爺口調な男子高校生が、のじゃろりになってTSライフを送るだけの日常   作:九十九一

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日常28 昼休み。やっぱり嫁属性なまひろ

「んっ…………ふぁあぁぁぁぁぁ……ん~ゅ。ここは……」

「ようやく起きたわね」

「おはようございます、まひろちゃん」

「むぅ……? 美穂に、瑞姫? ……儂は一体……」

 

 目が覚めると、目の前にはいい笑顔の美穂と瑞姫がおった。

 寝起きなせいか、頭の中は靄がかかったようになっており、なんだかぼーっとする。

 上半身を起こし、ごしごしと両手で眼をこすり、辺りを見ると……。

 

「……む? 教室、か?」

 

 教室におった。

 

 たしか儂、グラウンドにおったはずじゃが……。

 

 それで、走り終えて、芝生で寝そべっておったら、そのまま眠くなって寝て……って、む? なんで儂、教室におるのじゃ?

 

 しかも、儂が寝ておるの、机の上じゃし。

 

 どこから持ってきたのか知らぬが、何気に布団まで……。

 

「あんた、走り終えた後、ずっと芝生で眠ってたわよ」

「マジで?」

「マジですよ、まひろちゃん。とっても気持ちよさそうに眠っていました」

「……なぜ、誰も起こしてくれなかったのじゃ?」

「松岡先生が『まあ、『TSF症候群』なんてものを発症して疲れていたんだろう。そのまま寝かせてやれ。どうせ、次は昼休みだからな!』って言って、そのまま寝かせてくれたのよ」

「……さすが、松岡教諭。生徒第一で考える教師」

 

 何のかんの言って、生徒に最も甘い教師、とも言われておるがな。

 

「……しかし、そうか。もう昼休みなのか。ならば、昼食にするとしようか」

「そうね」

「もう準備は出来てますよ」

「早いな」

「まあ、昼休みが始まってからもう五分は経ってるしね」

 

 なんじゃ、もう五分も使ってしまったのか。

 

「どれ、早速食べるとするかの。と言っても、儂が作った弁当じゃから、中身は知っておるんじゃがな」

 

 ドキドキ感がないのが、いささか残念なところではあるが……まあ、自分の好物などを入れられると考えれば、それはそれで得、か。

 

 なんて、そんな事を思っての発言だったのじゃが、

 

『『『!?』』』

「む、なんじゃおぬしら。儂が弁当を作ったのが意外か?」

 

 儂が弁当のことを言ったら、周囲のクラスメートたちがやけに驚いたような反応を見せた。

 

『い、いや、だってあの桜花だぞ? いつも寝てばっかの桜花だぞ?』

『ぐーたら系男子の桜花が、まさか料理ができるわけ……』

『『『うんうん』』』

「おぬしら失礼じゃからな?」

 

 男子は失礼な奴しかおらんのか。

 

 ……まあよい。

 

「ほれ、美穂、瑞姫、おぬしらの弁当じゃ」

「ありがと」

「ありがとうございます! まひろちゃんの手料理……!」

「味はあまり期待するでないぞ。儂は家庭料理程度しか作れぬからな」

 

 凝ったものも作れないことはないが、そこまで作るわけでもない。

 

 得意かどうかと訊かれれば、得意とは言い難いものじゃからな。

 

 まあ、今後はそう言った機会も増えそうではあるのじゃがな。

 

「……まひろの家に住むようになって思ったけど、ほんと、性格とスキルがかみ合ってないわよね、あんた」

「なんじゃ、おぬしらからしても、儂が料理できるのがそんなに意外か?」

「そりゃ意外でしょ。だってあんた、去年の家庭科とかも他人に任せきりだったじゃない」

「めんどうじゃからな。儂は、必要最低限のことだけしかしとらんよ。というか、別に自慢するようなことでもなかろう? 料理なぞ、一人暮らしをしておればおのずと身につくものじゃ。むしろ、一人暮らしで料理ができなかったら色々と経済的にきついじゃろ」

『『『うっ……』』』

 

 む、なんか今、周囲にいたクラスメートの内、何名かが唸っていたような……。

 

 まさか、一人暮らしで料理ができない者がいるのか?

 

 ……いや、普通に考えればそうかもしれぬ。何せ、料理を作ると言うのは面倒くさいからのぅ。

 

 しかもそれが、部活動をしている者であればなおさらか。

 

 ふむ、そう考えれば儂の発言は何かと酷いものなのかもしれぬ。

 

「いや、無神経な発言じゃったな。別段料理ができなくても問題は無かろう。今の世の中、インスタントや弁当のレベルも高いしの。それに、一人分であれば実は買った方が安い、というのも事実じゃし」

『『『そのフォローが余計に胸に刺さる……!』』』

 

 む? もしや儂、余計なことを言ったかの?

 

「……まあ、ぐーたらな幼女に『一人暮らしは料理ができる方が普通』みたいなことを遠回しに言われたら、そりゃ心に来るわ。特に女子なんかは」

「そうですね。まひろちゃんは、ぐーたらさんですから」

「なんじゃ? 儂、変なことを言ったかの?」

「そう言うわけじゃないけど……まあ、あれよ。女の子のプライド、的なものが傷ついただけよ」

「……むぅ?」

 

 いまいちよくわからぬな、女子と言うものは。

 

 今の儂も、女子なんじゃがな。

 

「ともあれ、食べるとするか」

「そう言えばまひろ、弁当箱小さくない?」

「あぁ、これか? この姿じゃと、儂はそこまで食べることができないのじゃよ。胃が小さくなっておる。まあ、そうでなくとも、儂はもともと小食じゃからな」

「そうなのですか?」

「うむ。一般的なファミレスで出てくる、ハンバーグセットがあるじゃろ? あれのライスを半分にしたくらいが、儂にとって一番ちょうどいい量じゃ」

「私より食べてない……」

「わたしももう少し食べますが」

 

 なるほど。

 

 やはり、儂は男の時でもそこまで食べないと言う認識で正しかったようじゃな。

 

 ま、小食でも問題はないので、そこまで気にしてなかったがな。

 

 さて、飯を食べるとするか。

 

 弁当箱を開けると、そこには儂が箱に詰めた料理や白米が入っておった。

 

 儂の弁当箱には、白米少しと、ミートボール一個。ミニハンバーグが一個に、サラダが少し多めとプチトマトが入っておった。

 

 ちなみに、美穂と瑞姫には、儂の弁当箱に入っているおかずと白米の量を増やし、プラスでミニグラタンを入れておいた。

 

「まひろ、これって冷凍食品?」

「一部はそうじゃが?」

「一部ですか?」

「うむ。その中に入っておるおかずの中で、冷凍食品はグラタンだけじゃ。他は全部、儂の手作りじゃよ」

「「え!?」」

「む? どうした、二人して驚いたような声を上げて」

 

 そんなに驚くようなことを言ったかの?

 

 たかだか料理を作ったことを言っただけなのじゃが。

 

「め、めんどくさがりのまひろが、普通に弁当を……?」

「まひろちゃん、どこか悪いところでもあるのですか!?」

「ちょっと待て。なぜ儂が普通に弁当を作っただけで、そこまで言われなければならないのじゃ? って、おい、熱を測ろうとするでない。美穂は保健室に行こうとするな!」

「でも、めんどくさがりのあんたらしくない行動してるし……」

「まひろちゃんは、簡易的なもので済ませるイメージがありましたので……」

「……おぬしら儂をどう思っているか、よーくわかった。じゃがな、儂とて普通に料理はする。あとは、まあ……あれじゃ。わ、儂だって、結婚した相手くらいには、真面目に弁当を作って、美味しいと思ってもらいたい、と、思うわけ、じゃし……」

「「はぅあ!」」

 

 顔を赤くさせ、少しだけはにかみながらもじもじと言うと、二人は胸を押さえて前かがみになった。

 

 それと同時に周囲では、

 

『『『ごふっ』』』

 

 なんか倒れるものが出た。

 

 え、儂、何か変なこと言ったかの……?

 

『よ、幼女のあの表情の破壊力はやべぇ……』

『嫁……あのぐーたらな桜花が嫁属性だと言うのか……!』

『くっ、あれはたしかに、男女関係なく、惚れるッ……!』

『ど、どうしよう、今のまひろちゃんの言動と表情にきゅんと来ちゃった』

『桜花君の時とは比べ物にならないくらい、可愛い!』

『というか、あの耳と尻尾をもふもふしたい!』

 

 耳と尻尾?

 

 そう言えば、よく音が聞こえるし、匂いもいつもより強く感じる。

 

 ……あぁ。

 

「儂、能力を切り忘れておったのか」

 

 どうりで、いつもより少しうるさく聴こえるわけじゃ。

 

 それに、体育の後だからか、制汗剤やらウェットシートやらの匂いが強い。あれか、シー〇リーズと言う奴か?

 

 儂は今まで気にしたこともなかったので、名前しか知らぬが……うむ。このような匂いなのじゃな。

 

 ……ちと、不快かもしん。

 

 狼だからじゃろうか?

 

「む? 二人とも、大丈夫か?」

「……あ、あんた、唐突に萌え殺すようなこと、言わないでよ……今、死ぬかと思ったじゃない」

「ち、小さな女の子の……は、はにかみながらの新婚さんのようなあのセリフ……わ、わたし、今にも昇天しちゃいそうですぅ~~~……」

 

 どうやら、先ほどの儂の言い方が原因だったらしい。

 

「……儂、ちと恥ずかしくなってきたのじゃが……」

「いいえ、いいえ! 全然恥ずかしくなどありませんよ! とても可愛らしい表情に、萌えるようなセリフでした! 正直、ここでなければ襲っているところです!」

「おぬし今とんでもないことを言ったからな!?」

 

 サラッとやべーことを言いおったんじゃが!

 

『お、襲う?』

『しかし、あの可愛さの幼女なら……襲うな、うん』

『普通のことだな、普通の事』

 

 うわ、あれ現実逃避じゃろ、絶対。

 

『俺たちの憧れだったお嬢様美少女が変態なわけない』

 

 とか思っていそうじゃな、あの表情。

 

 ふっ……儂も、最初はそう思っておったよ……。

 

 じゃが、いざふたを開けてみてみれば、瑞姫はどうしようもないくらいのロリコンで、そのロリを襲うようなとんでもない変態だったんじゃ……。

 

「……と、ともかく! さっさと食べるぞ。時間が無くなってしまう」

「それもそうね。じゃ、いただきます」

「いただきます!」

 

 はぁ、すでに疲れた。

 

 

 そんなこんなで、無事(?)に一日が終わり、いざ帰ろう……と思ったところで、

 

『生徒の呼び出しをします。二年三組の桜花まひろちゃん。至急、図書館へお越しください。繰り返します。二年三組の桜花まひろちゃん。至急、図書館へお越しください』

 

 呼び出しがかかった。

 

 というか……

 

「なんで儂ちゃん付けなんじゃ!?」

『『『幼女だから』』』

 

 ちくしょーめ! クラス全員で一斉に言いおって……!

 

「大方、委員長だからでしょうけど、まあ行ってきなさいよ。私たちは先に帰っていることにするわ」

「え、でも、それですと、まひろちゃんが遅くなった時危険では?」

「……儂、元男じゃよ? あと、『獣化』の能力でどうとでもなる。見たじゃろ? 体育の授業」

「……それもそうですね。たしか、猫にも変身できるのでしたよね?」

「うむ。最悪、それの夜目を使って帰るので、安心するがよい」

 

 というか、一人で帰りたい時だってある。

 

「……それでも心配ですし、ここはボディーガードをつけることとにしましょう」

「む?」

「あ、もしもしお父様ですか? はい、わたしです。まひろちゃんが今日委員会で家に帰宅するのが遅くなるそうですので、ボディーガードを……あ、普段からつけている? そうなのですね! ありがとうございます! では」

「おいちょっと待て! え、なに? 儂、ボディーガードついておったの!?」

「どうやらそうみたいです。まひろちゃん、というより、美穂さんにもついているようですよ?」

「なんで!?」

 

 知らない間に、ボディーガードつけられておったのじゃが!

 

 しかも、儂だけでなく、美穂もとな!?

 

 一体どこじゃ、どこにおるのじゃ!?

 

 きょろきょろと周囲を見回しておると、教室の窓の外。その少し先にある木々の上に……よく見たら、黒い服の男がいた。

 

 う、うわぁ……とんでもないところにおるんじゃが……。

 

 あれ、変質者と思われても仕方がない気がするのじゃが。

 

「なんで、と言われましても、危険を限りなく0にするためですが……。それに、わたしたちが結婚したことは、いずれ公になるのです。さらに言えば、会社を狙った誘拐事件が発生しないとも限りません。実質、お二人はわたしの父とも義父、義娘の関係ともなりましたので、誘拐された場合は羽衣梓グループの方でも動かなければならない事態にもなってしまいますから」

「……儂、もしかして結構すごい立場だったり?」

「……私も、そうだったり?」

「そうですね。お二人は実質的に、羽衣梓グループの会長に近しい者、という立場になっています」

 

 ……なんてこったい。

 

 となると、今後誘拐事件が発生しないとも限りないわけか。

 

 面倒じゃな……。

 

 ……まあ、儂も結婚を承諾してしまったわけじゃし、今更と言えば今更じゃな。

 

「その辺りは理解した。まあ、勝手に守ってくれるのならば、別に構わん」

「それはよかったです。ボディーガードのみなさんも、張り切っていましたので」

「そうなの?」

「はい。なんでも『ッシャオラー! お前ら、お嬢の嫁とその嫁の旦那は命に代えても守るぞッ! 百合カップル×2を邪魔する奴は、半殺しだァ!』と言っていましたので」

「おぬしの家は、ボディーガードすらもおかしいのか!?」

 

 まさかとは思うが、百合好き? 百合好きなのか!?

 

 というか、

 

「儂、嫁と認識されておるの!? そんでもって、おぬしらが旦那と認識されておるのか!?」

「「当たり前よね(ですよね)」」

 

 満面の笑みで肯定された。

 

「くそぅ!」

 

 その事実は覆らないということかっ……!

 

「というか、あんたはさっさと図書館に行った方がいいんじゃないの?」

「……それもそうじゃな。仕方ない、か。それじゃ、儂はそろそろ行くとしよう。あ、ついでに買い物もお願いできるか?」

「いいわよ」

「お嫁さんのお買い物を手伝うのも、夫の務めです!」

「……あー、はいはい。わかったから、このメモに書かれてある物を頼む。今日の夕飯の材料と、洗剤に漂白剤、あとシャンプーとリンスが書かれてあるので、よろしく頼む」

「「……やっぱり、お嫁さん」」

「うるさいわい! いいからさっさと行くのじゃ!」

「はいはい。それじゃ、頑張ってね、まひろ委員長」

「頑張ってくださいね、まひろちゃん!」

 

 美穂はからかうように、瑞姫は純粋に応援するように先に帰って行った。

 

「はぁ……さて、図書館に行くかの」

 

 めんどくさいったらありゃしないのぅ。




 どうも、九十九一です。
 この小説の投稿を始めてから、三週間でしょうか? 地味に行きましたね。うん。早い。
 と、そんなことはどうでもよかったですね。とりあえず、明日もいつも通りだと思いますので、よろしくお願いします。
 では。
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