……。

 

 あと、まだ高校生だと言うのに、挙げるのか? 儂、すっごく面倒なんじゃが。

 

「まひろは結婚式したくないの?」

「……正直めんどくさい」

「まひろちゃんらしいですね」

「だって、面倒じゃろ? あの、なんじゃ。両親への手紙? とか、儂書けんよ? 文才ないし、そもそもうちの両親頭がおかしいし、何より、家にいる時間が本当に少ない。儂が男だから、とか言う理由で、儂をほったらかして会社の近くにマンションを借りて住むくらいじゃぞ? どう感謝しろと。儂の場合、ほとんど爺ちゃんが育ててくれたようなもんじゃし」

「あー……そう言えば、まひろの両親って結構おかしかったわ」

「そこまで変なのですか?」

「変じゃな。そもそも、儂が小さい頃の男物の服を捨てて、女装させていた頃の女児向けの衣服だけを残すような親じゃぞ? あと、儂が『TSF症候群』を発症したと聞いて、大事な仕事をほっぽり出して帰ってくるような親じゃ。感謝はそれなりにしておるが、手紙に書け、と言われても書けるかどうか……」

「たしかに、ちょっと難しいかもしれませんね」

 

 考えてみれば、小学生の頃から家事をしておったからのう……。

 

 家にいない時が多く、結果的に儂でどうにかするしかなかったわけで。

 

 家って、掃除しないと埃だらけになって、寝苦しくなるんじゃぞ? 儂にとって、睡眠が一番大事な物。それを妨げるような環境はさすがに嫌じゃ。

 

「でも、そういうスピーチって、新婦の人がやってるイメージよね」

「たしかにそうですね。テレビや動画サイトで見かけるものですと、新郎の方がやっているのをあまり見ません。カットされてるんでしょうか?」

「まあ、男が言ったところで、みたいなところはあるしな。実際、瑞姫の父上はどうだったのじゃ?」

「私か? 私は会社を背負って立つという意味で、所信表明をさせられたな。そう言ったものは、妻がしていたよ」

「やっぱり、大変なんですね、家庭環境的に」

「そうでもない。私は、幼少の頃から会社を継ぐ気だったからな。その所信表明を練りに練ったおかげで、さらに会社が成長する結果となったわけなので、全然問題はないさ」

 

 金持ちは色々と違うな。

 

 儂なんて、一般的な庶民家庭じゃからな。

 

 気持ちがまったくわからん。

 

「しかし、仮に結婚式を挙げるとして……儂らはちと特殊ではないか? 何せ、儂には嫁が二人おるわけじゃし……」

「「嫁ではなく、旦那よ(です)」」

 

 そこまでして旦那になりたいのか。

 

「いや、儂が旦那じゃろ」

「何言ってるのよ。まひろは嫁でしょう。嫁力的に」

「そうですよ。まひろちゃんが働かずとも、わたしと美穂さんで養いますよ? それに、基本的に受け身ではないですか。ベッドの上とか」

「おまっ、それを父親の前で言うか普通!?」

 

 とんでもないことを言いよったんじゃが!?

 

 たまに思うが、こやつに羞恥心というものは無いのか!

 

 儂が言えた義理ではないかもしれんが!

 

「そうかそうか。もうすでに、初夜は迎えていたのか。娘の成長と言うものは、早いものだな……」

「どこで感慨に耽っておるんじゃ!? 娘の情事でするものじゃないじゃろ!?」

 

 微妙にジーンとした表情するのやめてもらえるかの!?

 

 あと、なんでちょっと涙流しておるんじゃ、こやつは!

 

「まひろちゃん、情事ではありませんよ。情事と言うのは、恋人関係、もしくは夫婦ではない相手との肉体関係のことを言います。わたしたちは婚姻届を提出した後にシていますので、情事ではありません。どちらかと言えば、夫婦の営みではないでしょうか」

「おぬしとんでもないことを言っておるからな!? しかも、父親の前じゃからな!? おぬしに羞恥心というものは無いのか!?」

「さすがにプレイの内容を言うのは恥ずかしいですが、それ以外でしたら特には」

「変態かおぬし!?」

「失礼ですね。淑女ですよ」

「変態淑女、ということか?」

「本当に失礼ですね!」

 

 しかし、どう考えても淑女の頭には変態が付くじゃろ、こやつの場合。

 

 と言うかじゃな。父親の前で、そう言ったことを言える時点で、割とおかしいと思うんじゃが、儂でもさすがに言わんぞ。

 

 性癖とかはバレてるっぽいが!

 

「ともかく、まひろちゃんは受け身です。とっても受け身です。昨日なんて、わたしと美穂さんの攻めによって、ずっとヘロヘロだったじゃないですか」

「そういうこと言うのやめてもらえるかの!? 儂、すっごい恥ずかしいんじゃけど!?」

「でも実際、昨日のまひろはすごかったしね。嫌とか、止めて、とか言ってる割には、体の方は正直だったし」

「おぬしも混ざるの!? お願いじゃから! そういう恥ずかしい話をするのはやめてくれぇ! 本当に恥ずかしいんじゃよぉ! 何でもするから本当に許してぇ!」

 

 あまりの恥ずかしさに、儂は涙目になりながら二人に懇願した。

 

 基本的に羞恥心は薄い方じゃけど、自分のそういう性的なあれこれの話をされるのは本当に恥ずかしい!

 

 自分からする分には構わんが、他の者に言われるのだけは無理!

 

「「ん? 今何でもするって言った(言いました)よね?」」

「…………あ」

 

 しまった! あまりの恥ずかしさに、思わずとんでもないことを口走っておった!

 

 くそぅ、なんか今日の儂、ついてなさすぎじゃろ!

 

 失言じゃった……儂、一体何をやらされるんじゃろう……?

 

 なんて、心の中でビクビクしておったら、

 

「じゃあ、結婚式を挙げましょう」

 

 結婚式を挙げるよう、と言われた。

 

「……え? そんなことでよいのか?」

 

 まさかの内容に、思わず儂もぽかん。

 

 この二人なら、もっととんでもないことをやらせようとしてくるのでは? と思ったし……。

 

 思ったよりも普通じゃった。

 

「そんなこととは何よ。結婚式っていうのは、一生の思い出なのよ? やっぱり、したいじゃない」

「……いやまあ、するのが面倒だっただけで、おぬしらが強く願うんじゃったら、儂も渋々了承したが……」

「それならよかったです。先ほどの言質が役に立ちそうですから」

 

 にっこりと微笑みながら、そう言葉にする瑞姫。

 

「……瑞姫、それはどういう意味じゃ?」

 

 なんじゃ、嫌な予感がしてきたぞ、儂。

 

「というわけですのでお父様。ウェディングドレスは一着でお願いします」

「わかった。こちらで手配しよう」

「……ちょっと待て瑞姫。一着とはどういうことじゃ? おぬしと美穂で二着ではないのか?」

「何を言っているのですか?」

「……え?」

「ウェディングドレスを着るのは、まひろちゃんですよ?」

「……………………は!?」

 

 とんでもないことを言われて、思わず素っ頓狂な声を出してしまう。

 

 何を言っておるんじゃ!?

 

「だって、わたしと美穂さんが夫になるわけですし、それならお嫁さんのまひろちゃんはウェディングドレスですよね?」

「その理屈はおかしくないか!?」

「ウェディングドレスも着てみたかったと言えば着てみたかったけど、実はタキシードもちょっと気になってたのよね」

「待て美穂! タキシードは本来男が着るものじゃ! 普通、女が着たいと思うようなものではないと思うぞ!?」

「別に、何を着てもいいじゃない。だって、面白くない? 男の人じゃなくて、女の方がタキシードを着るのよ? 一生の思い出に残りそうじゃない」

「普通の結婚式でよくね!? 儂がタキシードでいいと思うんじゃけど!」

 

 儂、ウェディングドレスなんて着たくないんじゃが!

 だって、あんな純白でふわふわで、ひらひらしたような服とか動き難そうなんじゃもん!

 あと、着るのがめんどくさそう!

 

「何を言うの。特別なことをするからこそ、思い出に残るんじゃない」

「そもそも、高校在学中に結婚式を挙げるだけですでに特別じゃからな!? 変なところにまで特別なことをしようとするでないわ!」

「ですが、まひろちゃんは先ほど『なんでもする』と言っておりましたよ? まさか、嘘だったのですか? それとも、一度口にしたことを反故にするのですか?」

「うっ……」

「まひろは嘘は吐くけど、約束はちゃーんと守る人だったのになー」

「そうですねー。聞けばまひろちゃんは、めんどくさがりで睡眠第一の方ですけど、お友達や家族は大切にする方だと聞きました。ということは、夫であるわたしと美穂さんに対し言ったことも、もちろん守る方だと思っていたのですが……」

「うぐっ……」

「「はぁ、残念だ(です)……」」

「うぐぐぐ……」

 

 容赦なく、言葉で儂の心をグサグサと突き刺してきおる……!

 

 たしかに、儂は約束は守る方じゃ。

 

 しかし……しかし!

 

 さすがの儂でもウェディングドレスはっ……!

 

「「まひろ(ちゃんは)は、とっても素敵なお嫁さんだと思うんだけどな(ですけど)……夫のお願いも聞けないんじゃ(のでは)、とても心が狭いと思うんだけどなぁ(のですけど)……チラッ」」

 

 うぬぬぬぬぬぬ~~~~~……!

 

「わ、わかったのじゃ! 着ればいいんじゃろ!? 着れば!」

「「イェー!」」

 

 パンッ! と、二人が満面の笑みでハイタッチを交わす。

 

 うぅ、まさか元男の儂がウェディングドレスを着る羽目になるとは……。

 

 しかもこの二人、容赦なく儂の精神の方にダメージを与えて来るし……。

 

 もしかして儂、この二人の尻に敷かれておるのかの……?

 

「話は終わったみたいだな。では、この後すぐ三人の採寸をしよう。式は各家の都合が合う日となる。連絡はこちらで済ませておくので、それまでは気ままに暮らすといい。家の方は、今日から建築に入っているので、安心して欲しい」

 

 仕事が早いのう……。

 

 はぁ……ウェディングドレス、か……。

 

 なんか、ものすごく憂鬱じゃな……。

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