爺口調な男子高校生が、のじゃろりになってTSライフを送るだけの日常   作:九十九一

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日常56 ド変態ロリコン襲来。苦労しそうなまひろ

「み、瑞姫!? な、なぜおぬしがここにおるのじゃ!?」

「まひろちゃんのいる所、わたし在りです」

「意味がわからんぞ!?」

 

 というかなんでこう、誰かしらとのフラグが建つ、もしくは建っていると、タイミングを合わせたかのようにこやつが来るのじゃ!? こやつ、実は発症者だったりせんよな!?

 

「そうですか? わたしは当然のことを言ったまでなのですが」

「おぬしの当然は明らかにおかしいからな!? というか、どうやって儂がここにいると割り出したのじゃ!?」

「ふふふ、わたしの旦那センサーの前には、まひろちゃんが隠れるなど無駄無駄! ですよ!」

「なんじゃ旦那センサーって!?」

 

 こやつ、遂に人外じみた能力まで習得してしまったと言うのか!?

 じゃが、字面が酷いと思うのは儂だけじゃろうか。

 

「えーっと、まひろちゃんに新たな旦那さんが現れるフラグを検知するセンサー、でしょうか?」

「……おぬしは、本当に人間か?」

「人間です。ただ、人より少し、小さな女の子が好きなことと、まひろちゃんを銀河一愛しているだけです」

「お、おぅ、そ、そうか……」

「まひろちゃん、照れてます?」

「ばっ、て、照れとらんわっ!」

「まひろちゃんのツンデレいただきました!」

「ぐぬぬっ……!」

 

 ぶれない……こやつ、本当にぶれない!

 しかし、面と面向かって愛していると言われたのは……まあ、少しは嬉しかったが……。

 言葉一つで、こうも嬉しいと思えてしまうとは。男の時の儂であれば、こうはいかんかったと思うんじゃがのう……。

 

「ひろ君、この娘は~?」

 

 そんな儂と瑞姫のやり取りを見て、きょとんとしていた結衣姉が儂に尋ねてくる。

 

「あー、なんじゃ。こやつはさっき言っておった、儂の旦那の一人じゃよ」

「初めまして、羽衣梓瑞姫です。そちらのお二方は、ご存知かと思いますが……」

「羽衣梓……あぁ、繫晴君の娘さんか!」

「ぬ、冬治殿、知り合いなのか?」

「仕事の関係で少しね。……まあ、実際は中学時代からの親友さ。そうかそうか。繫晴君の娘さんか。たしか、以前会ったよね?」

 

 なんとまあ、あのロリコン会長の親友とな。

 世間は狭いのう。

 

「はい。お父様の会社に来られた際に軽く」

「以前から、うちの娘が可愛すぎて辛い、とか言っていたからね。初めて会った時は、たしかに親バカになるのも頷けたと言うものさ」

「お父様ったら……」

 

 あのロリコン会長。親バカのレベルも結構高そうじゃな。

 

 うむむ……あれが義理の父だと思うと、なんだか嫌じゃな。

 

 例の子作りができるようにする薬があるが、なんか……瑞姫と儂の子供となったら、確実に変態の遺伝子が強く出そうでな……。

 

 一番まともそうなのは、アリアじゃろう。

 

「……して、瑞姫よ。断る必要はない、と言ったな?」

「言いましたね」

「それはつまり……あれか? いつものパターンか……?」

「はい。それに、まひろちゃんはアリスティアさんの時に言いました。『あと、二、三人くらいなら、まあ……』と」

「……確かに言ったけども。しかし、こういうのは他の者の許可を得なければ――」

「あ、それについては問題ありません」

「え?」

「こちらをどうぞ」

 

 すっとスマホを差し出された。

 画面には通話中の文字が。

 恐る恐る耳元のスピーカーを当て……

 

『もしもし? まひろ?』

「み、美穂?」

『よかった繋がってるみたいね。なんか、瑞姫が『旦那センサーが反応したので、まひろちゃんと新しい旦那さんをお迎えに行ってきます!』とか言って飛び出していったのよ。ってか、あんた何してたの?』

「そ、それについては後で話すので、今は勘弁してくれ。かなり面倒な事態になっておるんじゃ」

『ふーん? その面倒って、この街の大地主さんでもある『桜小路家』の屋敷でのことかしら?』

「なっ、なぜそれを!?」

 

 美穂に現在の居場所を言い当てられ、儂は思わず動揺してしまう。

 お、おかしい。昨日はたしかに、儂は逃げ切れたはず……。

 そもそも、追いかけている相手が、本物の兎になるなど予想できるはずもない。

 だと言うのに、なぜ……?

 

『瑞姫曰く『旦那センサーに反応がありましたので!』だそうよ』

「……瑞姫、マジでなんなん?」

『さぁ? 私たちでもそこは異常だと思ってるわ。でもまあ、こう片付けられるのよ』

「ほう、どのように?」

『瑞姫だからね』

「……なるほど、たしかにそれで片付けられるな。瑞姫はどうしようもない、ド変態ロリコンじゃからな」

「もしかしてわたし、貶されてます?」

「褒め言葉じゃ」

「あ、そうだったのですね。ふふ、まひろちゃんに褒められちゃいました! えへへぇ」

 

 ……ぐっ、か、可愛い……!

 こやつ、たまに可愛らしい反応をするから、困るんじゃよなぁ……。

 

「……で、なんか、許可が出てる、とか瑞姫に言われたのじゃが……本当か?」

『ええ。さっき軽く連絡が来たけど、あんた、昔結婚の約束をした人がいるんだって?』

「そこまで知っておるのか……瑞姫、マジで何者なんじゃ……」

『さぁ? 変態でいいわよ、今は』

「……そうじゃな」

 

 たしかに、それ以外に適当な言葉はあるまい。

 そうか……変態は、人間の限界を超えられるのか。

 

『それで? あんた的にはどうなの?』

「これ以上増えるのはちとなぁ……とは思っていたり……」

『ふーん? でもそれ、あくまでも相手のことを考慮していなかったらの考えよね? 相手のことも考量した場合、どうなのよ?』

「…………まあ、約束はしてしまったし、別段嫌いと言うわけでもないし……。できるならば、応えたいところではあるが……」

 

 嫌っていたら、儂はずばっというタイプじゃからな。

 だからこそ、先ほどは気まずく思ったわけで。

 

『ならいいじゃない。ね、アリス、真白さん』

 

 って、二人もいたんかい。

 

『あたしはOK! だって、あたしも途中からだったし。それに、約束は守らないとメッ! だよ?』

『……異議なし。約束は約束。それが小学生の頃でも、守らなければいけない。あと、まひろんは後でお仕置き』

「なんで!?」

 

 儂、何か悪いことした!?

 そう思っていたら、思わぬ回答がましろんから告げられた。

 

『……まひろんのせいで、昨日はわたしが瑞姫に襲われたから』

「………………すんません」

 

 すまん。それはたしかにお仕置きと言われても納得してしまうわー……。

 

 そうか……瑞姫の奴、昨日はましろんを襲ったのか……。

 ……ある意味、儂の身代わりじゃな。

 

 しかし、そうか。ましろん、襲われたのか……なるほど、じゃから瑞姫がなんだか妙にツヤツヤしていたわけか。

 で、ましろんの声がいつもよりトーンが低いと。

 

 理解。

 

「……じゃが、お仕置きは勘弁してくれ。儂、一度美穂と瑞姫に、お仕置き、と称した攻めを受けてしんどかったんじゃから……」

『あぁ、そんなことあったわね。たしか、初夜の時よね。でも、あれはまひろが可愛いのがいけないのよ? 嗜虐心を煽るような表情を浮かべて、蕩けたような表情を――』

「わーわー! やめい、そんな話!」

『……やはり、ましろんはドM!』

 

 ……やっばい。儂がMだという認識がどんどん確定したことになって行く……!

 いやしかし、儂はMではないと思うんじゃが……。

 うぬぅ。

 

『ともかく、私たちは別に構わないから、その人の気持ちを考慮して、答えを出してあげて?』

「……わかった。まあ、瑞姫がいる時点で、もうこの先の展開はお察し、というものじゃがな」

『それもそうね。じゃ、私たちは学園行くから、終わったら来なさいよー』

「了解じゃ。なるべく早く、合流するとしよう」

『よろしい。じゃあね』

 

 ブツッ。

 通話終了。

 

 ……はぁ。帰った後が大変そうじゃな、本当に。

 襲われないよう、上手く立ち回るとしよう。

 

「どうでしたか? 了承していたでしょう?」

「あー……そうじゃな。で、瑞姫は儂にどうしろと言うのじゃ?」

「それはもちろん……了承して欲しいところですね」

「理由は?」

「約束は約束です。それ以外ですと、理由が三つほど」

「何? そんなにあるのか?」

 

 誰彼構わず許可するような奴だと思っていたのじゃが、どうやら違うらしい。

 何か思惑でもあるのかの?

 

 あと、先ほどから儂と瑞姫のみの会話になっているせいで、桜小路家の人たちが空気なんじゃが。なんか、申し訳ないし。

 

 しかも、結衣姉に至ってはものすごく不安そうというか……微妙に悲しそうに見えるのは気のせい……ではないな。

 

 なんか、落ち込んだような表情でこっち見てるし。

 ……しかし、今は瑞姫の話を聞かなければ。でないと、どう応えるべきか決められんからな。

 

 いや、儂が『いいよ!』と言うだけで済むんじゃが。

 

「まず一つは……こちらは政略的な意味が含まれるのですが、まひろちゃんと桜小路結衣さんと結婚させることで、桜小路家が運営するグループと、お父様の羽衣梓グループの繋がりがさらに強固になり、いずれは合同グループにすることができると踏んでいます」

「……それは、政略結婚と言う奴か?」

 

 人の気持ちを介在させない結婚については、儂は嫌じゃな。

 だからか、儂の口から漏れ出た言葉は、どこか低くなっていた。

 

「あ、勘違いしないでください。わたしはそんなこと、思っていませんよ」

 

 儂が少しだけ怒りを滲ませたような口調を聞いてか、瑞姫はすぐに訂正するようにそう言った。

 

「あ、なんじゃ、そうなのか。ならばよい。……では、誰が言い出したのじゃ?」

「一応お父様ですよ」

「……あの変態か」

 

 まあ、あれでも大企業の会長じゃからのう……そう言うことも考えねばならんのだろうよ。

 しかし、ではなぜ儂との結婚は許したと言うのか。

 メイドたちは、まるで儂が庶民ではない、と言うような口ぶりじゃったしのう……。

 まあ、その内わかるか。

 

「一応、わたしもある程度は考えますが、わたしとしては恋愛結婚を推す方ですので」

「まあ、おぬしの家出理由がそれじゃからな」

 

 ちと懐かしい。

 

「はい。次に二つ目。先ほども言ったように、約束は守らないといけません。これについては、まひろちゃんが悪いですね」

「なんで!?」

「まひろちゃん、知らず知らずのうちに女性の方を口説いていますから。そうですよね、結衣さん?」

「そうね~。私も、ひろ君に口説かれたし~」

「儂そんなことした!?」

「したわよ~」

 

 ……お、思い出せん!

 

「やはりですか……。こうなると、他にも口説いている人がいるかもしれません」

「いや、さすがにそれは考えすぎ――」

「と言っておいて、アリスティアさん、真白さん、結衣さんの三名を口説いていたことについては?」

「…………いや、儂、口説いたつもりなどないし……。普通に接しておっただけじゃし……」

「まあ、まひろちゃんは天然女たらしですからね。もしも、男性のままでしたら、いずれ刺されていたかもしれませんね。女の敵! と言うような形で」

「……マジ?」

「マジです」

「マジね~」

 

 瑞姫だけでなく、結衣姉までもが肯定して来た。

 そうか……儂は無自覚に口説いていたのか……。

 しかし、口説き文句とか言ったことあったかのう……?

 

「そして三つ目。これはわたしの個人的な感情なのですが……何と言いますか、結衣さんとは波長が合うと言うか、何やら他人のような気がしないと言うか……」

「あ、私もよ~。趣味とか合いそうよね~」

「はい。わたしもそう思っておりまして」

「うふふ、あなたとはいい関係になれそうね~」

 

 同類。そう思っておったが、どうやらマジでそっちらしい。

 しかし、結衣姉がロリコンということはなかったはずじゃが……。

 

「そうですね。……さて、話が長くなりましたので、そろそろまひろちゃんに応えて頂きましょうか」

「……それはつまり、結衣姉との約束を守り、結婚するかどうか、ということか?」

「それ以外にありますか?」

「……じゃろうな」

「ひろ君、無理にとは言わないからね~……? 約束したのも、ひろ君が小学生の時で、わたしは中学生だったから~……」

 

 などと、少し悲しそうにしながらも、なるべく笑顔で優しくそう言ってくれる。

 ……心が痛い。

 昔からこう、結衣姉は優しく、当時から母性に溢れておったからのう……。

 しかも、可愛がってくれていた、というあれもある以上、無下には出来ぬ。

 

 ちなみに、初めて会った時から胸はそこそこでかかった、とだけ言っておこう。

 

「……一応、訊くのじゃが、儂は男ではなく女になってしまったのじゃぞ? しかも、見ての通り幼女じゃそれでもよいのか?」

「もちろんよ~。私、子供は大好きだから~。それに、ひろ君はひろ君だからね~」

 

 あー、なるほど。性別は関係ない、と。

 それはつまり、儂の中身で判断している、ということか……。

 

 ……まあ、旦那が増えるのも今更、か。

 たった一ヶ月で、五人。

 ……儂の人生、どうなっておるのじゃろうなぁ。

 

「……わかった。了承しよう」

「い、いいの~!?」

 

 先ほどまでの落ち込み顔はどこへやら。

 バッ! と顔を上げると、驚きながらも嬉しそうな、それでいて期待したような声音で尋ねてくる。

 

「うむ。儂も約束は守らないといけないと思っておるしな」

「同情とかじゃない~……?」

「儂がそんなことで了承するような人間に見えるか?」

「ううん、ひろ君はバッサリいう娘だもんね~」

 

 よくわかっておる。

 

「うむ。そう言うことじゃ」

 

 それにしても、実に嬉しそうな表情をしおる。

 見ているこっちも嬉しくなるではないか。

 

「わ~い~! ひろ君と一緒~!」

「わぷっ!?」

 

 ガバッ! と勢いよく、結衣姉に抱きしめられてしまった。

 

 普段着物を着るタイプの結衣姉。そんな結衣姉の寝間着はというと、これまた着物。しかし、寝るようのものであるため、何と言うか……はだけやすいのじゃ。

 

 その結果、結衣姉のビッグサイズな胸が、生で、儂の顔面に押し当てられるわけで……。

 正直、天国と地獄がいっぺんに来たような感覚。

 

 温かくて、柔らかくて、いい匂いがする渓谷のような谷間に押し付けられては、さすがの儂でもきついものがある。

 

 もし、男であったならば、間違いなく、興奮したな、これ。

 

 まあ、美穂たちでもなるんじゃが……。

 

 ……って、

 

「むーっ! ん~~~~っ!」

 

 く、苦しい!

 バカみたいに苦しい!

 

 伊夜以上の胸を持つ結衣姉のこれは、胸とかおっぱいとかバストとか、そんな生易しいものではなく、ただの凶器なんじゃが!

 

 人殺せるぞ!? 極楽浄土に逝かせることができるぞこれ!?

 

「結衣さん、まひろちゃんがもがいてます」

「あ、いけないわ~」

 

 瑞姫、ファインプレー!

 力が緩んだところを瞬時に感じ取り、勢いよく顔を上げる。

 

「ぷはっ……はぁっ、はぁっ……し、死ぬかと思った……」

「ご、ごめんね~? 大丈夫~?」

「大丈夫じゃ。ちと苦しかっただけじゃよ。……と言うわけじゃ、冬治殿に小百合殿。儂は、結衣姉と結婚しようと思う」

 

 先ほどからほぼほぼ空気な桜小路夫妻に、そう告げる。

 もう、挨拶をしてしまえ、と言う心境じゃ。

 

「そ、そうかい。それはよかった。……しかし、いいのかい? まひろ君のお嫁さんが五人になるが……」

「構わぬ。もう今更じゃからな……一人増えても、儂が一番下なのは揺るぎない事実じゃからして……」

「そうか。ならいいんだよ。……娘を、よろしくお願いします」

「よろしくお願いします」

 

 二人は深々と頭を下げ、儂にそう告げて来た。

 ……ま、まともな親じゃぁ……。

 ここは、しっかりと言わねばならぬな。

 

「……うむ。もちろんじゃ。任せるのじゃ」

 

 真剣な気持ちでそう言ったら、

 

「も~、お父さんにお母さん、ひろ君を幸せにするのは私よ~?」

 

 少しだけぷりぷりと怒ったような様子の結衣姉がそう言いだした。

 

「……のう、儂ってもしかして、結衣姉から見ても、嫁なのか……?」

「当然ね~。だって、瑞姫さんとの話し方から見ても、ひろ君、お嫁さんっぽいし~」

「その通りです」

「ちょっ、瑞姫!?」

「冬治さんに、小百合さん。見ての通り、まひろちゃんはお嫁さん属性なので、結果的に結衣さんが旦那さんになるのですが……大丈夫でしょうか?」

「あぁ、構わないとも」

「そうね。たしかに、まひろ君からはお嫁さんオーラがひしひしと伝わってくるもの」

「お嫁さんオーラってなんじゃ!?」

 

 そんなもん、儂にあるわけないじゃろ!

 あと、儂どんだけ嫁だと思われとんの? 儂、元男なんじゃけど!?

 

「しかし……そうか。まひろ君と結婚するということは、孫は見れないということか」

「そうねぇ、そこだけが少し残念よねぇ……」

「そこに関しては……すまぬな。さすがの儂にも、どうしようもな――」

 

 ないと言い切る前に、とんでもない爆弾が、瑞姫によって投下されることになる。

 

「ご安心ください。方法がありますので」

「「え!?」」

 

 ……………………なん、じゃと?

 

 今、瑞姫は、方法がある、と言ったよな……?

 それはつまり、女同士で子供を作る方法がある、と言ったのと同義。

 

 ……ということは……。

 

「み、瑞姫……?」

 

 恐る恐る瑞姫に声をかけると……

 

「まひろちゃん、どうしてあのこと、黙っていたのですか?」

 

 にっこりと微笑みながら、責めるような口調で問い質してきた。

 ……あ、これバレてら。

 

「お、おぬしまさか……例の薬を……!」

「はい、回収させていただきました」

「ノォォォォォォォォォォォォォォォォッッッ!」

 

 頭を抱えて、儂は慟哭した。

 な、なぜじゃ! なぜバレたのじゃぁ!

 

「どうやら、意図的に隠していたようですね? けれど、残念でした。まひろちゃんのあの時の通話、わたしたちが聴いていないとでも?」

「……ま、まさかおぬし!」

「はい、あの時ばかりは盗聴させていただきました」

「何してくれてんの!?」

 

 自らの嫁に盗聴器しかけるとか、頭がおかしすぎる!

 マジで何なんじゃこやつは!

 うぅぅ……儂、絶対死ぬやん……。

 

「ですが、まひろちゃんの体を考えると、もう少しだけ先になりますが」

「いや、構わない。孫の顔が見られると言うのならば、いくらでも待つとも」

「ええ、ええ! 楽しみにしているわ!」

 

 ……退路を、塞がれた。

 これはつまり、儂に死ねと、言うことじゃな……。

 ハハハ……。

 

「では、了承も受けられ所で……こちらをどうぞ。婚姻届です」

「やっぱ持っとるんかい」

「はい。とりあえず、わたしが持っている婚姻届は、こちらが最後になりますが」

「……普通は持ち歩かんし、何枚も持たないと言うのに、おぬしと言う奴は……」

 

 やはり、人生の墓場へと導く死神じゃな、こやつは。

 

「準備がいいんだね、繫晴君の娘さんは」

 

 普通は婚姻届を常備する、などということはまずない。

 

「では、早速書いてしまいましょう。結衣、あなたが書かなければいけないのだから、ささっと書くように」

「は~い~!」

 

 うわぁ、結衣姉ルンルン状態……。

 今にもスキップしそうなくらいの上機嫌状態じゃな。

 どんだけ嬉しいんじゃ、あやつは。

 

「さらさらさら~。うん、書けたわよ~」

「速いのぅ……」

 

 しかしまあ、ましろんほどではなかったが。

 うむむ……。

 よもや、五人目とは……。

 できることならば、これで打ち止めになって欲しいものじゃ。

 

「はい、ひろ君、書いて書いて~」

「うむ」

 

 さすがに五度目ともなると、書きなれてくるというもの。

 それはそれでどうかと思うが、儂の性別的な理由じゃからのう……。

 

 しかし儂、本当にモテていたのじゃな。知らぬ間に。

 できることならば、男の時にモテたかったのう。さほど興味はなかったが。

 

 ……まあ、男の時にこんなことになっていたら、確実に儂が死ぬ羽目になったとは思うけどな。おそらく、取り合いになった可能性があるからのう。

 

 そう言う意味では、今の姿でよかったとも言えるが……。

 

「ほれ、書けたぞ」

「えーっと……はい、問題ありませんね。では、提出前ではありますが、これで成立したようなものですね。結衣さん、旦那さん同士、これからよろしくお願いします」

「こちらこそよろしくね~」

 

 とりあえず、お嬢同士は仲良くなれそうじゃな。

 まあ、これで修羅場ったらかなり困ったが。

 

「ひろ君も、末永くよろしくお願いいたします」

「こちらこそじゃ。……できれば、旦那たちと協力して儂を襲わないようにな……?」

「うふふ~、それはわからないわ~」

 

 柔らかい笑みを浮かべながら言い返された。

 ……もしやこやつも、美穂たち側か……?

 儂、死ぬかもしれぬ……。

 

「よかったね、結衣」

「うん、お父さん~。私、必ずひろ君を幸せにするね~」

「……あの、普通それ、儂が言うセリフじゃね?」

「あら~? でも、ひろ君はお嫁さんだから~」

 

 もう、何も言い返さん。

 どうせ、儂が嫁扱いされるのはいつものことじゃからな……。

 

「……ところで、結衣姉は仕事とかどうするのじゃ? おぬしはたしか、飛び級で大学を卒業したらしいが……」

「えっと~、教員免許を持ってるから、教師のお仕事になるかな~。ちなみに、高校の教師免許よ~」

「科目はなんじゃ?」

「一応、英語と数学よ~」

「なるほど」

 

 つまり、高校に就職することになるわけか。

 

「では、まだ就職先は決まっていないのですか?」

「そうなるわね~」

「それでしたら、水無月学園に就職してはどうでしょう?」

「む? それは大丈夫なのか?」

「おそらく大丈夫かと。たしか、今年は例年より教員の数が少ないと聞きます。英語か数学の教師であれば、就職できるのではないでしょうか?」

「まあ、儂はその辺りはよく知らんので、任せるわい。しかしまあ、結衣姉が同じ学園で教師をするとなれば、儂は嬉しいところじゃがな」

 

 結衣姉と会うのは久しぶりじゃし、過去に勉強を教えてもらったこともあるからのう。実際、結衣姉の教え方は上手いからのう。

 

 何度か世話になったからな。

 

「うふふ、嬉しいことを言ってくれるわ~。じゃあ、ダメもとで行ってみようかしら~」

「でしたら、このまま学園へ行くところですし、よろしければ一緒にいかがでしょう?」

「いいのかしら~?」

「はい、問題ありませんよ。まひろちゃんの制服も持って来ていますので」

「おぉ、それは助かる。では、三人で向かうとするかの」

「ですね」

「は~い~」

 

 三人で学園へ向かうことになった。

 

 そう言えば儂が兎になる前に着ていた衣服類やらスマホはどこへ行ったのじゃろうか?

 

 そう思って尋ねてみたら、どうやら結衣姉が回収していたらしい。

 

 ……つまり、ベビードールを見られたということなのでは?

 

 苦い顔をしながらちらりと結衣姉を見ると、儂が思っていたことを見抜かれたのか、なんか……生暖かい目で見つめられた。

 

 ……恥ずかしい。

 

「あ、まひろちゃん、あとであの薬の事、教えてもらいますからね?」

 

 ……そして儂、やっぱりしぬかもしれぬ……。




 どうも、九十九一です。
 これだけ書いていおいて、未だ四月二十九日。全然先に進まねぇ……。体育祭は多分、六月になるのかなぁ。その方がよさそうだし。まあ、この作品ってネタとか何も考えてないんで、後々困りそうですがね! あ、多分旦那はもう増えないとは思います。この辺が打ち止めかなぁと。まあ、私の言うことなんでいつか増える可能性が0ではないですがね。
 明日も投稿出来たら投稿します。時間はいつも通りですんで、よろしくお願いします。
 では。
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