爺口調な男子高校生が、のじゃろりになってTSライフを送るだけの日常   作:九十九一

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日常43 愚痴り合い。色恋沙汰等が多い

「うむうむ、美味いのう、ここの飯は」

「だろう? 俺たちも、交流会がある度に楽しみにしてるんだよ。こんな高級料理が食えるのなんて、交流会の時くらいのものだからな」

「ちなみに、これが食べたくて来てる人もいるみたいだよ」

「それは理解できるのう」

 

 愚痴を聞く前にまずは腹ごしらえということになり、試しに近くにあった料理を食べてみると、普通に美味かった。

 

 高級ホテルなだけあって、料理は美味。

 食材を見れば、普通に高そうなものを使われているところを見ると、ちと気後れするが……まあ、食べる機会などないと思えば、そんな気後れなどは些末な物。

 

 結果、普通に食べた。

 

 と言っても、儂は小食故、あまり食べられないのじゃがな。

 

 考えて食わねば。

 

「さて、飯を食いながら話すとしようか。……そもそもの話、おぬしらには愚痴はあるのか? 儂が言い出しておいてなんじゃが」

「そりゃあるぜ。俺はまあ……見ての通り、清楚系の美少女だろ?」

「自分で言うか、それ」

「仕方ないだろ、俺の理想の異性って言えばこんなんだったんだから」

「まあ、発症者の姿は、自身の理想の異性の姿になるわけじゃからな。して、それが何かあるのか?」

「まあ、な……」

 

 なんじゃ、遠い目をしておるんじゃが。

 他の三人を見れば、あー、と苦笑いを浮かべておった。

 

「いや、ほら。俺って女じゃん? しかも、美少女だしさ、まあ、何て言うか……男からの視線とかが、な」

「視線くらいならば、そこまで気にすることではない気がするのじゃが」

「いやいや、それはまひろ君のような外見だったらだよ。この通り、僕と未久斗君のようなボンキュッボンな美少女は、ものすごい視線を向けられるんだよ」

「ふむ……そう言えば、儂も成長時はそう言う感じゃったのう。あまり気には止めんかったが」

 

 じゃが、たしかに微妙に不快な気持ちになったような気はするな。

 あれはたしかに、人によっては嫌かもしれぬな。

 

「成長? もしかして、成長系の類なの? 能力」

「うむ。儂の所持しておる能力の内一つが、そう言うものじゃな。まあ、逆もできるが」

「へぇ~、ねえねえ、どんな能力なのかなー?」

「これって、別に言っても大丈夫なのかのう?」

 

 態音にどんな能力なのか尋ねられたが、能力を言ってもいいのかわからなかったので、訊いてみる。

 

「問題ないよ。そういうケチな人はあんましいないからね。それ以前に、ほら、あっち見てあっち」

「む? ……おぉぅ。なるほど……」

 

 敏男に指差された方を向けば、そこには火を噴くイケメンとか、リアルテトリスをする者たちがおった。

 

 ストレス発散、か。

 ……しかし、あのテトリスはどういう能力なんじゃろうか。やはり、テトリス、みたいな感じなのかの?

 

「だから、まひろが能力を言っても問題ないよー」

「ふむ、そうなのか。まあ、別に減るもんでもないしよいか。まあ、簡単に言えば、自分の体を成長させたり、反対に退行させたりすることができるのじゃよ」

「ということは、大人になったり、反対に子供になったりすることもできる、っていうことかな?」

「うむ、その通りじゃ」

「へぇ、なんつーか、地味ながらもとんでもない能力だなー」

「そうか? 不老不死に近い能力とも言われてはおるが、成長退行が自由自在というだけじゃぞ?」

「え、不老不死?」

「うむ。不老不死。まあ、どちらかというと不老だけのような気もするがな」

 

 死なないわけではないので。

 

 ……ただまあ、この能力の本質自体はわかってはおらんのじゃがな。

 

「デメリットはどんなものなんだい?」

「成長時、カロリーを消費して維持するので、かなり腹が空く。退行時は試したことがないからわからんが、おそらくそっちのデメリットはないと思うぞ。まだ調べてないからわからぬ」

「能力の割に、デメリット薄いね」

「ま、そうじゃな。一応、成長時で固定はできるそうじゃが、腹が空くのは好まん。なので、基本は今のロリ形態というわけじゃ」

「へぇー、面白い人が来たねー」

「うん。私もその能力はびっくり。まひろ、成長するとどんな姿になるの?」

「ボンキュッボンの美少女になるぞ」

「あー、そりゃたしかに、視線来るなぁ。ってか、その姿でいたことあんのか」

「買い物でちとな」

 

 それ以降、あの姿になってはおらんがな。

 

 カロリーを消費してのものとなると、お世辞にも使い勝手がいい、とは言えぬからのう。

 

「んで、愚痴の続きじゃが……ほれ、未久斗よ。続きはどうなのじゃ?」

「っと、そうだった。さっき話したようにさ、俺って結構スタイルいいんで、街を歩くと変な男に絡まれたりすんだよ」

「なるほどのう。まあ、おぬしのような外見の女は、早々おらんからな。当然と言えば当然か」

 

 黒髪ロングの清楚系美少女と考えれば、当たり前のようにも思える。

 実際、そういう女子がタイプ、という奴は割とおったからのう。儂の知り合いに。

 もし、そやつがこの場におったら、即座に口説きに行きそうじゃな。成功は絶対にしなさそうじゃが。

 

「いやー、ははは……。んで、厄介なのはそこじゃなくて、今通ってる学校の方でさ。俺、高一の途中からこうなったんだけどよ、何て言うの? 男子って、バカじゃん?」

「バカじゃな」

 

 元男だからこそ、肯定できる。

 本当に、バカじゃからな、男って。

 

「でさ、十中八九俺が元々気安い性格だったってのが災いしてさ、何と言うか……ほら、ヤろうぜ、とか言ってくるわけよ」

「うわぁ……」

「わかるわかる。僕も言われたよ。まあ、僕の場合はただただ変態だったから、って言う理由なんだけどね」

 

 苦笑いを浮かべながら、敏男がそう言う。

 変態だから、とは言っても限度がある気がするが。

 

「んでよ、いくら俺が元男って言ってもさ、いきなりそれは……なぁ?」

「うむ。それはダメじゃな。それがものすごく仲がよい幼馴染であれば、まだ一考したかもしれぬが……」

「そう、そうなんだよ。知り合い以上友達未満の奴らに言われても、『ハァ?』ってなるだけじゃん?」

「そうじゃな」

「それで断るんだけどよ、しつこい奴はほんっとにしつこくてなぁ……おかげで、普段からストレスが溜まりまくりで、困ってんだよ」

「なるほどのう……」

 

 それは確かに、ストレスが溜まるのう。

 もし、儂がその立場であれば、迷うことなくぶん殴っているところじゃ。

 

「儂の場合は、見ての通り小学生くらいなんで、そういうのはなかったのう」

「まあ、まひろとそう言うことをしたいって言うことは、ド変態だものね。一生、ド変態ロリコンの称号を背負うことになるよ」

「……まあ、儂の旦那の一人がどうしようもないロリコンなわけじゃが」

「「「「うわぁ……」」」」

 

 同情再び。

 

 ふぅむ、儂の境遇、やっぱりやべーんじゃな。

 

「……して、そう言う輩がおるということは、当然無理矢理にでもする奴がるのではないか?」

「まあな。でも、そこは発症者。荒事に対処可能な能力を二つ持っててな。それが役に立つ」

「ほう、どのような能力なのじゃ?」

「物体操作ってのと、身体強化だ」

「ふむ。後者は名前の通りじゃが、前者はサイコキネシスというわけか?」

「その通り。まあ、そうは言っても、滅多には使わないんだけどな、両方とも」

「副作用か?」

「まあな。物体操作は、使用した対象の重さに比例して次の日頭痛が発生するんだよ」

「うっわ、地味に嫌な奴……」

「後者は、次の日使用した度合いによって、使用箇所に筋肉痛が発生」

「どっちも副作用が痛みとはのう……」

 

 とんでもないことに使えば、次の日は相当な苦痛地獄じゃな。

 

 よかった……儂、そんな痛い能力じゃなくて。心の底からほっとしたぞ。

 

「でまあ、そう言うので対処するんだよ。でもやっぱ、そう言うのがない方がいいんけどさ、見ての通りこの姿だからな。宿命みたいなもんなんだよ」

「なるほどのう……」

「知り合った奴とは言え、やっぱ誰かに聞いてもらうってのは、スッとするなぁ」

「うむうむ。ストレスは溜めないのが一番じゃ」

 

 儂なんて、不満は割と言う方じゃからな。場合によるが。

 

「次は誰が話すのじゃ?」

「私かな」

「翔か。翔はどうなんじゃ?」

「私の方は、単純に……女子のいざこざに、ね。巻き込まれるんだ……」

 

 心底疲れたような表情を塚部ながら、そう切り出す。

 

「それはどういう意味じゃ?」

「そのままの意味。女子ってさ、こう、イケメンな人がいると、裏で醜い争いがあるでしょ?」

「少女漫画などでは見かけるのう」

 

 あれじゃろ? 卑怯な策で嫌わせようとしたり、デマを流して嫌うよう仕向けたり……みたいな。特に、グループのボスとかがやるような奴。

 

「そうそれ。こういうイケメンって、女子受けがいいでしょ? だから、変なところで争いが起きてるみたいでね……。そのせいで、不登校になる娘まで出る始末で大変なんだよ。私が止めようとしても、その子は何もないの一点張りで……。もうね、どうすればいいのかわからなくて、毎日ストレスだらけ」

「それはまた……地獄じゃな」

「容姿がいいということはつまり、そういういざこざを覚悟しないといけない、ってことんだろうな」

「そうじゃな。……となると、儂は何かと恵まれた環境におるわけか」

 

 ……あー、いや。それ以前に、美穂と瑞姫が新学期初日にプロポーズしてきたことを思うと、むしろそれによって防がれたのやもしれぬ。

 

「何もないのは、羨ましいねぇ」

「何もなくはないぞ。というか儂、もう旦那が四人じゃぞ?」

「それもそっか。いやー、やっぱり発症者となると、そういう色恋沙汰とか、性にまつわることで苦労するんだねぇ」

「むしろ、苦労しないことないんじゃないかなー?」

「「「「たしかに」」」」

 

 それは事実じゃな。

 

 二人の話を聞いただけではあるが、それでも色恋や性に関する愚痴が多いのじゃろう。

 

 となると……

 

「あれじゃな。ネットでよく見かける、発症して、あれこれしたいとか言う奴らは、かなり腹立つな。見てて」

「そうなんだよ!」

「わかる! こっちの苦労も知らないで『いいよなー、発症者は。国から金貰えるんだろ? 勝ち組じゃん』とか言ってくるんだよ!? ほんっと、腹が立つ!」

「僕も、コミケとかで言われたよ。作家が発症者になるということは、それだけで宣伝になるから、羨ましいよな、って。こっちだって結構苦労してるのに」

「あー、わたしもかなー。今でこそ、こんな男の娘な外見だけど、やっぱりこう、発症者は得だよな、って男子に言われてさー。いくら寛容な人でも、あればかりは腹が立つよね」

「……やはり、そうとう溜まってるんじゃな」

「「「「当然!」」」」

 

 四人とも、よっぽど普段から言われたりしておるのじゃなぁ……。

 

 儂は今のところそう言った類のことを言われてはおらんが、インターネットではよく見かける。

 あれを見ると、多少なりとも腹が立つようになったからのう。

 

 それだけ、今の環境はストレスが溜まるということか。

 

「まあ、なんじゃ。せっかくの交流会と言う名の愚痴り大会じゃし、もっと楽しもうぞ。どんどん不平不満を言って、スッキリしようではないか。あと、儂は色々と知りたいのでな」

「おうよ! 語り明かそうぜ!」

 

 うむうむ。こやつら、儂は気に入ったぞ。

 

 この後、マジもんの愚痴り大会が儂らの間で勃発した。




 どうも、九十九一です。
 本当に愚痴り合いになった。まあ、実際問題、こういうことが現実にあったら、多分こうなるんじゃないですかね。っていう想像。でも、意外とありそう。
 明日も10時だと思いますので、よろしくお願いします。
 では。
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