爺口調な男子高校生が、のじゃろりになってTSライフを送るだけの日常   作:九十九一

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日常76 映画村。デレるまひろ

 昼食を終え、儂らが次に向かったのは映画村。

 

 ここに行きたいと言い出したのは……

 

「おぉ~~っ! こ、ここが実際に時代劇の舞台にもなっておる映画村か!」

 

 儂。

 

 何せ儂、時代劇好きじゃからのう……。

 

 個人的には暴れん坊〇軍みたいな作品が好みじゃな。

 

「ほぉ~、なるほど、こうなっておるのじゃなぁ……うむうむ。素晴らしい!」

 

 こうして見ると、本当に精巧に作られておるのう。

 

「随分とまあ、はしゃいでるわね、まひろ」

「そりゃそうじゃろ。儂は時代劇好きじゃからな。おっ、あそこは時代劇になぜかよく出てくる蕎麦屋! やはり、こういうのは良いのう……これだけで、京都旅行に来た甲斐があったというものじゃ!」

「旅行に来て、一番輝いてますね、まひろちゃん」

「それだけ好きってことだもんね。面白いのかな? 時代劇」

「そうね~、好みはわかれるけど、なかなかに面白いわよ~」

「……結衣さんも見てるの?」

「えぇ~。昔ひろ君と一緒に見てから、ちょこちょこ見てるわ~」

「そうなのね。……私も見てみようかしら?」

「……あら、これは……。まひろちゃーん!」

 

 む、何やら瑞姫に呼ばれたみたいじゃ。

 

「なんじゃ、瑞姫?」

「どうやらここ、時代劇衣装体験や着物のレンタルができるみたいですよ」

「なぬっ。それは是非とも体験したいところ……しかし……この姿じゃと、女性用か……」

「まあ、そうなるわね」

「ぬぬぬ……」

 

 個人的に、男の時にやりたかったのう……。

 

 しかし、体験、か。

 

 ……ふむぅ。

 

「よし、とりあえず、着物の体験はしたいところじゃな」

「まひろ君、時代劇の方はいいの?」

「気になりはするが……さすがに、あの髪型にする勇気はない……」

「あの髪型……あ、えっと、サ〇エさんみたいな髪型のこと?」

「サザ〇さんて……あれは、島田、もしくは丸髷という髪型じゃ」

「え、えーっと、違いは何?」

「んー、簡単に言えば、結婚した者かそうでな者かの違いじゃな。島田がしていない方で、丸髷がしている方じゃな」

「へぇ~、そういう違いがあるんだ」

「まあ、このくらいであればネットで調べればすぐに出てくるぞ」

 

 それにしても、サ〇エさんは色々とまずい気がするが……。

 

 ……じゃがまあ、言われてみれば、あの髪型は何と言う名前なんじゃろうか?

 

 ちと気になる。

 

「昔は、ああいう髪型が人気だったってことよね」

「そうじゃな。島田の方なんかは、東海道・島田宿、という場所の遊女が発祥と言われておるな。それが、大流行したとか」

「なるほどね。今の人からすれば、あまり人気が出さそうだけど……」

「そんなもの、その時代の価値観次第じゃよ。特に、今なんかは魅力的な髪型が多いからの」

 

 ……まあ、風変わりな髪型も存在しておるが。

 

「そうですね。特に、小さな女の子に似合わない髪型は少ないくらい」

「……おぬし、なぜこう、幼女に絡めないと気が済まんのじゃ」

「性癖です」

「ドストレートすぎるわ!」

 

 こやつ、本当に自重とかしなくなったのう……。

 

 しかも、こんな往来で言うとか、頭おかしいじゃろ。

 

「ねね、あたしも着物着てみたいし、そろそろ行かない?」

「っと、そうじゃな。では行くとしようか」

 

 

 着物を着るべく、儂らは時代劇扮装の館、という場所へ。

 

 そして、儂はそこで着物レンタルの制限を見つけてしまった。

 

「ひゃ、百五十センチからなのか……」

 

 なんと、着物のレンタルは、百五十センチからであった。

 

 つまり、今の状態の儂は百三十センチであるからして……。

 

 そして、儂と同じく、

 

「……ぎりぎり足りない……」

 

 ましろんも着れないという事が発覚してしまった。

 

 ちなみに、ましろんの身長じゃが……今現在、百四十八センチ、とのこと。

 

 儂は百三十後半じゃがな。

 

 ……ぬぬぬ。

 

「しもうたのう、こればかりは予想外じゃった……」

「ですね。……ですけど、真白さんはギリギリ足りないだけですし、案外何とかなるかと思いますよ? 二センチ程度ですから」

「……だといい」

「まひろは成長すればいいだけじゃない?」

「いや、それはそうなんじゃが……ほれ、儂のあの能力は普通に腹が減るしのう……」

「でも、着たいんだよね?」

「……まあの。そもそも、このような場所で着物を着て散歩する、というのは憧れがあったからして……。できることならば、着たいところじゃ」

 

 時代劇好きの儂からすれば、実際のセットの町を着物を着て歩く、ということは普通にしてみたかったからのう。

 

「それなら、成長するべきよね~」

「……着るチャンスがあるのなら、掴むべき」

「わたしとしましては、できれば小さいお姿のまひろちゃんを見たかったのですが……仕方ありませんね。では、それで行きましょう」

 

 平常運転すぎる。

 

「うむ、そうじゃな」

 

 ここはやはり、成長するか……。

 

 

 というわけで、仕方なく成長することにし、着物をレンタル。

 

 本来、数量限定らしく早い者勝ちだったのじゃが、儂らは運よくレンタルすることができた。

 

 ちなみに、ましろんはギリギリセーフ。

 

 着替えの際は、各々別々となった。

 

「ふむ、初めて着物を着たが……なるほど、なかなか着心地が良いな」

「「「「「…………」」」」」

 

 そして、全員が着替えを終えて集まると、何やら五人から視線を感じた。

 

「む? どうしたのじゃ? おぬしら」

 

 妙に顔が赤いというか……なんじゃろうか?

 

「な、なんというか、その……に、似合わね、あんた」

「これは、驚きました。まさか、こんなに和服が似合うなんて……」

「まひろ君、綺麗だよ!」

「……魅力的」

「口調もあるのかしら~?」

「そんなに似合うか? 儂」

「「「「「似合う」」」」」

 

 どうやら、かなり似合っておるようじゃ。

 

 まあ、その理由の一つはおそらく……

 

「あんた、黒髪は卑怯でしょ……」

 

 今の儂の髪色が、桜色ではなく、黒であることじゃろうな。

 

 これはもちろん『変色』の能力で変えたものじゃ。

 

「ほれ、着物と言えば黒髪じゃろ? であれば、黒髪にするのが最もしっくりくるというもの。今の儂は桜色じゃからな。今を全力で楽しめるのであれば、一日変更できなくなるくらいわけないわい」

「……まひろん、何気に大胆」

「いやいや、普段であればこんな面倒なことはせんよ。ただ、ここが映画村であるから、こうしたまでじゃ」

「でもでも、黒髪のまひろ君ってすっごくレアだよね! もともと黒髪だったから、なんだか落ち着くし!」

「あー、それわかるわー」

 

 そう言えば儂、もとは黒髪じゃったな。

 

 であれば、アリアの言い分もわかる。

 

 特に、瑞姫以外の四人は、男の時の儂との接点が多かったからのう。

 

 瑞姫も一応知っておるが、本格的にかかわりだしたのは、儂が発症した後じゃったからな。

 

「しかし、おぬしらもなかなか似合っておるぞ?」

「そう?」

「うむ。美穂はやはり、スレンダーだからか着物がよく似合っておるし、瑞姫も大和撫子然として綺麗じゃし、アリアは天真爛漫さが出ており可愛い。ましろんは、少し着物が大きいが、そのぶかぶかさがかえって可愛らしさを上げておるし、結衣姉は着慣れておるからか、自然な美しさというものがある。うむうむ、儂の旦那は魅力的じゃのう……む? どうした?」

 

 儂が五人それぞれを端的に褒めると、何やら全員顔を真っ赤にしてもじもじとしておった。

 

「ま、まさか、いきなり褒められるとは思ってなくて……まひろって、こっちから言わなきゃ絶対褒めないタイプに見えたし……」

「は、はい。小さい姿こそ至高、と思っていましたが、成長したまひろちゃんの微笑みからのべた褒めは、ずきゅんっ、ってきますね……」

「嬉しいけど、不意打ちはずるいよぉ……」

「……照れる、本気で」

「うふふ~、ありがとう、ひろ君~」

「ふふ、そうか。であれば、言った甲斐があったというものじゃ」

 

 全員の照れ笑いを見られたのは、なんとも嬉しいのう。

 

 やはり、儂の旦那共は可愛い。

 

「でも、どうして似合わないことを言ったの?」

「たしかに。まひろちゃんは、あまりそういうタイプじゃないですよね? めんどくさがりそうですし……」

 

 二人の発言に、儂は本音を言うべきか迷う。

 

 ……しかし、同じ疑問を持ったのか、他の三人もじーっと儂を見つめてきた。

 

 これは、あれじゃな。言わなければ、延々と見つめられるあれじゃな……。

 

 ……仕方あるまい。

 

「……まあ、情けない話。先ほどからちらちらとおぬしらを見ておる周囲からの視線が、な。その……ち、ちと妬けてしもうて……まあ、なんじゃ。わ、儂の大切な人、とアピールしたくて、つい儂に似合うわぬことを言うた、というか……」

 

 ぬぅ、顔が熱い……。

 

 しかも、なんじゃ。この恥ずかしさは……!

 

 わ、儂、変なことを思われとらんか……?

 

「「「「「ごふっ……!」」」」」

 

 などと心配しておったら、五人はなぜか口と胸を押さえて前傾姿勢になった。

 

「な、なんじゃ!? 何故胸を抑えるのじゃ!? え、儂、きもかった? きもかったのか!?」

 

 も、もしそうだとしたら、ものすごく泣きそうになるんじゃが……。

 

「い、いや、そ、そういうわけじゃなくて……今の反応は反則でしょ……」

「は、反則?」

「周囲からの視線で妬けるなんて、可愛すぎますよ、まひろちゃん!」

「……ん、ん?」

「あぅぅ、まひろ君、最近可愛いこと平気で言うんだもん、瑞姫ちゃんじゃないけど、鼻血が出そう……」

「……たしかに。みーちゃんほどじゃないけど、今のまひろんの破壊力は凄まじい……。もじもじしながらのやきもちは反則すぐる……!」

「そ、そうね~。瑞姫ちゃんとは程遠いけど、私も幸せが鼻から吹き出しそうだったわ~」

「あの、もしかしてわたし、ディスられてます?」

「「「気のせい(だよ)(よ~)」」」

「そ、そうですか」

 

 ……瑞姫の扱いよ。

 

 しかし……。

 

「で、では、別にきもい、とか思われとるわけではない、と?」

「当り前じゃない。というか、こっちからしたら、本気で嬉しい発言に決まってるでしょ。どこの誰とも知らない人からの視線すら、嫉妬するんでしょ?」

「ぬぐっ、ま、まあ……。お、おぬしらはその……魅力的すぎる、からの……」

 

 目を逸らし、頬をかきながらそう答える儂。

 

「「「「「~~~っ」」」」」

 

 そんな反応を見た五人は、何やら嬉しそうな顔をすると、五人集まって話し始めた。

 

「……ねえ、なんか今日のまひろ、可愛すぎじゃない?」

「あれじゃないですか? 普段と違う状況で、少し本音が出やすくなっているのかもしれません」

「というより、開放的になってるのかな?」

「……デレ期」

「やっぱり、旅行が原因かしら~?」

「突然の旅行だけど、なんだかんだでまひろも全力投球で楽しんでる、ってことよね?」

「……まひろん、和な物が大体好きだから、多分。京都とかドンピシャなのかも」

「ともあれ、この旅行、一番の嬉しい誤算は、まひろちゃんが普段以上にデレている事、ですね」

「「「「たしかに」」」」

 

 むぅ? あやつらは、一体何を話しておるんじゃろうか?

 

 んむぅ……気になるところではあるが……。

 

「の、のう、おぬしら、一体何を話しておるのじゃ? できればそろそろ他の所も見て回りたいのじゃが……」

「あ、そうでしたね。すみません。それでは、行きましょうか」

「うむ!」

 

 楽しみじゃな!




 どうも、九十九一です。
 久々に連日投稿した気がします。今の私、かなり調子がいいみたいです! やったぜ!
 あ、旅行の話なんですけど、次の回、少々迷ってるんですよね。普通に映画村の話を続行するか、もういっそその部分はキングクリムゾンしてささっと終わらせるか。正直、旅行の話はささっと終わらせて、普通の学園の話に持っていきたいんですよねぇ。なのでまあ、希望がない限りはそのまま終わりに持っていこうかな、なんて思ってます。あ、希望があれば普通に続き書きますんで。
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